田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

超短編21 カーブミラー 麻屋与志夫

2023-09-30 05:53:03 | 超短編小説
9月30日 土曜日
細い道だ。

彼の毎朝の散歩道だ。

木陰になっている。

昼でも薄暗い。

カーブミラーが立っている。

ポールは鉄製なのだろう。

赤さびている。

鏡もだれもクモリをふくものがいない。

いつもよごれている。

彼が、路肩によって車をよけているのに。

ドライバーは会釈もしない。

「おジイャン。あれなに。ぽつんとたっているの」
「カーブミラーだ。むかし、あそこで死傷事故あったのだ」

車は平然とカーブをまがった。



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遠い夏の蝉しぐれ 麻屋与志夫

2023-09-29 07:25:23 | わが家のニーユス
9月29日 金曜日
今年は夏の終わりがしぶとくひきのばされた。
朝の散歩のおり、墓地の角にあるカーブミラーのところでたたずむのが、いつのころからか習慣となっている。

残暑がつづいているので、まだ山からは蝉の鳴き声がつづいている。

80年前の夏わたしは鳥もち竿を手に蝉取りに熱中していた。
鳥もちはお寺の参道の角の店で売っていた。
いまは駐車場となっている。
あのころはお寺の境内にも墓地にも自由に入って遊ぶことができた。
木の枝にとまっている蝉にそっと竿の先をちかづける。
あの高揚感はまだわたしの腕がおぼえている。

いまでは不用意に空をみあげると目がくらみ転倒する恐れがある。
それどころか脇目もできない。
ともすればふらつきそうなからだを杖でささえて、物思いにふけりながら歩いている。

このあたりの田圃には冬になると農家の人が水をはってスケート場にしてくれた。
お金をとるなどというセコイことはしなかった。

あのころ一緒に遊んだ近隣のともだちはみんないなくなってしまった。
わたしのおもいでのなかでいきているのみだ。


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わが家のルナちゃん。麻屋与志夫

2023-09-28 09:36:00 | 
9月28日 木曜日
ルナはかわいい。
アメリカンショートヘアーの♀レッドダビイ。
そもそもこの種の猫はぺっとにはふむきである。
とわたしてきにはおもう。

鼻づらを床につけて現れないネズミを仮想してかぎまわっている。
いや一匹ねずみをとったことがある。
だがたべない。
狩ることが目的で、食べることではないらしい。
ハンターなのだ。

だっこはきらい。
すりすりもしない。
まったくブアイソな猫だ。
注意深い。知らない客が門扉を開ける音で、ソファのしたにもぐりこんでしまう。
「ルナ、ルナと」
いくらよんでも返事をしない。
家中さがした。

いまでは、まずソファの下を探す。
だが、あたまのよさは抜群。

夜の9時くらいになると、わたしたちが、手がすき遊んでもらえるのを知っている。
昨夜は、ルナの抜け毛を丸めてボールにしたのをどこからか探してきた。
妻に遊びましょう、とねだっていた。

毛玉を持ってくれば遊んでもらえるとわかっているのだ。
アッタマイイ。
いろいろな彼女の癖をのみこんでつきあうと、こんなかわいいネコはいない。
半世紀も猫と同棲しているわたしたちがいうのだから、ままちがいなし。
いまでは、ルナのいない暮らしは想像もつかない。


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感傷の秋。昔のことを思い出しています 麻屋与志夫

2023-09-27 10:52:26 | 本の話
9月27日 水曜日
読書の秋ですね。
読書というのは週刊誌、雑誌レベルは読書とはいわない。
などとお堅いことを先輩に言われた時代にGGは文学を志したのですよ。
そんなこと今となっては、アナクロもいいところですよね。

ともかく戦後の文芸復興の時代です。
文学はすごい人気でした。
文学青年はすごくもてました。
でも、でもね。いまとちがい女性のほうから告白してくれるなんてことありませんでした。
だから内気なGGは結婚できないと思っていました。

文学書をbookバンドで持ち歩いていました。
都電の中でフランス語の原書を逆さまにもって読んでいる女性をよく見かけました。

それほど文学に興味をもってくれました。
太宰も三島も現役ばりばりで活躍していた時代です。

純文学の時代でもありました。

GGは北杜夫の「牧神の午後」が載っていた「文芸首都」昭和27年8月号から会員になりました。かび臭い話ですね。
「灯」昭和39年3月号に「ねむられぬ夜の底で」を掲載していただき雑誌デビューをはたしました。「灯」はその後「抒情文芸」となりました。作品を発表しつづけました。

