私の教室で、毎日誰か必ず弾いている曲の中にツェルニー30番とバッハのインヴェンションがあります。いろんな生徒が日替わりで弾くので、家族のものは私の練習中の曲と同じくらい、そのツェルニーとインヴェンションを自然と口ずさむくらいです。その曲がツェルニーということは多分知らないでいると思いますけどね。
昨今、素晴らしい教則本が山ほど出ていて、特に導入の時期の本は選ぶのが大変というくらいです。私も生徒の特徴や年齢などを考えて、導入には色々な教則本を使い分けています。そしてその導入の時期が終わったら、少し選択肢も落ち着いてきて、その時期くらいから必ず使用するのがツェルニーとインヴェンションの二つ。もちろんそれ以外にも色々と並行して使いますが、その部分はまた生徒によって使い分けています。
しかし、この二つは私としては絶対欠かせないものなんです。エチュードは、クラーマービューロー、クレメンティー、ツェルニーでもいろいろのもの・・・その他あります。全部やれたらやってもらいたいけど、そんなの不可能に近いので、その中からいくつかになってしまいます。そういう中で私の一押しがツェルニー30番。これはみんなにやってもらいます。
この曲集は、私自身は小さい頃あまり好きではなくてどちらかというと苦手でした。いつかも書いたと思いますが、音大も卒業して改めて30番を勉強したときにこの曲集の本当の良さが分かったのです。「毎日30番を全部通して練習。しかもかなり速く」こんな課題をアメリカで暮らしていた時に習っていいた先生から頂きました。「音大も卒業してからまたこれ??」と驚きましたが、実際に言われたとおりにこれをやったら、テクニックの向上にとても効果的でした。これはもうほんとにそう実感しました。色々説明してないでとにかくやるのが一番というくらい身体で実感しました。しかも、そんな風にして毎日弾いていたら、この曲の音楽的な美しさというものを発見するというオマケまでついてきました(子供の時はそうは感じなかったんですね)。ここでスケールやアルペジオをハノン的ではなく、音楽的に美しく弾くということも同時に学べるのです。ツェルニーへのご批判、色々ある中で敢えてこれを断固やっています。大人になってからこの曲集の良さに気が付き、練習の仕方なども変わりました。これは、実体験に基づいているので強い信念があります。もちろんこれだけでは、古典派のものに強いテクニックが重なので、別のものも加えてやります。
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カール・ツェルニー(Carl Czerny)1791年―1857年
ベートーヴェンの弟子であり、リストの先生でもあります。
バッハのインヴェンション、シンフォニアなどは、これはもうその理由を言うまでもなく誰にとっても欠かせない教材です。いきなりのポリフォニーは難しいので、その前段階でプレ・インヴェンションや、やさしいインヴェンション、さらに三善メソッドなどのポリフォニーの教材を取り入れて勉強します。その後にインヴェンションを始めています。
愛すべきツェルニーとバッハの教材。今日も、みんな頑張って弾いてくるかな?秋も少しずつ深まってきてピアノにまっすぐ向き合える季節でもありますしね。
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