今朝、お散歩をしていたとき、途中の公園ではウグイスの声が聞こえていましたが、お不動さんの境内に入ると今年初めて蝉の声が聞こえてきました。この時間、窓からは比較的涼しい風が入ってきますが、時間と共に今日も暑い一日になることでしょう。
昨日は午前9時過ぎ、京都大学百周年時計台記念館の前に立っていました。第14回村上春樹国際シンポジウムの第1目「市民講座」を聴講するためでした。世界で唯一「村上春樹研究センター」を設けている台湾の淡江大学が主催し京都大学等が後援している催しです。テーマは「村上春樹文学におけるパートナーシップ(Partnership)」。村上春樹文学、京都から世界へ、という副題がついています。
基調講演は、河合俊雄京大名誉教授の「村上春樹文学における新しいパートナーシップと出会い」、ジョルジョ・アミトラーノ国立ナポリ東洋大学教授の「村上春樹にみる、創造行為の孤独に抗うパートナーシップ」、小島基洋京大教授の「ゲーテ、ホメロス、ジョイス~世界文学と『スプートニクの恋人』のパートナーシップ」でした。 若い頃から何となく眺めてきた 村上春樹の世界です。いつもふあっとした感覚に包まれながら読み終わってしまう不思議な世界。それでも文庫本の新刊が登場するとついつい手にとってしまう、長年そんなお付き合いをしてきました。はて、村上文学をご研究の先生方はいったいどんな視点から作品をご覧になっているのだろう。これが今回のシンポジウムを聴講するきっかけでした。
臨床心理学者の河合俊雄先生からは、「出会いと遭遇」という視点をいただきました。「自分の所属すべきコミュニティと関係を失った人たちは、単につながらないのではなく、思いもかけない出会いをする」と。そうした出会いのなかから現代社会の生き仕方を見つめるということなんでしょう。「パートナーシップと第三者」「出会いと第三のものの共有」「パートナーシップと垂直性」「パートナーシップと結婚の四位一体性」 「死者とのパートナーシップ」「思わぬパートナーシップ」へと話は展開します。
現役を引退して所属すべき関係性を失ったシニアが、新たな居場所を求めて彷徨い歩く。そこで新たなな出会いに遭遇し、第二の人生に歩を進める。そんなふうに考えると、村上文学をもっと楽しむことができるかもしれない。なんて勝手なことを考えました。
私もリタイアして9年が経とうとしていますが、その間シニア講座などに出入りして様々な方々との出会いがありました。私とは異なる人生を歩んでこられた方々とお酒を呑み語らうなかで多くの気づきもいただきました。
そう言えば、数日前、謡曲同好会の新人会員歓迎会で、聞きなれない苗字が気になって「ひょっとして高名な学者のご親族では」なんて冗談ぽくお話ししたら「よくご存じですね」と返ってきました。真夏の昼下がり、蝉の声を聞きながら(居眠りをしながら)大教室で先生の西洋政治思想史をテキストに学んだことを思い出しました(笑)。
河合俊雄先生には今月半ばにも「心理学者と読み解く 村上春樹の短編から見た現代の遭遇と出会い」と題するNHK文化センター梅田教室の講座を受ける予定です。 昨日は朝から蒸し暑さが身にまとわりつく京の街でした。河原町四条界隈では早くも祇園祭の囃子が流れていました。
「四条寺町デパ地下古本市」をやっていることを思い出したので、暑さ凌ぎに寄り道して藤井大丸の地下に向かいました。未だ読んだことのない村上春樹の文庫本、「村上さんのところ」「スプートニクの恋人」「雨天炎天」など数冊を連れて帰りました。
その後、久しぶりに寺町商店街、京極商店街を歩いて京阪三条駅に向かいましたが、この暑い季節にも関わらず外国人観光客の方々がたくさんお越しになっていました。途中、錦天満宮にもお参りしました。 今日は奥様が近所に暮らす娘と一緒にお買い物に出かけました。私は冷房の効いた部屋のなかで、アリス=紗良・オットの『Echoes Of Life』を聴きながら、気になっている「街とその不確な壁」(下巻)を読み終えましょう。それに今週の絵画教室に向けてアクリル画を完成させなければなりません。
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心の風景は「はてなブログ」に引っ越しました。
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