田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

洋子の誘拐 2/奥様はバンパイァ  麻屋与志夫

2009-07-19 06:14:59 | Weblog
奥様はバンパイァ 30

○わたしは素早く理解しなければいけなかったのだろう。

でも、理解するまでに数分かかった。

カミサンと玲加はわたしに心配かけまいとして事情をふせておいたのだ。

そんな配慮はあまりありがたくないのに。

老人あつかいされるのにはまだ慣れていない。

はたしてわたしは老人なのだろうか。

と疑問がわく。

彼女たちの年齢からしたら子どものような年ではないか。

「ごめんなさい」

わたしの思考をよみとってカミサンがぼそっとつぶやく。

「洋子さんのことが……とうなるかと、心配なの……」

「あっ、反応が消えた」

「携帯にきづかれたのよ。でも生きてはいるらしいわね」

玲加は走りだした。

なにかわたしにはない直感につきうごかされているようだ。

「あ、また映った。電波のとどかないところを移動しているのよ。きっとそうだ

わ」

一縷の望みが、玲加の走りをさらに加速した。

「玲加。玲加」

わたしはぜいぜい息切れがしていた。

カミサンは身軽にすいすいと玲加についていっている。

ようやく、このころになってわたしにも、ビジョンがみえてきた。

洋子の後ろ姿だ。

床にころがされている。

屋上の部屋かもしれない。

窓に月がうつっている。

「でも、GPSからみると地下みたい」

「ふたてにわかれよう」

わたしはエスカレーターで二階にむかった。

この階も子供づれの客がおおかった。

共稼ぎで夜しか子供と連れだって買い物にでられない家庭がふえているのだろう。

「あのお姉ちゃん、どうしたの? 気持ちわるくなったのかな」

小学4生くらいの男児が母親を見上げてたずねていた。

「どんなようすだった。いくつくらいだった」

「高校生くらい」

おしゃべりな男の子に感謝のことばをのこしてわたしは屋上へ。

こんどはエレべーターにのった。

「屋上へきてくれ」

「携帯はゴミ箱にすててあった。すぐいくから。ムリしないで」

屋上の隅に後から建てたのだろう物置みたいな部屋があった。

明かりがついている。

わたしは忍びよる。

部屋に気配はないようだ。

フラッシュドアはカギがかかっていなかった。

カミサンと玲加がくるのを待っていられなかった。

もし洋子が倒れていたら、一刻も早くたすけださなくては。

わたしはドアに手を伸ばした。

「ストップ。ダーリン」

カミサンにうしろから腕をつかまれた。

「ブービートラップがあるかも」

玲加が腹ばいになってドアの下に手をやって、開く。

目前を白い光がキラメキ通過した。

「ボウガンね」

「あぶないとこだった」


あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

栃木の女の子はブスか。バカにするな!!  麻屋与志夫

2009-07-17 08:33:42 | Weblog
●GGは朝から怒っている。じつに不愉快だ。

●あるサイトの「カワイイ女の子が多いのはどの都道府県?」というランキングを

みた。

興味をもって順番をたどって……下へいくと……なんとなんと44位だった。

あとには……鳥取県が最下位だった。

どういった人気の算出法なのかわたしにはわからない。

「秘密のケンミンShow」などでもなにかコバカにされているようなことをよく見

る。

だからこういった番組のテレビは全くみない。

栃木県民性をバカにしたような番組がおおすぎる。

かなしくなる。

●これはテレビに出る栃木県出身といわれるタレントがあたえる印象にもあるので

はないか。

東京ボンタの宇都宮弁には愛嬌があった。

最近のお笑いタレントのことさら強調した栃木弁には辟易している。

栃木県を田舎だ!! と印象づけるから美少女はいない。

田舎娘がおおい。

と思われてしまうのかもしれない。

田舎にだってきれいな女の子はいるのだ。

それに気だてのよさはすばらしい。

結婚するなら栃木県の女性といまだにわたしは思っている。

●明治の天才画家。青木繁につくした福田たね。

その献身ぶりをだれか小説に書いてください。

●女性が輝かないのは男に責任がある。

仄聞するところによると栃木県の女性の平均寿命は短いのですって。

ほんとうなのですか。

男に必死でつくし過ぎて身も心もぼろぼろという話をずいぶんと聞きます。

●渋井陽子。ママさんランナーの赤羽有紀子。文星出身でしたよね、原裕美子。

どうだ、栃木県の女子マラソンはがんばっているじゃないか。

それぞれに美しく輝いているではないか。

なよなよした色白のアイドル美少女だけが美しいとはいわせないぞ。

●「女の美しさなど皮一枚だ」そんなセリフがハムレットにありましたよね。

Beauty is only skin‐deep.


