10月31日 水曜日 晴れ
●裏見の滝を拝んできた感動からまだ冷めない。
●滝が近づく。木道がしっとりとぬれてきた。手すりもぬれていた。滝の落下音がひびき、おおきくなり、木道も手すりもぐっしょりと水分をふくみぶわっとふくらんでいた。事実、橋の欄干は指がめりこむほど水でふやけている。
「こわいようだわ。橋が落ちないかしら」
「落ちるほどひとが渡っていない。落ちて死ねばそれも運命」
荒沢川の激流が眼下にあった。かなり深い。水流も渦を巻いて、巨岩にのしかかっている。カミサンには強がったが、腰がひけた。
●橋の上ですれたがう人はいなかった。ここまで来て、裏見の滝を見ようとする人は数組だった。木の階段になった。満席でバスから降りるのに苦労したのが信じられない。閑散としたものだ。でも、この心寂びしい自然には観光客は似合わないかもしれない。
わたしは、不遜にもそう思った。煌びやかな華やかさはない。それでもひっそりとじぶんだけで、独り占めにしたいような静謐が、神々しさがそこにはただよっていた。
●滝を見上げることのできる展望台。木造なのがありがたかった。わたしの好きな青あおとした苔が生えていた。苔にふれていると原始に生きているような気がしてきた。しっとりとした水気、やわらかな肌触り、なんともいえずおちついてくるのだった。
●滝の落ち口あたりは、紅葉が観られた。緑の葉もあった。その調和がいい。そそり立つ岩壁。緑の苔の密生。滝の白い水吹雪。その風景の中にカミサンがいてシャッターを切っている。
●この寂滅とした自然の中で、徒歩でここまでこられたことに感謝した。
●思わず、裏見の滝を拝んでいた。
●裏見の滝を拝んできた感動からまだ冷めない。
●滝が近づく。木道がしっとりとぬれてきた。手すりもぬれていた。滝の落下音がひびき、おおきくなり、木道も手すりもぐっしょりと水分をふくみぶわっとふくらんでいた。事実、橋の欄干は指がめりこむほど水でふやけている。
「こわいようだわ。橋が落ちないかしら」
「落ちるほどひとが渡っていない。落ちて死ねばそれも運命」
荒沢川の激流が眼下にあった。かなり深い。水流も渦を巻いて、巨岩にのしかかっている。カミサンには強がったが、腰がひけた。
●橋の上ですれたがう人はいなかった。ここまで来て、裏見の滝を見ようとする人は数組だった。木の階段になった。満席でバスから降りるのに苦労したのが信じられない。閑散としたものだ。でも、この心寂びしい自然には観光客は似合わないかもしれない。
わたしは、不遜にもそう思った。煌びやかな華やかさはない。それでもひっそりとじぶんだけで、独り占めにしたいような静謐が、神々しさがそこにはただよっていた。
●滝を見上げることのできる展望台。木造なのがありがたかった。わたしの好きな青あおとした苔が生えていた。苔にふれていると原始に生きているような気がしてきた。しっとりとした水気、やわらかな肌触り、なんともいえずおちついてくるのだった。
●滝の落ち口あたりは、紅葉が観られた。緑の葉もあった。その調和がいい。そそり立つ岩壁。緑の苔の密生。滝の白い水吹雪。その風景の中にカミサンがいてシャッターを切っている。
●この寂滅とした自然の中で、徒歩でここまでこられたことに感謝した。
●思わず、裏見の滝を拝んでいた。