田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

「うちのひとを呼んでください」 麻屋与志夫

2009-04-27 13:18:56 | Weblog
4月27日 月曜日

●「うちの人を呼んでください」

そう洋子がいったんです。

長門裕之の目に涙がひかっていた。

芸能界でも仲のいいので有名なおしどり夫婦だ。

●老後の問題はこれから老齢人口がふえるからますます、深刻化するだろう。

●わたしたちが結婚した時には、すでに母が長患いしていた。

カミサンはそれを承知で嫁にきてくれた。

母は18年わずらった。

この間、父も病に倒れた。

長い看病生活だった。

病人を抱えてしまった家族の悲惨さは身をもって体験している。

●老人保健がない時代で、いくら働いても病院に払う医療費には足りなかった。

しまいには高利貸しから借りて病院の支払にあてていた。

あの時のことを思い出すといまでも不安と焦燥感が蘇ってくる。

●カミサンが軽いギックリ腰になった。

腰を曲げかげんにして歩いているのをみて心配でしかたがなかった。

さいわい大事に至らず回復したが、一時はどうなることかと心配だった。

カミサンは病気にはならないもの。

と決め込んでいただけにショックだった。

あのまま寝込んでしまったら……。

●わたしたちは年齢のわりには頑張りが利く。

でもいつ病が忍び寄ってくるかわからない。

●長門さん大変なことでしょうが頑張ってください。


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輪王寺の金剛桜、満開ですよ 麻屋与志夫

2009-04-26 21:55:38 | Weblog
4月26日 日曜日

●日光は輪王寺の「金剛桜」を観てきた。

満開だった。

       

       

       

        

●早くいかないと、明日あたりからは散り始めてしまいますよ。

●山桜なので葉から芽をふきます。葉も少し赤みをおびていて、咲きだした花との

色彩の対比も素晴らしいものでした。

          

●学生時代にここは通訳の真似ごとをしていた場所なのでとてもなっかしかった。

●「おやまあ、ボウや!! ずいぶんと歳をとったわね。元気だった」と桜に話しか

けられた気がした。

●五百年に及ぶという、彼女の年齢からみたら、わたしの歳などいかほどのことも

ないのだろう。

●「来年はもう会いに来られないかもしれないから……」

わたしはそんなナサケナイ返事を心の中でしていた。

●ミケタは生きてみせる。

と嘯いてはいるが、こちらは生身の人間だ。

これが最後という心の準備が必要だ。

●いやあ、それにしても懐かしかった。

わたしはしばしカミサンに背中を向けていた。




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草事件落着/雨でひきこもり?  麻屋与志夫

2009-04-25 15:57:58 | Weblog
4月25日 土曜日

●SMAPの草薙剛の事件はわたし的にはたいへん考えさせられるものがあった。

●鳩山総務相が「最低の人間」という発言を撤回した。悔い改めるのを憚ることな

かれ。

ということなのだろうが、その変わり身の早さは、やはり政治家なのだなぁ、と感

心した。

確かに「最低の人間」は言い過ぎだったろう。

●マスコミは事件直後に街灯に出て取材したが「同情的発言」は無視したのだろう

か。

ネットでみるかぎり彼を逮捕した赤坂署には主に女性から「なぜ逮捕したのか」と

いう抗議電話が殺到したとのことだ。

男の酒飲みはどうしていたのだろう。

ひとごとでないのに。

これから酒を飲むときはヤバイことにならないように自粛して飲まなければならない。

そんなきもちでお酒を飲んでもストレス解消にはならない。

酒を飲むことのなかに、羽目を外す楽しさもはいっているのだ。

●ポスターも刷りかえる。

とのことだ。

あのままでいいではないか。

これだけ騒がれたのだから、宣伝効果は計り知れないものがあったはずだ。

だいいちポスター差し替えの費用は税金から出るのではないか。

それこそ、無駄遣いだ。

●出演番組も降板させられている。

視聴者を気にしてのことだろうが、わたしにはこういった処理のしかたが理解でき

ない。

GGになったのでボケてきたのかな?

●さてきょうは土曜日。

雨。

16日もの長い連休に入る人たちもいるらしい。

「引きこもりの連休」とか「巣ごもり消費」などという言葉がみられる。

●GGは若いときから小説家になることを志したから、ほとんど家で読書かペンをと

つて原稿の升目とたたかってきた。

最近でこそ、健康を配慮して日光までwalkingの小さな旅にでるものの、家で過ご

すことを悦びとしている。

●書斎に本がある。

ジャズを聴ける。

恋女房がプロ並みの料理を食べさせてくれる。

庭にはこれもカミサンが丹精こめて世話している薔薇が咲きだしている。

GGのすきな藤の花は今が盛りだ。

これいじょうのことを楽しむひつようはない。

これで充実した毎日をおくつている。

●家で楽しむことを覚えるのはいいことだ。

●家でお酒を飲むぶんには逮捕されることもない。

●もっともGGはカミサンに?年前に逮捕されたのかな???




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草剛「裸で何が悪い」part 3  麻屋与志夫

2009-04-24 02:42:08 | Weblog
4月24日 金曜日

●GGはひどいショックを受けている。

草剛は容疑者となり逮捕された。

そして送検までされるという。

それがどういうことか、法律の知識がないので分からない。

●いまの社会では、お酒を飲んでブラックアウトして、素っぱだかで公園でわめく

と、こういうことになるのだろうか。

●タバコも吸えない場所が拡大している。

これはGGもいまはタバコをやめているので賛成だ。

愛煙家のみなさんごめんなさい。

若いときはあれほど吸っていたタバコだが喉が弱くなったので、ちょっと煙を吸っ

ただけでも咳きこんでしまう。

しかし、このぶんだと、近い将来タバコを吸うことは罪悪視されかねない。

時代はかわるものだな!! つくづく怖くなる。

●お酒の話題に戻る。

GGが若かりし頃。

酒豪の先輩がいた。

わたしはそのころすでにささやかな塾をやっていた。

先輩は中学に在職していた。

理科の教師で、実験室の板壁をくりぬいてサントリーのダルマを隠していた。

午後になると待ち切れずにチョビリと一杯。

さらに酔うほどにまたチョビリ。

退校する時間までにはかなり酔ってしまう。

●彼とはGGは、ほとんど面識がなかった。

いちどだけ、知りあいのやっていた「ドンキホーテ」というパブで一緒になった。いやぁ、おどろいた。

「おれは酔ったから迎えに来い」教え子が車でかけつけた。

「先生、だいじけ。立てっけ」とそれはもう甲斐甲斐しくめんどうをみる。

肩を貸して恩師を労りながら店をでていった。

●GGは彼ほどの人徳がない。

電話で呼びつけられるような教え子はいない。

だから外ではお酒を飲まない。

泥酔した状態を人目にさらしたことはない。

お酒を飲んで酔わないのでは酒飲みにはおもしろくないだろう。

●GGはほろ酔いを至上のものとしている。

家でしか飲まない。

それでも若いときはそうでもなかった。

塾の教師ということになったので自己規制を強めたのだ。

いやぁ、お酒って怖いですよね。

身を滅ぼすまでありますからね。

●それにしても酒飲みには怖い社会になってきたものだ。

●この事件はなにか裏があるのだろうか。

少しきびしすぎると思うのですが、いかがなものでしょう。


●いずれにしても、酔いすぎないようにご用心。ご用心。





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草剛「裸で何が悪い」part 2 麻屋与志夫

2009-04-23 19:27:13 | Weblog
●心配していたとおりになった。

寛容な処置どころではない。

ことは大きくなるばかりだ。

