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心の風景

晴耕雨読を夢見る初老の雑記帳

村上春樹国際シンポジウムを聴講する。

2025-07-06 11:26:20 | Weblog

今朝、お散歩をしていたとき、途中の公園ではウグイスの声が聞こえていましたが、お不動さんの境内に入ると今年初めて蝉の声が聞こえてきました。この時間、窓からは比較的涼しい風が入ってきますが、時間と共に今日も暑い一日になることでしょう。

 昨日は午前9時過ぎ、京都大学百周年時計台記念館の前に立っていました。第14回村上春樹国際シンポジウムの第1目「市民講座」を聴講するためでした。世界で唯一「村上春樹研究センター」を設けている台湾の淡江大学が主催し京都大学等が後援している催しです。テーマは「村上春樹文学におけるパートナーシップ(Partnership)」。村上春樹文学、京都から世界へ、という副題がついています。
 基調講演は、河合俊雄京大名誉教授の「村上春樹文学における新しいパートナーシップと出会い」、ジョルジョ・アミトラーノ国立ナポリ東洋大学教授の「村上春樹にみる、創造行為の孤独に抗うパートナーシップ」、小島基洋京大教授の「ゲーテ、ホメロス、ジョイス~世界文学と『スプートニクの恋人』のパートナーシップ」でした。
 若い頃から何となく眺めてきた 村上春樹の世界です。いつもふあっとした感覚に包まれながら読み終わってしまう不思議な世界。それでも文庫本の新刊が登場するとついつい手にとってしまう、長年そんなお付き合いをしてきました。はて、村上文学をご研究の先生方はいったいどんな視点から作品をご覧になっているのだろう。これが今回のシンポジウムを聴講するきっかけでした。
 臨床心理学者の河合俊雄先生からは、「出会いと遭遇」という視点をいただきました。「自分の所属すべきコミュニティと関係を失った人たちは、単につながらないのではなく、思いもかけない出会いをする」と。そうした出会いのなかから現代社会の生き仕方を見つめるということなんでしょう。「パートナーシップと第三者」「出会いと第三のものの共有」「パートナーシップと垂直性」「パートナーシップと結婚の四位一体性」 「死者とのパートナーシップ」「思わぬパートナーシップ」へと話は展開します。
 現役を引退して所属すべき関係性を失ったシニアが、新たな居場所を求めて彷徨い歩く。そこで新たなな出会いに遭遇し、第二の人生に歩を進める。そんなふうに考えると、村上文学をもっと楽しむことができるかもしれない。なんて勝手なことを考えました。
 私もリタイアして9年が経とうとしていますが、その間シニア講座などに出入りして様々な方々との出会いがありました。私とは異なる人生を歩んでこられた方々とお酒を呑み語らうなかで多くの気づきもいただきました。
 そう言えば、数日前、謡曲同好会の新人会員歓迎会で、聞きなれない苗字が気になって「ひょっとして高名な学者のご親族では」なんて冗談ぽくお話ししたら「よくご存じですね」と返ってきました。真夏の昼下がり、蝉の声を聞きながら(居眠りをしながら)大教室で先生の西洋政治思想史をテキストに学んだことを思い出しました(笑)。
 河合俊雄先生には今月半ばにも「心理学者と読み解く 村上春樹の短編から見た現代の遭遇と出会い」と題するNHK文化センター梅田教室の講座を受ける予定です。
 昨日は朝から蒸し暑さが身にまとわりつく京の街でした。河原町四条界隈では早くも祇園祭の囃子が流れていました。
 「四条寺町デパ地下古本市」をやっていることを思い出したので、暑さ凌ぎに寄り道して藤井大丸の地下に向かいました。未だ読んだことのない村上春樹の文庫本、「村上さんのところ」「スプートニクの恋人」「雨天炎天」など数冊を連れて帰りました。
 その後、久しぶりに寺町商店街、京極商店街を歩いて京阪三条駅に向かいましたが、この暑い季節にも関わらず外国人観光客の方々がたくさんお越しになっていました。途中、錦天満宮にもお参りしました。
 今日は奥様が近所に暮らす娘と一緒にお買い物に出かけました。私は冷房の効いた部屋のなかで、アリス=紗良・オットの『Echoes Of Life』を聴きながら、気になっている「街とその不確な壁」(下巻)を読み終えましょう。それに今週の絵画教室に向けてアクリル画を完成させなければなりません。 

