非国民通信

ノーモア・コイズミ

状況は悪化するばかりの模様

2011-07-09 22:54:48 | ニュース

原発再稼働 同意した玄海町に抗議の電話殺到(佐賀新聞)

 岸本英雄玄海町長が玄海原発2、3号機の再稼働に同意した4日、佐賀県東松浦郡の同町役場には全国から約80件の抗議電話が殺到した。

 岸本町長が海江田万里経産相と会談し再稼働容認の意向を示した6月末ごろから抗議電話が1日30~40件寄せられていたが、この日、同意を九州電力に伝えたことで抗議が一気に増加した。

 多くは東京、埼玉、千葉など関東圏からの電話で、全国に波及するとされる同原発の再開問題の大きさをうかがわせた。「福島第1原発事故で放射線を浴びているのに、事故が起きたらだれが責任を持つのか」「1町だけで判断していいのか」といった内容だった。

 原子力対策担当の財政企画課は「職員10人で手分けして応対したが、仕事ができない状況」と話した。

 さて一時は玄海原発が再稼働の見込みということで、取りあえず九州だけでも危機的事態からは脱出できるのかなと思われたのですが、色々とあって前途多難です。まず冒頭で引用したニュースですが、「東京、埼玉、千葉など関東圏からの電話」が殺到しているとのこと。何というか、昨今の反原発論を象徴しているような気もしますね。ヒステリーを起こしているのは都会の人ばっかりで、むしろ地元住民の方が落ち着いているのではないでしょうか。先の統一地方選でも報道を見る限り、出馬したのも当選したのも軒並み「原発推進派」「原発維持派」として紹介されていたケースが目立っていたように記憶しています。遠いところで起こる出来事だからこそファンタジーとして楽しむ連中が出てくる、反原発とはある意味で戦争のようなものなのかも知れません。

 ちなみに「事故が起きたらだれが責任を持つのか」ということですが、福島のような事故が起こっても影響を受けるはずがない都市部の人間にそれを言われたくもないでしょう。そもそも電力不足の結果として起きた事故や被害には誰が責任を持つのか、そっちだって考えられてしかるべきです。節電のため照明が落とされる中で交通事故が発生したり、空調を止めて熱中症で倒れる人が出たり、あるいは電力不足が産業に制約をかける中では深夜労働に追い込まれたり失業してしまう人も出るわけです。経済的な要因で自ら死を選ぶ人が万を数える国で景気への影響を軽視することは、すなわち人命を軽視するに等しいことでもあります。加えて「1町だけで判断していいのか」なんて抗議もあったそうですけれど、別に1町だけの同意で原発の再稼働が決まるわけでもないはず(県の同意だって必要です)、にも関わらず「1町だけで判断していいのか」と詰るのは、喩えるなら選挙での投票先を「1人で判断して良いのか」と迫るようなものです。まぁ、昨今の反原発論の水準を如実に表わす抗議内容とも言えるでしょうか。


九州電力:原発やらせメール 「番組周知」執行役員指示 課長、意をくみメール(毎日新聞)

 九州電力玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開に関する佐賀県民向け説明番組を舞台にした「やらせメール問題」で、九電の課長級社員が意見投稿を依頼したのは、上司の執行役員から番組放送を原子力関連部署や子会社に周知するよう指示されたことが発端だったことが分かった。九電は7日、この社員への聞き取り調査を実施。眞部利應(まなべとしお)社長自らが動機やメールの送信先などについて聴取した。
 
 玄海原発の再稼働を巡る説明番組は6月26日、ケーブルテレビで放送され、番組中に賛否の意見を募集した。関係者によると、執行役員は番組があることを玄海、川内(せんだい)両原発など原子力関係3部署や子会社4社に周知するよう部内で指示した。
 
