心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

哀愁を帯びたヒグラシの鳴き声

2017-08-25 20:36:53 | Weblog

 暑い一日が終わり陽が西に傾きかける頃、カナカナカナと哀愁を帯びたヒグラシの鳴き声が聞こえてきました。こんな都会地にもヒグラシがやってくるんだと、縁側に腰かけ、しばし耳を傾けます........。お盆が過ぎ、楽しかった夏休みが終わりに近づいてくる頃の古き良き時代、幼い頃の田舎の風景が蘇ってきます。
                            (ウィキペディアから引用)
 何年か前に兄が亡くなり、実家の面倒を義姉がみるようになって、なんとなく足が遠のく田舎ですが、先日、義姉から残暑見舞いの葉書をいただきました。家を継ぐことの大変さにふれながら、最近少し体調を崩したこと、私の友人が急逝したこと......。そういえば、前に帰省したのはいつだったっけ....。というわけでこの秋に帰省することにしました。
 田舎にはもうひとつ心配事があります。出雲の姉のことです。昨秋、新米10キロを送ってくれたのですが、その半月後に同じ商品が送られてきました。何かの間違いではと電話すると、重複して送ってしまったと。初期の軽易な認知症の疑いがあるとの診断結果が出たのは、それからしばらく経ってからのことでした。昨夜、久しぶりに電話をすると、いつもの元気な声が返ってきます。ほんの少しだけ話が途切れることがないではありませんが、歳相応と思えばなんともない。でも、少し心配ですから、帰省の折、姉のお家にも寄ってくることにしました。
 さて、長い夏休みも終わり、再びカレッジに通い始めました。今週のテーマは「夏目漱石『坊っちゃん』精読~<沈黙>のメッセージ解読」でした。
 「坊っちゃん」を読んだのはずいぶん昔のことなので、校長の狸、教頭の赤シャツ、うらなり君、同僚の山嵐などの登場人物がかすかに浮かんでくる程度です。これでは昼休憩を挟んで4時間の授業は持たないだろうと、事前に再読して臨むことにしました。ところが、手許に本がありません。ネット上の「青空文庫」(無料)のお世話になりました。電子図書に不慣れな私ですが、意外とスムーズに読むことができました。
 準備万端で臨んだ講義は、「教師小説としての『坊っちゃん』」から始まりました。明治期の学校体系、坊っちゃんが卒業した東京物理学講習所(現東京理科大学)の、入学は無試験、卒業はその2~5%という厳しい教育方針、師範学校の文化史など、小説の時代背景について興味深いお話しをお聴きしました。さらに、「うらなり君の沈黙」の項では、旧家の長男、家長としての生き方。「もう一人の坊っちゃん」の項では、かつて下女だった清との関係性から、坊っちゃんのひととなりに迫ります。
 小説を寝転がって読むのと研究対象として読むのとではずいぶん違います。これを「深読み」っていうのでしょうね。先生は講義の初めに、「ルビンの壺」の写真をお示しになりました。心理学者エドガー・ルビンが考案したトリックアートです。大きな壺にも見えるけれども、向き合った2人の顔にも見える。多面的な読みの勧めでした。
 来週は漱石の「こころ」がテーマです。引き続き、青空文庫からダウンロードして再読することにいたします。
                             (ウィキペディアから引用)
 夏目漱石といえば、田舎の祖父の書斎にあった漱石全集を思い出します。いまでは古書店でしかお目にかかることができない初期の全集です。夏休みも半ばを過ぎ、それこそヒグラシが鳴く頃になると、宿題の読書感想文を書くために、半義務的に読み漁った記憶があります。その祖父も東京物理学校で学んだ明治の人でした。
 その翌日には、音楽講座にも出かけました。今回のテーマはなんと「日本におけるジャズの発祥と発展~レコードの調べにのせて」。興味津々です。ふだん断片的にしかジャズを聴いていない私としては、ジャズの歴史を総覧する意味で、楽しい2時間でした。
 解説に併せてレコードを聴いたり、ピアノ演奏を聴いたりしながら、ジャズの誕生を振り返ります。ディキシーランド・ジャズ、ビッグバンド・ジャズ、スウィング・ジャズ、ビ・バップ、クール・ジャズ、ウエストコースト・ジャズ.........。最後の30分は女性ボーカルを交えたバンド演奏で、夏の暑さもふっとんでしまいました。
 そして講義の最後には、音楽メディアの変遷にふれ、最近のレコードの復調とその魅力についてもお話しをいただきました。この音楽講座は、あと1回を残すばかりです。10月からは水彩画教室を選択しています。
 こんな調子で、この夏も終わろうとしていますが、格安切符が手に入ったので、明日から数日、東京にでかけてきます。まずは東京の長男、孫たちに会いに行きます。あとはいつもの行き当たりばったりの珍道中になります。「お上りさんの『東京見物』」シリーズも、いよいよ第三弾です(笑)。

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