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映画「国宝」を見て出石永楽館に行く。

2025-07-01 20:43:29 | 旅行

 先日珍しく映画「国宝」を見てきました。というか、映画はほとんど見ることがなく、最近ではフランスに行った際、機上の長旅を癒すために何本かを立て続けに見た程度の私です。今回は周囲のお薦めもあって出かけました。 
 170分もの大作に耐えられるだろうかと思っていたのですが、任侠の家に生まれながらも歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げた主人公・喜久雄の生涯を描いた映画「国宝」に、最後まで見入ってしまいました。伝統芸能の世界独特の人間模様を、若い俳優さんがうまく演じていました。

 この映画には、京都四条の南座や先斗町の歌舞練場のほか、近畿最古の芝居小屋と言われる出石の永楽館がロケ地に使われていました。ちょうど右足の違和感を癒すために城崎温泉に行く予定にしていたので、急遽予定を一部変更して出石永楽館に立ち寄ることにしました。
 京都から特急きのさき号に乗って豊岡へ。駅前で全但バスに乗り換えて但馬の小京都と言われる出石に向かいました。過去何度かさらソバを食べに行ったことはありますが、 永楽館を見学するのは初めてでした。映画「国宝」の影響でしょうか、三々五々お客がやってきては嬉しそうに見学していました。
 明治34年に開館した永楽館は、紆余曲折を経て今日に至っていますが、桟敷席、花道、廻り舞台、舞台下の奈落など、往時をしのばせる雰囲気を醸し出しています。この劇場で、吉沢亮、横浜流星などの俳優さんが歌舞伎を演じました。映画では、歌舞伎俳優に劣らず美しく舞う姿が印象的でした。
 永楽館を後にして、出石から直行の全但バスに乗って城崎温泉には午後2時半頃に到着しました。こちらも何度か訪れていますが、今回は城崎マリンワールドに近い金波楼で一泊し、右足を癒しました。
 翌朝は、いずれ孫たちを連れてくるための下見ということで、近くにある水族館に入りました。海遊館に比べると規模はずいぶん小さな水族館でしたが、生きものとの距離感が近く、暖かい雰囲気もあり、なんとなくほっとする空間でした。
 その後、ロープウエイに乗って山頂から城崎温泉街を眺めました。豊岡市が運営する舞台芸術を中心とした芸術活動のための城崎国際アートセンターも、凡その位置が分かりましたので、次回はそれをお目当てに出かけることになりそうです。
 ところで、城崎温泉に行く前日、アリス=紗良・オットのピアノリサイタル「ジョン・フィールドとベートーヴェン」を聴きに行きました。会場の兵庫県芸術文化センター大ホール(席数二千人)は、ほぼ満席でした。
 聞けばアリスさん、3週間前から右手が腱鞘炎になってしまったようで、この日の演目に一部変更がありました。よもや数年前の多発性硬化症の再発かと心配しましたが、終始笑顔を絶やさず、合間にはアリスさんらしい曲の説明をするなど、素人にも分かりやすく楽しい演奏会でした。アンコールは、アルヴォ・ペルトの「アリーナのために」でした。
 それにしても、きょうは暑い一日でした。終日、冷房の効いた部屋に籠って、アリス=紗良・オットのピアノを聴いたり、村上春樹の小説を読んで過ごしました。
 そうそう、明後日の謡曲同好会のため、少し「巴」の練習もしました。音源は先生の指導の際の録音ですが、先日特急きのさき号に乗っているとき、日本の古本屋さんのサイトで、観世流謡曲百番(カセットテープ)「巴」を見つけました。きょうは物置から廃棄しようかと思っていたカセットテープレコーダーを探し出しました(笑)。明後日は練習のあと、新入会員歓迎会という名の呑み会もあります🍺🍺。

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夏に村上春樹を読む。

2025-06-27 22:18:51 | Weblog

 まだ7月も迎えていないのに、 今年は早々と梅雨が明けました。これから先、暑く長い夏が気になりますが、そうこうするうちに後期高齢者に仲間入りです。先日、市役所から後期高齢者医療保険制度加入に関する手続き案内が届きました。
 そんなある日、小さな畑の一画で里芋が一株大きく伸び始めました。このお芋さん、実は台所の野菜カゴの下に残っていたもので、芽が出ていたので畑に植えてみました。今後の成長が楽しみです。
 夏の昼下がり、今日は長椅子に横たわって、文庫本になったばかりの村上春樹の長編小説「街とその不確かな壁」を読みました。村上春樹の小説は、若い頃からずいぶん読み漁っていますが、ふわぁとしたとりとめのない、しかし何かを問いかけている不思議な世界です。私とほぼ同世代の作家がこんなにも若々しい文章を書くんですね。歳は関係ないのでしょう。感性の問題なんでしょうね。
 「自分」とその「影」を区分して、時にはその影と別れを告げるなど、時空を超えた場面転換についつい時間を忘れてしまいます。明日から「下巻」に入ります。

