伊賀地方は近江や大和とともに勧請縄が多く残る地域です。
その中心地の伊賀上野北部丘陵地帯は阿山地域と呼ばれているところで、滋賀県の甲賀地域と山続きで接しています。
伊賀の縄は、ほとんどのところで川の瀬を跨いで掛けられていて、この伊賀地方の勧請縄の特徴です。
これは以前にも書いたように「厄は川からやって来て、村の富も川から流れだしてしまう」と言われていることに由来するようです。
ここ槇山は阿山地域でも一番奥地、甲賀寄りの河合川沿いに開けた里山集落です。
伊賀市中心方面からは県道40号線を北上、途中「阿山道の駅」を左手に見て約5分ほども走るとこの勧請縄の掛かる河合川を渡る橋に出る。
直ぐに交差点になっているが信号も無く、いたって交通量も少ない。
この交差点を右折すると少し空き地があるので車の駐車には事欠かない。
この辺りの河合川は道路よりかなり低いところを流れる谷川で、車を置いた空き地の川沿いに鉄製のポールが建てられ、対岸のクヌギの木の勧請木まで長さ約100mもあろうかと思われる長い縄が掛けられている。
谷川の両岸は深い竹林や雑木林に覆われていて、この縄全体を一望することは出来ない。
向こう岸に渡り雑木林を下りて水量の少ない河原に出ると、およその全体像が見える。
これは推量の域を出ませんが、上流側から見て右手に陰物、次に陽物と思われる藁飾り、右端には長い縄にしっかり結ばれて流れに漂っている草鞋が一足。
伊賀ではこうしたトンチじみた藁飾りが多く、微笑ましい。
たぶんに陰物、陽物は子孫繁栄、五穀豊穣の象徴、草鞋は集落から「お足」が流れださないようにとの願いなのだろう??
しかし草鞋を泳がせる勧請縄など聞いたこともないし、勿論見るのも始めてです。
撮影2009.2.21