愛しきものたち

石仏、民家街並み、勧請縄、棚田景観、寺社、旧跡などが中心です。

十国台の阿弥陀三尊石仏

2008年10月20日 | 石仏:奈良

東大寺大仏殿の裏、大仏池を掠めて、奈良奥山ドライブウエーが御蓋山(三笠山)頂上へと通じている。

若者や家族連れの観光客を乗せたマイカーがひっきりなしに通りすぎるていく道路わきに、小さな三体石仏と書かれた案内板が立てかけられては居るが殆どの車は目にも止めずに過ぎ去ってしまう。

勿論付近には駐車場なども無く、車で訪れた場合には道路わきにでも駐車しなくてはならない羽目になる。

ドライブウエー脇から、道などない原生林の中を暫く下っていくと石柵に囲われたこの三体石仏が見えてくる。

昼なお暗い、原生林には散り積もった枯葉を踏みしめる音と野鳥のさえずり以外に聞こえる物音も無く、森閑とした佇まいです。

ここを訪れる人などまったくいないような佇まいで、その形跡などまったく見つけることが出来ません。

カンナボ石を高さ1.4m幅1.5m舟形に削りだし、阿弥陀を中尊に右に十一面観音、左に弥勒仏を脇侍にした厚肉彫りの阿弥陀三尊石仏です。

容姿も整い風化磨耗も少なく、鎌倉末期の作だといわれています

撮影2007.5.12

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地獄谷聖人窟

2008年10月14日 | 石仏:奈良

地獄谷聖人窟だけを訪れるなら、奈良奥山ドライブウエーの高円山(たかまどやま)コースの終点になる地獄谷の駐車場に車を捨てて直ぐ脇の山道をアップダウンしながら歩くこと約10分程度で到着する。

僕がここを訪れるのは3回目、いつも若いカップルの散歩姿の見物人に出会う。

春日原生林の中を行く細い細い山道にデッキを設け粗末なベンチを置いた休憩所がある。

山肌には、これも粗末な覆屋を設け、正面は葉有刺鉄線とフェンスでこれ以上は近づくなと言わんばかりの、どうにも無粋な保存保護措置ががとられている。

まるで動物園の猛獣よろしくこの磨崖石仏は濃い緑、原生林の木漏れ日の奥、金網奥の石窟のほぼ暗闇に等しいところ刻まれている。

その名も示すとおり、かってここは葬送の地であったといわれています。

通称、聖人窟というのは、聖僧がこの窟内で護摩修法を行っていたことからでた名称といわれ、窟内の壁や天井は黒くすすけている。

かって、この春日原生林は山岳密教的な聖地であり、この一帯にこうした石仏の多くが知られている。

奥まった正面にはっきりと残っている三尊は、中尊には色々と説はあるようですが二重円後背を背負った線彫り彩色の如来型坐像、像高約1m強、左脇には円光背を背負った如来立像(薬師如来?)右脇には同じく円光背を背負った十一面観音が彫られている。

説明書に拠ると正面に三体、右脇に一体、左脇に二体、ということですが、金網鉄柵越しの薄暗い石窟内は正面の三体を確認するのが精一杯です。

鉄柵の中央に1っ箇所カメラを突っ込めるだけの30cm角ぐらいの枠があって、撮影は好むと好まざるにかかわらずその位置からになってしまう。

やや稚拙な線彫りのように見えるが、のびのびとした流麗な線は荘重で、この磨崖のように金箔の跡も残り、彩色が鮮やかに残っている石仏も珍しいのではないでしょうか??。

像立、年代については諸説あるようですが平安末期から鎌倉初期が有力なようです。

撮影2005.9 :2008.6.7

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