心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

由良弥生著「眠れないほど面白い空海の生涯」

2023-03-01 15:00:45 | Weblog

 きょうから3月。一気に春めいてきました。先週に続いて今週も花壇の土いじりが日課です。冬の寒さに耐えられず枯れてしまったかと思っていたクレマチスの枝先には、大きく膨らんだ葉芽が顔を覗かせています。今日はお天気が良いので、近くのホームセンターに自転車でひとっ走り。培養土を買ってきて鉢植えの草花に春の準備をしました。
 さて今週は、シニア仲間と藤井寺の道明寺に梅の花を見に行きました。ふだん近鉄に乗る機会がないので何となく遠出をした気分でしたが、このあたりは古市古墳群にも近く訪ねたい所は山ほどあります。この日は道明寺天満宮とお隣の道明寺を巡り、あとはランチ会(その後呑み会)で楽しいひとときを過ごしました。
 前回投稿した徳島・切幡寺の記事で、明治政府の神仏分離令のことに触れましたが、ここ道明寺も同じ運命にありました。7世紀代に建立された、古墳造営に携わった土師氏の子孫菅原道真公ゆかりの寺で、明治に入って八幡宮と寺が分離され今日に至っています。ご本尊は十一面観音菩薩像でした。
 ところで、以前から7、8世紀頃の仏教の成り立ちに何となく関心を持っていました。なかでも、(弘法大師ではなく)哲学者「空海」の人となりが気になっていたところ、先日、天満橋のジュンク堂書店で、由良弥生著「眠れないほど面白い空海の生涯」(三笠書房)に出会いました。450ページにも及ぶ分厚い文庫本です。由良弥生さんってどんな人?。ネットで調べてみると、政治経済学部を卒業後、出版社勤務を経て編集事務所設立。さまざまな図書の企画・編集及び執筆を手がける、とあります。へぇ、宗教者でも研究者でもない方がこんな本を書くんだ。
 空海については、これまでもいろんな本を眺めてきましたが、専門的な仏教用語が多くて取っつき難く、理解も中途半端。ところがこの文庫本は、難解な古代の歴史を分かりやすく綴っていて、時代の大きな流れのなかで空海を見つめることができます。空海の時代の天皇と藤原一族の系統図も添えてあり縦横の理解が深まります。難しい漢字には随所にフリガナが付けられていて、私のような初学者にはうってつけの文庫本です。ついつい「眠れなく」なってしまいました。
 昨夜、第4部「出家宣言後の日々/大日経の世界」まで読み進んで、はたと思いました。明治から昭和初期にかけて活躍した世界的な博物学者・生物学者・民俗学者として知られる南方熊楠が、真言宗の高僧・土宜法竜と交わした書簡の中で著した科学方法論「南方曼荼羅」のことです。素人には非常に分かりにくいのですが、そこには大日如来の世界観があると言われています。回りまわって南方熊楠に舞い戻ってきました。読書の楽しみには、こんな出会いもあるんですね。
 さてさて、こんな暢気な暮らしをしていますが、今週後半からNPOの仕事が来期に備えて繁忙期を迎えます。ところが、それが少し落ち着いた3月半ば、なんと横浜の次男君が特別休暇を消化するために孫娘を連れて急に帰ってくるのだと。さあてどうしよう。思いついたのが白浜のアドベンチャーワールドでした。3歳の孫を連れて急遽1泊2日の旅行を企画しました。その週末には3回目の四国遍路ツアーが待っています。シニアもなかなか忙しい年度末になりそうです。

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