デカダンとラーニング!?
パソコンの勉強と、西洋絵画や廃墟趣味について思うこと。
 




なんだかんだいって、旅行中のトラブル発生率がやたら多い国というのはあるように思う。スリに遭いそうになったり、高額な商品を買わされたり(実際の商品価値は買った額の半分とか十分の一など)、一緒にご飯を食ったら飲み物に睡眠薬を入れられていて身包みはがされたり、頼んでもいない物を出されて「サービス」と言いながらあとで高額請求されたり、高価生地の服を安く仕立ててもらう予定で金を払ったら帰国後に届いた品はボロ寸前、などといったガイドブックに載っているような事例だ。
私個人が「あぁ、こいつらガイドブックの事例だな」というのに遭遇したのは、ワット・ポーに面するタイ・ワン通りとサナーム・チャイ通りの角でたむろしているトゥクトゥクの運転手らの口車のパターンである。事前にガイドブックを読んでいたので騙そうとしてるな、というのはすぐ分かるので相手にしなかったが、彼らの手口(外国旅行ではよくある)を書いておきたい。
まず彼らは親しげに「出身国はどこ?」とか「この国は何度目だ?」などと訊ねて声をかけてくる。楽しげな雰囲気を演出したら新聞を広げて見せて、「いまこの町ではこういうデモ(もしくは暴徒)があって彼らは警官隊と衝突し、観光客も巻き込まれ非常に危険なのだが、君は知ってたか?」とデモ隊が写っている現地の新聞記事を指さす。
こちらが「知らない」といえば、「今、君が歩いて行こうとしているのはデモ隊のたむろしている方向だからとても危険だ。行くのはおすすめしない」と、あたかも心配してやっているぞと言わんばかりのことを言い出す。
こちらが「本当に?」と懐疑的になると「本当だ。この町を観光しないでアムパワー(バンコク郊外の水の都といわれている町)はどうだ? 1000バーツで行くよ」となぜか水の都の古ぼけた写真を取り出してきて勧めてくる。
こちらが「興味ないし行かない」と返事して、さっさと道路を歩いて渡りはじめると、「ベリー・デンジャー!No!」と大声で言って引き止めようとするが、当然道路を渡った先に「危険なデモ隊」などいるはずがない。
こういった勧誘で騙そうとするパターンは決して珍しくない。旅のトラブルのwebサイトやガイドブックに目を通せば事例として載っているから心配ないといえばそうなのだが、まじめで他人の話を鵜呑みにしてしまう御人好しの人が旅行先での不安からついつい騙されることがあるのもまた事実なのである。
私を騙そうとしてきたトゥクトゥク運転手のおじさんは「危険なデモ隊」という不安を煽ってきたが、国によって、また町によっては「新聞記事にあるとおり列車事故が起こって鉄道は使えない(その記事は何年も前のものだったりする)」、「列車に乗る前にチケットにスタンプを捺さねばならないが、それは別の建物の窓口」、「駅のチケットカウンターのコンピュータシステムがダウンして、チケットは別の臨時販売所で売られている」などと、列車やバスに乗ろうとしていたりチケットを買いたいと思っている旅行者の心にダメージを与える、あたかも真に迫ったような嘘をかまして、法外な値段でチケットを買わそうとするパターンも多い。ようするに、

旅行者の心にダメージを与える
  → (騙す奴が旅行者に)救いを示す
    → 「救われた」旅行者は法外な値段など二の次

というメカニズムなのだ。しかし、こんな風に単純化してしまうと不安産業に金を払ったり異常なまでに宗教にはまったりする過程と何ら変わらないなぁと思ってしまうのは極端か。


道路を渡った先のサラーンローム公園。ここで少し休憩した。ここに本当に
「危険なデモ隊」がいたら、それはそれでおっかなびっくりだろう(笑)



少年たち。学校帰りのようだった。


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