●草剛が公然ワイセツで逮捕された。

わたしにはなんのことかわからないのだが、家宅捜索までうけた。

麻薬でも疑われたのだろうか。

公然ワイセツ罪で家宅捜査まで受けたとなると。

わたしが、第一報をテレビで見たときとはだいぶ話がおかしな方向に行っている。

●それにしても、マスコミの恐ろしさをつくづく感じている。

あっというまにニュースは世界的な広がりを見せている。

だれか、同情的な発言をしないかと期待しているのだが。

いまのところ皆無だ。

みんな同じような応えがもどってくる。

●時間が経つに従って、なぜそれほど泥酔したのか解明されていくだろう。

彼の酔い具合は一緒に飲んでいたともだちが分からなかったのだろうか。

わかっていたら自宅まで送りとどけるべきだったろう。

それとも友人も沈没してしまっていのかな。

●わたしもお酒は飲む。

家で一人で飲む。

カミサンの親父は酒飲みだったのに。

彼女はわたしが酒を飲むことを、あまり歓迎しない。

もちろん、わたしの健康を案じてのことなのだが。

でも飲んでも一合。

月に一升瓶一本。

花は半開。

酒はほろ酔い。

と思っている。

●でもこの自己規制はかなりきつい。

あと一杯を……思いとどまるのにはたいへんな努力と忍耐がいる。

若い人は、それを学ぶべきだ。

それにしても、酒の上での失敗だけだったら、前途あるタレントだ。

寛大な処置を望む。




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草剛 「 裸で何が悪い」  麻屋与志夫

2009-04-23 15:11:11 | Weblog
4月23日 木曜日

●草剛が公然ワイセツで逮捕という第一報をたまたまテレビで見ていた。

司会者やタレントもコメントのしようがなくて困っていた。

●おそらくストリーキングでもしたのだろう。と推察した。

はたせるかな、詳細がつぎつぎと報道されている。

現段階では公園で全裸になって大声でわめいていた。ということだ。

●ああ、わたしはいい時代に青春を送ったのだなと思った。

お酒のうえでの失敗には世の中がもっと寛容だった。

ご近所にはかならず酔って大声でわめいたり、路上で艶歌を歌いながら家にねりこ

んでくるつわものがいた。それも夜遅く――午前様になる酒飲みがいた。

もちろん、酔って暑いからと全裸で帰還したダンナもいる。

●さらに、二階から市長が通りかかるのを待ち伏せして、オシッコをぶつかけたツ

ワモノもいた。

さすがに、これは市役所を馘首された。

でもお酒臭い小便を頭から掛けられた当の市長は「こんなことで、あいつを首にし

たくない」とさいごまで反対した。

●酒の上での失敗は――「昨夜はだいぶご機嫌でしたね」ですんだものだ。

●公園で大声をだされたので夜ねむれなかった。

と近所の主婦がいっていたという。

こんなことが、こんな日常的なささいなことがニュースになるなんておどろきであ

る。

たぶんわたしのほうがGGになっているので、時代錯誤なのだろう。

感覚がおかしくなっているのだ。

これは外での言行にはかなり注意をはらわなければいけないなと思った。

●いろいろなコマーシャルに出ているタレントだ。

パッシングの波にのみこまれてしまうのが心配だ。

お酒の上でのこと。

どうぞ寛容な処置をおねがいします。

●もっと、もっと酷いことをしているひとがいるのを忘れないでほしい。




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カミサンの庭/ 麻屋与志夫

2009-04-22 14:25:38 | Weblog
4月22日 水曜日

●初夏のような陽気だ。

爽やかな風が狭い庭に吹きこんでくる。藤の花が咲きだした。

       

       

