田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

校長がみかただぁ!!/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-05-31 03:56:01 | Weblog
校長がみかただぁ!!


6

「そう、あなたが西早稲田の村上先生の、お孫さんなの。おどろいたわ」
翔子は校長室のソファに座っている。
「村上ときいたときに、気づくべきだった。ごめんなさい」
校長があやまっている。
目は65インチのモニター画面をみている。
翔子の体が宙に浮き回し蹴り、きれいに回転して大地におりたつ。
条幅用の文鎮を剣にみたてて空をきる。
得意の逆袈裟がけだ。つく。なぐ。
「これが書道室のモニターの映像。
ふたつかさねて……。こうすると」
翔子の敵、
見えない対象物を、
翔子の動きの先を、
点でむすぶ。
「こういう相手、だったのね」
あの獣の牙をもった吸血鬼の存在はフッーのひとには見えないのだ。
それがPCの点で描かれた形が、
いままさにスクーリンに描出された。
「こうすると」
校長がキーボードを操作する。
点が線となる。
人の形。そして色がつき。
「やはりね。どうしてこのことを黒田さんにいわなかったの」
翔子はだまってパソコンをみつめていた。
「校長先生。携帯使っていいですか」
マナモードにしていた携帯がポケットでふるえている。
「翔子。歌舞伎町でヤッラが不穏な動きをみせている。すぐきてくれ」
純だった。
「わたしが、車でおくってあげる」
校長が翔子にいう。


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コメント
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