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心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

万博会場で演奏したアリス=紗良・オットさん

2025-06-23 20:33:47 | Weblog

 今朝、お散歩から帰ってひと息ついていると、急に雲行きがおかしくなって、あっと言う間に強い風雨が吹き荒れました。それでも外界の変化にはお構いなく、ぼんやりYouTubeを眺めていたら、ドイツ人の父と日本人の母を持ちドイツで生まれ育ったピアニストのアリス=紗良・オットさんが、大阪・関西万博会場で20日、ベートーヴェンの月光ソナタを演奏したという動画「ドイツのナショナルデーでピアノ演奏」(時事通信トレンドニュース)に目がとまりました。
 アリス=紗良・オットさんについては、このブログで2月21日付記事「アリス=紗良・オットのニューアルバム」、3月20日付記事「二人の若いピアニストに「元気」をいただく」で触れていますが、今週末にはオットさんのピアノ・リサイタルがあるのでした。

 このところ、ロシアのウクライナ侵略戦争、アメリカンファーストを旗印に登場したトランプ大統領、イスラエルとイランの争いとアメリカの加担などきな臭い出来事が多く、国内外を問わず様々なところで社会に綻びが生じ始めているような気がしていますが、演奏に先立って挨拶したオットさんのお話しには印象深いものがありました。
 オットさんのお話しはYouTubeでご覧いただけますが、概ね以下のとおりです。

●私は自分の居場所を国籍の中にではなく、音楽の中に見出してきた。言語や背景、国境を超えて、人と人をつなぐ空間の中に。

●私の国では選挙で意思を示すことができる。声をあげる自由があり、私たちは社会としてもっと良くなれるのではないかという懸念を言葉にすることも認められている。しかし、この自由は全ての人に与えられているものではない。

●民主主義が法の上では保障されていても、実質的に機能していない国が増えつつある。恐怖、不覚な情報やポピュリズムによって人権は無視され、対話はただのノイズに置き換えられていっている。こうした時代において、いのち輝く未来社会のデザインという、この万博のテーマは私にとって未来への願望というよりも、今この瞬間への問いかけである。

●私たちは今日どんな選択を積み重ね、何を強化しているのか。どんな構造を支え、どんな情報を信じるのか。そして社会的構造的な差別を受けている人々の現実をきちんと見つめ、そこにある問題や仕組みを問い直し、そこから学ぶことができるのか。
●このあと演奏するベートーベンの「月光ソナタ」。ベートーベンはかつて自由、平等、人と人のつながりを夢見ていた。それは当時の、そして今も決して当然なことではない。空虚な約束のままではいけない。私たち 一人一人が日々の選択の中で果たしていくべき責任だと思う。

 次代を担う若いピアニストから、こんな根源的なお話しを聞くとは思いもしませんでした。血気盛んだった若い頃の私は、いったいどこに行ってしまったのか?後期高齢者入りを目前に控えて、残された人生をさも終わったかのように安寧をむさぼる日々を過ごしてはいないか。では、いま、私に何ができるのか。アリス=紗良・オットさんの言葉を、しばらく熟成してみたいと思います。

◇  ◇  ◇

 ここで、話しはがらりと変わります。
 昨日、世界の三大花木のひとつジャカランダの花を求めて、天王寺の一心寺に行ってきました。境内の道路沿いに数本のジャカランダの樹が聳えていて、その枝先に青紫色の美しい花が咲いています。大阪では長居公園にも数本ありますし、宮崎や熱海あたりの温暖な地域でも見ることができるようです。
 昨年バルセロナに行ったときには、街のいたる所にジャカランダが咲いていました。 知人の話しではオーストラリア西海岸のグラフトンというところでは街中が青紫に染まるほどだとか。 
 我が家の庭には、5本のジャカランダの苗木が植わっています。数年前に一心寺の境内で拾った種を育てたものです。いえば、一心寺の子たちが我が家で育ちつつあるということですが、花が咲くまでにはもうしばらく年数がかかりそうです。
 いずれにしても、次回大阪関西万博に出かけるときは、イベント等をもう少し詳しく調べて行く必要がありそうです。とりあえず今週末には、兵庫県芸術文化センターで、アリス=紗良・オットさんのピアノ・リサイタルを楽しんできます。

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心の風景は「はてなブログ」に引っ越しました。

https://ran-coffeebreak.hatenablog.com/

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (わくわくかあさん)
2025-06-26 14:25:55
こんにちは~

 次代を担う若いピアニストから、こんな根源的なお話しを聞くとは思いもしませんでした。

 本当に胸を打たれました。
 そのあとユーチューブのピアノを聴かせてもらいました。
 音はキレイに聴こえませんでしたが、力強いタッチに彼女の思いの一端を知った気がしました。

 優雅とかやさしさとかではなく、むしろ見えぬ、あるいは見えている不条理に対する怒り、抵抗なのでしょうか・・・・

 私自身受け止めることが難しい年齢になったのかもしれません・・・・

 コンサートにお出かけとか、ユーチューブでない素晴らしいであろう音楽を楽しんできてくださいませ。

 ジャカランダの花、
 たくさん咲いてて綺麗ですね~
 昨年今頃でしたか宮崎健の石廊崎近くの公園へ立ち寄りジャカランダの花を見たこと思い出します。
 熊本からずいぶんと遠かったですが、行ったこと良い思い出となりました。

 実は種おちてないかなあ~
 なんて見てみましたが、残念!でした(笑)
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時代に対するある種の警鐘? (ran_coffeebreak)
2025-06-26 20:57:09
わくわくかあさん コメントをありがとうございます。

アリス=紗良・オットさんの挨拶、わくわくかあさんもそうお思いになりましたか。平和ボケした私には、時代に対するある種の警鐘のように聞こえました。今度の土曜日はリサイタルを楽しんできます(笑)。

ジャカランダのこと。そう言えば昨年、宮崎で買おうかどうしようか悩まれたようなことをおっしゃっていましたね。中南米生まれですから、温暖化の時代とは言え、大山で育てるのは少し無理かも。

先日、一心寺に行った際、何人かの方々が樹の下で種が落ちていないか探していらっしゃいました。我が家で育てている一心寺生まれのジャカランダは、何年か先になんとか花を咲かせてくれればと思っていますが、さあてどうなることやら。
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