 ところで、この小説の中で、壁に囲まれた街のとある図書館で「夢を読む」17歳の主人公が、 16歳の少女に緑色の薬草茶をいれてもらう箇所が何度かあります。どんな意味?なぜ薬草茶??そんなとき、私は思いついたように自分で薬草茶をいれます。小説では薬燗のお湯を注ぐのですが、私は土瓶にお水を入れてコンロにかけ、沸騰する前に薬草を入れて十数分待ちます。
 ハーブ、ドクダミ。5月に群馬県に行ったとき「吹割の滝」の土産物店で買って帰ったメグスリノキを煎じたりもします。半信半疑ながらも目頭がしゃきっとして爽快に感じるから不思議です(笑)。
 そんな次第で、最近特段の用事がないときは、なんとなくふわっとした日々を過ごしていますが、来週の土曜日は京都大学で開かれる村上春樹国際シンポジウム「村上春樹文学におけるパートナーシップ」を覗いてきます。主催は台湾の淡江大学村上春樹研究センターです。午前の部の「市民講座」で「村上春樹で出会うこころ」を著した河合俊雄先生が「村上春樹における新しいパートナーシップとの出会い」をテーマにお話しになります。興味津々。
 話しは変わりますが、今週の謡曲同好会で、11月に発表会をすることが決まりました。発表会といっても身内だけの催しになりそうですが、それでも年に一度は発表の場を設けることで、ひとつのメリハリをつけようという狙いです。 
 演目は昨年習った『巴(ともえ)』。女武者・巴御前の霊が木曽義仲の武勇を語るお話しです。場所は、木曽義仲と松尾芭蕉の墓所として知られる滋賀県大津市の義仲寺(ぎちゅうじ)を予定しています。これから半年をかけて現在の課題曲「小塩」の練習のあと、「巴」 の振り返り練習をしていきます。
 今夏も暑い日が続きそうです。身も心も、あっちに行ったりこっちに行ったり、なかなか落ち着きません。明日は、アリス=紗良・オットさんのピアノ・リサイタル。週明けには以前から予定していた城崎温泉一泊旅行に行ってきますが、映画「国宝」を見てコースを一部変更し、その映画で舞台となった近畿最古の芝居小屋と言われる出石永楽館に寄り道することにしました。蝉の声でも聞きながらゆっくりお昼寝でもする日はもう少し先になりそうです。

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万博会場で演奏したアリス=紗良・オットさん

2025-06-23 20:33:47 | Weblog

 今朝、お散歩から帰ってひと息ついていると、急に雲行きがおかしくなって、あっと言う間に強い風雨が吹き荒れました。それでも外界の変化にはお構いなく、ぼんやりYouTubeを眺めていたら、ドイツ人の父と日本人の母を持ちドイツで生まれ育ったピアニストのアリス=紗良・オットさんが、大阪・関西万博会場で20日、ベートーヴェンの月光ソナタを演奏したという動画「ドイツのナショナルデーでピアノ演奏」(時事通信トレンドニュース)に目がとまりました。
 アリス=紗良・オットさんについては、このブログで2月21日付記事「アリス=紗良・オットのニューアルバム」、3月20日付記事「二人の若いピアニストに「元気」をいただく」で触れていますが、今週末にはオットさんのピアノ・リサイタルがあるのでした。

 このところ、ロシアのウクライナ侵略戦争、アメリカンファーストを旗印に登場したトランプ大統領、イスラエルとイランの争いとアメリカの加担などきな臭い出来事が多く、国内外を問わず様々なところで社会に綻びが生じ始めているような気がしていますが、演奏に先立って挨拶したオットさんのお話しには印象深いものがありました。
 オットさんのお話しはYouTubeでご覧いただけますが、概ね以下のとおりです。

●私は自分の居場所を国籍の中にではなく、音楽の中に見出してきた。言語や背景、国境を超えて、人と人をつなぐ空間の中に。

●私の国では選挙で意思を示すことができる。声をあげる自由があり、私たちは社会としてもっと良くなれるのではないかという懸念を言葉にすることも認められている。しかし、この自由は全ての人に与えられているものではない。

