田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

精進だ。精進あげだ。 麻屋与志夫

2010-01-31 23:11:08 | Weblog
1月31日 日曜日

●プログです。
徹夜明けの疲れで、きょうは一日コタツでグウグウグウ。
楽しいが、体力がおちたのはいなめない現実だ。
楽しいな、楽しいな。
と鬼太郎の歌のようにはいかない。
手放しで惰眠を貪るわけにはいかない。

●でも、好きで入った物書きの生活だ。
少しでもいい作品を書きたいと精進できるのは、
ありがたいことなのかもしれない。

●むずかしいことをいうのは、易しい。
易しい言葉で、おもしろいストーリをかくには難しい。
と今ごろになって、気がついた。

●面白い話を語れるように、
「これから精進だ精進だ」と寝言をいっていたらしい。
カミサンがなにを勘違いしたのか、精進あげでお酒をつけてくれた。

●ありがたいことだ。
元気がでた。
またあすから精進だ。



      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説
one bite please 一噛みして。おねがい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吸血鬼との遭遇  麻屋与志夫

2010-01-31 22:44:57 | Weblog
part3 吸血鬼との遭遇  栃木芙蓉高校文芸部


16

彼らが逃げてしまっても。
まだ生臭い臭いがしている。
彼らが逃げてしまったので安心した。
それで吐き気をもよをさせる臭いの元のことを。
まだいっていないのに奥本は気づいた。
あわててカメラをかまえてみんなを部屋の隅の薄暗がりにつれていった。
どきどきと心拍数がはねあがる。

「彼女たちにはみせないほうがいいわ」
文子の心配りは不要だった。
繭も由果もまだ立ちあがれる状態ではない。
「なんてことだ」
と黒田がぜっくした。

奥本は吐き気をおさえて、懸命にシャッターをきった。
「とらないで。とらないで」
警官がはいってきた。
「なんてこった」
さきほどの黒田とおなじことをいった。


「ひとつきいてもいいですか」
夕映えが栃木の街の白い土蔵を美しく照らす頃、みんなは巴波に集合していた。
「わたしもいきたかつたな」
と知美がいったが、その言葉は無視された。
それほどショックが強かったのだ。

「文子さんは、ああいう光景はみなれているのですか」

敬介に問われて、文子は目を伏せた。

「文子さんも吸血鬼なのですか」

「監察官といっても……。
あるいみではそういうことになるのかもしれないわね。
ただわたしは、人をおそったり、血を吸ったりはしない。
できない体質なのよ。
だから監察官。
バンパイアポリスに選ばれているの」

「アイツラ、
どうして下野高校の影番をけしかけて、
栃木にでばってきているのだ」

番長はそのことのほうが重大だ。
どうしてテリトリーの外にきたのだ。
じぶんたちの勢力の圏外にでれば、
摩擦がおきるくらいのことはだれでも心得ている。

それなのに、なぜ?
なんのために?



      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説
one bite please 一噛みして。おねがい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吸血鬼との遭遇  麻屋与志夫

2010-01-31 12:07:07 | Weblog
part3 吸血鬼との遭遇  栃木芙蓉高校文芸部

15

文子の大沢や下館にむけられた掌から光か放たれた。
ふたりの体が瞬時、透きとおって見えた。
すぐに、体の外見があらわれた。
しかし。
トカゲのような青ぐろいはだになっている。
繭がゲッと叫んだ。のけぞる。
だきしめられた由果の腕のなかで失神してしまった。

「にどと、人に変形できないからね。これが第一種の懲罰よ」
文子が勇ましく勧告する。

鱗の肌はどうみてもオゾマシイものだ。
薄暗い部屋のなかでギラギラとひかっている。
生臭い臭いもともなっている。
乱杭歯のあいだからシュルルシといううめきがする。
恐怖と怒りで声にならない。

おそらく監察官にであったのは初めてなのだろう。
番長は吸血鬼の実像にも恐れることはない。
大沢にとびげりをかました。
大沢の胸に番長の靴底がめりこんだ。
バンと後ろの壁までふっとび、その反動でまえにのめる。
龍之介が特殊警棒で首筋をたたく。
「うういてえ」
首をまげながら大沢は立ちあがる。
したたかなやつだ。
「それくらいにしといてあげたら」
「どうしてだよ。こいつら消去しちまえばいいのだ」
「あいては吸血鬼よ。煮てもやいてもたべられないれんちゅうよ」
「消せないンかよ」
「そうかんたんには、殺せないのよ」
みんなの見守るなかで、大沢と下館は激怒の顔もすさまじい。
乱杭歯をギリギリと噛みながら後退する。
部屋のおくの扉から逃走した。

