非国民通信

ノーモア・コイズミ

むしろ産経新聞の見立て通りであって欲しい

2009-11-10 22:57:30 | ニュース

衆院予算委 鳩山内閣、不一致露呈 左派色あぶり出され(産経新聞)

■国旗国歌や夫婦別姓…自民の作戦奏功

 鳩山由紀夫首相は5日の衆院予算委員会で、閣僚間の足並みの乱れを覆い隠そうとして慎重な答弁に終始した。だが、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相らが持論を展開して、かえって閣内の意見の隔たりが目立つ結果となった。自民党が閣内不一致を印象づけるために、国旗国歌や外国人参政権、選択的夫婦別姓などのテーマを集中的に突いた「左派色」あぶり出し作戦が奏功した形だ。

 「宇宙ができて137億年、地球ができて46億年がたっている。地球はすべての生命体、ある意味では生命がないものに対しても存在している。どの国でも外国人が生活しているが、多くの意見があるのも事実。議論を煮詰めたい」

 保守派の論客である自民党の稲田朋美氏が外国人への地方参政権付与についてただしたところ、首相は「前向きに考えている」と述べる一方、宇宙人的な答弁であいまいにかわした。

 国政参政権についても鳩山首相は過去に容認していた事実を認めつつも、慎重な言い回しに終始した。

 まぁ産経新聞らしさの凝縮された、実にクォリティの高い記事です。中断の括弧書きの発言は、国会答弁の中でなされたものなのか、それとも全く別の場所でなされた発言を無理に引っ張ってきたのか等々、色々と疑わしいところが盛りだくさん、ツッコミどころに事欠かない、知的刺激に溢れた記事と言えましょう。そして民主党が左派と呼ばれるのも稲田朋美が保守と呼ばれるのも臍が茶を沸かすレベルの話でもありますが、鳩山内閣の閣内不一致という以前に産経新聞社内の不一致の方が目立つような気がしないでもありません。例えばほら、

改正教育基本法 国旗・国歌指導継承へ 首相「尊重は当然」(産経新聞)

 鳩山由紀夫首相は5日の衆院予算委員会で、改正教育基本法や学習指導要領に基づく学校現場での国旗掲揚、国歌斉唱の指導については、自民党政権下での従来の政府方針を当面継承する考えを示した。

 さらに、外国人への地方参政権付与や夫婦別姓については議論の深まりを待つ姿勢を強調し、今すぐ導入を進めることに慎重な考えを示した。

 首相は答弁の中で、安倍晋三内閣時代に成立した郷土・国への愛情の育成といった「愛国心条項」を盛り込んだ改正教育基本法について「尊重するのは当然のことだ。一気に変えていくと考えているわけではない」と述べた。

 ただ、「見直すべきものがあれば見直したい」とも言い添えて、将来的な見直しには含みを残した。

 また、「日の丸、君が代は大変大事なものだ。強制的という話ではないが、必要なときに日の丸掲揚、君が代斉唱を指導する」と述べた。

 外国人の地方参政権付与については「前向きに考えたい」としながらも、「強引に押し通そうとは思っていない」として政党間協議に委ねる考えを示した。

 別々の姓のまま婚姻関係を持てる「選択的夫婦別姓制度」には「家族のきずなが薄められてしまうという指摘もある。国民的議論を深めるのが大事だし、無理やり押し通すのはいかがなものか」と語った。

 同じ産経新聞であり、同じ国会論議を取材したもののはずですが、その描き方があまりに違うことに驚かされます。こちらの方が「普通」の新聞らしい記事ですね。冒頭のアレは……どこぞやの3流ブロガーの作文でも誤って掲載してしまったのでしょう。「正論」などの同人誌販売に熱心な産経新聞社らしいミスです。

 さて産経新聞の与太に付き合うのはここまでで、本題である鳩山発言の方を見てみましょう。何でも安倍内閣の置き土産たる改正教育基本法を指して「尊重するのは当然のことだ」とか。ふ~む、同じ自民党政権の置き土産でもダム建設などの公共事業に関しては尊重する素振りなど微塵も見せず、「一気に変えていく」「強引に押し通そう」とする姿勢の鳩山内閣ですが、改正教育基本法に関しては随分と穏健な態度なんですね。古い自民党には否定的でも、小泉以降の自民党に否定的とは言い難い民主党の本領が如実に表れているような気がします。