●民主主義が法の上では保障されていても、実質的に機能していない国が増えつつある。恐怖、不覚な情報やポピュリズムによって人権は無視され、対話はただのノイズに置き換えられていっている。こうした時代において、いのち輝く未来社会のデザインという、この万博のテーマは私にとって未来への願望というよりも、今この瞬間への問いかけである。

●私たちは今日どんな選択を積み重ね、何を強化しているのか。どんな構造を支え、どんな情報を信じるのか。そして社会的構造的な差別を受けている人々の現実をきちんと見つめ、そこにある問題や仕組みを問い直し、そこから学ぶことができるのか。
●このあと演奏するベートーベンの「月光ソナタ」。ベートーベンはかつて自由、平等、人と人のつながりを夢見ていた。それは当時の、そして今も決して当然なことではない。空虚な約束のままではいけない。私たち 一人一人が日々の選択の中で果たしていくべき責任だと思う。

 次代を担う若いピアニストから、こんな根源的なお話しを聞くとは思いもしませんでした。血気盛んだった若い頃の私は、いったいどこに行ってしまったのか?後期高齢者入りを目前に控えて、残された人生をさも終わったかのように安寧をむさぼる日々を過ごしてはいないか。では、いま、私に何ができるのか。アリス=紗良・オットさんの言葉を、しばらく熟成してみたいと思います。

◇  ◇  ◇

 ここで、話しはがらりと変わります。
 昨日、世界の三大花木のひとつジャカランダの花を求めて、天王寺の一心寺に行ってきました。境内の道路沿いに数本のジャカランダの樹が聳えていて、その枝先に青紫色の美しい花が咲いています。大阪では長居公園にも数本ありますし、宮崎や熱海あたりの温暖な地域でも見ることができるようです。
 昨年バルセロナに行ったときには、街のいたる所にジャカランダが咲いていました。 知人の話しではオーストラリア西海岸のグラフトンというところでは街中が青紫に染まるほどだとか。 
 我が家の庭には、5本のジャカランダの苗木が植わっています。数年前に一心寺の境内で拾った種を育てたものです。いえば、一心寺の子たちが我が家で育ちつつあるということですが、花が咲くまでにはもうしばらく年数がかかりそうです。
 いずれにしても、次回大阪関西万博に出かけるときは、イベント等をもう少し詳しく調べて行く必要がありそうです。とりあえず今週末には、兵庫県芸術文化センターで、アリス=紗良・オットさんのピアノ・リサイタルを楽しんできます。

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万博会場で世界の多文化に触れる

2025-06-19 22:38:18 | Weblog

「いのちの能『水の輪』」公演で謡い
 きのう6月18日は大阪関西万博会場で「いのちの能『水の輪』」公演がありました。お能の謡いをみんなで謡う企画に手をあげた私は、第二部(16:30~)に参加しました。万博テーマ事業プロジューサーの中島ちさ子さん率いるKURAGE Bandとのコラボレーションということもあって興味津々。EXPOホール  シャインハット(座席数1900名)にはほぼ満席のお客さんがお越しになっていました。当日の模様は山本能楽堂YouTubeチャンネルでご覧いただけます。
 プロの地謡方に従って我らが地謡隊は白い上着に青いスカーフを巻いて最前列に陣取りました。私たちが謡ったのは終章の一節だけでしたが、水鳥を演じた国内外の子供たちとお能の舞台を盛り上げることができました。これも良き経験ということにしておきます。
終日、万博会場を楽しむ
 万博会場には午前9時の入場をめざして東ゲート前に並びました。既に暑くなりそうな予感がするなか、要領の良い方は携帯用の簡易椅子を持っていらっしゃいました。賢い!。手荷物検査を経てやっと入場しました。

 事前にパビリオンの予約が採れたのは三菱未来館のみです。その時間まで2時間ほど余裕があったので、行きあたりばったり。予約なしで入れた大阪ヘルスケアパビリオン、オーストリア館、スイス館、コロンビア館、ポルトガル館などを見て回りました。マレーシア館では民俗衣装を着た方々が躍りを披露していらっしゃいました。

