年の瀬も押し詰まってまいりました。今年も一年間、色んな素晴らしい演奏に出会うことができました。これまでの私の場合、音楽鑑賞と言えば、生のコンサートにでかけるか、家でCDを聴くかの二通りが中心でしたが、今年はテレビ放送を録画して家のオーディオ装置につないで視聴するという方法を(ようやく)とりいれることにしたので、一気に楽しみがひろがりました。音の迫力が全然違ってきて、いままで以上にテレビ放送を楽しめるようになったのです。NHKの「クラシック倶楽部」や「クラシック音楽館」、それに日曜日の深夜から月曜日の早朝という絶対録画以外では観れない時間帯に放送している「プレミアムシアター」の三つが我が家の定番です。私にとって今年から初めてといえば、METのライブビューイングも外すわけにはいきません。これは映画館で観るメトロポリタンオペラのライブ上映ですが、映画館ならではの大画面と大音響で迫力満点です。というわけで、上記すべてのソースの中から私が選んだ2014年クラシックベスト10をご紹介します!
1位 マリア・ジョアン・ピリスのピアノ・リサイタル(アクロス福岡)
昔から大好きなピリスのピアノ。やっと念願かなって初めて生で聴きました。CDもいいですけど、やはり生演奏は格別。彼女の深い慈愛に満ちた表情、美しく繊細でしかもしっかりとした芯のある音色に触れて心が震えました。
2位 樫本大進・山田和樹(テレビ桟敷)
スイスロマンド管弦楽団を率いる山田和樹と樫本大進の共演。その素晴らしさは前にも書きましたので繰り返しません。この次は絶対生で聴きたいです。今後が楽しみです。
3位 マレイ・ペライアのピアノ・リサイタル(テレビ桟敷)
こちらはもう不動の名声を誇るベテランのペライア。いつも真摯にピアノと向き合い、その真面目で奥深い解釈が好きです。この人の演奏を聴いていると、やっぱり真面目っていいな、真面目はいいんだよと実感します。
4位 オペラ「マクベス」METライブビューイング(中洲大洋)
前にも書きましたがマクベス夫人を演じたアンナ・ネトレプコの歌と演技が圧巻でした。もうほんとにすご過ぎて今でも思い出すと鳥肌が立ちそうになるくらいです。同じMETライブビューイングではモーツアルトの「コジ・ファン・トゥッテ」も観ました。こちらもすごく楽しかったです。来年はもう少したくさん観たいと思っています。
5位 英国ロイヤルバレエ「ドン・キホーテ」(テレビ桟敷)
バレエは昔から好きで、娘にも習わせていました。テレビで久しぶりに素晴らしいバレエを楽しませてもらいました。アルゼンチン生まれのプリンシパル、マリアネラ・ヌニェスの演じるキトリが素晴らしかった! その小気味の良い、キレのいい踊り。小柄な身体に愛敬あふれる笑顔で、おきゃんなキトリを見事に演じてくれました。日本人ダンサーたちの活躍も素晴らしくて、画面に向かって贈る拍手に、ついつい力が入ってしまいました。
6位 パリ・エッフェル塔コンサート 2013(テレビ桟敷)
オペラ歌手やピアニスト、バイオリニストに大合唱団と、多彩な顔触れの出演者たちが次から次へと熱演する中、テノール歌手ヴィットリオ・グリゴーロの、これでもかというくらいコテコテの歌いっぷりに心を奪われました。彼よりもきれいな声の持ち主は他にもいるでしょうけど、彼はほかの誰にも真似できない熱情あふれる歌い方で聴き手をぐいぐい引きつけるのです。一方、最初から最後まで出ずっぱりで大活躍のオケはフランス国立管弦楽団。コンサートミストレスのサラ・ネムタヌが元気一杯、本当に楽しそうで、最後まで一生懸命弾いているのが伝わってきて、とても感じがよかったです。夏はヨーロッパ各地で色んな音楽祭をやっていて、それぞれ特徴があって面白いですね。ワイン片手にテレビ桟敷で楽しむのもいいですけど、ほんとは現地で生で観たいものです。
7位 マリインスキーバレエ「シンデレラ」(テレビ桟敷)
この作品で素晴らしいと思ったのは実は主役ではなくて、継母役を務めたエカテリーナ・コンダウーロワです。すらりとした長身でキリッとしたきつめの美人のコンダウーロワ。その彼女が白鳥の湖でプリマドンナを務めるときとはまた全然違った印象で、この演目では大胆な演出の継母役をコミカルに熱演してくれました。やっぱりこの人はどんな役をやってもオーラが違いますね。
8位 フランチェスコ・ピエモンテージのピアノリサイタル(テレビ桟敷)
私にとって今年一番の「発見」はこの人ですね。たまたま自動予約で録画されていたこの番組を見るまで、このピアニストのことを私はまったく知らなかったんです。誰だろこの人?? という感じで何気なく観て聴いて、びっくり。すごい!1983年生まれって、これからが益々楽しみなピアニスト。私が知らなかっただけで、若いけどすでに大物なんですよね?
