非国民通信

ノーモア・コイズミ

似たような制度でも、陣営が違えば扱いも違う

2024-07-21 21:20:04 | 政治・国際

西側がそれでグルジアを批判した「外国の代理人」法案をカナダが可決(スプートニク)

カナダは、米国の外国代理人登録法(FARA)よりも厳格な法案をわずか1か月半で可決した。これにロシア外務省のザハロワ報道官が注目し、トルドー政権の指示で急いで提出された文書に一部の議員が目を通していなかったのを認めたことに言及した。ザハロワ氏は、これほど重要な法制度の改正としては前例のない速さだと指摘した。

法案には以下の提案が含まれている:
・外国代理人登録リストの作成
・大使館職員の制限
・外国の影響を管理する機構の設置

 

 この法案については当然のことながら公にされているのですが(参考)、日本語で読めるメディアで報じているのはロシアのスプートニクと、法輪功の大紀元ぐらいしか見つけられませんでした(参考)。まぁ大紀元は中国におけるウイグル弾圧の情報源として西側諸国では大いに信頼されている、ということは伝えておくべきでしょうか。

 本年の5月には州じゃない方のジョージアにて、同様の外国代理人登録に関する法律が可決されました。これは日本国内の大手メディアでも頻繁に報道され「ロシアの法律」「民主主義の後退」などとレッテルを貼られてきたわけです。事実関係としてはザハロワ報道官も正しく指摘するとおり、アメリカには先駆者として既に同様の法律があります(参考)。アメリカの州にあやかって国名を改称するような国がアメリカの法律を模倣しただけなのに、西側諸国のメディアは挙って事実をねじ曲げて報道してきた、この偏向ぶりは強く意識されるべきでしょう

 

政府が「メタ情報」を平時監視へ 能動的サイバー防御巡り検討(共同通信)

 政府はサイバー攻撃に先手を打って被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」を巡り、インターネットの住所に当たるIPアドレスや通信量の変化などの付随的な「メタ情報」について、政府機関による監視を平時から可能とする方向で検討に入った。プライバシーに配慮し、メールの件名や本文のようなデータ本体は原則、収集の対象外とする。複数の政府関係者が14日明らかにした。

 

 この辺も一応は報道されているわけですが、あまり話題にはなっていないように思われます。曰く国内のデータ通信を政府機関によって監視する、データ本体は「原則」収集の対象外とするとのこと、「原則」とは具体的に何を例外とするのでしょうかね? よく西側諸国が中国やロシアの企業との取引を抑制する口実として、データが相手国の政府に渡される云々と吹聴されていますけれど、では日本やアメリカ、イスラエルなどの同志国であれば違うのか、という疑問は尽きません。少なくとも上記の検討事項が通れば、日本政府によって通信の秘密が侵されることになる、日本国内でのビジネスは中国やロシアにおけるものと同様にリスクがあると言えます。

 結局のところ、どこの国も根本的な制度は似たようなものです。アメリカにもロシアにも、州じゃない方のジョージアにもカナダにも外国の代理人を監視する制度はありますし、中国にも日本にも民間の活動情報を政府が監視・収集する取り組みはある、制度面ではどこの国も大差ないと言うことができます。違うのは制度ではなく「陣営」に過ぎない、アメリカの傘下にある国を信頼できると見なし、アメリカの意向に従わない国を危険と見なしている、ただそれだけのことです。

 

・・・・・

 

 先般はトランプ大統領候補が演説中に銃撃される事件が起きました。そしてお決まりの「テロは許されない」「民主主義への脅威」等といった非難が国内報道にも並んだわけです。しかし2014年に武装勢力が議会を包囲して大統領を追放したウクライナを巡っての言説はどうだったでしょうか? 結果として親米政権が樹立された場合、その暴力革命は「マイダン革命」や「アラブの春」などと呼ばれ西側諸国から賞賛されてきました。一方でアメリカの意向に沿わない政権が樹立された場合はクーデターとして非難される等々、結局は武力による現状変更もまた「陣営」次第で賛否が分かれると言えます。

 暴力革命と聞くと一概に否定する人が圧倒的多数を占めているはずですが、しかし現実にウクライナで暴力革命が発生した際にこれを非難した人は極めて稀でした。結局のところ、制度や行為そのものは問題ではない、単純にアメリカ側に属しているかどうかで評価している、そんな人々が西側諸国で主流派を構成しています。日本は専ら差別する側に立っているからこそ、この歪さには全く気づかないのが現状かも知れません。しかし差別される側、不公正に取り扱われてきた側にとって驕れるアメリカとその衛星国の言動は白々しいものにしか映っていないことでしょう。

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