ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

曲を暖める

2010年04月28日 | 思うこと
ピアノを練習していて、ある曲に行き詰る時があります。どうにも納得のいくような表現ができない。うまく弾けない。思い通りにならない。

こうなると、「自分はだめなんじゃないか?もうやっても無駄か?」とか、不安になります。劣等感に苛まれて、だんだん、「世の中からも音楽からも見放されて、私はもうおしまいだ。」みたいな大げさなことになっていきます。

しかし、そんな時には、しばしその曲をタンスに突っ込むということをするようにしています。頃あいをみて、そのタンスから出しておそるおそる弾いてみると、新たな発見があって、なんだかしっくりいかなかったことが気持ちよく流れる時があります。もちろん、それでも駄目な時もありますが、そんな時はまだ熟成期間が短かったんだと思うことにしています。

曲をねかせておく事、熟成することによってなにか成長するものがあるように感じます。その曲は弾かなくても、頭の片隅にいつもあって、そして他の曲を練習します。全然、違うものに向かいながら、その曲を見守る感覚です。

そして、再びその曲を改めて新しい気持ちで始めると、暗闇のスパイラルから解き放たれて、あれ?いい感じ、と思える時があります。これが、曲を暖めるということ。これって、とても大切なことだと思っています。

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高速道路

2010年04月27日 | Weblog
明日からまた出張です。鹿島でのリサイタルの実行委員会や、法事やプライベートの小さなコンサートなどあります。

車で移動するので、高速料金がいります。高速料金、今揺れ動いていますね。私は、時々長距離の高速道路を利用するので、もちろん無料になれば嬉しいけど・・・。今回の民主党のなかでのゴタゴタを見ていると、前原さんに同情したくなります。小沢さんは、無料にしつつ建設費をキープするなんて、無茶なことをいってるけど、どこからお金もってくるのかしら?またまた闇から持ってくる?みんなの言うことを聴こうとするとお金がいくらあっても足りません。もうこれ以上の借金は無理だし、増税も嫌だ。だから無駄をなくす。事業仕分けで、無駄を切って、その分を必要な財源に充てる、こういうことですよね。

なんだか、基地問題も暗礁に乗り上げている感があって、ちょっと不安です。せっかく期待に胸ふくらませて、政権交代したのに、なんとかピシッとやってもらえないだろうか。事業仕分け頑張れ!!

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美しすぎて

2010年04月26日 | 思うこと
人生には、いろいろなことがあるものです。みんなそれぞれいろいろなものを抱えて生きているのだと思います。

昔の人も現代に生きる人もいろいろ抱えて生きています。突然、大きな岩がドカン!とやってきて私たちにのしかかろうとします。ひどく動揺し、つぶれそうになりながら、なんとか持ちこたえます。いくつかの大きな岩が一度にやってくることもあり、「もはやこれまで」と感じることもありますが、たいていの人間は、なんとか持ちこたえて生きています。ベートーヴェンもそうだったと思います。

ベートーヴェンのソナタ28番の第1楽章、美しすぎて悲しいです。ベートーヴェンの後期の作品は、「苦しみの中から歓喜にいたる」ですけど、この曲の少なくとも1楽章は、歓喜にまで至らず、切なくなるほど、慰めに満ちた会話だと感じてしまいます。これは、私の生きてきた人生も影響しているでしょうか・・・。自分の人生を重ねて演奏することが、まったく同じ音符を演奏するクラシック演奏の醍醐味かも知れません。
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イム・ドンヒョク

2010年04月24日 | コンサート
昨夜は、イム・ドンヒョクのリサイタルに行ってきました。
前半は、ラヴェル。「亡き王女のためのパヴァーヌ」と「夜のギャスパール」。後半は、ショパンのマズルカ3曲に幻想ポロネーズ、そして、最後にプロコフィエフ、ソナタ7番。

彼は、相変わらず細くてほそ~いのですが、このプロコは、圧巻でした。終楽章は、特にものすごいテクニックと体力を顕示したものでした。ピアノの弦が切れたらしく、彼は気にして楽章の切れ目で立ったりしてピアノを確かめていましたが、弾き始めると、全然気にならず、観客もその事を忘れて聴きました。若いし、大曲への挑戦する気持ちがみなぎっていて、この夜は、プロコとラヴェルの「夜のギャスパール」がいいと思いました。私の席の2~3列前にアルゲリッチが座って、一生懸命聴いていました。もちろん、応援拍手もかなり一生懸命たたいていました。

