愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

奈良県十津川村、三浦の棚田

2010年07月28日 | 棚田景観


多分1軒か2軒で耕作してるだろう?ミニ棚田です。


それでも、尚この美しい棚田は紹介したい。


十津川村は言わずと知れた紀伊半島ど真ん中辺りにある辺境の地、日本一面積の広い村として知られているが、明治期には山津波の為、村を挙げて北海道に新天地を求め新十津川村を切り拓いたという苦しい歴史も秘めている。



十津川村の山並みを縫ってあの高野山から、熊野本宮へ通じる参詣道が世界遺産熊野参詣道で小辺路(こへじ)と呼ばれています。


其の熊野参詣道の三浦口から三浦峠道の登り途中に三軒ばかしの三浦集落があり、今でも車の進入できる道路は無く日常的にこの熊野参詣道を生活道路として利用している。



麓の県道733号線からは,神納川に掛かる吊橋を越え、10~15分程度の登りであるが、今時車が入らない集落など考えられないが・・・・。


其の昔、蟻の熊野詣でと呼ばれたように、この細い急な登りを人波が続いたのかと思うと信じられない。


 


 集落の民家、此処にはまだ人の生活がある。



棚田は昔のままに弧を描き美しい。


 



小辺路は民家の軒先を通り棚田の脇の畦道と間違うほど



これがかっての幹線道路?



登りには、わずかに石畳も残るが、荒れ果てた建物には最早人の気配は無い。


撮影2010.7.24



三重県亀山市坂本の棚田

2010年07月27日 | 棚田景観


古く懐かしい棚田の風景と真新しい近代的な高速道路橋のコントラストが見事に調和した此処だけでしか見られ無い見事な景観をかもしだしている。



此処は鈴鹿山系亀山市の西部、石水渓へ行く途中にある坂本の棚田。



県道302号石水渓線を走って行くと右手に棚田の看板が見え看板どおりに右折、斜面に沿って登って行くと新名神道の橋脚の下を通って斜面一面に広がった棚田を見ることになる。




棚田の始まる辺りには立派な駐車場が用意されていて此処で車を乗り捨てて歩くのも良い。


集落は棚田の中段部に集中して立ち鎮守の坂本神社も其の一角の少し高台に鎮座していて、境内のには棚田を見渡せる展望台まで用意されている。




此処がこの棚田のベストポジション、見渡す限りの棚田の向こうに新名神道の橋脚が浮かび上がる。



更に集落を越え棚田の最上部にも行って見るが集落が邪魔をして思ったほどの景観は見られない。





坂本の棚田は、鈴鹿山系野登山麓の斜面約23ヘクタールに約440枚の田があり、棚田はすべて石積みがされ、地元35戸ほどの農家の手によって守られています。




勿論「日本の棚田100選」に選ばれている。


撮影2010.6.20




京丹後市、磯の棚田

2010年07月26日 | 棚田景観


袖志の棚田からR178で丹後半島を約1時間足らず走り、網野北小付近で右折海岸線の走る県道665で暫く走ると小さな磯の集落を越えこの棚田に着く。




誰がどう見ようがたったこれだけ、2~30枚足らずの海岸段丘に有る小さな棚田。



それでもこの棚田はちゃんと紹介されていて存在感を持っている。



それは日本海を真正面に望む棚田で海と棚田のコントラストが絶妙にマッチしているからなのだろうか??



あるいは近くにある静御前の生誕地に有る棚田としてなのだろうか??



静御前が生まれたという磯の集落。




ここも山が海岸まで迫り、野猿や猪の被害が多いのか、何処の棚田でも見かける電気柵が貼りめぐらされて物々しい警戒体制です。


道路の山側にも棚田の跡のような耕作放置斜面が見られて其の昔はこの辺り一面に棚田が広がっていたのだろうか??