異文化を楽しむ
 お茶と保冷剤とおにぎり持参の老夫婦は、日陰のベンチに座って軽く昼食をとり、キッチンカーで甘いお菓子とかき氷をいただいて元気を取り戻すと、午後は長い長い行列ができている アメリカ館やフランス館など人気館は諦めて、地味ながら様々な国が出展しているコモンズ館(A~C館)を集中的に見て回りました。アフリカ諸国や中南米が多かったように思いますが、まさに異文化の世界です。楽しませていただきました。
 ドミニカ共和国のブースでは、タイノ文化工芸品(レプリカ)に目が留まりました。ネットで調べてみると、カリブの歴史から抹殺されたと言われる先住民族タイノ族の文化を受け継ぐもののよう。そのなんとも言えない風情が心に留まります。
 中央アフリカのガボンの国では、現地コンパニオンの方にその国独特の帽子を被って写真を撮っていただいたり、ある国ではコーヒー豆を収穫から販売まで高品質を維持するための様々な過程を動画で見せていただき、あっと言う間に時間が経っていきました。コーヒー豆の即売でもあれば出展費用の一部をねん出できるのにと思いつつ、他にいろいろ課題はあるのでしょう。短時間ながら普段接する機会の少ない国々を楽しく巡ることができました。

 夕刻、「水の輪」公演が終わると少し小休止。といってもどこも人で一杯です。静けさの森の近くにあったお店で生ビールと枝豆を買ってきてベンチでひと休みです。その後、大屋根リングの下を歩いていたら日本館パビリオンが予約なしの受付をしていたので来場記念に並ぶことに(笑)。1時間半も並びました。「いのちと、いのちの、あいだに」をテーマに展示と建築でひつとの循環を表現するのがテーマのようでした。数年前に夢洲の先進的なゴミ焼却場を見学したことがあったので、凡その主張は分かりましたが、妙にデジタルを多用した展示に何となくインパクトに欠けたように思ったのは私だけ、かな?。
夜はドローンアートを楽しむ
 そうこうするうちにあたありが薄暗くなってくると各パビリオンのネオンサインが輝きます。シャインハットでは壁面にプロジェクションマッピング映像が映されていました。
 そして夕闇迫る午後8時、ドローン千機によるアートが繰り広げられ、大屋根リングの上で暫し見入ってしまいました。海辺が近いので、夜になると涼しい海風が肌を優しく包み込みます。
 朝7時前に家を出て、家に帰ったのは午後10時を過ぎていました。15時間も外出していたことになります。老夫婦はくたくたでした(笑)。

◇ ◇ ◇

 夢洲と言えば、昔は大阪府民のゴミの島でした。先進的なごみ処理場はありますが、あとは港の機能だけで利活用も定まらず「負の遺産」とも言われてきた人工島でした。その分、政争の具とされてきたきらいもありますが、万博が開かれることで新しい時代を歩み始めたような気がしないでもありません。カジノ誘致については多々意見はあるものの、過度にならない配慮がなされるのであれば、これもひとつの活用かもしれません。もうしばらく様子を見て行きたいと思っています。そうこうしている間に寿命が尽きるかもしれませんが(笑)。

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勝尾寺と中山寺を訪ねて

2025-06-19 16:20:14 | 西国巡礼

 一昨日は西国巡り、昨日は大阪関西万博とお出かけが続き、さすがの私も今日は休養日です。というよりも午前中からソファーに座ってもついついうたた寝をする始末。寄る年波には勝てません(笑)。

 久しぶりに西国三十三カ所巡りで23番札所勝尾寺と24番札所中山寺にお参りしてきました。以前の歩き遍路とは違い、スマホの乗換案内アプリを頼りに電車バスを乗り継いでのお出かけです。地下鉄御堂筋線の北の最終駅箕面萱野駅から直行の阪急バスに乗って20分、北摂の山奥に忽然と姿を現す勝尾寺。まずは外国人観光客の多いことに驚きました。バス停近くにある目新しい建物に入るとシステム化された受付コーナーがあり、その横には広々としたお土産物店があり、何か違うんだけどなあという思いもちらほら.....。 
 入場QRコードをかざして入山すると 広々とした境内が広がります。アジサイの花に青紅葉がよく似合います。
 このお寺、歴史的な由来から「勝つだるま」を授かると勝負事にご利益があるのだそうで、本堂前の売店にはたくさんの達磨さんが売られていました。そしてその小さな達磨さんが境内のいたる所に供えてありました。
 境内の要所要所にはスタンプラリー風の葉書絵スタンプが置いてあるなど、参拝客が楽しめる工夫があちらこちらにあり、四国八十八カ所では考えられない風景でした。
 1時間ほど境内を散策したあと、箕面萱野駅まで戻り、千里中央でモノレールに乗り換えて蛍池、そこで阪急電車に乗って中山観音駅へと向かいました。
 こちらは子が生まれるときに何度かお参りしたことがあるほか、親戚のお墓もあります。以前お参りしてからずいぶん年数が経ちます。山門を経て参道を進んでいくと本堂に向かうエスカレーターが設置されていました。そんなに長い階段があるわけではありませんが、ご老人や妊婦の方の負担軽減のためでしょうか。車椅子の参拝者のためにエレベーターも設置されていました。年の初めに右足が不具合になった経験がある者としては有難いことではあります。
 この日も暑い一日でした。日陰のベンチに腰掛けて西宮方面をながめながら暫し休憩したあと梅田まで戻って、村上春樹「街とその不確かな壁」(新潮文庫)の下巻を買って家路につきました。