 外国人地方参政権に関しては「強引に押し通そうとは思っていない」、選択的夫婦別姓制度にも「無理やり押し通すのはいかがなものか」と語ったそうです。まぁ、合意形成も重要、国民的議論を深めることも大切なのでしょうけれど、何とも煮え切らない態度です。公共事業の廃止や官僚(公務員)叩きのような大多数の支持を得られるであろう政策は強引に進め、賛否が分かれているものに関しては反対論を口実に逃げを打っているような印象を受けないでもありません。

 筋金入りの民主党信者に言わせるとマニフェストにさえ載っていれば大丈夫みたいですが、この鳩山首相の姿勢を鑑みるだけでも、先行きの不透明さを感じさせてくれます。焦らず着実に議論を進め、理解を広めていくのも大いに結構なのですけれど、反対派を説得していくつもりなのか、それとも風任せで有意な方に付くつもりなのか、この日の鳩山答弁からうかがい知ることは困難です。むしろ「選択的夫婦別姓制度」を巡って「家族のきずなが薄められてしまう~」などと言い出すのは、いざとなったら反対派に転ぶための保険をかけているよう見えませんか? 産経新聞の作文に書かれているように、これが「足並みの乱れを覆い隠そうと」した結果であれば、まだ希望は持てるのですが。

 

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9 コメント

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Unknown (非国民通信管理人)
2009-11-12 23:12:40
>ヒイロさん

 自民党政治家が妄言を吐いた時の自民党支持層の言葉とそっくりですね。つまり彼らは自民党政治家の発言自体は何も悪いとは思っていない、ただ敵対勢力に批判材料を与えた、その迂闊さを非難するわけですが、ヒイロさんの見立ては「自民党」と「民主党」を入れ替えただけで考え方は全く同じだと思います。特に問題のあることをしたわけではない、ただ「叩きたいだけの連中に餌を」と問題を矮小化する辺りは特に。ヒイロさんはたまたま民主党側から物事を考えているようですが、考え方は自民党支持層のそれと変わらない、そういう部分にこそ自民党と民主党の同質性を感じます。
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かつて指摘したことを思い出して (ヒイロ)
2009-11-11 23:51:55
以前、別のことで民主党の「軽さ」を指摘したことがありましたが、相変わらずという思いです。

かつての言動との整合性をどうするのかについて言及がされないと叩きたいだけの連中に餌をやるだけなんですけど。

マニフェストだって全てを急ぐ必要はないでしょう。限定的に実施してみるとか、どうしても出来ないことなら頭を下げても良いのではと思います。
こう思うために、「頭が良くてもプライドを捨てられな人々の集まりなのか」と民主党に対して思う面があります。

教育基本法は、過去のことがあるので見直して欲しいのですが、外国人参政権は後回しでもいいと思います。後者は、精査するべきことが多すぎる印象がありますので。

小沢一郎がキリスト教を批判したと言うことで身内のネトウヨが「あいつのせいでテロの標的にされる」ということを嬉々として話していました。
新聞を含めたマスコミに文句を言うくせに叩けるネタがあると省略されていることとか理由を考えずに言うから頭が痛いです。
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Unknown (非国民通信管理人)
2009-11-11 23:33:07
>やすさん

 大義名分としては立派な「国民的議論」ですが、実際は自説を正当化するために都合よく使われてばかりですからね。一度はマニフェストに書いたことであっても、「国民的議論」を言い訳にして撤回や無期限先送りにされたとしても不思議ではありません。
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Unknown (やす)
2009-11-11 22:39:10
もうちょっと切実さを感じてほしいですね
教育基本法にしても夫婦別姓にしても
何から書こうとしていいかわからなくなったしまいましたよ

>国民的議論を深めるのが大事だし、無理やり押し通すのはいかがなものか」と語った。

その国民的議論の実態とは何なのかよく考えてほしいですね・・・
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Unknown (非国民通信管理人)
2009-11-11 22:19:40
>観潮楼さん