 原子力発電本部の課長級社員はこの意を受け、発電再開容認の意見を番組に反映させる方法を具体的に子会社や社内の部署にメールで依頼したとみられる。

 ところが再開の目処が立ったかに見えた矢先に、九州電力から社員及び関連会社へ向けて再稼働に賛成する趣旨のメールやFAXを、電力会社とは無関係な市民を装って送るように呼びかけがあったことが伝えられ、何と言いますか鬼の首でも取ったような騒ぎとなっています。まぁ自爆と言えば自爆ですが、何でこんなことになってしまったのでしょう。地元自治体は聞く耳を持っていたのですから、下手な工作をする必要などなかったようにも思います。この辺は選挙時の組織票のノリと同じで軽く考えられていたのかも知れませんが、世間が電力会社の粗探しに血道を上げているという時勢を鑑みれば、馬鹿なことをやったなと言わざるを得ません。人の口に戸は立てられぬもの、電力会社がメディアを支配しているわけではないのですから、もっと慎重になるべき時なのだと心得てほしいものです。

 まぁ、状況は何となく想像できます。会議で役員が「とにかく結果を出せ」と課長クラスに迫るわけです。しかるに指示は至って曖昧なものしか出されない、そうなると現場の課長は役員に対するアリバイ作りとして「こういう対策をとりました」と言えるような何かを作らなければならない、とりあえず急いでメールを作り上げて関係部門に送りつけ、受け取った社員はの大半は「へー」ぐらいにしか思わずメールは流されるまま――どこの会社にもありそうな日常の風景です。今頃は依頼メールを作成した課長が社内で吊し上げにされているのではないかと心配ですが、今後の電力事情を鑑みれば他人の心配をしている場合ではないのかも知れません。5月頃には石巻市の亀山紘市長が女川原発の再稼働を容認する意向を表明するなど、まだ状況は落ち着いたものだったはず、それがどうしてこんなことになってしまったのやら……


脱原発ではなく縮原発を…経済同友会代表幹事(読売新聞)

 経済同友会の長谷川閑史(やすちか)代表幹事は5日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、今後の原発政策は推進でも脱原発でもなく「原発の比率を下げる『縮原発』の第3の道が最も現実的な路線だ」と主張した。

 電力会社に自然エネルギー買い取りを義務づけた「再生可能エネルギー特別措置法案」については「国民感情を考えれば、自然エネルギーを国家政策として推進していくことには意義がある」と、支持する考えを示した。

 同法案を巡っては、経団連の米倉弘昌会長が、「電気料金の上昇を招き、企業が海外に出てしまう」などとして延期を訴えている。

 経済同友会は「縮原発」などと言い出したそうで、加えて自然エネルギー買い取りを義務づけた「再生可能エネルギー特別措置法案」を支持するとの考えも表明しているようです。なんでも「国民感情を考え~」だとか。しかしまぁ、買い取り義務づけ=作りさえすれば必ず売れるという仕組みは利権の温床となる資質が十分であるように私には思われてなりません。私のような利権をある程度までは容認する立場の人間が買い取り義務づけ法案を支持するのであれば特にどうということもないのでしょうけれど、とかく「利権」を目の敵にしたがる国民感情が利権を生む装置のような制度をいつまで支持できるかは疑問です。いずれ「国民感情を考え」た結果として法案を廃止することもあるのではないでしょうかね。

 一方で経団連は「電気料金の上昇を招き、企業が海外に出てしまう」と宣っています。経団連の語る「企業が海外に~」は口癖のようなものであって必ずしも真に受けるべきものばかりではないのですが、今回はどれほどのものでしょう。買い取り義務づけ法案や脱原発によってどれだけ電気料金が上がるかについては諸々の試算がありますけれど、それ以前に経団連がこれまで電力料金の高さをどの程度まで気にしていたのかどうか、訝しく思わずにはいられません。今まで法人税が高い、人件費が高い云々と騒いでいた連中が、俄に電気料金が高いから~と言いだしたところで重みは感じられないでしょう。アルミの精錬とかコストに占める電力料金の割合が極端に高い例外的な業種を別とすれば、電力料金の高低が海外移転の是非を決める上で重要なファクターになるとは考えにくいところです。

