ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

スペインの風が吹いて

2014年08月28日 | レッスンメモ
いよいよ8月も終わりが近づいてきました。今年は雨模様の天気が長く続いて本当に夏らしくない8月でした。ようやくここ数日晴れたなあと思ったら、何だかもう秋風のような涼やかな風が吹いています。え? もう、夏は終わったの? いえいえ、暑い夏の方は終わっていいけど、熱い夏、情熱の夏はまだまだ終わっていません、暑い夏のかわりに熱い夏をスペインの風とともにお送りします!

というわけで、9月5日の私たちのコンサート「スペインに魅せられて」、おかげさまでチケット完売となりました。皆さまありがとうございます。この場を借りて御礼申し上げます。歌あり、フラメンコダンスあり、ピアノソロもあり、三人のコラボレーション、合わせ練習でものってきています。熱い、情熱的なコンサートです。皆さまに本当に楽しんでいただけるよう、張り切って歌って、踊って、演奏します。どうぞご期待ください!


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生徒の笑顔をたくさん見たくて

2014年08月24日 | レッスンメモ
今年の夏のコンクールも半分以上終わりました。教室にはようやくひと段落した生徒も、まだこれから本番を控えて頑張っている生徒もいます。そうこうしていると9月からのコンクールも始まります。

私は常日頃、コンクールは「当日の結果よりも本番までの過程」が大事だと生徒に教えています。また、当日の出演者との横比較だけではなく、自分の中で以前と比べてどうなのか、どれだけ思い通りに弾けたのかという変化、つまり自分についての縦比較を重視しましょうと教えています。

しかし、しか~し、そうは言ってもやはり人間ですから、本人はもちろん、ご家族も私も、良い成績をおさめたときは跳び上がりたいほど嬉しくなるものです。そして残念な結果だった場合は本人同様、がっかりします。一生懸命、この日のために練習してきた生徒たち。ご褒美あげたくなるじゃありませんか!

でも、会心の演奏が出来た時に見せてくれる生徒の笑顔。良い評価をいただいた時に駆け寄って報告してくれる生徒の笑顔、これは最高です。私は生徒一人ひとりのそういう笑顔を見たくて、その一心で、良い結果が出て欲しいと願っています。これは何もコンクールに限ったことではなくて、発表会でも学校行事の演奏でも、その時の自分の最高のパフォーマンスが出来て、聴いてくれた皆さんから大きな拍手とお褒めの言葉をもらえた時、生徒は(実は私も)本当にこの上ない喜びの笑顔を見せてくれるものです。

今年の夏も悲喜こもごも。これからも、一生懸命ピアノの練習に取り組む生徒たちが、一人でも多く最高の笑顔を見せてくれるように、私も精一杯努力して指導していきたいと思います。

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夏のワイン会

2014年08月19日 | レッスンメモ
今年も恒例の夏のワイン会を楽しみました。今回は先方のお宅にお招きいただいて、玄人はだしのご主人の手料理と、美味しいワインをたっぷりごちそうになりました。

お嬢さんたちがお父さんの解説に熱心に耳を傾けています。とてもほほえましい光景です。

こんな風にできあがりました。

これが本日のメイン!

豪快にあぶっています。

アナゴの出来上がり。これは日本酒でいただきました。

よく飲んだ~。夜遅くまでゆっくり時間をかけて楽しみました。最後は「We are the world」のDVDを観ながらお開きとなりました。うちの夫も先方のご主人もこの歌ほんとに大好きみたい。いつまで経っても変わらないですね。ということで今年も素晴らしいワイン会でした。至福のひとときに感謝です。こうしてお盆休みはしっかり元気を充電したので、これからまたピアノ、ピアノ、ピアノの毎日です!

