心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

歩いた頃を思い出した四国遍路バスツアー

2023-03-22 23:06:20 | 四国遍路

 きょうは、シニアの仲間たちと京都にでかけました。地下鉄東西線東山駅で集合し、まずは藤井斉生会有鄰館第一館に向かいました。1926年に武田吾一が設計した東洋美術のコレクションで知られる美術館です。ついで同じく1909年に武田吾一が設計した京都府立図書館(ファサード保存)を見学。その後、京都会館(ロームシアター京都)界隈にある京料理「六盛」で「手をけ弁当」のランチをいただきました。食後は、京都市美術館(京セラ美術館)で、学芸員の方から同美術館の建物に関するレクチャーを受けたあと、館内の見学、そしてコレクションルームを見て回りました。
 昨日とはうって変わってお天気もよく気温がぐんぐん上昇。白川沿いの桜も朝は二分咲きだったのに帰る頃には四分咲きになっていました。週末には満開となるのでしょうか。お天気が少し心配ですが..........。

 さて、今日のテーマは、先週土曜日に行ってきた四国遍路ツアーです。今回は12番札所の焼山寺、13番の大日寺、14番の常楽寺、15番の国分寺と廻りました。前回、歩いて廻った記憶が蘇ってきます。
 「遍路ころがし」といわれる焼山寺に歩いて向かったときは、6時間余りをかけてふた山を越え杉林の中を歩き通すという初心者にとっては辛いものでした。急な上り道あり下り道あり。目の前に一本杉庵が見え大きな弘法大師像が現れた時は、「同行二人」という言葉を全身で感じたものでした。
 それが今回は、大型バスで麓に着くとジャンボタクシーに乗り換え、山頂の駐車場に向かいます。雨は上がっていましたが標高830メートルの山頂ですから、境内まで400メートルほどの参道には靄が覆っていて、なにやら神秘的、身の引き締まる思いがしました。
 いくつもの灯篭が続く一画に、岩の上から様子を伺うお猿さん(石造)が私を待っていてくれました。1回目のお参り、2回目のお参り、そして3回目の今回も、私を迎えてくれました。「えっ?きょうは楽をしてバスでやってきたの?」「まあ、会えたから嬉しいけどね」と言っているように思えました(笑)。
 県道を挟んで向かいに一宮神社がある大日寺、こちらも神仏分離の歴史があります。天然の岩盤の上に立つ常楽寺は、境内のアララギの木の股に大師像が鎮座していることで知られていますが、このお寺は児童養護施設を併設していることを前回の歩き遍路のときに知りました。
 そこから少し歩いた所にある国分寺は、以前お参りしたときは境内が工事中でしたが、それも終わり立派な伽藍になっていました。その昔、全国各地に建立された官立の寺院で、当時はずいぶん広大な寺院だったようですが、今は田畑と民家に囲まれたお寺です。
 今回のツアーのお供に文庫本(眠れないほどおもしろい「密教」の謎)を持って行く予定でしたが、実は出発の前日に発売になった白川密成著「マイ遍路~札所住職が歩いた四国八十八カ所」(新潮文庫)を連れて行きました。密成さんと言えば、第57番札所「栄福寺」の住職で、私も日頃Twitterで投稿を拝見している「お坊さん」です。区切り歩き遍路をされたことを綴っていらっしゃっていて、読み始めてみると歩いているときの苦労、楽しさ、思いに共通するものが多々あり、すごく共感を覚えました。道々の風景と人との出会い、.....もう一度歩いてみたい気持ちにさせます。
 こうして1週間を振り返ってみると、このところ四国八十八カ所のことが私の中に充満しています。夜な夜な本を開きながら、私の心の中の終活が始まり出している感があります。「なんのために歩くのか」ではなく、ただただ歩く。ただただ歩いたなかで、過去の柵を捨て去り残された人生に新しい生き仕方を気づかせてくれた。そんな気がしています。

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