三重県伊賀市、市街地の東方約15kmに霊山と呼ばれる山があり、その頂上には往古、伝教大師最澄が嵯峨天皇の勅願により創建されたと言われる霊山寺の遺構があります。
往時大伽藍を誇ったそうですが、織田信長の伊勢侵攻の際に焼失し、その後山懐に消失を逃れた十一面観音を本尊として再興されたようです。
そんな山頂遺構は奥の院として良く整備され、その参道は低山ハイクの場として人気があるようですが、そんな参道のあちこちに石仏や遺構が見られると言うので登って見ることにした。
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登り始めて最初に見たのがこの地蔵さん、箱型石仏としては中々立派なもので総高約80cmばかり・・・
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上部は御覧のように破損、風化も進み打ち捨てられたようになぎ倒された笹薮に立っていました。
桜地蔵と呼ぶようですが全く曰く因縁は解りません。
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これから登りがきつくなり、とろとろ歩いて約30分・・・特徴のある三角頭の磨崖石仏が見えて来ます。
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正面から見ると富士山を思わせる様な山形岩片の中央に方形を掘り下げ、その中に六体の地蔵立像を薄く刻み出している。
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この岩片は上部から剥離落下したものだろうか??元々こういう形であった物だろうか・・・正面には自然石の供台も設えられ時には御参りも有るのだろう??もはや変色した花や水が供されていた。
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像高約50cm、形式化略式化が進んだ江戸期以降の像立だろうか??
こうした一石六体地蔵は大和高原から伊賀、名張地方には多く見られ、野の仏として中々風情があって良いものです。
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その先鬱蒼とした見事な馬酔木林の中を進む・・・・、春先にはその甘い匂いに酔いそう。
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その先少し進んだ岩肌にも「さいの川」の表示があって三体の磨崖仏。
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風化劣化も激しいのか殆ど岩と一体化、良く解りませんがどちらも宝珠を持った地蔵のような・・・
共に稚拙な彫りですがどこかほのぼの・・・。
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傍らにももう一体の地蔵さん、こちらは少し時代を感じますが?やっぱり風化劣化が激しく何が何やら状態で像高約80cm。
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山麓の境内裏から参道へ入ったのが11時40分、あちこちで撮影、休憩、のんびり頂上に着いたのが13時10分、因みに境内は海抜433m、此処頂上は766m、たった300mばかし登り切るのに約1時間半も掛かってしまった。
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寺蹟は芝生公園のように成っていてこれといった遺構は在りませんが、宝篋印塔、宝塔等の残欠が残って居るだけ・・
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直立した軒反りには時代を感じますが?どうも寄せ集め感があります。
撮影2011.11.8