田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

交通事故多発、わめく男続出地帯に生きる。 麻屋与志夫

2016-02-28 07:24:54 | ブログ
2月28日 Sun.

●過日、ベニマルの前でお巡りさんが警告ビラをくばっていた。
バイクで人身事故があったらしい。
こうした事故が起きると取り締まる側、交通安全を訴える側の警察に批判がいく。

●わたしは鹿沼の場合、まったくそれは見当はずれだと思う。
車を運転している人こそ反省するべきだろう。
個々の事例は避けるが、街を歩くのが恐い。
信号機はないがゼブラクロッシングになっているところで、待っていても、いつになっても車が止まってくれない。
幸い、左側から来る車が止まってくれた。
さて、渡ろうとすると右側から車が突っ込んでくる。
恐い、こわい、コワイ。

●交通ルール遵法おねがいします!!
ともかく、日常生活のなかで、えっ!!  とおどろくような違和感を感じることが交通事情のほかにも、しばしばある。

●例えば、わたしはいま、足の爪水虫で某病院に2月に1回かかっている。
受付や、会計などで男が、それも分別盛りのダイの男が、喚き散らしている。
こういう光景は見ていて、わたしは勉強になるので楽しい。
小説家にとっては、人間観察も仕事のうちだから、めったにおめにかかれない光景だけに、すごく勉強になる。
わめいている時の、セリフもいい。
恫喝的な態度も、いかな名優でもかなわないほどのド迫力の演技。
いや、生の仕草だから――。
すごくリアルだ。
拍手喝采。
「いょう!!! おどかし屋!!!!」
と声をかけたいほどだ。

●でも、現実的には、みつともないですよね。
言ってわかるひとたちではない。
どうしたらいいのでしょうね。
まいにち、どこにいっても、ワメイテいる男目撃する。
こわいですね。


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「筒井康隆の『旅のラゴス』ジイチャンある」と孫に訊かれる。 麻屋与志夫

2016-02-27 18:57:05 | ブログ
2月27日 Sat.

●「ジイチャン。筒井康隆の本ある」
 えっ、孫のNも筒井康隆を読める年頃になったのだ。

●うれしくてわたしの声がはずんでいる。
「旅のラゴス。あるかな、読んでみたいの」
 がくっと、わたしは劇画的にうな垂れる。

●「旅のロゴスか、ないなぁ」
「ロゴスじゃない。ラゴスだよ」
 
●さらに、がくがくっと自虐的に首を下げる。

●「筒井康隆の作品はかなり読みこんでいたのに――。残念ながらないな」
 
●でも、もしかすると、と思い直して、電話をきってから書斎に。
 
●ありました。ありました。それもハードカバーの初版本。

●「あった。あったよ。春休みにおいでよ。マッテルカラ。おいでよ」
 
●よほど興奮していたのだ。
Nが猫アレルギーで咳き込んでしまい、わが家にはこられないことを、すっかり忘れていた。

● 孫が6人いる。長男のところはまだ幼いが。
長女と次女。二人の娘たちのところには合わせて4人の孫がいる。いちばん下のNも来年は大学受験。
ひとりひとり個性を発揮してすばらしい成長とげつつある。
Nが本を読みだした。
またひとつ孫を見守る楽しみが増えた。

●「ジイチャンは筒井康隆と雑誌テビューがほとんど同時だった」
「えっホント」
なんとか孫に面目をほどこすことができた。

●筒井大先達の作品は「ブルドック」だった。


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杉花粉濃霧のように飛来。悪夢の町。 麻屋与志夫

2016-02-26 05:13:16 | ブログ
2月26日 Fri.

●どうしてだろう。
わたしのブログの訪問者が激増していた。
そうか、杉の花粉症のことを書いたからだ。
スギ花粉症でこの時期には悩んでいる人が多いからだろう。
はなばなしい訪問者に喜びながらも斎藤洋三先生のことをPCで検索してみた。

●「スギ花粉症は壬部の独協医大の先生が発見したのだよ」と教壇で子どもたちに話して来た。
花粉症の子が大勢いる。
ざっと見渡しても、白いますく。マスク。Mask。
それでよく花粉症のことを話題にしてきた。

