琵琶湖東岸、白洲正子の「かくれ里」でも紹介された鄙びた古刹の石段参道途中に有る石仏です。
桑実寺(くわのみじ)は、西国三十三箇所観音霊場、観音正寺の在る繖山(きぬがさやま)西麓に有る名古刹、藤原鎌足の長男、定恵が白鳳6年(677年)に創建したと伝えられ、唐から持ち帰った桑の実をこの地で栽培、日本で最初に養蚕を始めたことに由来するという。
本堂は里の集落より約20分、乱積み石段参道を登りきった山中に有り、檜皮葺きで威厳の有る建物が建つ。
この本堂脇を抜け、観音霊場、観音正寺へも参詣道は続いている。
因みに石仏とは関係ありませんが本堂内須弥壇、本尊は薬師如来ですが秘仏のようです。
本題の石仏は、里の集落より参道を歩き初めて直、参道右脇の簡素な地蔵堂に祀られています。
薄い縦長自然石の表面を舟形光背状に削り整え、像高約120cmの地蔵と思われるローカル色豊かな石仏を薄いレリーフ調に刻み出している。
右手に錫杖、左手に宝珠を持っているように見えますが・・・・、どうも頭部が妙です。
上部に滲み状菌糸が繁殖、見辛くなっていますが、頭部が段違い・・・これは僧形じゃなく如来形。
儀軌には反するが地方色豊かな地蔵さんとしてありえる事かな??
因みに南北時代の造立だとか。
撮影2010.2.13