春の風景を楽しみながら朝のお散歩をしていたとき、ふと四国八十八カ所を歩いていた頃のことを思い出しました。1200キロに及んだ歩き遍路を歩き終えたのは、ちょうど1年前の3月31日のこと。あれから1年が経ちます。道中、宿を共にした80代のお爺さんは十数回も歩いたとおっしゃっていましたが、私には全行程をもう一度歩いてみる自信はありません。 ところで先日、第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した映画「ドライブ・マイ・カー」をもう一度見ました。初めて見たときは、村上春樹の原作「ドライブ・マイ・カー」がどう映画化されているのかに関心がありましたが、2回目は「映画」としての「ドライブ・マイ・カー」を楽しみました。
その映画で演劇祭のスタッフを演じた韓国人俳優の秦大然さんのことが、先月末の読売新聞に載っていました。秦さん、実は4年前に四国八十八カ所を歩いた経歴の持ち主でした。映画スターとしての夢が適わないなかで、50日をかけて結願したのだとか。その間、いろんな人との出会い、接待を受けた秦さんですが、その独特な味わいが映画を引き立てています。 さてさて、私はと言えば今週もゆったりまったりの日々を過ごしました。毎朝、庭を眺めるのが楽しみで、いつも新しい発見があります。いつの間にかチューリップが咲き、フリージアも花芽が出てきました。バラの花芽が日に日に大きくなり、シャクヤクの花茎もいつの間にか30センチほどに伸びています。
ずいぶん楽しませてくれたクリスマスローズは、花茎を剪定し御礼肥を施し来期に備えます。剪定した花は花瓶に活けてしばし楽しむことにしました。 そんなある日、この春小学3年生になる孫次男君が、リュックを背負ってひょっこりお泊りにやってきました。おばあちゃんの家でのんびり春休みを楽しんだようです。その孫君とバスに乗って1時間半ほどのところにある釣り堀に出かけました。半日頑張りましたが一匹も釣れなかったものの、春の陽を浴びて楽しいひと時を過ごしました。
春と言えば、古本祭りの季節です。今月29日から5月5日まで四天王寺さんで「春の大古本祭り」、5月1日から5日まで京都のみやこめっせで「春の古書大即売会」があります。連休に横浜の次男君が孫娘を連れて帰るといっているので、その合間を縫って、どちらかに出かけることにいたしましょう。
きょうは午後、我が街にオープンしたというブックオフを覗いてきました。大規模店舗ではないものの相応の広いスペースに本、CD、DVD、レコードなどが陳列されていました。で、今日連れて帰ったのは青菁社「文字の風景」でした。「文字は自然のメッセージ」とある帯が気に入りました。青菁社のこのシリーズ、「心の風景」「色の風景」「暦の風景」に次いで4冊目です。眠る前にぼんやりと眺めて過ごすのに最適です。 こうして春の訪れに浮かれる毎日ですが、心のどこかにウクライナの厳しい現実があります。善意の市民を虐殺しながら平然と「ロシアは何もしていない」「ウクライナが仕掛けたフェイクニュースだ」と断じる人間の恐ろしさ。イデオロギーの違いはあるとしても、彼らのめざす社会とはいったいなんなのか。きょうブックオフに行ったのは、そんなヒントを探すためでもありました。残念ながら見当たらず、帰宅後Amazon kindleで黒川佑次著「物語 ウクライナの歴史~ヨーロッパ最後の大国」(中公新書)を見つけました。長い歴史の流れの中で、何がどう間違ってしまったのかを考えてみたいと思っています。