非国民通信

ノーモア・コイズミ

ロック魂の欠片もない

2011-07-23 23:29:16 | ニュース

制服向上委員会がフジロック出演取りやめ、脱原発ソングが原因とブログで明かす(RBB TODAY)

 フジロックフェスティバル(7月29~31日)に出演予定だったアイドルグループの制服向上委員会だが、その出演が急遽取りやめになったことが明らかになった。彼女たちの出す脱原発ソングにクレームが入ったとしている。

  制服向上委員会のブログによれば、出演とりやめの理由は「フジロックのスポンサーのひとつである大手企業の反対により、『ステージ上で脱原発の歌は歌えない』との事で、出演出来なくなってしまいました」としている。
 
 同グループは「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」を8月15日にリリースすることが決定しており、オンライン先行予約も開始している。フジロック出演取り止めを受け、7月30日には「世界から原発なくそうコンサート」に出演決定、翌31日には原発反対パレードに参加の予定だという。
 
 この件に関してはTwitterのトレンドにも入るなど、話題が拡散中。圧力説の真偽から反対した企業を明らかにせよなど関心も高く、今後も波紋を呼びそうだ。
 


ファンは怒り爆発!フジロックの精神と矛盾!? 結局は話題作りか?制服向上委員会が謝罪文(シネマトゥデイ)

 脱原発ソングにクレームが入ったことにより、7月29日から31日に行われるフジロックフェスティバルの出演がとりやめになったことを明かし、騒動となっていたアイドルグループの制服向上委員会が、22日、公式ブログで謝罪文を掲載した。

「フジロック関係者並びに支持される多くの方へ」と題されて掲載された謝罪文には、「制服向上委員会」の“フジロック飛入り出演”から“出演中止”発表の経緯にふれ、「関係者へのご迷惑とファンの方へ不快感を与えた事について、深くお詫び申し上げます」と関係者やファンへの謝罪が綴られた。また、「出演に際しご尽力頂いた関係者へは感謝すると共に、意思の疎通を図り、いつの日か実現される事を期待しております」と掲載された文中には、「スポンサーからのクレームにより出演取りやめ」というコメントへの言及は避けられていた。

 事の発端は、20日にアップされた「フジロックのスポンサーのひとつである大手企業の反対により、ステージ場で脱原発の歌は歌えない」とのことで出演できなくなってしまいました」という制服向上委員会のブログ。一方、フジロックフェスティバルは、80年代から継承される反核・脱原発イベント「アトミック・カフェ」に、NGOヴィレッジ・AVALONステージを提供。脱原発・自然エネルギーシフトを訴える映画『ミツバチの羽音と地球の回転』の鎌仲ひとみ監督をトークゲストに招くなど、反核・脱原発に賛同したイベントを企画するなど、原発問題と真摯に向き合う姿勢をみせてきた。制服向上委員会が出演できなくなってしまったというステージには、反原発ソングで話題を呼んだ斉藤和義も参加が決定しているなど、制服向上委員会側の言い分にはあまりに矛盾点が多く、真偽を疑う声がネット上で広がっていた。

 フジロックフェスティバルは、音楽を愛するたくさんのファンに支えられ、成り立ってきた人気野外イベント。「スポンサーによる圧力は、本当にあったのか?」事実関係に関する核心にふれず、お茶を濁すような謝罪文に、フジロックのファンからは怒りの声が上がっている。

 なにやら引用が長くなってしまいましたが、要するに制服向上委員会(以下、制向委)なるアイドルグループが「脱原発の歌はダメだとスポンサーの圧力で出演が取りやめになった」と自称したわけです。山本太郎の二番煎じみたいな胡散臭さを感じるところですが、引用元でも触れられているように原発事故以前から脱原発色が強い催しであり、反原発を叫ぶ人の出演も決定しているなど、歌詞が脱原発だからという理由で出演を阻まれる可能性は非常に考えにくく、当初から疑いの目を向ける人も少なからずいたようです。そして約48時間後には、どうにも茶を濁すかのような「謝罪文」が掲載されることとなりました。

参考、制服向上委員会の「フジロック狂言」始末 - 絵文録ことのは

 制向委の主張の疑わしさに関しては上記リンク先が詳しく当ブログで新たに付け加えることは多くありませんので、ここではなぜ制向委が今回のような狂言に走ったかを考えてみたいと思います。一つには、飛躍的にメディアへの登場機会を増やした山本太郎の「成功」を目の当たりにしてのことなのかも知れません。反原発は票になると多くの政党や政治家が判断し、現役の首相も脱原発を口にする時代でもあります、反原発を掲げる芸能人が続々と現れる中、アイドルとしてファン層を広げるにはこの流行に乗り遅れるわけにはいかない、そう事務所サイドが判断したとしても不思議に思うところは何もないでしょう。ただ人気商売の人々が挙って脱原発を語る中で、単に脱原発を歌詞に織り込むだけでは埋没してしまうわけです。脱原発が理由で干されたみたいな、並み居るライバルに差を付けるための+αとなるべきエピソードも必要だというのが事務所側の思惑であったろうと推測されます。