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ディドナートさんの教え、その4(最終回)

2014年08月13日 | レッスンメモ
ディドナートさんの教え、いよいよ最終回の第4回です。

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(4)The world needs you.
世界はあなたを必要としています。ここにいる皆さん一人ひとり、例外なく、です。世界はまだそのことにはっきりと気がついているわけではないけど、それでもね、ワーオ!、これは間違いなくそうなんです。世界は皆さんを必要としてるんです! 世界は皆さんがそのパフォーマンスを通じて提供する癒しに対してあこがれ、恋い焦がれ、渇望しています。人間の身の丈よりもはるかに大きい、芸術というものを理解するために、人は皆さんの助けを必要としているのです。人は自分がいかにちっぽけな存在で、孤独で、無力な存在かということを思い悩まずに済むように、あなた方の力を必要としているのです。世界は皆さんのことを頼りにしています。皆さん、自分が身につけたユニークで貴重な能力を使って、世界に貢献してください。人々はあなた方に思い出させて欲しいのです。子どもの頃、誰もが経験のある、あのむき出しで、他をはばかることの無い、奔放な感情の発露、それがどんな気持ちだったかを。そうして今の生活の中で、身に降りかかることの全てを真正面から受け止めるというバカ正直なことをやめられるように、誰に遠慮することもなく、笑い、遊び、飛び跳ねること、そのことを思い出させてあげてほしいのです。

私たちとは考えや意見を異にする人たちの心の奥深くへ入り込んで行くことによって、異なる人間同士であってもなお共感することができるということの意味を思い出させて欲しいのです。そうすれば、お互いが平和に暮らすという希望を取り戻すことができるだけでなく、一人ひとりが驚きと喜びの中で活き活きと元気に成長して、みんなで一緒に富み栄えることができるのです。地域に独特の、あるいは全世界に普遍的な、音楽、舞踏、詩などの芸術による赦しの言葉。それらを通じて皆さんは、私たち一人ひとりが同じ共同体の無くてはならない一部だと感じられるようにして欲しいのです。そうすればきっと、私たちはみんなとともに生きているということ、そして、私たちはみんな計り知れない可能性やあり得ないほどの美、確固たる真理に満ち溢れた人生を生きるにふさわしいのだ、という事実を見失うことはないでしょう。

今日という日を皆さんとこうして共に過ごすのは、なんて名誉なことでしょう。皆さん、この日の一分一秒、すべての瞬間をじっくり味わってください。そしてこの校舎から羽ばたいて行ってください。みなさんは世の中を変えることができます、みなさんの芸術は必要とされています、そう、世界は皆さんがどんなメッセージを届けてくれるか、それを熱烈に待ち受けているのです。そのことをしっかりと分かった上で、世界へ飛び出してください。さあ、出発です。私たちを思いっきり笑わせて、泣かせて、踊ったり、感じ合ったり、手をつなぎあったりさせてください。そうして偉大なヒューマニティの力を信じることができるように力を貸してください。それさえできれば、私たちはどんな困難でも乗り越えることができるのですから!
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ディドナートさんがジュリアードの卒業生たちに贈る4つのメッセージ、彼女が選んだ最後のメッセージは、「世界はあなたを必要としている」というものでした。まさに、さあこれから旅立って行くぞという若者たちに贈る言葉として、これほどふさわしい言葉はないでしょう。何だかんだと言ってもやっぱりこういうのがないとやってられませんよね。これを信じていればこそ孤独で辛い練習にも耐えられるというものです。聴いてくれる人や観てくれる人があるからこそ頑張れるんです。だから私は本番にこだわります。生徒たちにも色んな機会をとらえて、すすんで人前で演奏するよう、背中を押しています。若い人には皆、ディドナートさんのこの言葉を信じて、自信を持って羽ばたいてほしいと願っています。

さて、これでディドナートさんのスピーチは終わりです。私はとても素晴らしいスピーチだと思いました。しかもその内容はジュリアードの卒業生たちについてだけ当てはまるものではないと私には思えました。どこの国のどこの学生だろうが、そんなことは全然関係ない。彼女のメッセージは音楽やダンス、演劇など、芸術の道に生きると決めた世界中の若者たちに対して向けられたメッセージだと思うのです。だから私はこのブログを通じて、音楽の道を選んだ若い人やこれから音楽の道を目指すかどうか迷っている人たちに、是非読んで欲しいと思って、翻訳してもらいました。いつもの練習がおっくうになったり、本番の結果に落ち込んだ時に、(1)から(4)までもう一度通して読んでみてください。すると、あら不思議、「さあ、今日もまた頑張るぞ!」と力が湧いてきませんか!?