注:昨日の大阪関西万博はテーマを改めて後刻投稿します。

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月下美人?が咲きました。

2025-06-16 20:38:36 | Weblog

 月曜日は毎週近所のスーパーが10%引きセール(消費税還元)をするので、朝からお買い物運びを仰せつかりました。もちろんいま話題のお米も10%引きです。小さな地元スーパーですから備蓄米は届かず、四千円から六千円の銘柄米が並びますが、年金生活者には嬉しいお買い物です(笑)。

 それはそうと、3年前にお向かいのご夫婦からいただい月下美人が昨日初めて咲きました。夕方から蕾が膨らみ始めて真夜中に満開です。朝には萎んでしまう一晩花と言われていますが、今朝も香しい美しさを保っていました。Googleレンズで検索すると月下美人とヒットしますが、ほんとうに月下美人?それともクジャクサボテンの仲間?私にはその見分けがつきません。ちなみに花言葉はいずれも「儚い美」「儚い恋」「艶やかな美人」などです。
 この鉢は、海外での生活が長かった90代のご夫婦からいただいたものでした。英国滞在中に最愛の娘さんを亡くされ20年ほど前に帰国されたあとは仲睦まじくガーデニングを楽しんでいらっしゃいました。
 ところが4年前に奥様が体調を崩されたのに続いて翌年にはご主人も患い、止む無くお家を手放して介護サービス付き高齢者向け住宅に入居されました。月下美人の鉢はその際、ご弟妹の方から他の鉢たちと一緒にいただいたものでした。
 開花するのに3年かかりました。寒い冬は私の部屋に置きました。こうして見事に咲いた月下美人です。本来なら写真をメールでお送りしたいところですが、残念ながら去年までにお二人ともお亡くなりになりました。 
 広いお庭に大きなハナミズキの木が立つお家には、その後、若いご家族4名がやってきました。毎日明るい声が聞こえてくるほどに幸せそうにお暮しになっています。何年か先には我が家もそんな時代がやってくるのでしょう。きっと。

 朝お散歩で立ち寄るお不動さんで昨日、弘法大師誕生慶祝法要がありました。弘法大師、空海は6月15日、讃岐国の屏風ガ浦(香川県善通寺市)で生れました。取り立てて用事もなかったので、お昼前に大師堂で開かれた法要に初めて参列させていただきました。
 広い堂内に静かに流れるお経を聞いているとなんとなく心落ち着きます。私の実家は真言宗ではなく浄土宗なのですが、お経を聞いていると、西洋の教会音楽を聴いているような錯覚を覚えます。 人の心が求める安寧の世界は宗教の違いは関係ないような気がします。
 昨日は高野山でもお大師様の誕生をお祝いする宗祖降誕会(青葉祭)が開かれたようです。お昼からは奥の院表参道入口の一の橋前から大師教会まで花御堂渡御が行われたとか。今夏2年ぶりに出かける高野山夏季大学が待ち遠しくなりました。

◇  ◇  ◇

 なんとなく空いたときにふらっと出かけるのが大好きな私です。奥様は別の御用がありそうなので、明日は箕面の第23番札所勝尾寺と何度かお参りしたことのある宝塚の第24番札所中山寺に行ってこようと思います。未だ半分しか参拝していない西国三十三カ所巡りの一環ですが、こうしてのんびり過ごすのもシニアの特権かもしれませんね。