この日のコンサートに、私のリサイタルのチラシの差し込みもありました。入場の際「いらっしゃいませ」と言われ、プログラムを受け取る時、ちょっと照れ臭かったです。

この同じ会場で、7月弾くんだ!と思いを新たにしました。
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春なのに

2010年04月23日 | Weblog
いつまでも、寒いですね。もう、4月が終わりそうなのにこの寒さ。ぽかぽか陽気の春を体験できないでいます。せっかくの春なのに、残念です。
5月が終わると、もう一気に暑くなるし、私は夏が嫌いなのでこの時期を楽しみにしているのですけど・・・

こんなに寒いと、私はセーターを着ていたくなるのですが、ちょっと、今の時期、外にでるのは、これじゃまずいかしら?と思ったり、でも寒いの我慢するのもいやだし、と迷ってしまいます。家の中で過ごすことが多いのでまあ、いいんですけど。

最近、ちょっと外出したところで、ばったり知人に会ったり、あるいは、「どこどこで見た」と言われることが多いです。そんな時に限って、しょぼい格好してたりして、いつもちゃんとしていなきゃ!と反省します。面倒くさくなったらおしまい・・・と思いつつ、気の緩みから、ピシッとできません。(特に寒いとおしゃれできない)


5月は、花々が開花して一番きれいな時ですね。それを楽しみにするしかありません。
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後見

2010年04月22日 | レッスンメモ
お能に「後見」ってあるの、皆様ご存じですか?
美しい衣装をまとって、舞っている人を中心に、客席から見てその右にずらりと並んで地歌を歌っている人たち。後ろには、鼓や太鼓、笛の人たちが並び、能のいわゆるバックミュージックを担当している人たちがいます。そして、このステージにもう一人、後ろの端に座っていて、何にもしない人がいるんです。それが、「後見」という役目の人です。

私は、初めてお能を見た時、最後まで何にもしなかったのでどうしてあそこに監督みたいに座ってるんだろう?と不思議に思いました。あとで、わかったのですが、途中でセリフ(お謡い)を忘れた時に、その人がそこの句をちょっとだけ出やすいように言ってあげるためにいるんだそうです。えーっ!!びっくりしました。もちろん、衣装が途中で変わったり何かものがいる時に手助けしたりもするらしいのですが、衣装も変わらず、舞いも扇子のみで終わる時もあります。その時は、要するに暗譜の手助けならぬ、暗記の手助け?だそうなんです。

いいなぁ。私も「うっ」と詰まった時に、例えば、「ドファ」と一言手助けがあれば、ぱっと立ち直れるんだが・・・。たった一音でいいものなんです。でも、「後見」を使わない人がほとんどだそうで、まあ担保というか、安心のためのものでもあるのかもしれません。

私も暗譜はするけど、楽譜が前にあると安心して、楽譜を見ないで弾けます。私たちにとって、楽譜を置くことが後見ということになりますね。

まだ、こんなこと言っている・・・。覚悟を決めて後見なしの暗譜に取り掛かれ!と自分に言い聞かせます。
外は、雷交じりの雨。どしゃぶりです。心の中まで、雨が降りそうですが、頑張ります。今週中に暗譜すると皆様に宣言して、弱い心を追い出そう!

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暗譜

2010年04月21日 | レッスンメモ
今、10曲以上の曲を抱えて、暗譜と格闘しています。

ピアニストが暗譜で(楽譜を見ないで)演奏をするようになったのは、リスト以降と言われていますが、そのおかげで、私たちは皆、いろいろ苦労したり、工夫を重ねる必要に迫られているわけです。

そもそも暗譜での演奏は、本当に必要なのかどうか皆様はどう思われますか?もちろん、暗譜するくらい弾きこんでないとうまくいきませんが、楽譜をたてて弾く演奏家ももちろんいます。

私が実際に最近の演奏会で観たのは美人ピアニストのメジューエワです。彼女は楽譜を置いて演奏します。ほとんど楽譜を見ていないようですが、譜めくりさんもいて、何度も何度も立ち上がって、譜めくりをしています。それがちょっと目ざわりですが、彼女の演奏自体が素晴らしいので、結局それでヨシとして、満足できるものでした。

リヒテルも、私のアメリカで習った先生も、「暗譜を強いることによって、演奏が不安になり、音楽が十分に表現できないなら、楽譜を持って演奏なさい」と言っています。それで、私はアメリカにいる頃は、半分以上、メジューエワみたいに楽譜を前にたてて演奏していました。