(1)何かを完璧にやり遂げることができると思ったら大間違い(You will never make it.)
(2)とにかくやり続けるしかない(The work will never end.)
(3)主役はあなたではありません(It’s not about you.)
(4)世界はあなたを必要としています(The world needs you.)


左から:ファン・ディエゴ・フローレス、ジョイス・ディドナート、プラシド・ドミンゴ

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ジョイス・ディドナートの教え、その3

2014年08月12日 | レッスンメモ
さあ、続けて行きましょう。ディドナートさんの教え、その3です。

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(3)It’s not about you.
主役はあなたではありません。これはほんとに厳しくて、身の程を思い知らされるような教訓です。この教訓は私自身、これまでの人生の旅の中のありとあらゆる場面で学び続けてきたことです。でもね、見方を変えれば、これはあなた自身を重圧から解放して、力と勇気を与えてくれる真理なのです。皆さんはまだ気づいていないかもしれませんが、皆さんは栄光と称賛に包まれた人生を送るための切符を手に入れたというわけではありません。もちろん、そういうことが現実に起こるかも知れませんし、ここにいる皆さん一人ひとりに、そのような日が正しいかたちでやってくることを私は心から願っています。けれども、皆さん方の本当の目的地はそこではないのです。なぜなら栄光というものはいつだってうつろいやすく、はかないものでしょう。それは訪れたときと同じように、前触れもなく突然また消え去ってゆくものなのです。では皆さんが今手にしている切符とは一体何なのでしょうか? それは芸術に奉仕するための人生を送る、そのための切符なのです。そしてそのようにして提供された芸術が他の人に及ぼす影響、その人の人生を一変させてしまうほどの影響というのは、はかない名声などとは違って、それは決して消え去るものではありません。あなた方の役割はそれぞれが取り組むセリフや、監督、メロディー、原作者、コード進行、振付師の先生方などに忠実に奉仕することです。でも決してそれらがすべてではありません。あなた方の一番大切な役割は、一つひとつすべての呼吸、ステップ、鍵盤へのタッチを通じて、ヒューマニティ全体に奉仕することなのです。

ジュリアード第109期卒業生の皆さん、皆さんは静かな慰めを必要としている耳のために、そして、美しさによる癒しを求めている目のために働くのです。あなた方は絶望の末の安息や、研ぎ澄まされた問いかけを求めている心のために働くしもべ。新たな一歩を踏み出すための招待状や無言の了解を必要としている人々の心の支え。恐れることもなく途絶えることもない悟りの世界、安心立命の境地を必要としている人々の魂に仕えるしもべなのです。そう、皆さんは病気の人のために働くしもべです。あなたが心血注いで夜も寝ないで書き上げる交響曲、それがもたらす美と平安を通じて癒されることを待っている病人のためのしもべなのです。あなたが天空から、そして英雄的な戦いと勝利の瞬間とから紡ぎ出す安らぎの言葉、そしてそれらによる救いを必要としている失われし者。あなたはその失われし者たちの付き添い人。あなたは心を閉ざして他人を寄せ付けなくなってしまった人々のお世話係。広い舞台の上で疲れ果てた脚と血のにじんだつま先でピルエットやジュテを決めて、あなたは一瞬、時を止める。そんなあなたの姿を見てあの生き生きとした、電流のような、喜びに充ち溢れた命の鼓動を再び感じ取ること、それがその人たちには必要なのです。あなたは怒りに震え、自分を見失ってしまった人々を乗せて荒波から守る大きな船です。映画のスクリーンの中で、あなたは自分自身の苦しみを解き放ち、静かに涙を流す姿を演じている。そのときのあなたの目を見ながら、彼らは自分自身のやり場の無い怒りを解放する、そんな安全な場所が彼らには必要なのです。あなたは熱心で、少しナイーヴで、楽天的な若い人々のために尽くすのです。その人たちは大きな夢を持って、希望に目を輝かせてあなたの後をついてきます。その人とたちを一生懸命教えて、育てて、思い通りに仕立てあげてゆく。するとそういう中で、あなた自身の先生がかつてきっとそうであったように、これでいいのかしら、私の教え方、間違ってないかしらという自分自身に対する疑問にとらわれるようになるかもしれません。それでもその人たちに手を差し伸べることをためらってはいけません。さらに高みに行けるよう、もっともっと成長できるよう、惜しみなくその手を取って導きましょう。なぜなら私たちは皆、これを、この芸術と呼ばれるものを、一人でも多くの人とシェアするために、ここにいるのですから。

