田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

2 吸血鬼/ さすらい塾講師 麻屋与志夫

2010-05-12 09:29:53 | Weblog
2 吸血鬼


6

男は倒れた女を抱き起すふりおして、血を吸っていた。
交通事故かもしれない。
あるいは、女になんらかの傷をおわせた犯人は逃げてしまっている。
たまたま通りかかったら女が倒れていた。
その血の誘惑に負けて、吸血行為にいたった。
そんなことをところだろう。
足音がする。
酔っぱらいがやってくる。
男もすばやくその気配を感じ、立ち上がるとこちらにやってくる。

勝則と純の潜んでいたものかげに「みたな。みたな」と低く声をなげかけて通り過ぎる。
「つけるぞ」
勝則が動いた。
純は従った。
バッテングセンターの前をとおる。
薬局の横を曲がる。
ラブホテルルのネオンがけばけばしくきらめいていた。
さらにそこをぬける。
また薄暗い場所にでた。
舗道を雨水がぬらしている。

「ここでいいだろう」
前を行く男がたちどまった。
男はしっていた。
ふたりが後をつけてきたことを。
「見られる者は、見る者のことを敏感にかんじるものだ。見られるとはいやなんだよな」
いがいと若い声だった。
でも訛りがある。

「外来種か」
「おう、ルーマニヤ―の生まれよ」
「なら、遠慮はいらないな。純。闘ってみろ」

 勝則が想定外のことを純に命令した。
「このために、純に吸血鬼との戦い方を実戦で教えようと、今夜はつれだしたのだ。これで、やってみろ!!」
 脇差を投げてよこした。
 吸血鬼がぎょっとした。
「エクスキューターか。日本にエクスキューターがいるなんてきいていない」

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