●美の選出基準がまったく逆転したらどうなるのだ。

わが県の女性がいちばん美しいということになる。

それでなくてもいまのままの美の認定でも彼女たちは十分に美しいとわたしは思

う。

●わたしはこのブログで小説を書いている。

「吸血鬼ハンター美少女彩音」をはじめとしてわたしの小説にでてくる少女たちは

みんな美少女だ。

みんな栃木県は鹿沼の少女がモデルになっている。

ぜひ読んで下さいとコマーシャルをいれたところで……いくらか腹立ちがおさまり

ました。


あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

洋子の誘拐/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-07-16 22:46:51 | Weblog
奥様はバンパイァ 29

○「どうなってるんだ」

いつものパトロールのコースをはずれてモールにきた説明をもとめた。

「あとでねあとでね」

玲加が緊迫した声でささやくようにいった。

「部外者はでていてくれ」

「なにかもめごとか」

さらにガードマンが増えた。

たかがモールの業者専用の駐車場にまぎれこんだくらいで、どうしてこうもセキュ

リティが厳重なのだ。

「はいはい、退散しますよ。外にトイレがあるかとおもってね」

「店内にある」

なにがなんだか事情を知らされていないのでわたしにはわからない。

わたしたちは逃げるようにモールの正面にもどった。

「洋子が誘拐されたらしいの。犯人からは連絡はないけど、まちがいなく人狼の仕

業よ。洋子のお父さんからの連絡なの。なにかあったらわたしにまず携帯入れるよ

うにいわれていたみたい」

「だったら彼女の家に行って、お父さんから状況をきくのが……」

「gps携帯をもたせてといたのよ。ああいうことがあったあとだから」

「位置情報を発信できる機能付きのやつだな」

「そのとおりよ。そしてその信号はこのモールを示しているの」

三人はモールの中にはいっていた。

まだ閉店までにはまがある。

車で来た若い客で

混雑していた。

       

      pictures by 「猫と亭主とわたし




あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夜の買い物/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-07-16 18:45:34 | Weblog
奥様はバンパイァ 28

○十時過ぎていた。

モールの広い駐車場には車がびつちりと止められていた。

「化沼にこんな都会的なショッピングモールがあるなんて、オドロキ」

さきにおりた玲加が感激している。

わたしはカミサンの声に誘われて小説を中断して夜のパトロールに参加したのだ。

「玲加。なにか感じない? よくみみを澄まして」

「ウソォ。狼の遠吠え」

「やはり、きこえるのね」

「すごく、はっきりきこえている」

わたしには、残念だがなにもききとることはできなかった。

だがこの新しくできた広大な建物全体が狼のように思われた。

エントランスは狼のアギト。

ひとびとは喜々としてその大きな口のなかに吸いこまれていく。

わたしたちは、店内には入らず裏に回ってみた。

納入業者専用の駐車スペースになっている。

「なにものだ。ここは部外者は出入り禁止だ」

ガードマンがとんできた。

     フレンチ レース(FL)
       

       

       pictures by 「猫と亭主とわたし


あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

児童虐待のウナギノボリ?  麻屋与志夫

2009-07-15 07:29:05 | Weblog
7月15日 水曜日

●朝から暑い。

二階の書斎には、ムアッとした温気が朝風にのって入りこんでくる。

毎年のことだ。

梅雨明け直後には舟形盆地にある地形のためなのだろう。

風が湿気をともなって停滞してしまう。蒸し暑い。

湿度が低くなり、風が勢いをまして吹きだせば本格的な夏となる。

これからだ。

温度はうなぎのぼりにあがる。

でも、いまよりは蒸し暑さは感じなくなる。

とまあ……暑さをこぼすようでは、やはり若さがなくなったのだろう。

●わが愛しのブラッキも家の中を涼しいところをさがして、のそのそあるきまわっ

ている。

いまのところ彼女のお気に入りはカミサンの部屋である。

       