「ああ、オッカナカッタよ」
繭と由果がどさっとしりもちをついた。
腰がぬけてしまった。
          



      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説
one bite please 一噛みして。おねがい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水温む/めからうろこ  麻屋与志夫

2010-01-30 19:15:35 | Weblog
1月30日 土曜日

●プログです。
カミサンと散歩のために外出した。
いつもは、散歩とはいっても、
ヨークベニマル、
マツキヨ、
ヤオハンで買い物をかねている。
ごご、暖かな日差しにさそわれて黒川の河畔にでた。
図書館の脇から河川敷におりた。
水温むといいたいほどの陽気だ。
カミサンは枯れススキの中でカメラを流にむけている。
鴨がスイスイと泳いでいる。
白鷺の立ち姿がいい。
はるか彼方に古賀志山。
そのむこうは日光の山々が雪をかぶっている。
冬はこの街からみる四囲の景色が一番美しい時だ。
さわさわと春をおもわせるような風が川面からふいてくる。
クルクルクルと羽音をたてて鴨がとびたった。
わたしが枯れ草を踏む音におどろいたのだ。
「ああ、一眼レフなら飛びたつ瞬間をとれたのに」
とカミサンが嘆く。

         

         

●昨夜はたいへんだった。
環境依存文字が使われていたので、
ある小説専門のサイトに投稿した原稿が先方にとどかなかった。
パソコン教室の先生のおかげで、再投稿出来た。
ありがたかった。
パソコンはわからないことがおおすぎる。
とわたしは嘆いた。
夜の七時ごろ帰途についた。
暗くなった街を歩くわたしを。
カミサンがなぐさめてくれた。
街にはわたしたちいがいに、歩いている人影はなかった。

●たけた、という漢字だった。
ともかく目からうろこがおちたかんじだった。
これからは環境依存文字ならず、
むずかしい表現と、
むずかしい漢字を使うこは止めることにした。

●『ゴールデン街の水溜りにネオンの光が象嵌されていた。』
象嵌はないでしょう。
ここは映っていた。
そのほうがずっといい。
と編集長に叱られた。
それでもながいこと象嵌という表現を、
漢字をつかいたかったとおもってきた。
物語を無視するような作品を書きつづけてきて、
ついには忘れられた作家になってしまった。
忘れられた作家ほど可哀そうなものはありません。
悲しいものです。

●書きつづけなければならない。
パソコンなんていうこんな便利な筆記具ができたのだから。
カミサンに一眼レフを買ってあげるまで。
いや、そのあとはバラ園だぁ。
日当たりのいいバラ園をカミサンにプレゼントするのがいまのところの生きがいだ。
実現できるかな?
不可能にちかいだろうな。
だからこそ精進のしがいがあるのだ。
希望は現実とかけ離れているほうがいいのだ。
そうなのだ。
とじぶんを納得させる。

      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説
one bite please 一噛みして。おねがい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吸血鬼との遭遇  麻屋与志夫

2010-01-30 07:58:14 | Weblog
part3 吸血鬼との遭遇   栃木芙蓉高校文芸部


14

「番長! コイツラ!! Vampireだ!!!」
 余計なことを、いうな! 
 と龍之介は敬介にいいたかったが、もう遅い。
「あらぁん、すてき。わたし噛んでもらおうかしら。
血を吸ってもらえばお肌にいい。痩せるんだって」
 繭がとろんとした表情になっている。
 吸血鬼催眠にかかってしまった。
 ねらった女の首筋に吸血鬼が意識を集中する。
 すると目が光る。
 その光の照射をあびたものは……ズルズルと吸血鬼に引寄せられる。
「よせ! バカか繭!! 吸われれば吸血鬼の子分になるんだぞ!!!」
「子分という表現、古るかっぺ。フルカッペヤナ。
せめて、レンフイルドといってもらいたいな」
「繭。やめてぇ」
 由果が繭の肥満体を両手でだきしめる。
 ふたりそろってズルッズルッと大沢に引寄せられていく。
 おそるべし吸血鬼の眼光。
 憐れむべし肥満女子高生の痩身願望。
「とんでもないヤッラを敵に回していたんだな」
 さすが芙蓉高校の番長。
 龍之介が心配するほどのことはなかった。
 パニックにおちいるとおもい、
 いますこし大沢や下館が吸血鬼だということは伏せておこうおもっていた。
 その配慮はいらなかったようだ。
 大沢は下館と奥の扉のほうに後退する。
 黒田が警察を呼んだとさけんだ。その効果だろう。
 ブラフではなかった。階段を上ってくる足音がひびく。
 それまで情況をだまってみていた文子が叫んだ。
「縛(ばく)」 


      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説
one bite please 一噛みして。おねがい。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「U字工事」にあやかりたい!! 麻屋与志夫