あなたにはほかにまだもう一人、奉仕すべき相手がいます。それはあなた自身です。あなたはあなた自身の中にある絶えることのない情熱的な熱い衝動に対して奉仕するのです。それは自分自身がもっと成長して、大きく手を拡げること。もっと感じて、つながって、あなたならではの何かを創り出すことです。あなたの中のある部分は、高ぶる気持ちと情熱をそのまま表現し、混じり気のない至福の喜びを表に出して表現する方法を手に入れることを切望しています。そして、皆さん、お願い、これだけは決して忘れて欲しくありません。それは楽しむということ! 楽しい、という、あの人を酔わせるような夢見心地の感覚、これを決してあなたの芸術から失って欲しくないのです。あなたは自分が追い求める真理に対して奉仕しているのだと考えてみてください。私が皆さんに望むこと、それはあなたの人生の旅路を、その真理に導かれて歩むと決めることです。もしあなたがそれを見つけることができたなら、あなたはすべてを手に入れたことになるでしょう。だからこそ「何かを完成させること」というのは、最終的には、全然重要なことではないといえるのです。そうではなくて、真理を追い求めて生きること、真理を呼吸をすること、そしてそれに対して奉仕すること、そうした中にこそ本当の喜びというものがあるのです。

ここで皆さんに私たちのいう芸術の最前線で戦っている一人の兵士から私に届いたEメールを一通ご紹介したいと思います。差出人はソルトレークシティの小学校の先生、オードリー・ヒルさんです。彼女は偉大な戦いを戦っています! 彼女は最近メトロポリタン・オペラの公演で私が主演した「ラ・チェネレントラ」の劇場公開版(ライブビューイング)に生徒たちを連れて行って一緒に観たのだそうです。皆さんご存じのようにこれは童話「シンデレラ」のオペラ版でロッシーニの作品です。この中に私が演じるシンデレラの歌う有名なアリアがあって、それは家庭内でさんざんいじめにあってきたシンデレラが、その苦しみを乗り越えて最後に皆を赦すという内容の歌です。さて、彼女からのメールは次のようなものでした。

「5年生のある男の子が今朝持って来てくれた感想文に次のようなことが書いてありました。その生徒が一番好きになったシーンは(スパゲッティを投げ合って大騒ぎする場面を別にすれば)最後のところであなたがリベンジをするということについて歌う場面だったそうです。それも、そのリベンジというのが『相手を赦す』ことだったというのがとても良かったと書いてあったのです。この生徒は今年この学校にやってきたばかりの転校生で、素晴らしい歌声を持つ歌の上手な生徒です。でも、学校ではこれまでしょっちゅう色んなことでみんなにからかわれたりしていました。私はそんな毎日を重ねていくうちに、その子の心の中にだんだんと怒りの感情が大きく膨らんできているのが分かりました。ところがどうでしょう、今日、それが彼の中からまるで全部すっかり消えて無くなってしまっているようなのです。こんなことが本当にあるんですね、とても感動しました!」

※これです、まさにこれこそが、これから世界に飛び出して行くあなたたちが、一体誰に対して奉仕するのかということを明らかにしているではありませんか。皆さん、何て幸運なのかしら、そう思いません?!?!?! あー、うん、ごめんなさい、私、嘘ついちゃったみたい。じゃ、最後に私が一番大好きな教訓をお教えするわね・・・。
「ジュリアード音楽院卒業式祝辞 by ジョイス・ディドナート」より
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いやあ、今回のお話も深いですね。誰もが憧れる主役の座。万雷の拍手にスポットライト。それを目指すのが芸術の道かといえば、決してそうではないというのです。もしそういうことを目標にしている人がいるとしたら、多分その人は長く続けることができないだろうと思います。その目標を達成してしまえば次の目標がなくなるし、達成できなければ挫折してしまうからです。私は元々そんな栄光や称賛とは無縁の人生を送ってきましたが、それでも自分で選んだこの道をただ一筋、これまでも、そしてこれからも歩み続けていくという決意だけはしっかり持っています。なぜそんなことができるのかと言えば、私にとっては、ピアノを弾いたり教えたりすることが一番楽しいことだからです。しかもそうして長年やっていると、演奏会で私の演奏を聴いてくださった方が、「素晴らしい演奏に勇気をもらいました」とか、「疲れた心がいやされた」とか言ってくれることがあります。「あの時のコンサートを聴いて、私もやってみたい、音楽の道に行こうと決心しました」と言われたこともあるのです。音楽には本当にそれだけの力があるんですね。大好きな音楽の力を借りて、誰かの何かの役に立つことができるというのは、私にとって何物にも代えがたい大きな喜びなのです。

さて、ディドナートさんがジュリアードの卒業生に贈る4つのメッセージ、残すはあと一つです。これまでのメッセージは次のようなものでした。

(1)何かを完璧にやり遂げることができると思ったら大間違い(You will never make it.)
(2)とにかくやり続けるしかない(The work will never end.)
(3)主役はあなたではありません(It’s not about you.)

こう並べてみると、これから世界へ羽ばたこうと希望に胸を膨らませている若者たちに対して、ちょっと冷や水をかけるような、厳しいお話ばかりのように見えますね。でもご心配なく、彼女はそんな意地悪な人ではありません。彼女からの最後のメッセージ(しかも一番お気に入りのメッセージだそうです)、一体どんなでしょう、どうぞこちらをご覧ください!


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ジョイス・ディドナートの教え、その2

2014年08月09日 | レッスンメモ
前回に引き続き、ジョイス・ディドナートさんの教え、その2。
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(2)The work will never end.
とにかくやりつづけるしかない、ということです。ようやく卒業式の日を迎えてほっと一息ついている今日のような日に、こんなこと言われると皆さんうんざりしてしまうかもしれませんね。でもね、将来何かとんでもないことが起こった時、そう、そういうことって必ず誰にでもあるのよ、それも何回もね。例えば予想もしなかったほどの大ヒットに恵まれるとか、心がちぎれそうになるほど辛い大失敗をしてしまうとか、そういうことがあなたに起きた時に、ありのままの本来の自分を取り戻すためにはどうしたらいいか、私が学んだのはね、これはもう、ただ自分がそれまでやってきた普段の練習に戻るということ、これなんです。ほかの色んなことも試してみましたけれど、これが一番いい方法ね。シンプルにいつも通りの練習に戻るんです。その中にこそ慰めがあって、真実があるんです。ピアニストなら鍵盤に向かい、バレエダンサーならバーに手を添える、そしてバイオリニストなら弓を片手に弦をかき鳴らす。いつでもどんなときでも自分の本分に立ち帰って、その曲、そのときの胸の鼓動、セリフ、そしてリズムを通じて、またきっと立ち直ることができると信じることです。辛抱強く、決して諦めないでください。時にはもうそんなこと無理、というような気分のときもあるでしょう。でも、あなたが戻る場所は、そこなんです。そしてそれはいつでも常に、そこにあるのだということを知っておいてください。必要なことというのはたった一つです。あなたがまだずっと若かった頃、初めてあなたが芸術の魅力を発見して感動した時のように、ありのままの素直な自分に立ちかえることなのです。あなたがこれまでに身に付けてきた様々な技術の上に、あの頃の、あの純粋無垢で子供のような感受性を足し合わせてください。そうしてもう一度あの時の感動を取り戻すために、必要なことはとにかく何でもやってみるんです。それを続けていけば、どうすれば自分自身を取り戻せるか、生きぬいていけるか、そして何物にもとらわれずリラックスすることができるか、その方法を学ぶことができるでしょう。あなたの芸術、そして人生そのものにとってかけがえのない「自由」というのものが、まさにそこに存在するのです。
「ジュリアード音楽院卒業式祝辞 by ジョイス・ディドナート」より
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これもまた、ものすごく共感できるお話ですね。長い人生、色んな事があります。泣いたり笑ったり、舞い上がったり絶望したり。でも大事なことは過剰反応して不安定になった心から平常心に戻ることだと彼女は言います。そしてそのためのベストの方法は、いつも通りの練習をする、これを続ける。これしかないのだ! というのです。だから "The work never end." なんです。ジュリアードで鍛えられてやっと卒業の日を迎えた学生たち、解放感に浸っているに違いないと思われます。長く苦しい練習やお勉強もこれで一段落と。そんな学生さんたちを前にしてディドナートさん、甘いわよ、それはこれからもずっとずっと続くし、続けなきゃいけないと言ってるのです。