 

撮影2010.5.29






京丹後市・袖志の棚田

2010年07月22日 | 棚田景観


丹後半島2つ目の棚田もやっぱり海を望む棚田です。



伊根町新井の棚田から海岸線を走りぬけR178で半島の最北端教が岬を目指す事約30分、経ヶ岬のレストハウスの有る峠を下れば直ぐに袖志の棚田が左手前方の斜面に広がるのが見え、もちろん道路の右側は砂浜の綺麗な袖志の海岸。


棚田への入り口には大きな看板と広い駐車場がされて用意いて良く整備が行き届いている。



斜面の道を少し登れば一面に続く棚田と小さな袖志の集落、その向こうには美しい海岸線と日本海の水平線、まるで絵に描いた様な景観が広がっています。



棚田の真ん中には谷川が・・・・一番奥に突き出しているのが経ヶ岬。



棚田の斜面は比較的穏やかで農道もよく整備され一枚あたりの面積も広く、機械も入る様で耕作放棄田もそれほど目立って多くない。




袖志もやはり海岸線に有る集落、は半農半魚らしいが近くに小さい漁港でも有ったのだろうか??砂浜の海岸線があるので夏場は海水浴場として賑わうのだろうか??



400枚の棚田を約60戸の農家が耕作管理している様で、平成10年度に、第7回「美しい日本のむら景観」コンテストで「むらづくり対策推進本部長賞」を受賞した。




又「日本の棚田100選」にも選定され、若狭湾国定公園区域にあって、海と里山と棚田集落が調和した美しい景観をなしている。


撮影2010. 5.29



京都府伊根町の「新井(にい)の棚田」

2010年07月20日 | 棚田景観


 海の見える棚田を観たいと、我が京都でも南端の山城に住む僕にとっては、大阪や三重、和歌山よりも遥かに馴染み薄く、遥かに遠い京都府最北端の丹後半島に出かけた。


丹後半島は,あの天の橋立を根元に日本海に突き出した半島でその最先端には経ヶ岬灯台が在って、映画「新・喜びも悲しみも幾年月」の舞台になった所として知られている。



天の橋立から丹後半島に入って行くと最初に行くことになる海の見える棚田は新井の棚田で、遥か眼下にひなびた漁村を見渡す事の出来る素晴らしい景観です。


178号線丹後半島を北上、あの舟屋で有名な伊根町の役場を越え、舟屋への看板の有る交差点の次の脇道を右折,集落を越えて山道を抜けると視界がひらけ眼下に日本海の水平線が霞んで見える。



くねくね続く田舎道を下って行くとこの「新井の棚田」が遥か眼下の漁村と共に飛び込むその景観は山城の里山育ちには感動物です。




思ったよりも少ない枚数、耕作放棄された棚田も多く、この自然条件の険しいところでの稲作がいかに過酷なもので有るかが伺える。




その昔この斜面は海まですべて新井の棚田が広がっていたようだが、景観が美しければ美しいほど自然は人間には酷しいのだろう???などと考えると僕は涙を禁じえなく成ってしまってふと遠くの水平線の目を移す。


もういずれいつの日か原野に帰る日近いかも??



棚田の下を舟屋から続く新しい道路が走るが、この道路からは頭上に有る棚田の存在など全く気づかない。



棚田を下って新井崎港へと行ってみたが閑散としていて人影もなかった。



ここは半農半漁の集落なのだろうが辺境の地には何もかもが厳しいのだろうか??



集落の出口?(入り口)辺りには新しく圃場整備のされた棚田が広がっているがイマイチ感動はない。


見るだけの人間というのは勝手な事云うものだと思う。


撮影2010.5.29




京都市右京区嵯峨・越畑,樒原の棚田

2010年07月16日 | 棚田景観

京都市内にも棚田があると言うことで出かけてみる事にした。

勿論京都市内といえども民家やビルの立ち並ぶ市街地に棚田があるわけも無く、右京区嵯峨越畑町と言う市内とは名ばかりの山また山の狭間、京都市街から行くよりも京都縦貫道で亀岡の先千代川インターで降り、R9、R477を経由、ちょうど火伏の神として有名な愛宕山の裏側辺りに入って行く。