●この庭はカミサンが丹精こめてつくりあげたものだ。

つぎつぎと、これからは花が咲き乱れる。

ただ半日蔭なのでもうしわけないが、栽培する花にも制限があるらしい。

●「薔薇を地植えにしたいのよね。陽のあたる庭が欲しい」

●カミサンの期待に添えるようにがんばっている。

がんばって入るのだがいかにせん年だ。

思うようにいかないことばかりだ。

じぶんの年をかんがえたら無謀とおもわれることばかりやっている。

●それがまたスリルがある。

じぶんの未来がわかってしまつたら面白くないだろう。

●喉をはらしていらいらしている。

治るのが鈍くなった。

自己治癒力が弱まっているのだ。

ストレスがたまる。

田舎町に住んでいるので、外食するところも、飲みに行くところも話し合う友だち

もいない。

田舎町は年寄りには優しい店がないのだ。

宇都宮まででかけるのだったら、大森か品川で飲み食いした方がいい。

●いまからでも、東京にずっと住みたい。

なんたる運命のいたずらか、若いときから、田舎と東京をいききしている。

どちらが故郷かわからない。

なにをやっても中途半端な性格がわざわいしているのだろう。

●庭の薔薇がはやく咲くといいな。

カミサンの庭をみるのが唯一のたのしみだ。


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奥さまはvampire/ 麻屋与志夫

2009-04-21 16:45:01 | Weblog
奥様はvampire 5

○もしかしたら幻覚なのかもしれない。

○もしかしたら錯覚なのかもしれない。

カミサンが若やいで見える。

……わたしの願望からくる幻覚なのかもしれない。

錯覚なのかもしれない。

○「あの一作だけで書くのは止めるの」

彼女のいう一作というのは「孫に引かれて文壇デビュー」のことだ。

麻耶の人気のおかげで出版された。

ほどほどに売れている。

いくらけしかけられても、干からびた頭には新たな作品のイメージが浮かばない。

○「それよりまた薔薇園に行きたいな」

「わたしに気をつかわなくていいから。ねえ、どうなの? 書いてみてよ」

さわやかな五月の薫風が黒川べりの遊歩道をふきぬけていく。

ひんやりとした風が頬に心地よい。

これから作品を書くとしたら、なにをどう書けばいいというのだ。

○不景気のため「巣ごもり消費」などとう言葉がテレビで話題になっていた。

かんがえてみると、わたしたちは「巣ごもり夫婦」だったのかもしれない。

○「そのことは思い出さないほうがいいわ」

カミサンに心を読まれている。

やはり錯覚なんかではない。

mimaはヤッパ麻耶がいったように、魔女なのかもしれない。

いや、魔女も、マインドバンパイアも同一の種族なのだろう。

○「そうよ」とカミサンはけろっとしていう。

「あなたのことはいつまでも忘れないから」別れてしまえば、長い彼女の歴史の中

でわたしとのことなどほんの一瞬のこと。

忘れられてしまうだろう。

昨日わたしがかんがえていたことへの回答だった。

○「うれしいこといつてくれる」

わたしは涙ぐんでいた。

○「けっして忘れないから」

○わたしたちは会話に没頭していた。

向こうから肥満女が急速接近してきた。

太っているのにすごく速く歩いている。

どんとカミサンにつきあたった。

なんの抵抗もなく通り過ぎていく。

カミサンが一瞬消えたようだった。

いや、あの女にはカミサンが目にいらなかったのだ。

他の人には、最近の彼女が見えない。

戦慄が背筋をはしった。

○「そんなことはないわ。よけたのよ。こんなふうに」

確かに、彼女がこんどはよこに飛び退るのがみえた。

○若さがなければだめ。

売れる見込みがなければ相手にされない。

これからなにを書けばいいのだ。

わたしは立ちどまっていた。

風が心地よい。

まだ生きている。

まだなにか書けるかもしれない。

彼女が消えるまでに、この一年で新作を発表したいものだ。

それには彼女とすごしたこの半世紀のことを書く。

それしかないだろう。

○五月風がふいている。

河川敷の新緑が風に揺れていた。




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奥さまはvampire/  麻屋与志夫

2009-04-20 15:43:51 | Weblog
奥様はvampire 4

○「sconeは」

「あっ、忘れた!!」

バスのなかに響きをわたる声。甲高いmimaの声が回りのひとをおどろかせた。いっ

せいに乗客の視線がmimaに注がれる。

「スコーンとどけるためにでかけてきたのだよな」

わたしはscornfulにならないように最善の注意をはらってmimaの耳元で囁く。

二人で途中下車。

「また出直してこようよ」

「だってスコーンは温かなほうが美味しいもの」

停車場坂を小走りに彼女の姿は消えていった。

駅前のブックオフで時間を過した。

20分ほど待った。なにげなくポケットに手をやった。チリンと鈴の音、しまったキ

ーを渡さなかった。

あのとき、最善の注意をはらった。

侮蔑しているようにとられないように冷静に話しかけておいてよかった。

でないと逆襲をうけた。

「物忘れのひどいのはおたがいさまね」


にやりと、邪険な笑みで応酬されたはずだ。

童女のような顔に邪険な微笑みは似合わない。

わたしはあわてて家にむかった。

いまごろどうしているだろうか。

手帳に妻の携帯のナンバーを記しておけばよかった。

なんたる不手際。

なんたる不運。

妻は家に入れずどうするだろうか。