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梅雨の合間に植物園で深呼吸。

2025-06-13 22:53:22 | Weblog

 今日は真夏を思わせるお天気に包まれるなか、京都府立植物園をテーマにした第1回講座に行ってきました。102年目を迎える植物園の歴史について伺ったあと、さっそく先生の案内で園内を歩きます。まずは梅雨の時季に咲くタイザンボクの白い花。数日で枯れてしまうそうですが、ほんのりとした香りを感じながら葉の特徴などをお話しいただきました。
 ちなみに世界で最も古い歴史をもつ植物園はイタリアのピサ植物園(1543年)。以後、パドゥウァ植物園(1545年)、フィレンツェ植物園(1545年)、ローマ植物園(1883年)なんだそうです。
注:上写真後方は比叡山です。自然豊かな前景の先に比叡山を望むには最適のスポット。
 樹齢百年を越えるクスノキ並木では、何種類かの樹の前に立ち止まって葉っぱの葉脈の形態と仕組みについて説明していただきました。また、クスノキの葉をしごいて香りを嗅いでみたり、ニッケイの枝や葉をしごいて昔懐かしいニッキの香を楽しんだり。ほんのりと八つ橋の匂い?。ふだん何気なく通り過ごしてしまいそうな植物の生き仕方を丁寧に教えていただきました。
 シニアを対象にしたこの講座は全6回(雨天決行)なので、年間フリーパス券(65歳以上1000円)を購入しました。緑あふれる広々とした園内で、四季折々の植物に囲まれて深呼吸。心穏やかな時間を過ごします。

 話しは変わりますが、先日来描き進めていた仏ジヴェルニー村のモネの庭のバラの花。やっとアクリル画を描き終えました。自然を生かした花壇づくりの雰囲気が少しは表現できたかなあと思いつつ、 花の色と光の具合をもう少し丁寧に描く必要がありそうです。とりあえずここで筆を止めて次回の絵画教室で先生にアドバイスをいただきます。
 絵画と言えば、昨日は京都嵐山の車折神社(くるまざきじんじゃ)に仲間たちと写生会に行ってきました。西院から嵐電に乗って15分ほどの所にありますが、久しぶりに路面電車に乗り、学生時代に市電に乗って大学に通っていた頃を思い出しました。懐かしい風景でした。それにしても外国人観光客の多いこと。乗客の9割ほどを占めていました。
 その車折神社は、金運/良縁/厄除け/学業/芸能(芸術)の神社として知られていますが、広い境内に本殿や祠が建っているいるわりに画題としては捉えどころのない風景に少し戸惑いました。ちょうど前日、NHKテレビ番組「3カ月でマスターする『絵を描く 』」で柴崎先生がおっしゃっていた「欲張らない」「頑張らない」「選ばない」を思い浮かべながら、本殿前の一画に視点をすえてデッサンを描き始めました。青紅葉と朱色の柵、そしてクチナシの花。なんとなく絵になりそうな気がしますが、さあてどうなんでしょうね(笑)。
 明日、明後日と雨が降るようです。雨の日は読書でもしてのんびり過ごそうと思っていますが、そうこうするうちに6月も半ば。来週18日には「いのちの能『水の輪』Noh for SDGs~大阪・関西万博公演」(山本能楽堂&読売新聞社主催)があります。謡チームの一人として大きな声で歌ってきます。

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ピアノと能のコラボ ~ アルゲリッチと大槻文蔵

2025-06-09 14:54:35 | Weblog

 先日、何気なくネットニュースを見ていて、「アルゲリッチ、おおいに語る」と題する記者クラブの会見記事(共同通信)に目が留まりました。世界的ピアニストのマルタ・アルゲリッチさんと能楽師の人間国宝、大槻文蔵さんが共演するDVD 「出会い」のリリースに伴い開かれたものです。
 アルゲリッチさん曰く、「私は能に常に魅了されている。バッハはどんなものとも共演できる音楽。人の精神そのものが現れているからこそ、今回の共演が可能になった」と。今月84歳になったばかりのアルゲリッチさんのピアノを、私は若い頃から好んで聴いてきました。大槻さんがバッハのパルティータをどう舞うのか興味津々、さっそくAmazonからDVDを取り寄せました。

 「ドキュメンタリー  Encounter 出会い」と「New Noh  Dance "Partita"」の二部構成でしたが、さすが大槻さんです。お能の「舞い」がこんなに美しいものかと認識を新たにしました。
 アルゲリッチさんは対談のなかで、大槻さんとグレン・グールドの誕生日が同じ9月25日であることに触れていました。グールドは1932年、大槻さんは1942年です。
 手許にあるLPレコード「パルティータ第2番ハ短調 BWV826」は、若い頃連れて帰ったものです。30代前後の演奏でしょうか。軽やかな曲想が素敵ですが、今回の演奏はこれまでの生き仕方が加わりぐっと迫ってくるものがありました。グールドが若い頃と晩年の2回録音した ゴルトベルク変奏曲と同じ印象を持ちます。