 原発から再生可能エネルギーへの移行で、標準家庭の場合は電気料金が月額2000円ほど上昇するとの試算もあります。経済弱者にとっては決して軽い額ではありませんけれど、取りあえず私の場合は独り身で標準家庭よりは影響が小さいであろうことを鑑みれば、予想される上昇分は時給の1時間分で賄える範囲とも言えます。猛暑の中、2000円を払えば1ヶ月快適に過ごせますよと言われれば、たいていの人は安いものだと感じることでしょう。電気料金が2倍3倍に跳ね上がるならならともかく、2割や3割の値上がりであれば深刻な問題に発展することは多くないように思います。そうではなく、本当に問題なのは「金を払っても電力が得られない事態」ではないでしょうか。最も電力が必要な時間帯に我慢を強いられることや停電の可能性が飛躍的に上昇することの方が、電気料金の値上がりよりも重大なはずです。

 幾らお金を積んでも電力供給を急に増やすことは不可能です。電力が足りなくなったときに「じゃぁ追加料金を払うから供給を増やして」と言っても無理なわけです。言うまでもなくお金で発電は出来ない、お金を出しても電力が買えない事態もあり得るのです。経団連や経済同友会はその辺をどう思っているのでしょう。将来のことを語るのも結構ですが、最悪の事態として来年には原発が全停止して今年以上の深刻な電力不足に見舞われる可能性もあります。それを補えるだけの大規模な発電設備を1年以内に完成させる超テクノロジーでも持っているのならいざ知らず、「現実的な路線」とやらを主張しているつもりなら、まずは今年や来年のことを考えて欲しいところです。よもや経営側としては、電力需要の少ない深夜や休日に社員を働かせるようにすればよい、だから電気料金の上昇の方だけ警戒しておけばいいぐらいに思っているのでしょうか。この辺は財界人だけではなく政治家に対しても同様ですが、今は未来を語るよりも、まず目先の問題に対処してほしいと切に願います。

 

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8 コメント

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Unknown (IBA)
2011-07-10 12:50:42
 面倒くさいので、
 福島原発は、避難を解除して、全住民を帰宅させて、日本中の原発は、全機フル稼働させちゃえばいいのにと思います。

 それより、気温が非常にヤバイ状況です。日本の歴史上、もっとも暑い夏になりそうですが! 去年より暑いです。
Unknown (非国民通信管理人)
2011-07-10 18:48:52
>IBAさん

 それも思い切りが良すぎるように感じますが、そろそろ帰宅制限は解除されても良さそうな頃合いではありますね。放射線を避けるための対策に伴う負担が、放射線の影響を上回るようでは本末転倒ですから。原発稼働に関しても然り、稼働「させない」ことのリスクが稼働させることのリスクを大きく上回るようでは、やはり何かが間違っているでしょう。
Unknown (sekine)
2011-07-10 22:19:02
目先はどうでもいいよ
被災して初めて分かるけど
現在 目先も見えない現状
明日も 来月も 来年も わからない
だからさ・・・
今日暑いとか
明日の経済とか将来の日本とか
語ってもうそ臭い
・・・
こんな時だからこそ
いったん ちゃんと考えようぜ
お久しぶりです (最下層公務員)
2011-07-10 22:26:41
原発問題では正直、管理人さんとは意見が異なります。反原発の立場でここで発言すれば、行き過ぎた反原発論者と同じのレッテルを張られそうで怖くて書き込めませんでした。(笑)

冗談はさておき、今回何故やらせメールが発覚したかの一つの想像に、社員の中にも原発から足を洗いたい(管理人さんの主張が正論としても、社員一個人として)と思ってる人が意図的にバラしたとも思えます。東電に対する非難が正論かどうかより、「九電は東電とは違うんです」として世論の風をかわしたい人もいたのではないでしょうか?
はい、確かに想像に過ぎませんが。
Unknown (非国民通信管理人)
2011-07-10 23:42:21
>sekineさん