しかし、日本に帰るとどうもそれが受け入れられる雰囲気ではなく、メジューエワみたいに確立する勇気もなく、暗譜に苦しみながらこの10年間また、暗譜演奏に戻っています。

誤解がないようにいっておくと、暗譜は当然するのです。しかし、本番では、何が起こるかわからない。極度の緊張と思わぬ事故(ミスや一つだけの指使いの違いなど)により、一瞬だけその処理をしてもとの軌道に戻るために、脳がいつものルートからはずれるのです。その直後、次の音がサッとでてこなくなり、真っ白になり、ちょっとごまかしながら、なんとか軌道修正して立ち直ります。でも気持ちはおそろしく動揺しているので、音楽=アナログの世界からすこし遠ざかってしまうという経験が何度かあります。(要するに、デジタル=音符の部分をなんとかしなきゃという方向に集中してしまうので)もう、体中の血が逆流して、心臓はバクバクです。何度こんな修羅場を通ってきたでしょう。

こうなるとそれがトラウマとなり、暗譜にとても力を注ぐことになります。でも、これって音楽を大切にするってことからは、少し遠いのではないかしらと思います。確かにリヒテルのいう通りかな?と思う時もあります。一方、暗譜がしっかりできていて、暗譜が怖いと思わないほど余裕がある時は、やはり演奏の出来がいいというのも事実なので、簡単に結論は出せません。

とにかく、5月も6月も7月も、暗譜で演奏すると決めているので、暗譜、頑張ります!!

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いびき

2010年04月20日 | 思うこと
私は、夜眠るのがうまくありません。寝付くのは、わりとすぐなのですが、途中で目が覚めてあれこれ考えているうちに、気持ちがハイになって眠れなくなることがよくあるのです。早く眠らなきゃと焦ると、ますますだめで、悶々として眠れなくなってしまいます。

もちろん、気持ちよく眠れる日もありますが、そんな貴重な夜にうちの猫のランちゃんからいびきで起こされました。私は、ランちゃんと一緒にベッドに入って寝ているのですが、枕元で(つまり私の耳元で)人間の大人みたいないびきをかいたのです。もともと、「ピー、ピー」みたいな小さな寝息はきこえていたのですが、最近それがだんだん大きくなって、「寝息」ではなく、「いびき」になってきました。昨夜は「ゴ~、ピー」と往復です。

この子、我が家の猫の中でも特別変わってて、自分のことを人間と同類くらいに思ってます。こんなことまで真似しなくてもいいのにねぇ。でも、もしかすると鼻が悪いのかしらと少し心配です。



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別府アルゲリッチ音楽祭

2010年04月19日 | コンサート
昨夜は、別府アルゲリッチ音楽祭に出かけて、チョン・ミョンフンの指揮で、アルゲリッチと桐朋学園オーケストラのピアノ協奏曲を聴きました。シューマンのピアノ協奏曲 イ短調 作品54です。冒頭から彼女らしい華やかで、キラキラしているきれいな音で始まりました。私は地元に住んでいるので、ほとんど毎年聴いていますが、アルゲリッチ、今年、70歳になるピアニストとは思えない!全然衰えていません。相変わらずのテクニックでした。

アンコールに、ショパンのマズルカとシューマンの幻想小曲集の中から、「夢のもつれ」を演奏してくれました。この「夢のもつれ」が猛烈に速い。フルスピードで軽やか。ちょっと速すぎませんか?と思うほどでしたが、若いままなのだという証明のようでした。この曲、4と5の指を使って速く弾く曲で、時々「指のもつれ」なんて、言われたりするんですけど、さらりと手中に入っているところを見せ付けられて、スカッと気持ちよかったです。後半は、大学生のオケで、私の大好きなチョン・ミョンフンの指揮。チャイコフスキーの「悲愴」を熱演していました。

この日は、大分県に引っ越してきた大学時代の友人と二人で出かけて、コンサートとその後の食事の時間を楽しく過ごしました。おまけに会場では佐賀県のいとこの家族と、何十年ぶりかでばったり再会するという、とても嬉しいことまでありました。わざわざこのコンサートのために家族でやってきたのだそうです。コンサートにプレゼントつきって感じでした!