●わたしの記憶違いだったらしい。
それとも、先生は独協においでのことがあったのかな。
検索によると、先生が日光の古川電工病院にいるときに発見とあった。

●いずれにしても、前回書いたようにいまこの地方は杉花粉が、霧のように男体山颪にのって飛散している。
杉は風媒花。
風媒花などときくと、なにかロマンチックな言葉だが、この地方の人にとっては、悪夢のような言葉だ。
『風媒花』といえば武田泰淳の傑作があったな。
いけない。話題がそれそうですね。

●風が吹くたびに、わが家の裏にも杉山があるが、薄い橙色の花粉の飛散するのがよく見える。

●カミサンの副鼻炎も花粉症の影響がいくらかはあるのではないかと、わたしは疑っている。
この季節になると情緒不安定になる。
鼻の具合がわるければ、当然いらいらする。

●洟が喉にまわって、息がつまって死ぬかと思った。
そう言われると心配だ。
早く花粉飛来最多の4月が過ぎないかな。
花粉症のひとをみているとかわいそうで、いたたまれない。

●わたしは学習塾を主宰している。
わたしにとっては、4月は死月だ。生徒が増えるか、増えないかと、毎日毎日シガツマデハ期待とともに過ごすことになる。

●大きな塾のようにド派手な宣伝などしたことがない。
ただただ、お母さん方の口コミを頼りに生きて来た塾だ。

●花粉が飛来するように、新入生が跳び込んでこないかな。それは無理無理ですよ。

●全国の弱小塾。
父ちゃん母ちゃん塾のかたは同じ悩みをかかえているのだろうな。

●今日からもうひとつ「アサヤ塾の窓から」というブログを開設しました。

●塾の窓から見た教育問題だけに拘ったブログにしていきたいと思います。そちらもどうぞよろしく。

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杉花粉大量飛散の町/いやな季節になりましたね。 麻屋与志夫

2016-02-21 00:57:50 | ブログ
2月21日 Sun.

●去る15日に載せた『杉虫』は花粉症に取材した旧作です。
シナリオ形式なので読み難いかもしれませんね。
これは、実は劇画の原作として書いたものでした。
オクラになっていたのですが、
なんとなく、
せめてじぶんのブログにでもと思ってupしたものです。

●テレビを見ていたら宇都宮が杉花粉の飛散量が全国5位と報じていました。
宇都宮の隣町の鹿沼にわたしは住んでいますが、
おそらく計量したら、
宇都宮よりもっと大量に杉花粉がとんでいるはずです。

●なにしろ日光杉並木街道がある街です。
周囲にも杉山の多い街です。

●現在カミサンが、蓄膿症を患っています。
いまも、洟が喉に回って咳き込みました。
水を飲ませたのですが、
先日みたいに「喉にタンがつまって、死ぬかと思った」とまた、
いわれたら大変です。心配です。
どうやら、今夜は徹夜になりそうです。
ホリゴタツデパソコンに向かい先ずブログを書きました。

●鼻がワルイのと記憶力には相関関係があるのでしょうか。
50年ほど学習塾を主宰して、英語と国語の講師を務めています。
英語の得意な子がすくなくて悲しいです。

●街にでても、マスクをしている人が異様なほど多いです。
いやな季節になつたものですね。

●わたしはお蔭さまで花粉症とは縁がありません。
ありがたいです。花粉症のみなさん、おだいじに――。


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遠回りしてミイマをむかえに出かけた。  麻屋与志夫

2016-02-20 04:00:42 | ブログ
2月20日 Sat.

●昨日はミイマは東京。
午後4:30に新鹿沼駅までむかえにでた。
寄道しなければ20分の距離だ。
ポカポカ陽気なので、黒川の「ふれあい堤」を散策して遠回りすることにした。
去年の豪雨被害でズタズタに寸断された河川敷の遊歩道は、
ようやく再建工事が始まりそうな気配だ。
あくまでも気配、土木工事の会社の車が止まっていただけだ。

●一時間かけて駅についた。
「お金忘れたので、もう一銭も残っていない」
ミイマの第一声が、お金のこと。
笑ってしまった。
あれほど出かけるときに「お金もったか」と声をかけたのに。
こりゃ、やっぱり、おれが、ツイテいかなきゃ、ダメですね。

●このところ小説を書くことに集中している。
家に籠りっきりだ。
つかれた。
睡眠不足もある。
いつも体力のぎりぎりまで仕事をしてしまう。
すこしは体力を保持することも考えなければいけないのだろうが。