     pictures by 「猫と亭主とわたし

涼しい板の間によこになったりエアコンの下のソファでねそべったり、げんなりし

ている。

●盆休みには長女の家族がひさしぶりで帰省する。

ふたりいる孫娘も受験勉強から解放させてあげたい。

日光にいく計画をカミサンと立てている。


●長男夫妻もこの週末には「ただいま」と帰ってこられそうだ。

ブログのやりとりで、連絡ができる。

世間もかわったものだ。

むかしは、この辺で電話があったのはわが家くらいのものだった。

お盆の帰省の連絡が東京にでている子どもたちからはいる。

呼びだしに隣近所にいったものだ。

いまでは携帯がある。

呼び出し電話、などということばは、死語になってしまった。

●お盆に帰省する習慣だけはいまものこっている。

民族大移動の季節だ。

親子の情はしかし、だいぶ変わってきた。

この町で父親が小学生の男の子を刺すという痛ましい事件が起きてしまった。

●誰でもよかった。

殺したかった。そんな事件も起きる。

どうなってしまったのだ。

年に一度の帰省を楽しみに働いてきた素朴な心情はどこにいつてしまつたのだ。

親子関係は崩れてしまったのか?

●児童虐待が激増しているらしい。

景気がV字型に回復する。

それなら歓迎だ。

ひとをさしたる理由もなく刺すような事件がウナギノボリに増えている。

こんなのは歓迎しかねる。


あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

梅雨明け/大麻卸商   麻屋与志夫

2009-07-14 20:04:42 | Weblog
7月14日 火曜日

●関東地方が梅雨明けしたとテレビで報じていた。

いま散歩から帰宅したところなのだが風がたしかに爽やかに感じられた。

「これは梅雨明けの風だ」とカミサンと話し合いながら黒川べりを歩いてきた。

まだ季節の変化や、天気に関する勘はにぶっていないなと……うれしかった。

●糊づけしたビニロンの細いロープを乾かす仕事を若いときにしていた。

自然乾燥だったので空を見上げて、天候ばかり気にして仕事をしていた。

天候に関する勘はこの頃、養われたものだ。

不遇だった。

あの苦しい生活がなかったら今頃はもっとましな小説が書けるようになっていたの

にと悔やむことがある。

おのれの才能のなさを運命におしつけるなんていうのは、ミットモナイですよね。

GG愚痴ですよね。

お許しください。

そのロープは短く切って「真縄」にした。

鼻緒の芯に入っているあれです。

下駄がおありでしたら、裏返して見てください。

細いロープで鼻緒を下駄の台にしばりつけてあるでしょう。

そう、それです。

●もっとむかしには、野州大麻を使用していました。

だから「大麻卸商」なんて名刺をもっていました。

いまどきこんな名刺をもっているのをみられたら、桜田門がだまってはいないです

よね。

もちろん、わたしたちが商いしたのは麻の繊維のほうです。

●あのころのことが、うまく書けたらNHKの朝ドラむきのですがね。

才能がこれまたないからダメ。

書けるようにはならないでしょう。

でも、書いてみたいな。

●天気のはなしから脱線してしまった。

スミマセン。

     フレンチレース(FL)
       

     pictures by 「猫と亭主とわたし

あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

薔薇の記憶/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-07-13 16:18:42 | Weblog
奥様はバンパイア 27