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猫の置きもの

2010年04月18日 | Weblog
先日、お友達(というのは、おこがましいかな?)からこんなおしゃれで、可愛い猫の置きものを頂きました。4匹の猫といっしょに暮らしている私ですが、ピアノの部屋は、猫は立ち入り禁止。一日中ピアノの部屋にいるので、私が猫と一緒にいるのは朝晩のほんのちょっとの間だけと言ってもいいくらいです。
そんなピアノの部屋に、この素敵な猫ちゃんのカップルを飾ることにしました。



これをくださったMさんは、人生の先輩であり、尊敬する方の一人です。とても、細やかな気配りと、やさしさを持っていらっしゃる方です。そんな方って、ご自分には厳しいんです。ちょっとやそっとの痛みや病気は我慢して、家族や他人に迷惑をかけたくないと、いつも頑張っていらっしゃいます。本当に優しい人は、強い人です。彼女のちょっとした言葉や態度にどれだけ救われたかわかりません。

私には、こんな素晴らしい友人たちがいて幸せです。心の中の孤独感を埋めてくれる大切な友。そんな方々の支えがあって、生きているんだと思っています。

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ベートーヴェン、ソナタ28番について その2

2010年04月17日 | クラシック豆知識
ミュンヘン音楽大学教授のマッシンガー先生の公開レッスンを受ける時に私はこの作品番号101、ソナタ28番を持って行きました。まず私が通して弾いた後、最初に指摘されたことが、「もっと優しく、そっと歌いかけるように・・・」ということでした。一音、一音について、音色を確かめながら丁寧に指導していただきました。一音たりとも、雑になると見逃さない先生の耳。すごいです。

さて、この曲をベートーヴェンから贈呈されたドロテア男爵夫人ですが、ベートーヴェンが亡くなったのち、ベートーヴェンとの思い出話として、こんなエピソードを紹介しています。彼女が末の子供を亡くして悲嘆にくれているときに、ベートーヴェンがピアノの前に座って、「さあ、これから二人で、音色で語り合いましょう」と言って、1時間あまりもピアノを弾き続けて慰めてくれたというのです。

このとき、ベートーヴェンがどんな曲を弾いたのかは知りませんが、どのように弾いたのかは想像がつくような気がします。たったひとりの悲嘆にくれる女性を聴き手として、慰めの言葉や感情を、一つ一つの音色に込めて、聴き手と弾き手がお互いに語り合うように演奏したのでしょう。

それにしても「音色で語り合う(talk to each other in tones)」とは何て素敵なことでしょう。マッシンガー先生のレッスンはまさにこのように、一音、一音に心を込めることをおろそかにしないということを強調したレッスンでした。

ピアノそのものが持つ一音の美しさというのがあります。それは、ポンとか、ポロンとか聞こえただけで、気持ちがよく、うっとりするような音色です。そのピアノが持っている本来の力を引き出したいと思います。ドロテアが慰められたような音色。ベートーヴェンが慈しんだ音色。

一つ一つの音を丁寧に聴きながら、フレーズの流れを止めずに弾いていくには、まだまだ努力が必要です。今月は、練習の鬼にならなくてはいけません。まだまだトンネルの中です。

Beethoven opus 101 manuscript(ベートーヴェンによる自筆譜)


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ベートーヴェン、ソナタ28番について その1

2010年04月16日 | クラシック豆知識
6月と7月のコンサートで演奏するプログラムの解説シリーズ、ラフマニノフに続く第二弾はベートーヴェンです。

ベートーヴェンは1770年、ドイツのボンで生まれました。今年はショパン生誕200年なのでショパンイヤーと言われていますが、ベートーヴェン生誕から数えると240年です。

そのベートーヴェンのピアノソナタの中から今回は作品番号101、ピアノソナタ28番を弾くことにしました。この曲に関わるエピソードを少しだけ書いてみたいと思います。

この曲は1816年に作られたもので、ベートーヴェン後期の作品の一つです。この曲はベートーヴェンのピアノの生徒でピアニストとして素晴らしい才能を持っていたと言われるドロテア・エルトマン男爵夫人に捧げられています。エルトマン男爵夫人はベートーヴェン亡き後も折に触れてベートーヴェンの書いた曲を演奏し、ベートーヴェンのピアノ曲の解釈とその普及について大きな貢献を果たした女性だそうです。

「ベートーヴェンの世話人で信奉者のシントラーの言葉によれば、『もし彼女がいなかっ たなら、ベートーヴェンのピアノ音楽はもっと早くからヴィーンの音楽会の演奏曲目から消えていたかもしれない。』とまで言っています。
 また『彼女はベートーヴェンの最も隠れた意向をも、それがあたかも彼女の目の前で書かれたかのごとく、的確に捉えることが出来た』と云われていました。」(園田高広)