●今朝も2時に起きた。
 

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杉虫 日光戦場ヶ原/ハルマゲドン

2016-02-15 00:33:32 | ブログ
●花粉症に悩むみなさんに―― 

 杉 虫 日光戦場ケ原/ハルマゲドン              


1栃木県。神沼市。
 近未来の春。日光街道の杉並木に黒髪颪がふきあれている。
 杉の梢は魔女の髪のように乱れている。
 天空は黄褐色の渦。 
 流動する杉花粉。
 花粉の渦は神沼の上空で一際激しく盛り上がっている。
 魔女が黒衣の両手を広げて街を伺っているような影となっている。

2街の薬局。
 ポスターが各店に張ってある      
 花粉症の季節だ      
 抵抗力はスポーツから    
 疲れたあとで鳩のマークを
 ゴックン
 鳩の羽をひろげたブランド。
 なぜか、逆卍即ちハーケン・クロイッ、と見紛う図案。
 瓶があふれる金網の空瓶捨。 
 ドリンク剤をのみほす喉々。
 男、女、未成年。
 マスクをした人の群れ。
 鼻炎に苦しむ人の群れ。

3 新聞記事
 花粉アレルギー発祥の地、神沼。
 市内の学校でインフェルエンザ猛威をふるう。
 花粉症とのダブルパンチで学級閉鎖。
 なぜ毎年神沼だけにこうも流行するのか不明。
 新聞を読みながらテレビ見ている父親。
 家庭団欒の食事。
 テレビ。花粉情報をながしている。
 テッシュに手をのばし鼻をかむ妻。
 子供がくしゃみをする。
 ノリが飛ぶ。
母「食事のときくらいくしゃみしないの」
 子供。泣き顔。

4 パチンコ店
 異様な繁盛ぶり。
客A「こう、鼻がむずむずしちゃ働くきにもなれないや」
客B「とかなんとかいって、女とまちあわせて……」
客A「えへへ。わかるぅ?」
客B「この、スケベ」

5 ゴルフ場
 異様な繁盛ぶり。
 肉感的なキャデーの尻や乳房にばかり目がいくゴルファー。
ゴルファーA「彼女を誘ってみようぜ」
ゴルファーB「負けたほうがモーテル代もちでどうだ」
ゴルファーA「先週の復讐戦てとこだな」

6 モーテル
 万室。万室。万室。
 客の車が出ていく。後片付けのおばさん。
「真っ昼間から、スキなんだねぇ」

7 黒川河畔の運動公園。
 学校が休みなので昼から運動に興じる学生の群れ。

8 東中学校の庭。夕暮れ時。
 照明塔の頂点で二個の影が対峙している。
『アサヤ塾』英語講師麗夢理矢子。
「杉虫よ。かりそめの体から、でなさい」
 ママさんバレーの指導員。渡辺耕。
耕「居心地がよすぎてな」
 理矢子両掌をつきだす。
理矢子「破邪」
耕「レムリヤの秘技。掌光波もそれだけのことか」
 耕。人指し指を天に向ける。
 ぐるぐる回転させる。
 黄褐色の杉花粉の渦。
 指の動きに同調する。
耕「くらえ」
 花粉の放射が理矢子に叩き付けられる。
耕「しまった。影か」
理矢子「見えるものだけを信じるからよ。わたしの実体ははじめから杉虫、あなたの背後にあったわ」
 女は男をかかえ。 
 空にとぶ。
 男の絶叫。
 男の体から杉虫の障気が青白いフレアとなって、抜けていく。  
 着地する。
 杉虫の去ったあとのぐったりとした男をグランドによこたえる。
          
9 体育館。
 躍動するママさんたち。
 美味しそうな肉体美。
 クローン人間のようにおなじような体型。
女1「監督と孝子さんなにしているのかしら」
女2「妬かない。妬かない。いまくるわよ」
女3「ほらね」
「監督。孝子さんは?」
「しらんぞ」
「あら。かえったのかしら」
「監督と一緒だとおもってたのにねー」
 一同、めくばせ。笑い。         
 鳩マークのスポーツドリンクを、飲んでいる。
 屑籠に空瓶がいっぱい。
「そーれ」
 練習再開。