9位 モーツァルト ピアノ協奏曲 ルドルフ・ブッフビンダ―/N響公演(アクロス福岡)
ブッフビンダ―とN響によるモーツアルトのピアノ協奏曲第20番。私が聴いたのは福岡公演でしたがブッフビンダ―は本当に素晴らしかったです。ブッフビンダーはいつも普通に自分の身の回りに音楽が漂っていて、どんな大曲であろうと難曲であろうと、ごく自然に楽々と弾いてみせる、そんな感じを受けるピアニストですね。何だか音楽の神様や、偉大な作曲家と直接に繋がっているような、不思議な印象です。音楽の神様への感謝の心とともに弾いているからなのかもしれません。ある意味、自分を無にして、少しも気負うことなく淡々と、自然に任せるように音楽を紡ぎ出して行く、その姿に感動しました。思わず自分自身を振り返って、いつも私は何だか大げさに構え過ぎてしまってるな~、と反省させられました。
10位 「プレミアムシアター」のテーマ曲(テレビ桟敷)
第10位はちょっと趣を変えて、NHK BS「プレミアムシアター」の番組テーマ曲を選んでみました。富田勲さんの作曲で、今年の4月から毎回放送のたびにこの曲が流れています。チェンバロとトランペットの絶妙な組み合わせで、甘く、優雅にクラシックの世界へ導いてくれる名曲です。独立した作品として発表してほしいくらい大好きです。
以上が私の選んだ2014年のベスト10でした。私にとって今年はオペラやバレエなど、地方ではなかなか生で観る機会のないクラシック芸術を(テレビで)楽しむことができた年といえそうです。来年もこの調子で器楽の演奏会に限ることなく、幅広く色んなジャンルのクラシックを楽しみたいと思っています。さて、それでは最後に番外編として、もうひとつ。
番外 「スペインに魅せられて」(ブリックブロック)
自分たちが企画した歌と踊りとピアノのライブパフォーマンスです。手前味噌かもしれませんが、この公演はほんとにやって楽しく観て楽しい公演でした。ソプラノ歌手とフラメンコダンサー、そしてピアノの私が初めて共演したのですが、お互いものすごくいい刺激を受けました。歌と踊りと音楽。これはやっぱり切り離せないですね。本当に音楽に身を任せれば身体が動き出すし、歌が口をついて出る、それが自然ですよね。私はピアニストがピアノ曲を演奏する時にも、その曲に即した歌や踊りの表現をイメージできる方が良いと思っています。だから愛野ピアノ教室ではみんな歌って踊れるピアニストを目指す・・・というのは冗談ですけど、レッスン中に私がついつい歌い出したりステップを踏み始めたりするのは、だからちっともおかしいことではないのです。生徒の皆さん、びっくりしないでね
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1位 マリア・ジョアン・ピリスのピアノ・リサイタル(アクロス福岡)
昔から大好きなピリスのピアノ。やっと念願かなって初めて生で聴きました。CDもいいですけど、やはり生演奏は格別。彼女の深い慈愛に満ちた表情、美しく繊細でしかもしっかりとした芯のある音色に触れて心が震えました。
2位 樫本大進・山田和樹(テレビ桟敷)
スイスロマンド管弦楽団を率いる山田和樹と樫本大進の共演。その素晴らしさは前にも書きましたので繰り返しません。この次は絶対生で聴きたいです。今後が楽しみです。
3位 マレイ・ペライアのピアノ・リサイタル(テレビ桟敷)
こちらはもう不動の名声を誇るベテランのペライア。いつも真摯にピアノと向き合い、その真面目で奥深い解釈が好きです。この人の演奏を聴いていると、やっぱり真面目っていいな、真面目はいいんだよと実感します。
4位 オペラ「マクベス」METライブビューイング(中洲大洋)
前にも書きましたがマクベス夫人を演じたアンナ・ネトレプコの歌と演技が圧巻でした。もうほんとにすご過ぎて今でも思い出すと鳥肌が立ちそうになるくらいです。同じMETライブビューイングではモーツアルトの「コジ・ファン・トゥッテ」も観ました。こちらもすごく楽しかったです。来年はもう少したくさん観たいと思っています。
5位 英国ロイヤルバレエ「ドン・キホーテ」(テレビ桟敷)
バレエは昔から好きで、娘にも習わせていました。テレビで久しぶりに素晴らしいバレエを楽しませてもらいました。アルゼンチン生まれのプリンシパル、マリアネラ・ヌニェスの演じるキトリが素晴らしかった! その小気味の良い、キレのいい踊り。小柄な身体に愛敬あふれる笑顔で、おきゃんなキトリを見事に演じてくれました。日本人ダンサーたちの活躍も素晴らしくて、画面に向かって贈る拍手に、ついつい力が入ってしまいました。
