ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

クララへの勝手な思い

2011年02月16日 | 思うこと
シューマンの曲が大好きです。今、弾いているダヴィッド同盟をその日最初に弾き始めると、もう一日中それをやっていたくなってとまらないので、なるべく他の曲を先にもってきて練習するようにしているくらいです。

シューマンの組曲というのは、このダヴィッド同盟舞曲集に限らず、子供の情景も、カーニバルもなにもかも、本当に胸がきゅんと締めつけられるような曲が多くて、まるで宝石箱の中に小さなとてもしゃれた宝石がたくさん大事に並べられているような感じがします。そんな組曲が大好きです。

ダヴィッド同盟の楽譜にブライトコッフ版を使っています。クララの編集によるものです。シューマンを弾くとき、いつもクララのことを思ってしまいます。

クララ・・・。彼女はどんな思いで夫のシューマンの曲を弾いていたのでしょう? お父さんのヴィークにピアノをしっかりと仕込まれて、豊かな愛情に包まれて何不自由なく育ったのでした。そして、シューマンとの結婚。強く結婚に反対されたのに、それを押し切って結婚したクララ。そこからのクララの人生は大変だったと思います。たくさんの子供を授かり、子育てをしながら、シューマンの才能を信じ、ずっと手助けをしていく。シューマンの力だけでは食べていけなくて、クララ自身がピアニストとして家計を助ける。きっと目まぐるしい毎日だったに違いないと思います。

ブラームスと出会って、気持ちが揺らいだのもわかります。だんだん、シューマンは自分の世界に入って行ってしまい、クララには理解できない世界を持つようになるのだし、それは病気でもあるのだからシューマンを責めることはできないにしても、クララにとってはつらい、孤独感を深めていく日々だったと思います。クララは、しっかり自分を律して子供を育て、ピアノを弾いて仕事をし、シューマンにも気を遣い、懸命に生きていたと思います。

楽譜に書かれているテンポの表示、メトロノームの表示があります。そのテンポのとり方が、甘いメランコリックなゆっくりの曲に関して、ちょっとだけ早目?と感じることがあります。このテンポのとり方に、甘過ぎず、だらしなくならない、そして、甘美へのよそよそしさなどを感じたりします。甘い夢は見ないわ!と拒否するところまではいかないけど。悲劇のヒロインになって崩れたりしない!きっちり律するものがどこかにあるような、勝手にそんな感じを受けます。もちろん、これはシューマンが作った曲なのですが、私はクララに重ねずにはいられません。そして、シューマンはクララだけを見て、クララの気持ちを投影しながら作ったとさえ思ったりするのです。



これらはみんな私の勝手な妄想です。でも、彼らの表面的な生活は調べれば分るにしても、彼らの気持ちの内面は永遠に誰にも分りません。だからこそ、それは私たちの勝手な想像に委ねられるしかないのです。私は、私の勝手な思いをクララに感じ、クララびいきです。

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