田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

さすらいの塾講師    麻屋与志夫

2010-05-10 09:19:27 | Weblog
1 もどってきたぜ

4

「いやにあっさり逃げていったな」
とG。翔子と純をうれしそうに眺めている。

酒に酔っている。
とろんとした目で翔子と純を眺めている。
「泉さん、ようこそ。よく帰ってきてくれたわね」
翔子の母、文枝が純の帰還を歓迎した。
「翔子さんとの約束ですから。翔子さんはいつごろから気づいたのかな」
翔子のメールにはストーカーに狙らわれている。
そのストーカーは吸血鬼のようだ。
とかかれていた。
純を帰京させるにはじゅうぶんな理由だった。
「わたしは父とお兄ちゃんが吸血鬼とそうぐうしたときは、
まだ小学生だった。
父がいつかは、どこからかかえってくるとおもっている。
そして、Gと母で、三人でこの道場と「ムラカミ塾」は守ってきた。
生徒だってあのころよりふえている」
「翔子。泉さんはなぜおまえがストーカーにおそわれるのかしりたいのよ」
「わたし吸血鬼なんてみたこともなかった。
それが地下鉄の通路でみてしまった。
壁がみように膨らんできた。
アレっと柱のかげにかくれた。
そしたら壁から吸血鬼があらわれた。
わたし夢中で逃げた。
追いかけてきた。
でも人が大勢やってきた。それですくわれた。
それからときどき、人がまばらなところであらわれるようになったの」
「でも、家にまできたのは初めてなの」
と、文枝。
「5年前とおなじことが起きるの」
純がいるのでうれしそうではあるが、不安を隠しきれないで文枝がいう。
つもるはなしもある。長い夜になりそうだ。

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コメント
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