途中R477から右折すると越畑集落の中心辺りに出会う、この辺りは京都市、亀岡市、南丹市との境界に近く、深い山懐に有って鄙びた里山の雰囲気を良く残している。

 集落の中を行く府道50号線へ右折すると右手眼下一面に棚田が広がる

 宕陰中学の有る前辺りには車を何台か置ける空き地が有ってこの辺りから見渡す棚田がベストポイントのようです。

此処を訪れた5月8日、山里の早い田植えが始まっていて、どの棚田にも水が一杯に張られ三々五々早苗が風にゆれていた。

 地蔵山西側斜面を利用した棚田は約800枚、圃場整備がが行われたのか直線の幾何学的な棚田も多くちょっと艶消しの感も否めないが、畦道に残る稲木や弧を描き谷に落ち込む棚田も残り萱葺き屋根の見え隠れする集落と共に懐かしい日本の里山の風情をかもしだしている。

 此処より道なりに北上、集落のはずれには棚田中段に素晴らしい萱葺き屋根の長屋門を持つ 京都市登録有形文化財「河原家住宅」が有って其の威容に誰もがふと足を止めて見たくなる。

なんとも懐かしい姿をとどめていて、それはそのまま時代劇映画の一コマ、江戸時代から時間の止まった様な景観を見せてくれている。

現在空き家だそうですが何とかこのままの姿をいつまでもとどめておいてほしいものです。

樒原は越畑の棚田をこえて南進約1km足らず、集落の入り口には小さな鎮守の原神社、道路を挟んで其の前一面に素晴らしく弧を描く棚田が広がっている。

水が入って鏡面のように輝く棚田、大きく弧を描く畦道、薫風にそよぐ早苗は例えようもなく美しい。

これもそれも人々が腰の曲がるほどに辛い作業を営営と続けてきたからの景観に他ならない。

帰りは そのまま府道50号線で保津川沿いにあの有名な観光地の嵐山に出てきた。

途中の六丁峠より見た保津峡

撮影2010.5.8

越畑の棚田

河原家住宅

樒原の棚田


岐阜県恵那市、坂折の棚田

2010年07月15日 | 棚田景観

中山道,木曽路は深い山の中、中央道恵那インター辺りは連なる山々の谷間を縫って高度を上げていく。

巨木追いのついでに寄り道することの多い棚田、今回も恵那地方の巨木を訪ねたついでにの寄り道。

恵那インターで降り,県道68を北進、木曽川を渡りしばらく木曽川沿いに西進、道なりに中野方まで進むと「坂折の棚田」への表示板が目に留まる。

道なりに高台の集落を抜けると駐車場を備えたベストスポットが用意されていて坂折の棚田を一望の基に見渡せる。

坂折の棚田は、今から400年ほど前から築かれ始め、明治時代初期にはほぼ現在の形に形成されたようで、中央には坂折川が流れ、その両端の山裾、東向きの斜面に広がる棚田です。

「はしご田」と呼ばれる石積み棚田が点在する全国でも有数の美しい景観を有しており、「日本の棚田百選」に認定され、棚田面積・・・14.2ha、棚田枚数・・・整備前468枚 整備後360枚 棚田所有農家数・・・35戸なっています。

特に僕の訪れた田植時の眺望スポットから俯瞰する棚田の景観は実に素晴らしく日本の原風景を偲ぶに難くない。

この棚田に来るまで道路沿いにはこの恵那地方木曽川流域特有のヒトツバダゴ(なんじゃもんじゃの木)の自生地もあり、其の見事な花は必見の価値有り。

撮影2009.5.23

http://watchizu.gsi.go.jp/watchizu.aspx?b=353118&l=1371708

 


兵庫県香美町、西ヶ岡(和佐部)の棚田

2010年07月11日 | 棚田景観

 


兵庫県但馬地方は冬には雪深く、スキーゲレンデの多く集まる地域として、また自然がそのまま残る地域としても知られています。


西ヶ岡(和佐部)の棚田のある美方郡香美町村岡地区は、其の但馬地方でも、あの春来峠で県境を接する兵庫県西端に当るところです。


国道9号線を京都方面から来ると、鉢高原のスキー場密集地域を越え、村岡トンネルを潜ると最初に出逢う枝道の266号線を左折し、また初めて出逢う和佐部集落への枝道に入っていく。