GGは胸膜炎をわずらい、その病床でビュートルの「心変わり」に遭遇しました。

あれがまずかったなぁ。

ヌボーロマンに夢中なり読者を無視するような小説を書くようになってしまいました。
まったく若気の至りですね。

いまは携帯で小説やブログを読む時代。
皆さんはどんな小説を読んでいますか。
激動の時代。
疾風怒涛の時代を生き抜いてきた。
北斎の享年になってようやくフルタイム小説に打ち込めるようになった。
生きるために働きつづけて、あああ、こんなGGになってしまいました。

これからどうなるのでしょうね。
わかりません。
でも、小説を書くこと。
それしか能がありませんから、見捨てられたままで拙い小説を書きつづけていきます。

昨日のブログしばらくぶりで訪問者が307人となりました。
うれしくて興奮してこんな回想的なブログとなりました。

末長くよんでチョウダイネ。オヤジギャグでしめました。


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GGと彼女とでは体感温度が違う。 麻屋与志夫

2023-09-26 10:42:02 | わが家のニーユス
9月26日 火曜日
むかし産業文化会館の場内管理をしていた知りあいに聞いたことがある。
若者だけの観衆と老人会では場内の温度調整がちがう。
老人ばかりの時には、幾分高めにしなければならない。
若者には熱気があるのだろう。

風呂屋のオッチャン曰く。
若い女の子が大勢入った後は、湯面が油でギトギトしてる。
なんだか生々しい話ですね。

さて、わたしはどうみても老人。
自他共に許す老いぼれだ。

「なに、どうしたのパパ。タートルのセエタァの上に黒の丸首のセエタァ重ねたの」

なるほど彼女は夏の服装のまま。
シャツ一枚だ。
庭仕事からもどってきて、汗をかいている。

昨日のこのブログの訪問者190。
あまりのうれしさに今朝から小説を書いたり、このブログを書いたりしています。
ただ心配になってきているのは。
このままオッムのほうが老化したら???

どうする麻屋のバカダンナということです。

文章が書けなくなったら、生きているはりあいがありませんから……。

老いぼれの新人賞応募老人。
人跡未踏の、小説家の道を。
歩きつづける老人に。
右や左のかたがたなにとぞご声援のほどおねがいします。
平成5年ごろまでは。
桃園書房の月刊小説をはじめ月に二、三本は書いていたのは夢のまた夢です。
あの高揚感が忘れられません。

いまや、Z世代が社会で活躍している。
ラスボス(Last boss)の意味がわからなくて検索した。

ゲームはやったことがありません。
漫画も読んだことがありません。
「お父さんは、漫画を読まなくては若者向けの小説書けないよ」
息子にいわれたのは30年も前。
ボケてもおかしくない歳になっている。
いや、すこしホコロビカケテイルノカナ。
はじめて訪問してくださるかたのために――。
書いておきますが、かくもうすGGは恥ずかしながら90歳。

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妻のベッドにミイラが…… 麻屋与志夫

2023-09-22 10:11:39 | わが家のニーユス
夜間尿。GGなので、三度は起きる。
昨夜、二度目の尿をすませてもどる。
と!!!!!。
妻のベッドにミイラが横たわっていた。

全身を白い布でおおわれ棺に横たわっている姿勢。
どうみてもミイラだ。

ここにあるのがまがいななくミイラだとしたら、妻はどこにいったのだ。

一度目に、起きたときだ。
天井にがさがさという音がしていた。
ルナが上を見あげてうなっていた。
黒い大きな羽のあるもの。
わたしはコウモリではないかとおもってしまった。

茜色の空をよく乱舞している。
コウモリなら吸血鬼だ、と連想してしまう作家の悲しい性(サガ)だ。

妻が噛まれた。
赤い血をながした。

とこのとき、むっくと……ミイラが起き上がった。
妻だった。
「今夜は寒いわね」
とケロッとしている。
上掛けを寒いので体にまきつけていたのだった。


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見ているようで見ていない。 麻屋与志夫

2023-09-21 14:30:53 | わが家のニーユス
9月21日 木曜日 曇り
見ているようで見ていない。
わが家の前は細い路地だ。
隣の家の塀にそってあるく。
青い朝顔が路面に咲いている。
杖をつき砂利道を転ばないように注意して進む。
足元がおぼつかないのでいつも下をむいている。
若いときはからだをそらし、遠くをみてあるいていたのに。