10 校庭の隅。
 孝子の死体。
 食い荒らされている。
 理矢子、死体に手を翳す。
 死体、黄色の塵となる。

11 アサヤ塾。府中校。
 ママさんバレーの練習が見下ろせる。
 トイレの扉が開く。
 テレポートしてきた理矢子があらわれる。
 こともなく、いつもの授業風景が続く。
12 府中橋。
 橋桁のかけかえ工事中。
 狭められた歩道をくる理矢子。
 塾の帰路。
 作業員たちが黙々とヘルメット姿でガスバーナをつかっている。
 バーナの炎が一斉に理矢子を襲う。
 杉虫に侵された男達。
 鼻汁と涎をたらしている。
「うまそうだ」
「こんがり焼いて、食べようぜ」
「どこからたべるかな」
「そのまえに、やらせてくれ」
「どこからやるかな」
理矢子「ナウマクサマンダバサラダ、センダマカロシャナ……」
「真言呪法がいつまで効くかな」
理矢子「アビラウンケン」
 乱闘。
 乱闘。
 理矢子の古代より伝承されたレムリヤの格闘技も危うい。
「理矢子。跳べ」
「おじいちゃん」
 河原に大麻道人がいる。
 理矢子。裾をはためかせて飛翔。
 悔しそうに里矢子を見下ろす作業員。
 涎を垂らしている。

13 夜の裏町を疾駆する理矢子と道人。
 裏路地。 
 低い家並のかなたに杉並木が見える。
 国産製麻(株)の廃墟。
 そのかなたに、神沼スウパーの偉容が対照的。
 廃墟の倉庫跡。
 大谷石で構築された壁に、麻の文字がみえる。

14 道人。
 護摩段を背後に。回想する。
道人「ことの起こりは昭和20年。第二次大戦終結の翌日だった」
 杉並木が燃えている。
道人「わしは、国民学校の最上級生だった。敵国に渡したくないものを焼却処分した。ときかされていた」
 バレー。
 バスケット。
 サッカー。
 野球の球技に耽る神沼市民。
 至福の顔。顔。顔。
道人「昭和50年代から杉の花粉症があらわれ。栃木国体の時じゃ。目。鼻。口の粘膜を冒されたものが優勝をかざった」
 ソウルオリンビック。
 ベンジョンソン。ドッピングにひっかかり無念の表情。
道人「薬物実験でも花粉症がなぜ筋肉を増強するか不明だった。性欲も昂じる」
 そして、いま19××年。相変わらず運動に興じる市民。
 その顔は好色。色餓鬼。
 知性の欠落。狂暴性が現れている。スポーツドリンクを飲んでいる。
道人「生物兵器だった。敗戦の夜、廃棄処分にされるはずだったものは。アサヤ塾で子供達に英語を 教えていたわたしはかれらの記憶低下に気付いた。杉花粉症と結び付けて考えた。運動することが 花粉症を癒すといわれだした。花粉に筋肉を増強し知能を退行させるウイルスがまじっていたのだ」
 道人立ち上がる。
 護摩段の炎が揺れている。
理矢子「追っ手よ。もうじき結界がやぶられるわ」
 護摩段の炎が揺らいでいる。
道人「今宵こそ、積年の疑惑を晴らそうぞ」
 道人、床を剥がす。
 地下への階段がある。
 道人、里矢子。武装する。
 青銅の刀を背につける。

15 地下道。
 道人と理矢子が進む。
 ぎょっと、ふりかえる。
 結界が破られた。
 瓦礫の山と化した倉庫。
 掘り抜いてきた岩磐にさいごの穴を穿つ道人。
 向こう側にも洞窟がある。
 道人「杉並木の真下のはずだ。戦時中の横穴壕の跡だ」
 無数の樹根が天井からからみあってたれさがっている。

16 人体さなぎ。
 樹根にからめとられている軍服姿。
 根が養分を吸い上げている。
理矢子「生き埋めにされたてのね」
道人「むごいことよ」

17 二人の過ぎた後から生き返っていくさなぎ。
 耕が唇に血をしたたらせ呪咀をくちずさみながらくる。

18 気配に振り替える道人と理矢子。
耕「ぬかったな。止どめを刺すべきだったのだ。麗夢理矢子。おれの餌食になれ」
道人「先にすすめ。なにがあるかその目でたしかめるのだ」
里矢子「おじいちゃんを残していけないわ」
道人「おれにかまうな」
里矢子「だめ。できない」
道人「苦労がむだになる」
里矢子「おじいちゃん!」
道人「いけ!」
耕「なにほざいている。おいぼれ行者」
 道人に襲い掛かる耕。亡者の群れ。
 道人、切りまくる。
道人「一匹も通さん」
 道人の体は青いフレアにつつまれている。 
 乱闘。
 死闘。
 人外魔界を現出させようとする魔族と遠くレムリヤの戦士の系譜を今に伝える大麻道人との激闘。

