自民党の山崎拓外交調査会長は19日のNHKの討論番組で、弾道ミサイルを発射した北朝鮮に対する日本政府の経済制裁強化について、「国民感情として理解するが、現在までに幾多の制裁を加えてきて、とりわけ拉致問題について前進があったかというと実際はない。効果を発揮しない」と述べた。その上で「(北朝鮮を)6カ国協議に復帰させることを重点的に考えるべきだ」として、外交努力が必要と強調した。
まぁ、見りゃわかりますよね。もう何年も経済制裁を続けてきたわけですから、その効果はとっくに検証済みです。後は結果を受け容れる覚悟があるのかどうか、それだけの話です。それでも尚、制裁強化に固執する人は構造改革論者と同じ様な頭の持ち主なのでしょうか。「構造改革」の結果が明らかになっても決して改革の誤りを認めない、「構造改革」の継続が必要だと説く連中と一緒です。これが投資ならぬ投機なら、いつの日か幸運が巡ってくることもあるかも知れません(その時まで待てる余力があるかどうかは別ですけれど)。しかし、政治は運任せでもなければ、偶然にばかり左右されるものではないわけで、いつまでも見込のない手に賭けていてもどうにもならないのです。
あるいは、手段と目的が入れ替わっているのでしょうか。「拉致問題を前進させるために経済制裁を強化する」のではなく、「経済制裁を強化するために拉致問題を旗印に掲げる」わけです。目的が前者であるなら日本の行動は不合理きわまりないですが、後者であるならば日本なりに目的に沿った行動をとっていることになります。拉致被害者家族会を離れた蓮池透氏などは拉致問題の解決が目的らしく、一向に成果の上がらない制裁路線には懐疑的なようですけれど、蓮池氏とは立場を異にする人の方が多いようですし。
そもそも現代の日本には「外交」が存在するのか怪しい、外交と称されているものが、その実は全くの国内向けの政策であるケースが相継いでいるように思われます。かの「THE FACTS」のように、国外に向けてのアピールのフリをしていても実際は国外からはまるで相手にされていない(冷笑ぐらいはされるかも知れませんが)、その代りに国内の支持層からは喝采を浴びる、そうした行為の繰り返しが日本の「外交」ではないでしょうか。
例えば先日、橋下が「北朝鮮以外の国に住んでいる北朝鮮籍の人が、厳しく今の体制について、批判していかなければならないと思う」と述べました。勿論、こんなことを言っても外交上の効力は微塵もないでしょう(そもそも日本の法律上は北朝鮮国籍での登録は認められていませんので、日本国内に「北朝鮮籍」の人など存在しません)。しかし、国内、選挙区内の支持層へのアピールとしてはどうでしょうか。そうです、外の国のことを語っているように見えて、その実は国内の有権者にしか語りかけていないわけです。
言うまでもなく、日本政府の北朝鮮外交も同様です。他の5カ国が核開発について話し合っている最中に拉致問題について熱弁したり、何ら効果のない経済制裁を振りかざすのも、決して外交上の成果を狙ったものではないのでしょう。そうではなく、あくまで国内向けのアピール、国内の反北朝鮮感情に訴えかけ、政府への支持を呼びかけるものと見た方が間違いがないはずです。北朝鮮との問題を解決するために制裁を唱えているのではなく、北朝鮮に「毅然と」立ち向かう日本を国民に印象づけること、そっちを真の「目的」と見なさないことには政府の方針を合理的に説明することは出来ません。
ことによると外交上の「成功」よりも「失敗」の方が国民には歓迎されるのかも知れません。北朝鮮の発射実験強行は外交の失敗を意味するわけですが、これは政府与党の支持率を少なからず引き上げました。外交的手段による解決を図れなかった政府を非難するどころか、政府を支えようとする声が勢いづいたわけです。北朝鮮との関係を修復して問題を円満に解決することよりも、むしろこれ見よがしに北朝鮮と対立してみせること、こちらの方が政府にとってはプラスになる、だからこそ前進の見込めない制裁強化に固執する、それが政府にとっての合理的な選択となるのでしょう。
安倍は例のごとくKY全開で集団的自衛権容認をマニフェストにと息巻いてるようですが、自身の政権が命取りになった年金問題が民主の長妻が指摘した通りかなり深刻な事態に陥ってる点を見るに、全然こりてないなと再認識させられます。
また、中川(酒)の核武装論も「アンタ、また飲んでるのか?」と突っ込みたくなる話で、考えの相違は別にネトウヨレベルの貧困な発想で国家の計を提起されても正直困るというのが本音です。
何と言うか上記の人々を見るに、ホントは打たれ弱い子が無理に自分を誇示しようとして、刃物やらを所持したがる発想をふと思い起こさせます。
本人達は真っ当な発想で語っているんでしょうが、率直に言うと「現実見ろよ」と突っ込まざる得ない訳です。