ディドナートさんが声楽を学んだのは地元カンサス州の大学でした。卒業後は様々なオペラカンパニーのオーディションやコンクールに挑戦しましたが、結果は決して芳しいものではなく、苦難の時代が続きました。そんな彼女がくさらず、あきらめず、努力を続けてついに今日の地位を得たのです。ジュリアードの卒業生たちを前にして彼女は、自分には名門ジュリアードに進学するなんていうことはまったく考えられなかった、自分は当時とてもそんなレベルには達していなかったと率直に語っています。そんな彼女がこの日、ジュリアードから名誉博士号を授与され、卒業生たちを前にして記念スピーチを行ったのです。こんな日が来るとは彼女自身、夢にも思っていなかったことでしょう。次回、ディドナートさんの教えその3はこちら。

Drama Queens Carnegie Hall 2012

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ジョイス・ディドナートのジュリアード音楽院卒業式祝辞

2014年08月04日 | レッスンメモ
ジョイス・ディドナート(Joyce DiDonato)といえば、アメリカを代表する女性オペラ歌手の一人です。今年の5月23日、その彼女がジュリアード音楽院の卒業式の日に卒業生を前にして記念の祝辞を述べるという大役を果たしました。そのスピーチがネットにアップされていて、とても素晴らしかったので、一部、ご紹介してみたいと思います。

ディドナートは今日の名声を得るまでにとても苦労した人として知られています(彼女自身はジュリアードの卒業生ではありません)。その彼女が名門ジュリアードを卒業してプロの音楽家としてのキャリアの第一歩を今まさに踏み出そうとしている若者たちを前にして、「四つのメッセージ」を語って聞かせます。それは彼女自身が様々な経験を経て苦労の末に見出した四つの真実なのです。

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(1)You will never make it.
何かを(いつの日にか)完璧にやり遂げることができると思ったら、それは大間違いです。そんなことできるものではありません。がっかりしたかしら? でもね、頭を切り替えてほしいの。これは素晴らしいことでしょ。グッドニュースじゃありませんか? だって、そんなやり遂げることのできる「何か」なんて、芸術家にとっては存在するはずないんですから。まさに今、この場所で、あなたの人生の記念碑的瞬間に、誰の助けも借りることなく、あなた自身が自分に贈ってあげることのできる最大のプレゼント、それが何だか分かりますか? それはこれから先のあなたの人生を、結果に対してではなく、「長い道のりを旅する」ということにコミットさせると、断固決心することです。

結果というのはほとんどいつだって、自分の思い通りにはならないもの。もしもあなたがそんな、とらえどころのない、時としてあてにすらならない目標を追い求めているのだとしたら、先行きとても苦労することになる。だってそうでしょ、いつもいつだって、もっとのびのびとした声を出せたはずのあの一音、というのがあるんです。もっと真に迫った表現ができたはずのあのセリフとか、もっときちんとキメられたはずのアラベスクのポーズとか、あのアダージョのところのタッチ、あそこをもうちょっととか・・・。つまり、いつでも新たな発見があって、それは常に成長のチャンスがあるということなんです。アーチストには、決して型にはまったゴールなんてありません。そしてそのことこそが、一日も休むことなく自分よりも偉大な何かを追い求め、もっともっと腕を磨く努力を怠らず、好奇心と想像力が導く道へ足を踏み出したことに対する、最大の報酬であり喜びなのです。テキスト全文はこちら(英語)
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う~ん、深いお話ですね。完璧な演奏とか、完璧な演技とか、そんなのできっこない、ということをはじめにドンと言い切っちゃってます。しかも普通はそれが落ち込む原因になるものなんですが、頭を切り替えなさい(shift)と教えてくれます。つまり、やればやるほど、いつも新しい発見があって成長できると考えればいいのよというわけです。完璧にやりきっちゃったとすればそこで終わりですものね。芸術の道はこれだから素晴らしいじゃないの、というのですから、ものすごいポジティブ思考です。

それから「結果(outcome)」なんて気にしないで、とも言ってます。大切なのは自分の決めた道を「旅(journey)」すること、これに対するコミットメントだと。先にも書いたようにディドナートさんは、決してはじめから順風満帆のキャリアを登ってきたわけではなく、若いころはなかなか認めてもらえず、色んなオーディションで何度も落とされてきたのだそうです。きっと何度も何度もつらい思いを経験なさったに違いありません。だけど彼女はそれをポジティブにとらえて、昨日よりは今日、今日よりは明日と、新たな発見と成長を信じて、旅を続けてきたのだと思います。彼女のお話はまだまだ続きます。

(1)何かを完璧にやり遂げることができると思ったら大間違い(You will never make it)
(2)とにかくやり続けるしかない(The work will never end.)
(3)主役はあなたではありません(It’s not about you.)
(4)世界はあなたを必要としています(The world needs you.)

Joyce DiDonato Speaks at Juilliard's 109th Commencement


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トマトとキュウリのとろろこんぶ和え

2014年08月02日 | レッスンメモ
私は普段一日中家の中に居て外出する機会が少ない方です。そんな私が、「夏が来たなあ」と実感するのは庭の蝉の声がやかましくなってきたときと、食卓に新鮮な夏野菜が増えてきたときです。夏野菜といえば、キュウリ、トマト、ナス、ピーマン。この時期になると嬉しいいただきものもあるし、スーパーでの一袋の量がうんと増量されてたりするので、夫婦2人、さて、この大量の夏野菜をどうやって美味しくいただくかと知恵を絞ることになります。

そこで今シーズンの我が家の人気夏野菜レシピをご紹介します。名付けて「トマトとキュウリのとろろこんぶ和え」。

冷たくて、酸っぱくて、シャキシャキしてるのにまろやかで、とっても美味しいです。しかも作り方が超簡単、たった10分で出来上がり、イエィ!

レシピ
1)キュウリ、トマトを細かく切って(2センチ四方くらい)ボウルに入れる
2)酢、みりん、ごま油、塩、コショウ、砂糖、それぞれ適当にかけてよく和える(ごま油の代わりにオリーブ油でもOK。この辺はお好みで)
3)とろろこんぶをちぎりながら(かたまりにならないように)まんべんなく投入して、よく和える
4)出来上がったらしばらく冷蔵庫で冷やしておく。味もなじむし冷たい方が絶対美味しい。

今回のレシピのポイントは「とろろこんぶ」です。これは惜しみなく投入しましょう。酢の口当たりをまろやかにまとめてくれて、しかも旨味がぐんとアップします。旬の夏野菜ととろろこんぶのコラボレーションをお手軽に楽しめる、おすすめの一品でした!

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