○小説を書きたくなったので、三階の書斎にあがった。

カミサンはまだ二階の玲加の部屋で話しこんでいるようだ。

そのうち興奮して歩きながら話しはじまる。

有蹄類のようにどんどんという響きをたてることになる。

彼女は古い記憶をよみがえらせて話していると正坐できなくなる癖がある。

いつもそうなるのだが、下の部屋にいるわたしは落ち着きを失ってしまう。

重々しい足音をきいていると彼女の激情がわたしのものとな。

小説など書けなくなってしまう。

三階の窓から薔薇の庭を見下ろすのが好きだ。

わたしたちが薔薇に守られていることがうれしかった。

そして、カミサンにもわたしは守られているのだろう。

いやそれは(それはってなんだ……カミサンの足音がうるさくて文章をつづれなく

なること)はちがう。

カミサンの昔からの膨大な記憶にたすけられて、わたしは伝奇小説を書きつづける

ことができたのだ。

いままでもそうだった。

これからもそうだろう。

なんといっても、生の歴史体験をきいているのだから題材にはことかかない。

わたしがストーリの構築にマッタク才能がないから……このテイタラクで……隠者

のような暮らしにあまんじているのだ。

カミサンにすまないと思う。

彼女だっていいかげんながいことこの化沼での日常がつづいているのだから、転地

を望んでいたのではないだろうか。

庭の薔薇はすこし蕾んでいる。

しずかに夜を過ごしているような風情がある。

この薔薇へのカミサンの記憶はどのへんまで遡源するのだろうか。

まさか、彼女の先祖が天国の薔薇園の園丁だった神話の世界まで遡るというのでは

ないだろうな?

わたしはカミサンの記憶の記述者だ。

じぶんの、わたしとカミサンのこの町での経験を書こうとするとますます筆が鈍っ

てしまう。

「そんなことはないわ。あなたはあまりひどい迫害を、わたしと結ばれたので……

この町の人からうけてきた。だからじぶんのこととなる記憶も混乱してくるのよ」

離れたところにいるカミサンの声がみみもとで響いている。

     アルブレヒトデューラーローズ
       

       

       pictures by 「猫と亭主とわたし


あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ユダヤ十支族/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-07-12 07:12:35 | Weblog
奥様はバンパイァ 26

○「どうして……止めたの。リベンジするにはいいチャンスだったのに」

「奈良時代の恨みがいまものこっているなんて、素晴らしいことだと思う。だいた

い日本の歴史をみても何代にもにわたる恨みを持続するなんてあまりきかないから

な。でも復讐の感情からは、たとえ恨みを晴らしたとしても、なにも生まれないと

思う」

「ほめられているのか、けなされているのかわからないわ。人の心の動きに、心の

波動に敏感なわたしたちは一族なのよ。だから体は変転しても心はそっくり遺伝す

るの」

「たしかにこの化沼で玉藻の前が滅ぼされたのはざんねんなことだ。おれは物書き

だからいろんなことを想像する」

Gは興奮していた。いつのまにかおれ、という人称をつかっていた。

「玉藻の前は失われたユダヤ十支族の出だと推察している。天皇の寵愛をうけてい

たが周り女官たちの嫉妬と政争にまきこまれてやむなく都落ちすることになった。

九尾の狐がいた、と想像するより玉藻をいれて十の部族のものが東北目指し移動し

ていたと考えるほうが、リアルだと思わないか……」

「おもしろいよ。G、もっときかせて」

歴史大好きギャルの歴女玲加がさきを急かせる。

「この地には壇ノ浦遺跡、金売り吉次の墓とか源氏と平家両方の伝説もある」

「それよりあなた、九尾族への論考をきかせて」

「論考なんてアカデミックなものではない。おれが好き勝手にファンタジーしてい

るだけだけれどな。尾裂山(石裂山)という地名もある。別れ別れにはなったが、こ

の地に十支族の末裔がめんめんと生きながらえている。それがmimaたち人の心を高

揚させる技のある、心を動かすこののできる種族だとおれは思う」

話題はどんどん飛躍していく。Gは興奮してきた。

「だからだ。復讐よりなにか創造するほうへエネルギーを使ったほうがいい。それ

だけの能力がモッタイナイ。争いからはなにも生まれない」

「わが麻生家の麻の葉の紋章は六芒星に似ている。おれはmimaとは結ばれる縁があ

ったのだと思っている。昔はおなじ十支族だったはずだ」

「わあ、ロマンチック。ふたりは赤い糸でむすばれていたのね」と玲加。

      アジサイ
       

      pictures by 「猫と亭主とわたし



あなたのポチが筆者の励みとなります。よろしく。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

薔薇バリア2/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-07-11 10:13:04 | Weblog
○奥様はバンパイァ 25