もっと言うと、上のような浮世離れもいいところの発想がポロっと出る事自体が『平和ボケ』だろうと思う訳です。
政治の世襲制限がホットな話題となってますが、それよりまず「現状認識が出来ない人」を議員にしない、あるいは候補者に据えない事が先だと思うのは私ぐらいなんですかね。(苦笑)
実際、拉致被害者の家族会から経済制裁を望む声があがっていますが、日本が経済制裁をしたところで中国が支援しているのですから効力はないですよね。
政府は拉致の問題を解決する気なんかないと勘繰ってしまいます。だってそうでしょう?小泉氏だって拉致問題を解決することを優先するのならば、個人の主義主張を優先して中国の怒りを買うような外交をしなければ良かったんだと思います。
拉致問題を解決する為には現実的かつ建設的手段を考えて実行に移すべきです。政府や外務省は何も考えていないとしか思えません。本気で拉致問題を解決する気があるのならば、拉致被害者を救済する外交戦略を組立てて、家族会にも説明して、経済制裁では駄目なんだということを伝えるべきです。
現政府は拉致問題を解決する気はなく、北朝鮮問題を表集めや軍備増強、ひいては核武装へと導く為に利用しているのでしょう。
拉致被害者の皆様がお気の毒です。
>拉致という国家テロにカネや食糧等の対価を与える必要はなく、全面制裁を発動した上で、全員返すなら制裁を解除するのが順当な対応です。
>めぐみさんたち拉致被害者は生きています。
などの十年一日の不毛な主張を続けています。さすがに彼らへの不信感もある程度生じてきているように思いますが、櫻井よしこその他らは利用価値のある間はこのような空しい主張を続けるでしょうね。5月6日に彼らの集会があるそうなので、ちょっとに潜ってきて、レポートでも書こうかと考えています。
http://www.sukuukai.jp/skins/default/images/090325_chirashi.pdf
この国の住人のメンタリティは60年前とこれっぽっちも変わっちゃいない。松岡洋右アゲインってことなんでしょうねぇ(嘆息
仮想敵国がいなくなっては、それと戦うのが仕事、それとの戦いをアピールして支持を稼いでいた人が行き場を失いますからね。さながら向かい風で舞い上がる凧のようです。
>ふみたけさん
安倍の支持率のピークは北朝鮮のミサイル実験でもたらされましたからね。今回の発射実験でも急に勢いづいているようですが、全く懲りていない…… 仮想の脅威への対策など無駄、現実への対策こそ必要なのでしょうけれど、それでも脅威を見たがる人が多い威のでしょうか。
>りぼんの棋士さん
日本の経済制裁なんて、はっきり言えば日本だけの自己満足の世界ですから。拉致問題の解決が最優先ではなく、「憎き北朝鮮」への非難ばかりが要求されている、蓮池氏以外の被害者家族もそれに乗せられているようですが、もうちょっと頭を冷やして現状を見つめて欲しいものですよね。
>Bill McCrearyさん
巣食う会は相変わらずですね。曰く「いくら時間をかけても」とのことですが、「生きている」とするなら早期解決を図るべき。それなのに「いくら時間をかけても」というのは効果のない制裁を続けたいからでしょうね。
>あぐりこらさん
本当に今の日本だったら松岡洋右が英雄として讃えられそうな雰囲気ですよね。孤立すれば孤立するほど、国内の結束は強まる。まるでカルト宗教のよう……
まあ、両者とも「対立」がお望みのようですので、大したことはないのでしょうけど。
「救出」ではなく「制裁」が目的ですから。たぶん、懐柔策で物事が解決しても、僅かでも相手に「理」を与えるとなると我慢できないのかも知れませんね。そうなるくらいなら、いかに犠牲の多い方法論であっても、より相手を「痛めつけられる」方法を選びたいと……
金政権にしてみれば、日本の経済制裁に屈して拉致被害者を帰還させたとなっては、国家の面目まるつぶれであり、今後の対米、対韓交渉も不利になるのは明白でしょう。ですから金政権としては日本の圧力に屈せず頑張るというのが、合理的な対応に思えます。
前に小沢代表が「金で取り返せないか」みたいなことを言って批判を浴びましたが、小沢代表の提案のほうがよほど実効性が高いです。小沢代表の提案は確かに気分が悪いですが、これこそ「不都合な真実」というものなのかもしれません。
拉致被害者の救出云々が目的なら、手段は二の次でいいはずですよね。北朝鮮のメンツを立ててやる、「名を捨てて実を取る」方法論は当然、あってしかるべきなのですが日本政府は制裁一筋です。拉致被害者のために名を捨てる、形だけでも譲歩して見せる、それこそ「国家の面目まるつぶれだ!」と、日本政府及び家族会関係者、支持者達は思っているのでしょうか。