引き返してくる。

わたしが戻ってくるまでと、のんびりと庭の薔薇に水をやっている。

バスにのって戻ってくることもあるだろう。

来た。バスが来た。ちょうど、府中橋の上で止まった。交差点のシグナルが赤だ。

妻はのんびりとこちらに背中をみせてチョコナンと座席にすわっていた。わたしは

あせってバスの窓越しによびかけた。

「ミマ―」

だめだ。密閉されているので聞こえない。窓の外からトントンと叩いた。さすがに

気づいた。おどろいている。

「なんども同じ道、行ったり来たりしては……ナンダか恥ずかしい」

「回り道して帰ろう」

彼女が忘れっぽいのはあまりに長いこと生きているからだ。

些細なことをいちいち覚えていたのでは頭がパンクしてしまうだろう。

わたしの元を離れたら、すぐにわたしのことなど忘れてしまうだろう。 

わたしのはボケの始まりではないか。

真剣に、真面目に徹底的に心配になってきた。

吸血鬼のカミサンをもつと笑いありスリルありで、楽しいったらありゃしない。



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奥様はvampire  麻屋与志夫

2009-04-18 07:23:35 | Weblog
奥様はvampire 3

○つきあいはじめてまもない頃、打ち明けられた。

「わたしは人間ではあるけど、人間のカテゴリイには、入らないかもしれないの」

「それでもいい。なんでもいい。結婚しよう」

うそだぁ。

わたしのような男が、こんな美人と結婚できるわけがない。

「ほんとにいいのね。ほんとに、ほんとにいいのね」

「ああ、いい。いいよ。はやく結婚しょう」

つまりおそらくだれの場合でも同じなのだろう。

むかしからいわれてきた「結婚は人生の墓場」ということの真の意味をしらずに結

婚して、それを認知せずに死んでいったものは幸いなり。ということだろう。

それをしてしまって…‥。

それでも幸せに暮らせたものは、さらにさらに幸せな賢者なのだ。

○「mima!! それって、すごいと思うよ。mimaってどんどん若くなっていくみた

い」

孫娘の麻耶がいった。

お化粧しているカミサンの後ろで鏡を覗き込んでいた。

三歳の時のことだ。

○愛とはHすること。

Hのない愛なんて「クリープのないコーヒーみたい」なものだぁ。

とわたし的には考える。

「わたしはね、麻耶。子どもをつくるときしかHしなかったの」

「それって、すごい……」

12歳なった孫に話すことではないと思ったのは、わたしだけだった。

孫からは完全理解の回答が戻ってきた。

「それって、すごいと思うよ」

普通の人間は愛していればHする。

Hして。

Hして。

HHHHHHHHHHHHHHHHHして赤ちゃんが生まれる。

わたしは新婚初夜に子どもが欲しい時だけ……。といわれて仰天した。

逃げるのなら今だ。

○孫の麻耶はごく普通の女の子には育たなかった。

現在完了進行形。では……今をときめく女流作家。

それでいてT大学医学部の新入生。これでマスコミが騒がない方がおかしい。

○「父に会いに行きたいの」

心臓が止まるほどわたしはおどろいた。

この50年というものカミサンに家族がいる

などとはきいたこともなかった。

彼女は戦災孤児だと思っていた。

東京は渋谷初台の生まれだとは聞いていた。

○「50年。……だけ許されていたの。あなたとはその歳月だけ一緒にいる許可がで

てたの。いままで……それをいわずにほんとうにごめんなさい」

○永遠に生きられる種族にとっては――彼女にとっては、わたしとの50年の結婚生

活はほんの一瞬だったのかもしれない。

あと一年来年薔薇が咲くころには彼女はわたしから離れていかなければならないら

しい。

悲しいことだ。

胸が張り裂けるようだ。

○カミサンの父は、神代薔薇園の園長をしていた。

これは一族のものには、既知のことだいう。

わたしは部外者だったのでしらされていなかつたのだ。

○あたりは馥郁たる薔薇の芳香に満ちていた。

いうまでもないことだが、義父はわたしよりも若かった。

○「あまり娘が嘆くので、長老会であと一年だけ延期してくれた」

「おとうさん。ありがとう」

カミサンは真珠の涙をこぼした。

カミサンが泣いたのは、子どもたちを出産したときだけだった。

○帰路。

麻耶の「やがて青空」の出版記念イベントにでた。

麻耶の紹介でわたしの「孫に引かれて文壇デビュー」も売り上げを伸ばしている。

でも麻耶の人気にあやかっての売れ行きなのだ。

孫に引かれて、を「牛に引かれて善光寺詣り」のモジリと理解してくれるヤン

グは少ないはずだ。

○「いまこの会場に、麻耶さんのGPがおいでになっています。一言どうぞ」

司会者にふいにマイクをわたされた。

○わたしはこのブログでフイクションを書いていることを告白しそうになった。

わたしをみつめるカミサンの目が赤くひかったのでおどろいてやめた。

○いま書いていることがはたしてフイクションなのだろうか。

●印のある部分の記述はまちがいなく神に誓って事実だが――○で書くことが曖昧

になってきた。

事実と虚実の隔たりが短縮され混然としてきた。

わたしにはなにも分からなくなってきた。

カミサンとはあと一年といいわたされて気がおかしくなったのだ。

いやボケチャカボケチャカボケチャッチャツタ。ということかもしれない。

○あと一年しかカミサンと一緒にいられないなんて……正気でいられるはずがな

い。



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