2010-01-29 05:08:54 | Weblog
1月29日 金曜日

●プログです。
『U字工事』の人気すごいですね。
司会なんかもシチャッテ。
がんばってますよね。
初めは、わざとらしい栃木弁がいやでした。
でもききなれてみるとガッ石松とは、またすこしちがった栃木弁でおもしろいです。
東京ボンタと共演させたかつたなぁ。
石松さんは北半田の出身ときいています。
粟野町てしたが合併になりました。
いまは、わたしの故郷、鹿沼市です。
U字工事さんたちは大田原のほうらしいですね。
県北です。
同じ栃木弁でもどちらかというと、茨城など東関東の言葉。
東北弁によりちかいようですね。
これで、栃木弁も全国区になりそうです。もうなってるんけ。

●わたしもみなさんの人気にあやかろうと。
栃木弁を多発する小説を発信中です。
どうぞ、ご笑読ください。
栃木弁の吸血鬼の登場なんて世界初のお目見えと自負しています。

●栃木弁解説コーナー。
今日の小説から。
おどけるな→ふざけるな
でれすけやろう→バカやろう
津久井→机 イとエの区別がつきません。わたしも東京はながいのにいまだにダメです。

●おもしろいですよ。
このブログや小説を書いていると、青の波線、赤の波線がでます。
よく読み返してみると全部わたしの栃木弁のためなのです。

●おもしろいですね。
じぶんの出自とは縁が切れないものなのですね。





      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説
one bite please 一噛みして。おねがい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

吸血鬼との遭遇  麻屋与志夫

2010-01-29 04:07:05 | Weblog
part 3 吸血鬼との遭遇  栃木芙蓉高校文芸部

13

「なぁにおどけてるんだっぺ。このでれすけやろう」
 と、大沢はまだゆとりある動きだ。
 パパラッチこと。
 奥本敬介のカメラをプロジェクターからとりはずす。
「ぼくのカメラかえしてください」と敬介。
「ぼくのカメラかえしてくれっけ」と大沢。
 ケタケタと大沢はせせら笑っている。
 そこで龍之介は気づいた。
 コイツラはルーマニア出身だといっていた。
 初めに覚えたのは正調栃木弁なのかもしれない。
 栃木訛りではなすほうがらくなのかもしれない。
「ぼくのカメラかえせ!!」
 龍之介がいる。
 敬介は大胆になった。
 大沢に武者ぶりつく。
「じゃまだ」
 大沢が乱杭歯の間から激しい叱咤をあびせる。
 サッと手を振る。
 指先から鉤爪があらわれた。
 猫の爪のように平時は隠している。
 非常時には一振りすると、ニョキッと現れるのだ。
 文子がサッと腕をのばして敬介をひきもどす。
 危ういところで吸血鬼の一噛みならぬ。
 鉤爪の一振りから身をかわすことができた。
 大沢の鉤爪はプロジェクターもろとも机を切断した。
 信じられないその鋭利な切り口に敬介は戦慄した。
 文子も龍之介も余裕だが、ぼくは芙蓉高校新聞部のカメラマン。
 ふつうの高校生だ。
 身をつつしまないと危険だ。
 それでも、ストラップに指先がかかっていた。
 カメラが敬介の手にさがって、ゆれている。
 龍之介も腕を一振りした。
 特殊警棒があらわれた。
 さっと爪を薙いだ。
 パット長く鋭利なナイフのような爪が消える。
 龍之介のポケットで携帯がなった。
「わあっ、津久井くんにつながった」
 また繭からだった。
「ツクイでなく、ツクエなの」
「ねえ、津久井くん。敬介みつかったの」
「ぼくはとりこみちゅう。敬介とかわる」
 敬介が文子にかかえられたまま、手をのばした。
「繭ちゃん。いますごいことになってるんだ」
「ほんと、ぞくぞくするわ」
 すぐそばで、声がした。
 繭が。
 由果が。
 そして番長の植木が部屋にはいってくる。

「すまん。どうしてもこいつらがきたいとせがむので」
 黒田もいる。
「警察に連絡したから」
 と黒田がつづける。





      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説
one bite please 一噛みして。おねがい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パパラッチを探せ  麻屋与志夫

2010-01-27 06:36:29 | Weblog
part2 パパラッチを探せ 栃木芙蓉高校文芸部

12

「Blessed are those who have not seen and yet have believed.」
「わかるようにいってよ」
 敬介はパニックからたちなおった。
 生きてここからでられそうだとおもうと気がつよくなった。
「高校生がこれくらいの英語がわからないのか。
ああ、嘆かわしい。見ずして信ぜしものは、幸いなり」
「この世に吸血鬼がいるなんて、見たって信じられないシ」
「ヨハネによる福音書CHAPTER 20……」
「もういいって。それで、ようってなんでヤ」
 やはり緊張はしている。栃木弁がでた。
「隣の部屋にいくベヨ」
 カラカワレテいる。にたにた乱杭歯でわらっている。
「歯をみせないほうがかわいいヨ」
 
