田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

ルナと妻のふたりサッカー。 麻屋与志夫

2020-07-03 21:23:50 | ブログ
7月3日 金曜日

●妻がパンとどんぐりをはじく。指先ではじかれたどんぐりはカラカラと音をたてて廊下をころがっていく。まちかまえていたルナが前足できれいにはじきかえしてくる。梅雨の夕暮れ薄暗い廊下でふたりサッカーのはじまりだ。

●この季節になると昨年「せせらぎ公園」でひろってきたどんぐりは、なかの核が乾いてちいさくなる。転がすとかわいらしい音をたてる。

●「さあ、ルナちゃん。ここサッカー場よ。外に出て遊べないのだから、ここをピッチと思って。広々とした野原だとおもって。さあ、いくわよ」
 妻のかけごえとともに、はじまったふたりサッカーはいつまでもつづいている。

●そとは小ぬか雨。紫陽花。うなだれた薔薇の花々。クチナシの花の匂いがまだ部屋にはただよっている。

●梅雨の日の小景。



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くちなしの花が咲いていた。 麻屋与志夫

2020-07-01 17:37:14 | ブログ
7月1日 水曜日

●ベニマルからの帰りだった。カミサンがふと立ち止まった。君島さんの前庭の隅で身をかがめている。手招きをしている。いい匂いがしている。すぐにわかった。彼女の興味をひく花が咲いているのだ。

●梅雨時のどんよりとした大気のなかで白い八重咲の花がぼうっとうかびあがった。

●さらに近寄る。濃艶な甘い香り漂ってきた。八重咲のクチナシの花。こんもりと咲き誇っていた。

●「きれい」
「いい香りがする」
「きれい」
 ふたりで話し合っていると、君島さんが声をかけてきた。
「切り花にしてあげますよ」

●梔子の花言葉は「よろこびを運ぶ」

●花言葉通りに、すごく幸せな気分になった

●いつもの家の屋根。青いシート上に二匹のネコがいた。

●クチナシの花と猫を見たよろこびを家に持ち帰った。



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