「どう攻めればいいの」と玲加。

薔薇の棘がバリアとなっている。

武も犬飼のオババもこちらには入ってこられない。

こちらからも、攻撃ができない。

「玲加は助けた。もういいだろう」とG。

「まだよ」Mが叫ぶ。

棘のある蔓が触手となってヤツラにおそいかかる。

体に巻きついてきりきりとシメアゲル。

「もういい。ふりかえって、怨念のみにとらわれていると、先がみえなくなる」

拍手がしている。

周囲の景色が玲加の前で霞んでいく。

拍手がしている。

荒涼たる那須野が原のバトルの風景が消えた。

玲加は再び教室にいた。

「さあ、授業をはじめるぞ」

出席簿を教卓におくと五十嵐先生が「ユニコーン」、教科書をひらいた。

玲加は窓からキャンパスを見下ろした。

MとGが手をふっている。

Mは派手な投げキスをおくってくる。

「ほら、見園読んでみて」

先生はわたしの発音をほめてくれるのかしら。

かれらは……とふりかえる。

みんな美菜も武も体をすこしコソバユソウニゆすっている。

が、元気だ。

彼女たちもネックウォーマこそしているが平然と授業をうけている。

この学校どうなっているの?

それがまだわからない玲加だった。

     マザーズディ
       

     pictures by 「猫と亭主とわたし


あなたのプチュが筆者の励まとなります。よろしく。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

薔薇バリア/奥様はバンパイァ 麻屋与志夫

2009-07-10 05:47:28 | Weblog
奥様はバンパイァ 24

○これを人影といっていいのだろうか。

青黒い爬虫類のようなごつごつした膚。

「わっちは、この姿のほうが好きでね」

顔は吸血鬼。

般若顔。

乱杭歯に長く鋭い犬歯。

その黄色く濁った色の歯列を剥いて襲いかかってきた。

玲加はオババの頭上に跳んだ。

回転回し蹴り。おばばの側頭をヒットした。

吸血鬼への憎しみが玲加のエネルギーをもえたたせている。

「オババ。はやく食らってしまえ」

武が玲加の背後からオババをカラカウ。

「なんの。こんな小娘」

オババと武は楽しんでいる。

オババは醜い顔をゆがめている。

うれしくて微笑しているのだ。

「やわらかそうな白い肉。フレッシュな生ジュースみたいな若い子の血。コタエラ

レナイネ」

前にオババ。後ろに人狼の武。

そしてBVに隷属するネックウォーマの女子生徒たちに囲まれている。

彼女たちはシュシュと玲加を威嚇する。

いやな口臭が迫る。

サアッと生温かい風が吹き寄せる。

ものの腐ったような臭いがする。

グランドが原野に変わる。

「わかるかい。ここは那須野が原の南の果てだったのだよ。あんたらの一族はみん

なここで食らわれた」

腐臭は九尾族の死体からたちのぼっていた。

人狼に裏切られ滅ぼされた一族の怨念が渦をまいていた。

虚実の狭間で玲加は攻撃をためらっていた。

こんな怪物は、叩こうが蹴ろうが、ダメージとはならない。

どう攻める。

どう戦う。

「なにためらっている。こちらからいくぞ」

武が楽しそうな声でいう。

包囲網が狭まる。

どうする玲加。武が跳躍した。

その狼の姿が玲加に覆いかぶさるように迫った。

「薔薇ヘンス」

玲加の声にmimaのするどい掛け声がダブル。

玲加は薔薇の棘に守られていた。

人狼がギャと吠えた。

薔薇の棘が全身にからみついている。

棘のバリア。

「あのときだって――薔薇の防壁を張ることのできるわたしたちが駆けつけていれ

ば玉藻さまの九尾族は滅亡しなかった」

mimaがはったと人狼と吸血ババアをにらんでいる。

悔恨の涙をうかべている。

奈良時代の怨念がいまだにのこっている。

まさか千数百年生きているわけではない。

肉体は変わる。

しかし恨みの記憶は代々受け継がれるのだ。

     ザ・ジェネラス・ガーデナー
       

     pictures by 「猫と亭主とわたし

one bite,please. ひと噛みして!! おねがい。
         ↓
    にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする