愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

栗東市、観音寺の勧請縄

2009年04月12日 | 勧請縄:山の神:野神:人形道祖神


ここは今年になってもう何度往復したことか・・・


何度行っても誰一人出遭うでもなく、、この山上の小さな集落への入り口にある勧請石柱には昨年の、疲れ果ててすっかりぼろぎれのようになった勧請縄の残骸が残っているだけでした。


最終も最終、前回紹介の古高町からこちらに足を伸ばしてみると待ちに待った真新しい勧請縄にかけ替えられていました。



ここ観音寺集落は、栗東市街地より、往古金勝寺文化圏の中心だった金勝山(こんぜやま)の麓を縫う県道12号線で約15分ほど南下、競馬馬の栗東トレーニングセンターを越えてしばらく行くと左手に小さいながら観音寺の看板が見えるのでその道を左折、そのまま道なりに、どんどん進んで10分も走ると観音寺集落のこの勧請縄の前に出る。


観音寺集落はその名でも解るように集落の最奥には観音寺と言う古刹があって同境内には白山神社が鎮座している。



車を降りて振り向けば、ず~っと向こうに琵琶湖、その奥に比叡の山並を望むことが出来るほどこの地は山の高所、山の斜面に20軒ほどの民家が軒を並べている。



集落入り口の石柱に鉄製のポールを渡し、それに勧請縄をくくりつけている。


この縄にも以前は木製の「蛇頭」が付けられて居て、大蛇に見立てられていたようです。



長さ約7m、縄の中心辺リ上部には漆の枝の矢を12本突き立て、下部には樒の小枝を付け下げ、周りには「狐のたすき」と呼ばれているヒゲカズラもつけている。


ヒゲカズラを勧請縄につけているのはここで見るのが始めてです。



観音寺の勧請縄はオコナイの行事として旧暦の2月1日から編みたてられ、この石柱に吊られるのは6日目の早朝だと言うことで、この近江においても最終の勧請掛けではないかと思います。


2009.3.1


MAP


守山市古高町、大将軍神社 (タイショウグン) の勧請縄

2009年04月11日 | 勧請縄:山の神:野神:人形道祖神


近江ではほとんど最終の勧請掛けです。


新年度の始めから追いかけてきた縄もいよいよ今年の大詰めといったところです。


1月にこの神社に寄って見ましたが何処にも勧請縄の気配が無く、たまたま通りかかった古老の氏子の人に訊ねたところ、今年は2月23日に行われるということで


僕がここを訪れたのは3月1日に成ってしまいました。


守山市は琵琶湖南東岸の穀倉地帯にあるが最近工業化が進み、この大将軍神社のある古高町も県道脇に近郊型ショップが軒を並べる通りから脇道に入った旧集落の中にある鎮守の杜を持つ神社です。



表通りの賑やかさからは隔絶されたような旧集落のこの神社の前は、掘割が流れる懐かしい景観の中にある。



さほど広くない境内だが良く整備整頓が行き届いていて集落の公会堂も同居、地域の憩いの場としても親しまれているようです。




境内から拝殿への入り口に四脚門があって、その梁を利用して勧請縄が吊られている。



この勧請縄は花勧請と呼ばれ、一種独特な構造になっていて、勧請縄の主となる太縄が無い。


門の両脇の木組みに二本の青竹を渡し、内1本には樒と幣を飾った左右6組づつの小勧請が吊るされ、二本の竹を利用して左右の中心には「月の輪」と呼ばれる藤の蔓で二重の輪を作り、それに三本の竹を*字形にしたものをつけている。



太縄の無い勧請縄はどこか物足りなさを感じないわけではないが・・・・・・。


尚、花勧請は11月23日の秋季例祭の日までここに吊るされ、その日に焼かれるそうです。


撮影2009.3.1


MAP


草津市老杉神社の蛇縄

2009年04月09日 | 勧請縄:山の神:野神:人形道祖神


最近都市化の波が押し寄せ発展著しい湖南の草津市市街を湖岸方面に進むと市街が途切れた田園地帯の一角にこんもりとした鎮守の杜を持つ下笠町に入る。



県道から集落に入り込む枝道を進めばそのままこの大きな石の鳥居(二の鳥居)の前に出る。



ここでは、オコナイの一部としてこの蛇縄が掛けられるそうです。


老杉神社のオコナイは民俗学的にはかなり興味深いものだそでかなり有名なようですが,それは、さて置き・・・・・・・・。



画像でもわかるようにこの鳥居に掛けられた勧請縄は完全な蛇頭を持つ蛇縄で、その造形にも目を見張るものがあって、まさしく邪気を追い払うがごとき形相の蛇頭がにらみを利かしているように見える。



蛇縄は通常の歳には十二尋(ひろ)、閏年には十三尋の長さに編上げられているということです。


蛇縄の中程には小勧請も付け下げられていますが、これだけの蛇縄本体を見せつけられると小勧請の事がおろそかに成ってしまい、今となっては良く思い出せません。



写真を良く検証してみると蛇胴には4箇所に、割り竹で環を作り、それぞれに榊の小枝を付け下げている。


これがこの下笠町のオコナイの一部だそうだからオコナイ全体に掛ける労力や時間は途方も無く甚大なものなのだろうと想像がつく。



伝統習慣を守り続ける大変さには頭の下がる思いです。


撮影 2009.3.1


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日野町原、芦谷神社の勧請縄

2009年04月07日 | 勧請縄:山の神:野神:人形道祖神


前回紹介の新出町から南進、丘陵のゴルフ場内を通過する県道で日野町杣に出る。


最初の信号を左折して県道168号線で鈴鹿山系の方角に進んでいくと突き当りが原の集落でそれより奥に道は無い。



原の集落は鈴鹿山系の山裾の西面する斜面に建ち並ぶ里山集落でおおよそ50件ばかりが軒を連ねている。


集落のはずれ最奥の山手斜面にこの芦谷神社が鎮座していて静寂の中にで鳥の声だけが響いていました。


 


脇参道から境内に入る石段脇の二本の木立の間に勧請縄が掛けられていて重いほどにいっぱいの樒の小枝を着けた小勧請が目に付く。



小勧請は十二下がり、ここでも縄の片側には大きなワラフサが付けられていましたが前回の 八千戈神社とは左右が逆になっているのが気に掛かります。




左側の勧請木の根元には10本の幣をつけた小杭が立てられていてこれもあちこちでよく見かける呪具です。


二本足りない様ですが、近くに転がっていました。



撮影2009.2.14


MAP


新出町 八千戈神社 (ヤチホコ) 神社の勧請縄

2009年04月05日 | 勧請縄:山の神:野神:人形道祖神


この八千戈神社 の在る新出町は前回紹介した市原野町の西隣の集落で、丘陵斜面に軒を連ねています。



神社は集落の西はずれの小高い丘の上にあって、小さな境内の村の鎮守といった感じです。


この辺りは勧請縄行事の濃密な地域で何処の神社に行っても出会えるような所です。


この縄もまったく何の予備知識も無く、たまたま出会えた勧請縄です。



東近江の勧請縄としてはスタンダードな造形ですが、前回紹介の市原野町とは目と鼻の先なのに縄の造形にはこれだけ差があるのは興味深い。



ここでは大きい藁房は片側、藁房の方が蛇頭なのだろうか??


縄の中心にはスギの小枝で作った輪のトリクグラズ(鬼)、輪の中には若竹で十字を組み、小勧請にはユズリハとスギの小枝、太縄の上には篠竹につけた幣を立てている。


惜しみなくば地上すれすれではなく、もう少し高く掲げてもらいたいなあ・・・。


この低さには何か意味でもあるのだろうか??


撮影2009.2.14


MAP 


市原野町白鳥神社の勧請縄

2009年04月04日 | 勧請縄:山の神:野神:人形道祖神


東近江市の山手、日野町と境を接する丘陵地の裾野にある里山集落。


この辺りの集落には白鳥神社がいくつも在って、近在近郷、濃密な関係であったことが伺われる。


神社は集落の南はずれに在って小さな鎮守の森になっている。



参道入り口に立つ石鳥居前の両側の杉の木を勧請木として、この地域に多い両端に太い藁飾りをつけた蛇縄が掛けられている。



太縄の上部三箇所には竹串に刺された蛇縄のミニチュアのような縄が付けられ、中央には割り竹で編んだ篭目、篭目には粋狂なのか蝶を思わせるような形の水引細工が付けられています。



これで呪具としては充分過ぎるのでしょうが小勧請が無いのは少し寂しい気がしないでもない。


蛇を二重にも付けるのがちょっと珍しい。


篭目に付けられた水引が一体何なのかちょっと気になります。


撮影2009.2.14


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東近江、今代町の勧請縄

2009年04月01日 | 勧請縄:山の神:野神:人形道祖神


もう花の作時期になっているのにいまだに新年行事で有る勧請縄の紹介です。


又又東近江の勧請縄で、旧八日市市と旧永源寺町の境に近い今代町の勧請縄。


この辺りは田園地帯の広がる中にポツポツと小さな集落が点在する地域ですが幹線道路に近くには工場や大きな倉庫なども見受けられるところです。



集落内のほぼ真ん中辺り、辻のカーブミラーを利用してこの勧請縄がつり下げられています。


縄は写真の様にミニタイプのもので長く掛け渡されているものでは有りません。



カーブミラーに蛇縄を巻きつけるように吊り下げ、榊の小枝を付けた小勧請や篠竹につけた幣などを飾り、駒形の祈祷札をつけている。


奇妙な字並びではあるが天下泰平、日月清明、風雲順次、五穀成就、後は五如来の名と、多分その種字だろうと思われる梵字を書き付けている。



まるで二つの丸いカーブミラーが大きい目玉で村への闖入者を見張っているかのようでした。


撮影2009.2.14


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