19 洞窟深く侵入する理矢子。
 人体さなぎはもはや無い。
 洞窟の両側をミルク状の液体がながれている。 
 樹根が液体を啜っている。
 不意に前方に明り。
 視界に飛び込んできたものは、信じられない。
 超近代的な実験室。
 白衣の人々が働いている。無表情に。

20 実験室につづく工場。
 神沼堂の鳩のマーク入りのスポーツドリンクがベルトコンベアーにのって続々と製造されている。                
 クローンと見紛う女子作業員。
 ママさんバレーに興じていた女達と共通の顔。 
 逞しいからだ。
 乳房、くびれたウエスト。
 腰。
 すんなりとした脚。
 だが、あやつられている。
 虚ろな目。
 目。
 目。

21 警備室。        
 モニターテレビに理矢子の映像がうかぶ。送信器をとりあげる警備員。

22 会長室。               
 受話器を取り上げる会長。ヒットラーに似ている。いや世紀の大魔人ヒットラーその人。
会長「生かして捕らえるのだ」
 液晶大画面に理矢子が映っている。
 警報が鳴る。
「第三地区に侵入者。第三地区に侵入者」
 理矢子と警備員の格闘をソファで楽しむ会長。    
 裸身の女を愛撫しながら眺めている。
 女、もだえている。

23 翌日。アサヤ塾。
 事務の女の子があやまりながらプリントを配っている。
事務員「先生が病気なの。試験にするわ」
 一斉にブーミングがわく。

17 体育館。 
 ママさんバレーの溌刺とした掛け声。

24 アサヤ塾。本部。
 緊迫した表情で武装する大麻族。

25 神沼堂の裏手の壁に取り付く黒装束の大麻族。
 麻のロープを屋上に投げ上げる。    
 汚水栓を模した地下通路への蓋を明けて侵入する別団の大麻族。

26 通路をいく大麻族
 死闘の後。道人が倒れている。    
 大麻族の剣。(つるぎ ) 「恩師」
 剣は口で麻の実を噛み砕く。道人に服ませる。
道人「わしも老いたものだ」
剣「なんと気弱なことを」
道人「悪霊のばっこはもうゆるせん。どんなことがあっても、阻むのだ」
剣「命にかえても阻止します。花粉ウイルスがひろまったら世界の破滅です」
 剣。青銅の剣を抜く。
剣「切込むぞ。いざ、大麻の勇者よ」

27 実験室。  
 雪崩れ込む大麻族。

28 警報に警備室をでる警備員。     
 悪霊の群れである。

29 巨大なビーカーのなかに閉じこめられている理矢子。
 大麻族の雄叫に共鳴して震動する。
神の声「麗夢理矢子よ。レムリヤの武闘派の血を引く娘よ。目覚めよ。目覚めて邪悪なる者達を討ち滅ぼすのだ」

30 理矢子。瞳を開ける。
 青い光を放つ。
 ビーカーが割れる。
 呪縛が解ける。

31 道人と剣が部屋に飛び込む。   
理矢子「おじいちゃんも無事だったのね」
道人「それより、なにを見た」
理矢子「ヒットラーよ。写真でしか見たことのない魔界の総統よ」
剣「ヒットラー?」
道人「やはりな」
理矢子「信じられる?」
道人「当時、死体が発見されないことから、多くの憶測が生まれた。同盟国である大日本帝国への亡命説もあった」
理矢子「若々しい体なのよ」    
道人「いくら、薬を飲んだからといって信じられん。若い体に憑依したのだ」

32 会長室。
 とびこんだ道人の一団。
 誰もいない。
 もぬけのからだ。
 壁。柱。天井。床。を探る。
 なにもない。
 理矢子。モニターのスイッチをいれる。
 大画面にヒットラーと神沼堂の屋上から攻撃をかけた大麻族の戦闘が写る。
 大麻族と魔族の死体類々。  
 壁の隠しスイッチを探り当てた剣が、  
「おれに、つづけ。ひるむなよ」
 壁に地下への通路が開かれている。

