ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

〇、✕、△、それに四角?

2016年05月27日 | レッスンメモ
自分のピアノの音に耳を澄ませようというのは毎度レッスンのたびに言っていることで、あんまり何度も言ってると生徒さんたち「それはわかってるけど・・・」という顔をすることも。確かに自分で弾きながら一音一音に耳を澄ませて聞くということは結構難しいことなので、実際どうやって聞いてもらうか、そのことを意識させるか、あの手この手で工夫しています。

先日小さな女の子のレッスンの時に「今のフレーズの音は、〇だったかな?それとも✕かな?」と尋ねてみたら、もじもじして「わからない」と言います。自分で採点しようという気持ちで弾くと聞こうとする姿勢が生まれるので、ちゃんと聞いてもらうために時々そんな言葉かけをします。

ではもう一度ということで、「あとで〇だったか✕だったか自分で言えるように注意しながら弾いてみて。まあ、もしかして△があってもいいよ。よーく自分で自分の音を聞きながら弾いてごらん」と言って弾いてもらいました。そうして弾き終わったときに、私自身は(お、ちょっといい感じになってる)と思いつつ、「どうだった?」と尋ねました。するとその生徒さん、「う~ん」と、とても真剣に考えた末に、大きな声で「四角!」と答えたのでした。これにはその子のお母さまも私も思わず大爆笑。

確かにかなりいい出来だったから△よりは〇に近い。でも〇と言えるほどではないから〇に近い四角。きっとこう考えたのですね。想定外の答えだけど、これは論理的思考回路に基づいた、的を射た答えじゃないですか。ちょっとびっくりしましたけど、気を取り直して「その通りね、先生もそう思うわ。さっきよりずいぶん良かったし、きちんとよく聞けてたのね。じゃあ、もう一回、今度は〇になるように弾いてみよう!」とレッスンは続くのでした。

ということで今回この作戦は成功したようです。聞きながら弾くことの大切さをわかってもらえたと思います。こんなかわいくて面白い反応をしてくれる生徒さんとのレッスン、私の方が本当に楽しいです。

シャガの花。もともと野に咲く野草なので、うちの庭でもひときわ元気です。

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二つの弾き合い会

2016年05月24日 | レッスンメモ
最近教室で、大人の生徒さんの弾き合い会と、中学生だけの弾き合い会をそれぞれ開きました。大人の生徒さんは普段もちろんお忙しい。お仕事、家事、育児、介護それぞれの立場で頑張りながら、それでもピアノを楽しんで教室に通ってきてくれています。そして、中学生の生徒さんたち。これがまたもちろん忙しい。学校、部活、塾、ピアノ。そしてこの時期、運動会! 5月に運動会をする学校が増えてますから、この時期は顔や手がすっかり日焼けしてる生徒さんが多いです。というわけで皆さん毎日いっぱいいっぱいの時間を使ってフル回転のようです。

こういう忙しい生徒さんたちの様子を見ていると、つくづく「時間の使い方」というのは大切だなあと思います。「時間がないから○○できない」というのは私もよく使う便利な「言い訳」ですが、これは要するに「自分にとっての優先順位のつけ方」の問題にほかなりません。

ピアノが好きという気持ちが、強ければ強いほど、ピアノに向かえる。うまくなりたいという気持ちが強いほど、何とかしてでも時間をつくって、ピアノに向かう。結局これに尽きるんですね。二つの弾き合い会でこんなことがはっきり浮き彫りにされました。

フル回転の皆さんですし、もちろん体は疲れてるけど、疲れを吹き飛ばすくらいピアノに情熱を持ってる人が結局うまくなっていくんですね。そして、うまくなるから、もっと楽しくなるんですね。そうは言っても中学生は子供から大人になりかけの一番不安定な時期。ピアノへの情熱が深まったり薄れたり。それでもね、ピアノは続けること自体に、実はとても大きな価値があるんです。それは大人になるときっと分かること。大人の生徒の皆さんが、自分の生活の中にピアノを取り入れて、クラシック音楽の豊かな世界を楽しんでいる姿を見ていると、これは絶対間違いない、と断言できます。ピアノを通じてたくさんのことを学び、人間的にも強くなって、ピアノへの情熱を持ち続けて欲しいと願っています。

お庭でBBQしてると、ランちゃんが窓ガラスの向こうから庭に向かって超しつこく「ワタシモそっち行きたい~」と叫び続けるので、ちょっとだけ出してあげました。

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楽しいの「楽」は、楽器の「楽」

2016年05月17日 | レッスンメモ
音楽というのは音を楽しむこと、とよく言われます。ところが言葉の成り立ちからいうと、元々中国で「楽」というのは道具としての楽器のことを意味する言葉だったそうです。昔から、楽器を演奏すると、人は楽しくなるものですから、楽器を表す「楽」という言葉に「楽しい」という意味が後から加わったのだそうです。これってなんだかすごくありませんか? そもそも世の中には「楽しい」と感じられることは他にもたくさんあるわけですが、漢字文化圏ではその楽しいことの代表選手に楽器を演奏することが挙げられているということじゃないですか! 他のどんな楽しみにも増して、楽器を奏で、歌を歌い、踊る。これこそが昔から一番「楽しい」ことだったというわけでしょう。だとすると「音楽」という言葉の意味は「楽器を演奏するのは楽しい!」という風にストレートに解釈してもいいんじゃないかな。音楽には鑑賞の楽しみというのももちろんありますけど、なんといってもやっぱり自分で楽器を演奏して音楽づくりに参加することの楽しみにまさるものはないと私は思っています。

というわけでピアノのレッスンの中でその楽しみをどのように教えていけばいいのか、それが問題です。

まだ小さいお子さんの場合、ピアノを習う始まりの頃は、教室に通うことやレッスンの時間そのものが楽しめるように工夫が必要です。直接その曲に関する指導以前に楽しいグッズを使ったり、あの手この手を使います。そこからごく自然に基本的なリズムや手のフォームなど、始めからきちんとしておかなければ後で苦労することになる基本のところを、少しづつ織り交ぜていきます。

だんだん経験を積んで曲も立派にになっていくと、本人自身が本当に楽曲そのものを楽しめるようでなければ、道のりが長い分、楽しむどころか、苦痛になるかもしれません。そんな時こそ私の方から楽しむコツを教えるときです。本当は、曲自体が素晴らしいんだから、自然にその曲を楽しめるハズなのですが、譜読みの途中で挫折しそうになったり、あるいは、譜読みは済んだけど、なんだかしっくり来なくて、面白くない時とか、ありますよね。

こんな時、例えば、小さなフレーズの中の一部分に注目してみましょう。ほら、音階の断片がメロディに使われている。そもそも音階って本当に美しい。これを優しく幸せそうに弾いてみたり、力強く元気そうに弾いてみたり、あるいは、下降している音形があれば、がっかりした気持ちで弾いてみたり。音程が広く離れて上がっているなら、山登りの頂点を目指すエネルギーを使ってみる。その頂点で喜びを感じるかそれとも虚しさを感じるかなど、色々想定を変えて試してみる。こういうことを生徒さんと話し合いながら曲を進めていくと、楽曲への新たな興味や発見が生まれてくるし、自分自身の可能性も広がってもっともっと楽しむことができるようになってきます。

楽器を演奏するのは楽しい! これこそが音楽の本質です。それを一人でも多くの生徒さんに伝えたいです。

花壇の花たちもますます元気。

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