 アルゲリッチさんは「言葉で説明できることは音楽で感じることの数%しかない。言葉で表現しないようなことを感じるのが音楽で、知らないことを知りたいと思う気持ちが音楽になったりすることもある」と言います。なるほど、そういう捉え方もありますね。

 ところで昨日、読み終わった本を段ボール箱に詰めてブックオフに送る準備をしているとき、多田富雄著「生命をめぐる対話」(大和書房)に目が留まりました。老い、死、言葉、都市、文化など様々な生命現象をテーマに著名な11人の方々とお話しになったことをまとめたものです。 ぱらぱらと捲ると、五木寛之、井上ひさし、日野啓三、橋岡久馬に次いで「白洲正子~ お能と脳死体験」が登場します。病み上がりの白洲さんを見舞った際のやり取りです。お能を自ら舞う白洲さんと、学生の頃から鼓を習うなどお能に造詣が深い世界的な免疫学者・多田先生の対談。ついつい作業の手を止めて読み返してしまいました。もちろん、この本は手元に残すものです。
 明日は、「わかりやすい能と古典文学講座」があります。珍しく中国を舞台にした「昭君」がテーマです。講師の能楽師・山下あさのさんは、来週15日に広島市内の能楽堂で「山姥」のシテ役を演じられます。来月には大槻能楽堂で能「熊野」の地謡をお務めでもあり、出かける予定です。

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ハッピードリームサーカスに孫娘を連れて行く。

2025-06-05 19:32:04 | Weblog

 そろそろ梅雨の足音が聞こえてきそうですが、今日は朝から晴れわたりお散歩も気持ちよくできました。裏庭の紫陽花のうちカシワアジサイも見事に咲いています。このアジサイ、3年前に近所の花屋さんでよれよれになっていた苗を120円で連れて帰ったものです。ずいぶん大きくなって、そのうち庭の一画を占めるかもしれません。
 ユズの苗木の葉っぱにアゲハチョウの幼虫が何匹か這いずり回っているのを見つけました。脱皮の準備を始めている子もいます。小さい頃はグロテスクな姿をしていますが、この時季になると晴れやかな衣をまとっています。蝶に変身するのも間近かも。画題収集のためぱちり写真におさめました。
 そんな穏やかな某日、子育て期間を在宅勤務でやりくりしてきたSEの次男君が、孫娘を連れて突然やってきました。コロナもおさまり今月から全社的に元の出社体制に戻るそうで、土日をはさんで最後の数日を年次有給休暇をとっての帰省です。急だったので何の予定もなく、(大阪関西万博は人が多そうなので)ネットでみつけたハッピードリームサーカス公演に孫娘を連れて行きました。
 サーカスは、子たちが小さい頃に木下大サーカスに一度だけ連れて行った記憶があります。当時はゾウやライオンなど動物ショーが見ものでしたが、近年サーカスでの野生動物利用を禁止する声が高まっているようで、このサーカス団では動物たちは登場しません。でも、団員の皆さんの軽快にして絶妙な演技に楽しいひとときを過ごしました。帰りに舞台の前で孫娘と写真を撮りました。
 目を引いたのはピエロ役を演じる13歳のルーズベルト君でした。会場を所狭しと動き回って雰囲気を盛り上げていました。一輪車の技もよく頑張っていました。ネットで調べてみるとサーカス団は数カ月単位で全国各地を移動していて、その都度子供たちも転校しなければならない環境にありますが、天真爛漫に振る舞う彼の姿が印象的でした。一面、哀愁を誘うお話しですが、それぞれの環境のなかでみんな精いっぱい楽しく暮らしている現実がそこにはありました。
 そんな私も今夏後期高齢者になります。先日、市役所からマイナンバーカード・電子証明書有効期限通知書なるものが届きました。誕生日を迎える3カ月以内に手続きするようにとのこと。
 市役所までいくのは面倒だなあと思いながら資料に目を通すと、スマホやPCから簡単に手続きができそうです。PCでやってみると申請者IDをキーに簡単にできました。顔写真も読み込んでくれます。これならパスポートの延長申請もオンラインでできそうです(笑)。
 つい最近、電鉄会社のクレジットカードがVISAからJCBに変更になったことに伴い交通系カードを含めて更新手続きをしたばかりですが、お爺さんは世の中の進歩に必死で追いつこうともがいております(笑)。
 そうそう、きのう毎日新聞に今夏開催の高野山夏季大学(8月1日から3日間)の受講生募集社告が載っていたので早速申し込みました。2年ぶり4回目です。年に一度は宿坊に泊まって弘法大師が平安時代に開いた真言密教の聖地でお勉強するのも良いかも。

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