33 地下都市。
道人「ん。みろ。いままでの洞窟はとはちがうぞ」
 地上の神沼市より近代的な町並み。
 無表情な市民の群れ。
剣「まるで、ゾンビーの群れだ」
理矢子「神沼市民よ。花粉症に冒されたひとたちよ。傷つけないで。可哀相にこで働かされていたのね」
剣「あっちだ」
 剣の指差す彼方の建物から、大麻族が転がり出る。
大麻族「まちがいなく、神沼堂の会長は仕留めたのですが」
 指差す。耕の顔がヒットラーの顔と交互に現れる。
道人「憑依するぞ」
耕「ハイル・ヒットラー」
道人「理矢、剣、心をひとつにして霊波光を照射するのだ」
 三人。青銅の刀を合わせる。       
 正眼にかまえる。
 刀から出た光が耕の体で焦点を結ぶ。
 耕のからだが炎を発する。
耕「恨む、恨むぞ。神沼から初めてまず日本全土にわが花粉病をひろめる。抵抗力をつけるのが花粉症を防ぐいちばんいい方法だと、いつわりの宣伝をする。運動を推賞する。そしてスポーツドリンクをのませる。知能を退化させ、肉欲を増進させるドリンクだ。わが奴隷の誕生だ。それを阻むとは、恨むぞ」
三人「破邪!」
ピットラー「第三帝国再建の夢はすてぬぞ」
 青いフレアとなって街の奥に消えていくヒットラーである霊。
 耕の焼け焦げ死体が残る。
道人「追うな。いまは、これまでだ。負傷したものをつれて、ひきあげる」
 刀を杖に歩き出す戦士。
 戦友に肩をかして歩くもの。
 余りにも大きな犠牲。

34 神沼堂。薬品売場。
客A「どうして欲しいだけ売ってくれないのよ」
客B「売り惜しみじゃないの」
客C「また、値上げする気?」
店員「発注しただけ、入荷しないのです。申し訳有りません」
客A「品不足を理由の売り惜しみだよ」
客B、C「また、倍にでも、値上げするきかよ」
客A「許せねえんだよな、そういうやりかたわ」
 A、B、Cの客。積み上げてあるケースを蹴飛ばす。
 崩れるケースの山。
 里矢子と剣。              
 地下駐車場へ降りていく。
剣「佐東道路がこのスーパーの工事を落札したときからおかしいと」
里矢子「そうね。大深度工法技術トップの会社ですもの」
剣「もぐら工法で工事した行く先はどこなのだ」
里矢子「会長室からの通路でははせますぎるわ。車でいける通路があるとすればここからよ」                 
剣「どこへ逃げたのだ」
里矢子「分からないわ。でもヒットラーの霊の飛び去ったのは日光のほうよ」
剣「だいぶ、遠いな」
里矢子「そうよ、遠いわ」
剣「日光に、なにがあるのだ」
里矢子「だから、なにも分からないの」
 さがしまわる。
 焦燥したふたり。
剣「北か」
里矢子「そう。北よ」
 北に面した壁の前に二人は立っている。
 一枚一枚のタイルに逆卍。        
 それが、集積され巨大なハーケンクロイッ
 と見紛う平和の象徴鳩のモザイク模様となっている。 
 剣。不用意にその一部に触れる。    
 駐車していた車のタイヤが破裂する。
 床から太い針がつきだしている。
 細菌兵器としての杉の花粉が噴き出す。
 里矢子、剣を抱いて駐車場の片隅までテレポートする。
 照れている。
里矢子「やはり」
剣「やはり、ここだった」
里矢子「来るわ」
 車がヘッドライトをつけて迫ってくる。
 剣と里矢子対車の戦い。
里矢子「剣。監視カメラを破壊して」
 剣。熱線銃の銃口を車から隠しカメラに向ける。
 脚もとから針がつきだし剣、負傷。
 一斉に襲い来る車。車。
 剣、逃げられない。壁際に、追い詰められる。      
 里矢子「剣!」
 里矢子、空中に浮かぶ。必死の思いで剣に手をのばす。

