前回紹介の鍵集落の隣、今里集落でも同じ日に蛇巻きの野神行事が行われる。
こちらは午後から準備に取り掛かり全て完了するのは長い夏の陽がとっぷり暮れる頃になってしまう。
鍵集落の蛇巻きをそこそこに切あげて、この今里の杵築神社と正福寺が立ち並ぶ神仏混交が色濃く残った境内まで来たところ、こちらものんびりしたものでまだまだ蛇縄の編みこみまでにも至ってなかった。
蛇頭を神社拝殿の柱に結わえ長い縄を何十人もの氏子たちが持って今年刈り入れた新麦藁を編みこんで長さ約18mの蛇体を作っていく。
出来上がるまで約1時間、見物人はすることもなくただただ眺めるばかり、これならもう少し鍵集落の蛇巻き行列に付き合っていたほうが良かったと少し後悔・・・・・。
蛇縄が完成して境内の端から端までに延ばされ女竹8組と樫の枝8本を完成した蛇縄に飾りつけて拝殿では神事が行われる。
ここでも農作物の豊穣を願うと共に男の子の成人を祝う農耕儀礼だとされています。
ここではこの集落にすんでいる12歳~15歳の男子を「頭持ち」と呼んでいてこの行事の主役とされている。
神事の間には見物人に蛇を形どった餅藁でワカメの味噌煮を結わえた賄いものが供される。
(僕の口には合わなかったけどね)
神事を終えた若者が蛇頭を担ぎ村中の各戸を1軒1軒廻り始める行列が動き出したのはもう四時・・・・、。
民家の玄関先に蛇頭を進め各戸ごとに「おめでとう」と掛け声をかけて回る。
ここの蛇頭は鍵集落の物ほど大きくも重くもなく行列はスムーズに運ぶ。
集落内を全て廻り終えた蛇は神社境内横にある榎木にここでは蛇頭を梢にまで持ち上げ巻きつける。
鍵集落では蛇頭が下で「下り龍」ここ今里では蛇頭が上で「上り龍」と呼ばれ、またどちらかを雄綱、どちらかを女綱と言う呼び方もするらしく、この二つは対を成すものだと考えられているそうです。
ここでは「蛇巻き」と云い・・・「上り龍」と云い・・・、蛇と龍は全く同じものです。
蛇が巻きつけられた榎木の根元には八大龍王の小さな石祠が在って、頭持ちの若者たちが造った絵馬(牛馬の)と農耕具のミニチュアが供される。
撮影2009.6.7