ところが、今朝は雨が降りだしそうなので、部屋にいた。
隣の家の庭をのぞいた。
朝顔がみごとに庇の上の方まで咲き誇っている。
青いカーテンが下がっているように見える。

いつもうつむきかげんなので、上の風景がみえていなかったのだ。
これは家の庭でのこと。
数年前「ああ、この季節には萩の花が見事だろうな」
「庭に咲いているのに、あなたた、よく見ていないのね」と妻に警告された。
行き行きて倒れ伏すとも萩の原 曽良の句がすきだ。
萩の花は枝がふえて可憐な花を今年も咲かせている。

彼岸花が庭の隅で赤い蕾をつけている。
たったひと茎だがみおとさなかった。
妻が笑っている。
よくみつけたわねと目でいっている。

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Danny Boy 夏は過ぎ去り バラもみんな枯れ落ちる  麻屋与志夫

2023-09-18 09:26:01 | わが家のニーユス
9月18日 月曜日 敬老の日 曇り
 The summer's gone
and all the roses falling

アイルランドの民謡Danny Boyの一節だ。
戦地に息子を送り、その帰りを待つ
母親(または父親)の気持ちで書かれている。

今年はとりわけ暑かった。
いや酷暑はまだつづいている。
妻が丹精込めて育成したバラの花々が被害をうけた。
この暑さにたえきれずピンクや赤、白の花があまり咲かなかった。

剪定したり、薬をかけたりした。
暑さの中で園芸にいそしむには耐えられない歳に、彼女はなっている。

こういう時だ。
子どもたちのだれかが、一緒に残っていてくれたらと。
かなえられない望みを夫婦で口にするのは。

わたしは妻には残酷なようだがやがて廃園になってもいいと思っている。
まずわたしたちがこれから生きぬくこと。それが、肝要だ。

上記の歌詞の、子どもを待っせつない気持ちはよくわかる。

わたしたちの子どもは東京で大きく羽ばたいた。
もう6人も孫たちがいる。孫たちはさらに親たちから飛躍している。

これでいいのだ。敬老の日の雑感です。


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「ルナがいない。ルナがいないのよ」麻屋与志夫

2023-09-14 16:46:06 | 
9月14日 木曜日
「ルナがいない。ルナがいないのよ」
妻はいつもこの時間にはルナと遊んでいる。
ルナもゴロンと横になってベッドのわきの空間でまっている。
いつもくり返される儀式のようなものだ。
ルナもこころえたもので、どこからともなくかあらわれてゴロン。
妻をまっている。

わたしはこのところ西の端の書斎で仕事をしている。
妻の声を遠く耳にした。
「外に出たんじゃないか」
「そんなことない。ぜんぶ戸締りしてある」
ふたりで探した。
いない。

開いていた。
サッシュの網戸が開いてあいていた。
ついにルナも網戸に手をかけて開けることを覚えたのだ。
妻は暗い庭に出て小声で
「ルナ。ルナ。ドコにいるの」と呼んでいる。

ルナはどこからともなく、わたしの足元にノッタリトよってきた。
「室外機の上にいたのよ。わたしがダッコしようとしら、じふんでぬけだした網戸のすきまから部屋にはいったの」

妻は息をはずませていた。

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古峰ヶ原の天狗の話 麻屋与志夫

2023-09-13 08:46:12 | 本の話
9月13日 水曜日
物忘れするようになった。

今朝は眼鏡が見つからない。
いつも置いておく枕元の棚にない。
パソコンを打っている西の書斎にもない。
あきらめていたら、妻が「あったよ」ともってきてくれた。
「どこにあった」
「天狗の本を見ていた。ところ、たまにはわたしが見つけてあげないとね」
形勢逆転。
物忘れしないのが自慢だったのになぁ。
いつも物忘れする妻をこれでは笑えなくなった。
昨夜、古峰ヶ原のことを調べるので、知切光歳著「天狗の研究」を本棚の前で読み、置き忘れのだ。
記憶力がいいので自慢していたのに。
これでは、自慢の鼻が折れた。

柳田国男著「遠野物語」角川文庫。97ページにも古峰ヶ原の天狗の話が出ている。
郷里のことがのっていると嬉しくなる。



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