 本当に目先も見えない現状であるなら、それこそ今日や明日のことをまず対処すべきではないでしょうか。にも関わらず「いったん ちゃんと考えようぜ」と言うのは、随分と暢気な印象を受けますが。

>最下層公務員さん

 ちょっとでも原発を罵る手を緩めようものなら即座に「原発推進勢力」などとレッテルを張って回る連中と同じことを私がやると思われていたとしたら、それは心外ですね。少なくとも私は「(国民の生活が犠牲となっていることには目を背けて)脱原発が第一」な人に冷ややかな目線を送っているだけで、反原発論自体にはむしろ好意的に接してきていたはずですが。

 ちなみに「九電は東電とは違うんです」と主張したいなら、隠蔽に回った方が合理的ではないでしょうか。そんな思惑などなかろうとも、本社のみならず関連会社までメールをばらまけば外部に漏れるのは当たり前、それが社会的な関心を集めているものであればメディアが取り上げるのも当たり前の話です。本人が何を意図したかはさておき、現に九電への評価は下がり、世論は「九電も東電と同じ」と考えているようですし。
確かに (最下層公務員)
2011-07-12 00:15:05
管理人さんはそうでしたね。失礼しました。しかし、「ざまあみろ」的な発言を目にした時、本当に今は書き込めないなと感じた事も事実です。

仰る通り、結果はどちらの側にも良く無い結果でしたね。端的に言えば私が感じたのは個人的に九電が原発から手を引く事を望んだ人ではないかと言う事です。
素人には原子力の知識は難しいです。しかし、スリーマイル、チェルノブイリ、フクシマの流れに恐怖を感じる人(管理人さんの仰る事が正論として、その人の誤解だとしても)が九電の関係会社の人達の中に居ても現在の状況としたら自然な事だと思います。

私も当初、管理人さんの意見を目にするまでは、なにしろ無くせばいいんだ!みたいな感覚でしたが、反省し、大まかに原発が縮小から全廃に向かってさえいれば、極端に走るのは止めようと考えました。日和見だとかじゃなく、情報も完全ではないのだから、柔軟に考える事だけは心がけるつもりです。
Unknown (ノエルザブレイヴ)
2011-07-12 19:18:05
結局止めるにせよ続けるにせよ「0か1か」「白か黒か」「勝ちか負けか」になってしまうのがまずいのでしょうね。ここでは散々言われていると思いますけど…。

あと、山本太郎の言動について私は「鼻持ちならない」という言葉が浮かびます。
Unknown (非国民通信管理人)
2011-07-12 23:49:01
>最下層公務員さん

 少なくともこのブログ上のこのブログ上ではコメントも含めて、反原発論に懐疑的な人が「ざまあみろ」的な発言をしたことはないはずです。反原発論者の口からはさんざん聞かされていますが。

 原発から手を引く事を望む人は別に九電であろうとなかろうとどこにでもいるはずです。ただ最下層公務員さんの想定は、ご自身の期待を勝手に投影しているだけのようにも思われます。本当にそうであるかどうかは知るところではありませんが、関連会社までメールをばらまいたのであれば、誰かしら他の人からも漏れる機会は多々あったはずで、メールを外に漏らすこと自体は、あまり特別視することではないのではないでしょうか。

>ノエルザブレイヴさん

 どうも昨今の脱原発論は、ちょっと前までの財政再建論と似たところがあって、留保付の判断を敵視する傾向が強いように思いますね。「電力不足によって国民の生活を圧迫しない範囲で」みたいな条件付の判断は認められず、シロかクロかを迫られるわけで、まさに日本盤のショー・ザ・フラッグ的な状況と言えます。

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