弘仁寺奥之院と呼ばれる参道脇、暗い石窟の中に祀られ、今なお信仰篤い不動明王石仏。
弘仁寺は前回の柳茶屋辻を南へ500m、丘の様な虚空蔵山南斜面に建つ。
弘仁寺(弘仁5年)814年嵯峨天皇の勅願により建立、歴史深い古刹ながら、観光客など殆ど訪れる事もなく、鄙びた山寺風情が嬉しい。
その弘仁寺の東裏参道途中に、奥之院と称する小屋掛けが有り・・・・・
狭い境内の奥、斜面を背に簡素な覆い堂が懸けられ、堂内奥壁に正面を切石柱で組んだ石窟が、暗くてぼんやり見える。
御詣りがあったばかりか?まだ燈明が暗い窟内を仄かに浮き上がらせていた。
高さ1m程の山形花崗岩自然石の表面を火焔光背状に整え、像高約70cmの不動明王立像を半肉彫りで刻み出す。
像容は比較的整っているが迫力には欠け・・・更に哀しいことに腰から下部が埋められて居て見ることが出来ない。
像容や、付近の在銘作例から室町後期の造立だと考えられる。
撮影2012.7.28