episode18 ぬ毛子さん
ある小学校にイジメッ子がいました。
女子生徒の髪の毛に異常な興味をいだいていました。
クラスの女の子の髪の毛をぬいてはノートにはりつけていました。
ぬいた子の名前や、ぬいたときの女の子の反応などを記録していました。
「きゃ」と悲鳴を上げた。
「痛い」と泣き出した。
青くなってふるえていた。
先生にいいつけた。
国語の作文を書くのは苦手なはずなのに――。
実に細かく書いてありました。
クラスの女の子全員のコレクションができあがりました。
ほかのクラスまで遠征するようになりました。
そして、ある昼休み。
髪の長い、色白の下級生の女の子が彼のクラスの廊下を歩いてきました。
女の子の髪に手を伸ばしました。
引きました。
バサッと長い髪が束となってぬけました。
そのあまりの量にイジメッ子は仰天しました。
それだけではありません。
声が聞こえてきました。
「うちの孫の毛を抜いたのは誰だ……」
長い髪の毛の束が彼の喉にまきつきました。
「わたしの髪をぬいたのは誰なの……」
髪の毛か喉をしめつけます。
髪の毛が口をきいています。
「あわあわわわわ……。たすけてくれ――」
髪の毛を、ほどこうとして、彼は夢中で喉元をかきむしったそうです。
いまでも、かれの喉元にはソノときの引っかき傷が残っています。
その女の子の髪は死んだお婆ちゃんの髪でつくったウィッグでした。
薬の副作用で一時的に髪の抜けた孫を心配したお婆ちゃんが。
じぶんの髪でつくってくれたウィッグだったのです。
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それだけではありません。
声が聞こえてきました。
「うちの孫の毛を抜いたのは誰だ……」
長い髪の毛の束が彼の喉にまきつきました。
「わたしの髪をぬいたのは誰なの……」
髪の毛か喉をしめつけます。
髪の毛が口をきいています。
「あわあわわわわ……。たすけてくれ――」
髪の毛を、ほどこうとして、彼は夢中で喉元をかきむしったそうです。
いまでも、かれの喉元にはソノときの引っかき傷が残っています。
その女の子の髪は死んだお婆ちゃんの髪でつくったウィッグでした。
薬の副作用で一時的に髪の抜けた孫を心配したお婆ちゃんが。
じぶんの髪でつくってくれたウィッグだったのです。
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