 民主党支持層が否定してきたものを実践しているのが民主党ですからね。初めから期待する先を間違っていたと言えばそれまでですが、その支持によって力(議席)を得た民主党が何をしようとしているかを考えれば、かつての小泉旋風に票を投じた人々と同様の過ちを犯したと言っても過言ではないかも知れません。

>Bill McCrearyさん

 野党時代は反対していたのに与党になったら容認へ等々、色々と背信が目立ちますよね。前兆はありましたけれど。そして一部の極右層(声ばかりは大きいですが、選挙結果を見れば彼らの無力ぶりの明らかな)を喜ばせただけの教育基本法改悪なのに、このまま民主党政権の元で定着してしまうのでしょうか……

>源内山人さん

 最近の自民党首相は自身のイデオロギーに固執して、一部の熱烈な支持層以外からはそっぽを向かれる傾向にありましたが、橋下や河村、そして民主党などの民意に敏感なタイプは何かとやっかいですね。有権者の声に耳を傾けると言えば聞こえは良いですが、実際は民意を後ろ盾にした強権政治ですから。
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『にせユダヤ人と日本人』(浅見定雄・朝日文庫)で似たような構造を指摘していました。 (貝枝五郎)
2009-11-11 11:51:13
>外国人地方参政権に関しては「強引に押し通そうとは思っていない」、選択的夫婦別姓制度にも「無理やり押し通すのはいかがなものか」と語ったそうです。

『にせユダヤ人と日本人』(浅見定雄・朝日文庫)の「第四信 『日本人の人生観』と元号」(221~238ページ)において、弱者がもとめる制度に対しては消極的でありながら強者がおしつける制度に対しては積極的な山本七平(便打算)氏が尺貫法の保護はおしつけで元号はおしつけでないかの様な欺瞞的なものいいをした点を分析していますが、それと似ている様に感じます、便打算さんほど露骨ではないにしても。教育基本法の「改正」は「強引に押し通」したのではなかったのか?沖縄に米軍が集中している状態は「無理やり押し通」しっぱなしではないのか?それらを「押し通」しではないと感じるのなら、なぜ外国人地方参政権や選択的夫婦別姓制度に対しては「押し通」すなどという激越な表現をつかうのか?強者にこびて弱者をみくだすためには自己矛盾も辞さないという心性以外の、何らかの統一された基準にもとづいて「押し通」すということばをつかっているのか?価値観のいかんをとわず、論理整合性は自己矛盾におちいらないための最低限の境界線ではないのか?
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Unknown (源内山人)
2009-11-11 10:33:09
>>公共事業の廃止や官僚(公務員)叩きのような大多数の支持を得られるであろう政策は強引に進め、賛否が分かれているものに関しては反対論を口実に逃げを打っているような印象を受けないでもありません。

ポピュリズムやっているわけですからそんなものでしょう。
賛否が分かれている案件に対して一方的な態度を取ってしまうと、今後の「民意」の風向きによっては支持を失う可能性がありますからね。結局、大衆の支持さえ得られれば左派でも右派(保守)でもどちらでも良いのです。政局に勝てさえすれば、良心も捨て悪魔にさえ魂を売り神をも殺すでしょう。今の宇宙人首相に「矜持」なんて無いと思っています。小泉以上に最悪な感じがします。
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>尊重するのは当然のことだ (Bill McCreary)
2009-11-11 04:00:36
あれ、民主党って確か、少なくとも自民党案の教育基本法には反対の立場だったのでは。

初めから分かっていたといえばそれまでですが、教育基本法改悪って、それをゴリ押しした自民党にも何らプラスはなかったし、けっきょく日本が誇ったといっていい法律がお馬鹿になっただけのほんとお粗末な話だったと思います。
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さもありなん (観潮楼)
2009-11-11 00:15:51
PHPなんて説教臭い機関をかかえる松下出身者が牛耳るくらいだから
あり得る判断でしょうが。
あ、松下政経塾上がりなんて奴等もいたっけw
官房長官の読谷事故でのヒラメ体質が何よりの証拠。
民主党真理教の諸兄はそう遠くないうちに国賊と罵られる覚悟をしといた方がいいかと。
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