 プロジェクターが準備されていた。
 啓介のカメラが接続されていた。
 スクーリンに啓介の撮った写真が大写しになっている。
「これは? だれだ」
「うちの番長だよ」
「下野高の影番ともめた男だな。次は」
「これは?」
 巴波(うずま)でジャガイモ焼きそばをたべながらみんなでVサインできめたシヤシンだ。 
 敬介は口をぱくぱくやっている。
「そんな。信じられない。そんなこと……」
 文子だけが、映っていない。
「そんなバカな」
「なにぼそぼそいってる。ああ、嘆かわしい。おれに聞こえるようにはなせ」
「大沢!!!」
 大声でとなりながら下館が部屋にはいってきた。
「聞こえすぎだよ。なんだ? タトゥの店でなにかあったのか!?」

「監察官のおでましよ」
 部屋の奥の扉が開いた。
 文子の影が映っていない事実。
 ……に気づいて驚愕してい敬介は……。
 彼女を目前にして口をぱくぱく。
「あらよかったわね。奥本クン。元気だったかヨ」

 文子の言葉の乱れに。
 後ろからはいってきた龍之介が。
 ダット肩をさげてコケホーズ。
      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説
one bite please 一噛みして。おねがい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スプラッターはダメですよね? 麻屋与志夫

2010-01-24 19:56:48 | Weblog
1月24日 日曜日

●ブログです。
あたたかな日曜日だった。
昨夜はコタツでついに徹夜。
ブログもふくめて20枚分くらい書いた。
いまは原稿の枚数でなく文字数で言うのでしょうかね。
まだまだがんばれば書けるものだとうれしかった。

●カミサンに誘われて黒川の河畔を歩いた。
鴨の親子を眺めた。
白鷺はみあたらなかった。

         

●渇水期なのでテテラポットが現れている。
川底すれすれにしか川水が流れていない個所もある。
何人かの人々が剥き出しのコンクリートの堤防のうえを向こう岸まで歩いてわたっている。

         

●クリーンセンターのchimney から穏やかな煙が春を思わせる青空に上っていた。

         
                         pictured by 「猫と亭主とわたし




●きょうの小説。
死体があった。としか書けなかった。
活字を媒体とした本ではないのだから……と思い、自己規制した。

●ほんとうは、スプラッターでいきたかったのですがね。
残酷シーンは書くぶんには、すごく楽しいのですが小学生の読者には毒ですから。
書くことはやめました。
      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説
one bite please 一噛みして。おねがい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パパラッチを探せ  麻屋与志夫

2010-01-24 19:25:13 | Weblog
part2 パパラッチを探せ 栃木芙蓉高校文芸部(小説)

11

奥本敬介は気がついたときは、閉じこめられていた。
プラスチック製の留め具で手足を拘束されていた。
2センチくらいの幅のプラスチックの分厚いテープだった。
ところどこテープには穴が開いていた。
なんのことはない。
ベルトのようなものだ。
きつくしめられていて動きがとれない。
カメラはなくなっていた。LUMIX GH1。
バイトをしてためた金でやっと買ったカメラだ。
樋口可南子のファンである父に薦められたカメラだ。
携帯はもみ合っているときになくしてしまさった。
ここはどこなのだ。打ちっぱなしのコンクリートの部屋だ。
異様な臭いがする。
ものの腐っていく臭いだ。
剥きだしの壁には赤い文字で。
「たすけて」とか。
「死にたくない」
「殺さないで」
と乱雑な文字があちこちに書かれている。
dying messageだ。
そして血で書かれている。
腐臭は部屋の隅から漂ってきた。
死体があった。
何体もあった。
戦慄がふいに敬介におそいかかつてきた。
敬介は恐怖でパニック状態になった。
なにか叫んでいた。
涙をながしていた。
声が枯れ、涙もかれたころに男がはいってきた。
「恐れるな。お前はすぐにはころさない。
ききたいことしがあるからな。
すなおにこたえれば、生きてここからでられるかもしれない」
「きみらはなにものだ」
「なんだ。まだわからないのか。案外ニブイナ。
それとも認めるのが怖いのかな」
「…………???????」
「吸血鬼だ」
「そんなものこの世にいるわけがないだろう。
恐怖小説か、ファンタジィの世界の住人じゃないか」

      にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説
one bite please 一噛みして。おねがい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする