心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

「繋がり」から広がる世界

2013-06-16 09:36:59 | Weblog

 早すぎた梅雨入りでしたが、今年は何か変。全く雨が降らないのです。ここ大阪も連日30度を超える暑さで、うんざりです。ところが、昨日は昼頃、雨が降り出しました。久しぶりの雨に、畑の野菜たちは息を吹き返したようです。
 昨日は、朝から孫君たちがやってきました。残念ながら夕刻に仕事関係の宴席があったので、お昼を近くのレストランで一緒にいただきました。兄弟揃って食欲旺盛で、1歳を過ぎた孫次男君には歩く素振りも見えてきました。帰りがけに本屋さんで絵本を買ってあげて、孫君たちもご満悦です。
 そんな6月も半ば、従兄のやっちゃんが亡くなって四十九日が経過したことに気づきました。先週帰宅すると、満中陰志に加えて奥様手作りの「笹巻き」が同封されていました。何十年ぶりでしょう、笹巻なんて。笹の茎の先にもち米粉を捏ねた餅をつけて、それを笹の葉っぱで蒔いて茹であげたものですが、笹の防腐効果を利用した生活の知恵が生きる質素な食べ物です。子供の頃には、旧暦の節句のお祝いに食卓に上ったものでした。母の笹巻は最高においしかったことを覚えています。いまでは、電子レンジで温めれば簡単に柔らかくなります。砂糖醤油を付けて食べました。
 田舎といえば週末、90も半ばを過ぎる松江の叔父から葉書が届きました。亡き父の兄弟で唯一存命の叔父です。ご自分の戒名ができたこと、私に帰郷を勧め先祖代々の「家」を守ってほしいことなどが綴られていました。死期が少しずつ迫ってくるなかで叔父の思いが綴られていました。悩ましい限りです。
 先週は、日曜日の午後、北摂は豊中市にでかけ、週の前半を広島で過ごしたあと週末は東京に出張し、そして昨日は北河内の交野市にでかけました。そんな落ち着きのない1週間でしたが、やはり気になったのは広島宿所の鳩の雛のこと。夜遅くそぉっとカーテンを開けると、あれっ?巣はもぬけの殻でした。もう巣立って行ったの?挨拶のひとつぐらいしてくれたっていいじゃない、と少し残念でした。
 ところが翌朝、ピーピーと母鳩から餌をねだる雛の声に目を覚ましました。慌てて覗いてみると、ベランダの隅っこに雛がいました。雛といっても、もう大人の体格です。今にも飛び立つ仕草さえしています。ひょっとして、これで見納めかもしれません。この先、どんな試練が待ち構えているのか判りませんが、これも自然の成り行きです。頑張って生きてほしいものです。

 そうそう、アマゾンに注文していた「バッハに非ず 信時潔音楽随想集」(信時裕子編)が昨日届きました。「海ゆかば」「海道東征」「沙羅」などの作曲で知られる信時潔の音楽随想、座談を集大成したものです。先日、久しぶりに「信時潔研究ガイド」(http://home.netyou.jp/ff/nobu/index.html)を覗いて見つけた新刊ですが、目次の中に「南方熊楠翁未発表の書簡」が目に留まり、さっそく注文しました。
 南方熊楠と信時潔、奇遇です。といっても、本人同士の繋がりではなく、信時潔の旧友で東京美術学校で絵を学んだ画家・楠本秀男氏を介しての関係でした。楠本氏は、南方熊楠と親交厚く、植物採取に同行したりして標本図を描いていたようです。近年の読書遍歴のなかで、鶴見和子、南方熊楠、柳田国男、小林秀雄、白洲正子、そして信時潔が繋がった、という意味では大発見でした。ここで初めて音楽家との繋がりです。まだ不安定なのは村上春樹の私の中のポジションです。いえいえ、上田秋成「雨月物語」、柳田国男「山の人生」繋がりで何かが見えてくるでしょうよ。きっと。
 編者の信時裕子さんには、10年ほど前にお目にかかったことがあります。信時潔の自筆譜を探していた頃、東京都港区にあった日本近代音楽館を訪ねたときでした。日本近代音楽館は音楽評論家・遠山一行氏が遠山音楽財団付属図書館として開設されたもので、日本の作曲家の自筆譜、書簡等が揃っていました。マイクロフィルムなど見せていただきました。しかし、「バッハに非ず 信時潔音楽随想集」の裕子さんの経歴をみると、日本近代音楽館が閉館されたとの記述がありました。あんな貴重な資料はどうなったんだろうかとネットを探してみると、2010年3月に閉館後、膨大な音楽資料は明治学院大学に移管され、「明治学院大学図書館付属日本近代音楽館」(http://www.meijigakuin.ac.jp/library/amjm/)となっていました。安心しました。時間に余裕ができるようになったら、東京芸術大学図書館「信時潔文庫」共々、覗いてみたいと思っています。

 きょうは、グレン・グールドが奏でるハイドン「後期6大ピアノソナタ集」を聴きながらのブログ更新でした。昨日の雨が嘘のようで、真っ青なお空に真っ白な雲が浮かんでいます。

 

 

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