 ただマネージャーと思い込みの激しい芸人1人の間であれば秘密の企ても露見することはないのかも知れませんが、九州電力よろしく規模が大きくなるほど、どこかしら話は外に漏れていくものです。それなりに入れ替わりもある制向委のメンバーや事務所の下っ端の口を完全に塞いでおくのは難しいでしょう。真相を闇の中に放り込んでおける自信がなくなった途端に、どこぞやの週刊誌にすっぱ抜かれるのに先んじて「謝罪文」を掲載して事態の収束を計ったというのが実態なのではないかという気がします。ともあれ何かに迫害されたとアピールすることで逆に支持を集めようとする手法は、まぁカルトそのままですね。学会からは相手にされない市民団体や助教の類が、権威筋に認められないことを逆手にとって「我こそは真実なり」とでも言わんばかりの振る舞いを続けていますけれど、そういう売り込みにこそ注意が必要でしょう。

 アメリカのロックスター、マリリン・マンソンは聖書を破り捨ててみせるなどのパフォーマンスでも知られていますが、それが価値を持つのはアメリカが先進国中では異例のキリスト教原理主義が闊歩する国でもあるからです。その国、その時代に優勢であるものに対して挑戦的に振る舞うからこそパフォーマンスとして評価に値するわけで、例えばイランでコーランを破り捨てるのと9.11直後のアメリカ国内でコーランを破り捨てるのとでは全く意味が違います。ですから原発事故以前に脱原発ソングというのなら理解できないところもないのですが、今となってはどれほどのものでしょうか。脱原発と現役の首相や人気抜群の某府知事、芸能界の大先輩達の語ることに追従したところで、せいぜい「いいこぶりっこ」の域を出ないとすら言えます。

 せっかくですから節電ムードで明かりの消えた街を唄ってみるとか、いつも健常者目線で語られる「過剰な明るさ」や「今までが便利すぎたのだ」云々を障害者目線で唄ってみるとかすれば、今どき奇特な骨のあるアーティストと評価したいところですが、人気商売の人たちに期待するのはなかなか難しそうです。せめて流行を追いかけるにしても、金メダルを噛み砕いてみせるとかすればロック魂の一つもアピールできそうなものなのですけれど、それをやらないからこそのアイドルなのでしょうね。まぁ、今回の件は早くに露見して良かったと思います。とかくアメリカなり官僚なり、あるいは日教組だったり電力会社だったり、何かが裏で支配しているとばかりの陰謀論的世界観が幅を利かせ、原発事故後にはすっかり批判精神が鈍磨したかに見える我々の社会ですけれど、流石にこんな見え見えの狂言が信じられるようなことがなかったことは明るい材料と考えたいです。

 

 ←応援よろしくお願いします


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 本当に日本は経済成長を追っ... | トップ | 新聞は、みな同じではないよ... »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ノエルザブレイヴ)
2011-07-29 20:29:50
その一方で、右っぽい発言をツイッターにて連発して事務所と喧嘩をしてしまった俳優さんもいるようです。
まあ発言の内容とかは「今反原発を唱える」よりかはこの記事で触れられているところの「パフォーマンスとして評価に値する」領域に行っているのかな、ということは認めつつもしかし「評価に値するパフォーマンスである」「優勢なものに挑戦的にふるまう」ことすなわち意見として正しいかは別問題だとも思うのですよね。(この俳優さんがハリウッド映画やフランス映画が流行った時果たして同じ反応をするのかどうか、と考えると「うーん…」となっちゃいますし)
まあしかしこれで「ある種の人々」からの評価はばばんと上がるでしょうし(何故かは分かりませんが近くの外国の文物に対し「流行ったら負け」みたいな発想を抱いている人も多いのではないかと個人的には思っています)、ある方面からの仕事が増える気(「タモさんとの共演」とか)もしますけども…。でも「正論」からの原稿斡旋は来ないだろうなあ…。
返信する
Unknown (非国民通信管理人)
2011-07-29 23:18:37
>ノエルザブレイヴさん

 高岡某の発言も失笑するほかありませんが、多数派に背を向けるという点では反原発発言なんかよりは骨があると言えるのかも知れませんね。まぁ、陰謀論系のジャーナリストがそうであるように、世間では顰蹙を買っても熱心なファンを囲い込むことで成功するタイプも少なからずいるように思います。高岡某の場合はどうなるでしょうか……
返信する
Unknown (ノエルザブレイヴ)
2011-08-07 23:52:17
これに関連してデモをした人がいたらしいですが…まあ暇ですねとしか言いようが無いですね。
それにしても、こういう人たちは外国のドラマが多いのがいやなのでしょうか、それとも韓国のドラマが多いのがいやなのでしょうか。それらは同じようでいて全然違う気がします。
返信する
Unknown (非国民通信管理人)
2011-08-08 23:29:45
>ノエルザブレイヴさん

 まぁ、何かしら「敵」を見つけずにはいられない人たちなのでしょう。もっとも原発という「共通敵」の登場によって、この頃は排外主義的な言動が以前ほど共感を勝ち得ることがなくなっている気もします。それは喜んで良いのかわかりませんが。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

ニュース」カテゴリの最新記事