彼女は1781年生まれ。ベートーヴェンにピアノを習い始めたのは1803年といいますから21-2歳の頃、そしてこの曲を献呈されたのは34-5歳の頃ということになります。とても美しくて魅力的な女性だったそうです。下の肖像画は何歳の頃のものなのか知りませんが、とてもチャーミングですね。

Baroness Dorothea von Ertmann (1781-1849)

ベートーヴェンが彼女にこの曲を捧げた時に添えた手紙が残されていて、その書き出しは、「私の親愛なるとても大切な、ドロテア・ツェツィーリアへ」となっています。ツェツィーリアというのは音楽の守護聖女の名前ということですから、これは最大級のほめ言葉です。この手紙の中でベートーヴェンはこう書いています。

「さあ、どうぞ受け取って下さい、あなたのために長い時間をかけて作ったこの作品を、あなたの芸術の才能と、あなた自身に対する、私からの賞賛の証しとして、どうかお手元に留め置かれんことを!」

さあ、このような成り立ちをもつこのソナタをどんな風に弾けば良いのか、次のブログで、マッシンガー先生に教えていただいたことなども紹介しながら書いてみます。

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練習の進み具合

2010年04月15日 | Weblog
今、私は、二つのコンサートのプログラムを同時並行で練習しています。といっても、毎日、全曲さわるということはなかなかできません。まだ、暗譜もできていない曲があり、この時期が正念場です。

練習は、なかなか思い通りに伸びて行ってくれない時と、意外とすんなりものにできる時とあります。今は、その前者で、トンネルの中から抜け出せないでいます。やってもやっても、頭がついていかず、長いトンネルを行ったり来たりしているような状態です。

しかし、必ず光のあるところまで進まなくてはいけません。このちょっと苦しい練習の「溜め」みたいなものが、必要なのです。ちっとも進んだようにみえないんですが、少しずつ溜まっていると信じて今日も頑張りたいと思います。

生徒さんから、「練習しても、なかなかうまくならない」なんて相談を受けることがあります。練習方法をいろいろ変えたり工夫したりすることはもちろん大前提にあるのですが、時期的にどうしても伸び悩みの時というのはあるように思います。焦らず、だけど、気を抜かずに練習したいと思います。
えっ!?「もう少し焦った方がいいのでは・・・」という声が聞こえてきました。ハイ、焦って練習します。

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ゴジラのニューヨーク凱旋

2010年04月14日 | Weblog
古くからの私のブログの読者の方はご存じかと思いますが、私は松井秀喜選手の大ファンです。今日(昨日?)ヤンキースとエンジェルスの試合がNYで行われました。

「試合前にはワールドシリーズ優勝リングの授与式が行われ、松井はただ一人、赤いユニホームで参加。同シリーズでMVPを獲得し、ヤ軍を9年ぶりの世界一に導いた英雄はニューヨークのファンに総立ちで迎えられた」


そして、見て下さい。かつてのチームメイトのこの笑顔、笑顔、笑顔!

松井がいかに愛され尊敬されていたかがわかります。彼の実力もさることながら、これは人徳のなせるわざだと思います。MVPをもらった松井をあんな形で移籍に追い込んだヤンキースだけど、NYの観衆とチームメイトはずっと松井を愛しているんだ! それがわかって、私は本当に、本当に嬉しいです。


満員の観衆から45秒間の熱狂的な拍手を贈られたそうです。

彼は、一切不平を言わず、黙ってヤンキースを去り、今、エンジェルスで大活躍しています。彼は自分に厳しくそして人に柔和でいられる精神の強さを持っていると感じています。それが、私を感動させます。がんばれ松井選手!!

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久しぶりのお天気

2010年04月13日 | Weblog
今日は、久しぶりに晴れて、気持ちの良い朝です。最近、雨が多くてどんより気分のお天気が続きました。大分県では今月に入って晴れの日はまだ三日しかないと昨日のニュースで言ってました。しばらくぶりの晴天です。

庭の木々は、「待ってました」とばかりに葉っぱを輝かせています。私は新緑の木の葉の色が大好きです。みずみずしくて、輝いていて、柔らかくて、本当に新しく出てきた希望でいっぱいの葉っぱたち。これらを見ていると嬉しくなってきます。

  
ギボウシとツツジ

 
ムクゲとボタンのつぼみ!

新しい葉やつぼみがいっせいに顔を出しています。この新緑も急に今日、葉っぱを出したわけではありません。冬の間ずっと見えないところで準備していたんですね。

最近、気持ちにも時間にも余裕がなくなり、だんだん小さな事への配慮が欠けているような気がしています。日頃の小さな事への怖れや感謝を忘れないようにしたいと思いました。

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