集落を抜けると林道紛いの道が続くが、殆ど軽四の農耕車両がやっとこで、其の上勾配も急で車の運転が未熟な人には決して進められない。、



急で細い坂道を登りきると見下ろすように見渡せる棚だの景観は素晴らしく、数十メートルの湾曲を描きつつ下方へと続く棚田は絶景であり、なんと云ってもこの棚田での点景として但馬大仏で有名な長楽寺の本堂や五重の塔がが借景として花を添えている。



棚田全体に良く整備され、撮影絶景ポイントなども事細かに表示されていたりして至れりつくせり。



和佐部集落の入り口辺り・車載カメラから・・・。






集落から棚田へ続く道は離合も困難でヘアピンカーブの連続で高度を上げる・・・。



辿りつくと目の前には素晴らしい景観が眼下に広がる。



      



 


田植えが終わったばかりの早苗はまだまだひ弱いが、この景観にはただただ脱帽・・・・





此処までには延々とした人々の汗と、生きることへの執念が強く感じられる



桑の木越しに見る棚田




 標高約400m、水田の数約400枚、日本の棚田100選に選定されている




畦道には園芸品種かと見紛う様な山ラッキョの花が乱れ咲いていて美しい。




帰り道の車載カメラから・・・・・、車が宙に飛び出すような厳しい下り坂が続く。


撮影2010.6.12



岩座神(いさりがみ)の棚田

2010年07月06日 | 棚田景観




現在では差別用語として全く使われなくなった言葉で下肢が不自由で歩行不能な人のことを「いざり」と言うのが有るが、其の言葉の語源じゃないかと思わせるような漢字で表す岩座神。 




兵庫県中部、丹波山系の最高峰、千ヶ峰の南麓、杉原川の支流多田川の最上流域に位置し、麓の町からは5km以上も山の中です。
千ヶ峰は「仙ヶ峰」とも書き、「神おわす」との山岳信仰により「岩座神(いわすわりかみ)山」と呼ばれ、後に「いさりがみ」に変化したといわれているようです。










峠を越えて集落に入ると左手斜面一面に棚田が広がり、集落は棚田の所々に点在している。




岩座神の棚田は鎌倉時代につくられたといわれる石垣の棚田で、何重にも積み重なった石垣の上に立つ鄙びた萱葺き屋根もたまらな景観です。







萱葺き屋根の表面をブリキ板で包んだ建物は何処の田舎でも良く見られる。
















集落の中央を貫く道路を道なりに進むと滞在型市民農園施設「クラインガルテン岩座神」の施設や千光寺のある高台に出て棚田全体を見渡せる。










クラインガルテン岩座神付近からの景観







集落入り口方向の高台から見る棚田。



岩座神集落は戸数約20戸、凡そ300枚の棚田が有り日本の棚田100選に選ばれている。




撮影2009.7.4



大阪府、能勢町長谷の棚田

2010年07月04日 | 棚田景観


大阪府の北端、丹波山系の連なる山懐に在り、兵庫県丹波篠山や京都府丹南町などと接していて大阪というイメージよりも丹波文化臭の強いところです。




大阪方面から国道173号線を北上、能勢町の中心部に近い来栖信号を左折、その後道案内の看板の指示通りに進むと左山裾一面に広がる棚田が見えてくる。



棚田の所々には民家が見えて点景として素晴らしい。



集落の西端まで進むと道成りに登りと成って棚田中段に出る。




丹波風の萱葺き屋根の民家が棚田の曲線と素晴らしい景観を醸し出している。




もう一段上に登る道路が2箇所にあってこちらは東側の道路を登ったところから。 


 


棚田枚数は約200枚以上、伝統的な石積により構成され、潤いある農村景観を残し、その築造年代は文禄年代(1591年)以前にさかのぼるといわれている。


 


 


 もう一本の道路から最上段に登って見ると遥か下の方まで連なる棚田が見事な弧を描いている。


撮影2009.7.11