先月、私のピアノの恩師、杉山千賀子先生を偲ぶ会に出席させていただきました。昨年暮れにお亡くなりになった杉山先生は1917年生まれでいらしたということですから、まさに天寿をまっとうなさったと思います。私が先生のレッスンを受けたのは、中学3年生の終わり頃から高校卒業までの3年あまりです。佐賀県の田舎で自分はピアノが上手だと勘違いしていた私。音大のピアノ科受験を決意して、福岡の偉い先生をご紹介していただくことになりました。それが杉山先生でした。
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杉山先生は戦前に東京音楽学校(現在の東京芸大)でピアノを学ばれました。当時ナチスの台頭により日本に亡命してきた高名なユダヤ人ピアニスト、レオニード・クロイツァー教授の愛弟子として研鑽を積まれたそうです。そんなすごい先生に福岡のご自宅でレッスンを受けるようになって、私は自分がどれだけ井の中の蛙だったかということを知りました。「自分はこんなに遅れている」「自分はこんなこともできない」と、ものすごくショックを受けたことを覚えています。教室の他の生徒さんたちがキラ星のように見えて、うらやましくもありました。だけど自分が選んだ道なので、私なりに必死で努力しました。この3年間が私にとってのピアノ人生を決めたと思います。先生の教えは今でも鮮明に覚えています。そのときの先生の表情、身振り手振り、言葉の抑揚まで! 先生のレッスンは決して妥協をゆるさない厳しいものでした。だからといって、声を荒げて叱ったりとか、脅したりとか、そんなことは全然なくて、あくまで物静かに、上品で丁寧な言葉づかいで、ビシッと指摘する、というスタイルでした。その指摘の内容があまりに鋭くてしかも深くて、自分のふがいなさに帰りの電車の中で一人涙したことも。。。
それでも頑張ることができたのは、先生がただ厳しいだけの人ではなくて、限りない、あふれんばかりの愛情の人だったからです。音楽への愛、ピアノへの愛情、そしてそれを生徒に伝える情熱。先生のレッスンはこれらに満ち溢れていたと思います。私もその姿に1ミリでも近づきたいと思っています。
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杉山先生、未熟なわたくしをご指導くださり本当にありがとうございました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
感謝 合掌
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