6位 パリ・エッフェル塔コンサート 2013(テレビ桟敷)
オペラ歌手やピアニスト、バイオリニストに大合唱団と、多彩な顔触れの出演者たちが次から次へと熱演する中、テノール歌手ヴィットリオ・グリゴーロの、これでもかというくらいコテコテの歌いっぷりに心を奪われました。彼よりもきれいな声の持ち主は他にもいるでしょうけど、彼はほかの誰にも真似できない熱情あふれる歌い方で聴き手をぐいぐい引きつけるのです。一方、最初から最後まで出ずっぱりで大活躍のオケはフランス国立管弦楽団。コンサートミストレスのサラ・ネムタヌが元気一杯、本当に楽しそうで、最後まで一生懸命弾いているのが伝わってきて、とても感じがよかったです。夏はヨーロッパ各地で色んな音楽祭をやっていて、それぞれ特徴があって面白いですね。ワイン片手にテレビ桟敷で楽しむのもいいですけど、ほんとは現地で生で観たいものです。
7位 マリインスキーバレエ「シンデレラ」(テレビ桟敷)
この作品で素晴らしいと思ったのは実は主役ではなくて、継母役を務めたエカテリーナ・コンダウーロワです。すらりとした長身でキリッとしたきつめの美人のコンダウーロワ。その彼女が白鳥の湖でプリマドンナを務めるときとはまた全然違った印象で、この演目では大胆な演出の継母役をコミカルに熱演してくれました。やっぱりこの人はどんな役をやってもオーラが違いますね。
8位 フランチェスコ・ピエモンテージのピアノリサイタル(テレビ桟敷)
私にとって今年一番の「発見」はこの人ですね。たまたま自動予約で録画されていたこの番組を見るまで、このピアニストのことを私はまったく知らなかったんです。誰だろこの人?? という感じで何気なく観て聴いて、びっくり。すごい!1983年生まれって、これからが益々楽しみなピアニスト。私が知らなかっただけで、若いけどすでに大物なんですよね?
9位 モーツァルト ピアノ協奏曲 ルドルフ・ブッフビンダ―/N響公演(アクロス福岡)
ブッフビンダ―とN響によるモーツアルトのピアノ協奏曲第20番。私が聴いたのは福岡公演でしたがブッフビンダ―は本当に素晴らしかったです。ブッフビンダーはいつも普通に自分の身の回りに音楽が漂っていて、どんな大曲であろうと難曲であろうと、ごく自然に楽々と弾いてみせる、そんな感じを受けるピアニストですね。何だか音楽の神様や、偉大な作曲家と直接に繋がっているような、不思議な印象です。音楽の神様への感謝の心とともに弾いているからなのかもしれません。ある意味、自分を無にして、少しも気負うことなく淡々と、自然に任せるように音楽を紡ぎ出して行く、その姿に感動しました。思わず自分自身を振り返って、いつも私は何だか大げさに構え過ぎてしまってるな~、と反省させられました。
10位 「プレミアムシアター」のテーマ曲(テレビ桟敷)
第10位はちょっと趣を変えて、NHK BS「プレミアムシアター」の番組テーマ曲を選んでみました。富田勲さんの作曲で、今年の4月から毎回放送のたびにこの曲が流れています。チェンバロとトランペットの絶妙な組み合わせで、甘く、優雅にクラシックの世界へ導いてくれる名曲です。独立した作品として発表してほしいくらい大好きです。
以上が私の選んだ2014年のベスト10でした。私にとって今年はオペラやバレエなど、地方ではなかなか生で観る機会のないクラシック芸術を(テレビで)楽しむことができた年といえそうです。来年もこの調子で器楽の演奏会に限ることなく、幅広く色んなジャンルのクラシックを楽しみたいと思っています。さて、それでは最後に番外編として、もうひとつ。
番外 「スペインに魅せられて」(ブリックブロック)
自分たちが企画した歌と踊りとピアノのライブパフォーマンスです。手前味噌かもしれませんが、この公演はほんとにやって楽しく観て楽しい公演でした。ソプラノ歌手とフラメンコダンサー、そしてピアノの私が初めて共演したのですが、お互いものすごくいい刺激を受けました。歌と踊りと音楽。これはやっぱり切り離せないですね。本当に音楽に身を任せれば身体が動き出すし、歌が口をついて出る、それが自然ですよね。私はピアニストがピアノ曲を演奏する時にも、その曲に即した歌や踊りの表現をイメージできる方が良いと思っています。だから愛野ピアノ教室ではみんな歌って踊れるピアニストを目指す・・・というのは冗談ですけど、レッスン中に私がついつい歌い出したりステップを踏み始めたりするのは、だからちっともおかしいことではないのです。生徒の皆さん、びっくりしないでね
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