35 アサヤ塾。府中校。
 トイレのドアが開く。         
 里矢子、脚から出血している剣を抱き締めてテレポートしてきたのだ。
 里矢子「痛むでしたよう。すぐ助けを呼ぶわね」
 電話不通。              
 窓ガラスを割って石がなげこまれる。
声A「アサヤ塾は撤退しろ」
声B「撤退。てったい。テッタイ」
声C「たのしいな、たのしいな。ぼくらにゃ学校も、受験も、塾もなーい」
剣「なんてやっらだ。うちの、塾生までいるぞ…」
里矢子「だめよ。あのひとたちとは闘えないわ。杉虫にあやっられているのよ。あのひとたちには罪はないわ」
剣「神沼市民のために、真実をしらせ、平和に市民が暮らせるように闘っているのに、どうしてわかってもらえないのだ。悲しいな」里矢子「正義のために、闘うものの定めなのよ。いつの時代でもわたしたちはひとしれず陰の戦場で、誤解されながら死んでいったのよ」
剣「虚しいな。あんなやっらのために」
 部屋に彩光が満ちる。
 悪霊の形となる。
悪霊「そうだ。撃て。撃て。やっらをみなごろしにしろ」
里矢子「だめー。聴いてはダメー」
悪霊「立て。剣。大麻族の若き戦士よ。あの群衆はおまえたちの敵だ。撃て。剣」
里矢子「剣。あなたの彼等への不満と不信が悪霊を呼び寄せているのよ」
悪霊「なにをぐずぐずしている。剣。目を覚ますのだ」
里矢子「いっちゃだめ」
 投げ込まれる石。           
 投石が剣に当る。
 窓の影で銃を構える剣。
 振り返る。
 剣の顔にヒットラーの顔がダブル。
里矢子「憑かれるわ。憎悪の感情をすてて」
悪霊「やれ。やるのだ。剣」
里矢子「やめてぇ」
 里矢子、剣に抱きつく。
 凄まじいフレアの渦。
 ふたりは床に倒れる。
 ドアが開いて大麻道人と部下が飛び込んでくる。
道人「遅かったか」 

36 神沼市市議会堂 
 傍聴席。                
 70位の痩せた老人。
 よろよろと立ちあがる。
 大型店舗売り場面積規制緩和。の垂れ幕。
老人A「また首をくくる仲間がいるな。お客さんとの会話もあったし。真面目に働けば商売でくっていけた。昔はよかったな」
老人B「われわれ年寄にはきびしい春になった」
 垂れ幕。廃塾令可決。
学生A「但し学習塾だけだとよ。それに『東』から進出している予備校はいいんだってよ。ああゆうとこは、おれったちを遊ばせてくれるものな」
 議員席。いずれも、杉虫に侵された顔。
秘書「先生、今夜はR予備校の席がありますから」
議員「かあちゃんに内緒でまた遊べるぞ。うひひひ」

37 市役所前。喫茶店『ソラリス』
学生B「アサヤ塾が襲われたってよ。勉強、勉強ってこうるさい塾だったものな」
学生A「押忍。中学校のクラブ活動を毎日夜の8時までやるのは、おかしいとか」
学生C「押忍、神沼市は日本一英語のレベルがひくいだの、好き勝手なこと言いやがってよ」
ABC「おれたちも、塾壊しにいこうぜ」
 グラスにあけたスホーツドリンクを飲み干す。
ABC「ドリンク。5本。テイクオフだ」
店員「すいません。品切れなんです」
A「なんだ、売り惜しみかよ」
B「まいどの客だぜ」
C「むかっくな。どうなってるんだよ」

38 『アサヤ塾』本部。
 剣。ベットに寝ている。
里矢子「ヒットラーの霊体は、杉の花粉にのってどこへでも移動できるのね」
道人「それだけでない。いま剣の唾液を調べた結果が保健所の麻田からファックスで送られてきた」
里矢子「おじいちゃん。これは!」
道人「ミクロのダニだ。いや、ダニに似せた細菌兵器だ。あのままほうっておけば、剣はダニにのっとれていた」
里矢子「でも、わたしのフレアを注入したから」  
道人「ヒットラーの亡霊に憑かれるよりはいい細菌兵器だ。あのままほうっておけば、剣はダニにのっとられていた」
里矢子「わたしのフレアから回復できるの」
道人「心配するな。ヒットラーの亡霊に憑かれるよりはいい」
里矢子「どうして剣に?ヒットラーの亡霊がのりうつるの」
道人「ヒットラーはだれにでも憑くことができる。正義に疑問をもったり、人に害意をもっとな」
里矢子「だって、暴徒はわたしたちを襲ったのよ」
道人「暴徒に対して、怒り、憎悪、害意をもったからつけいられたのだ」
里矢子「人なら誰でも怒りの感情からはのがれられなてわ」
道人「それが悪霊にむけられたものなら許される。人が人を憎むことはできない」
 里矢子。悲しそうに剣を見下ろしている。39 神沼市保健所
 裏庭。                 
 杉花粉の採集。
 麻田がガラス板にワセリンを塗っている。
所員A「麻田くん。花粉にダニが混じっていたんだってな」
麻田「ダニじゃなくてウイルスらしいんだ」
A「そんなバカな」
麻田「所長には報告しときました」
A「ミクロの世界の出来事だものな、ぐうぜん、とんできたダニがついたってことも」
麻田「ある。だから断定はできない」

40 所長室
所長「どうだ。今夜つきあえよ」
女子所員「いいわ。ああいい」
 所長、女子所員を膝にだきあげて愛撫中。
麻田「あ。失礼しました」
所長「ノック。ノック。してから」
麻田「申し訳ありません。あの報告は県にまわしてもらえましたか」
所長「あれはダメだ。杉花粉にウイルスが混入してるなんて、誰がしんじてくれるのだ」
麻田、悄然と所長室をでる。ニタっとそれをみている所長の目。血走っている。
所長「だけどな、花粉が飛ぶ頃になると、スケベになる。こう粘膜がむずむずしてな」
女子所員「ああ。所長さん、ダメエ」
所長「女の粘膜も疼くんだろう」
女子所員「ああ。ダメエ」
所長「ダメエーじゃなくてイイんだろう」
 床でからみあっている。
所長「ここだ。ここに、花粉がついてるんだろう」
女子所員「ああ、そこ、そこよ。もっとなめてぇ」

41 街
 マスクをしている人の群れ。       
 薬局。
店員「あすは入荷します」
客A「待てるかよ。喉がかわいて、苦しいんだぜ。スポーツのあとであれをごくんと飲まないと生きてるかんじしないんだ」
客B「それによ、花粉症にも効くんだ」
客A「何とかもう一本売ってくれよ」
客B「飲むとよ、鼻水がとまるんだ。デートなんだけどよ。鼻水すすりながらなんて、はやらないものな」            
客A「あっちにも効くしな」
 街をいく二人。女の尻をみて涎をたらしている。

42 『アサヤ塾』会議室。
 道人。里矢子。麻田もいる。あとは第一次襲撃で生き残った面々。
道人「麻田君が大麻族の血をひいているから花粉症にはかからないのだ」
里矢子「わたしたちのDNAに花粉症に強いなにかがインプットされていたのよ。とおい昔し、レムリヤを滅ぼしたのもウイルスだったかもしれないわ。わたしたちはその時いきのこったのよ」
道人「神の意思。悪魔。などと呼ばれているものはみな宇宙細菌だったのかもしれない」麻田「このまま放って置くわけにいかないですね。スポーツドリンクが不足して街はパニック状態でよ」
道人「この街だけでくいとめることだ」
麻田「僕も襲撃班に加えて下さい」
道人「生きて帰れないかもしれんぞ」
 神沼堂スパーの見取図が広げられている。
 作戦会議。
 腕組みをして道人は考え込んでいる。
道人「まさか。そんなことはあるまい」
 密かに地下街のヒットラーの悪霊がきえていった方角に線を引く。 
 その延線上に日光戦場が原がある。
麻田「われわれにも参戦を許していただき感謝します。大麻族の血は薄くとも、故郷を滅ぼそうとする魔族とはたたかえます」   

43 神沼堂地下駐車場。
 杉花粉とウイルスに対し完全防備の大麻族の戦士達。
 突き出る巨大な針を避ける。
 逆卍の模様の浮き出た壁に取り付く。
 破壊する。
 一気に攻め込む。
 杉花粉の濃霧。
 突き進む。
 霧が晴れる。
 何もない。
 人工太陽に照らし出された無人の街。
 ひたすら突き進む大麻族。
 工場地帯。               
 深夜の残業。
 スポーツドリンクの製造に住民の全てが動員されていたのだ。

44 工場内部。
 続々と生産されるドリンク剤。
男「ほら、渇きをうったえている仲間のためだ。がんばれよ」

45 工場裏の変電所。
 爆薬を仕掛ける大麻族の勇士。

46 道人。里矢子。麻田。        
 街はずれにたたずんでいる。
 ヒットラーの悪霊がフレアーと成って消えていった彼方をみている。
道人「大深度地下工事で活躍しているもぐら工法につよい佐東道路の仕事だ。短期間ではあはったが、あるいは?」
里矢子「おじいちゃん」
道人「あるいわな、いやそうかもしれない」里矢子「どうしたの?」
道人「いけば、わかる。もどり道のない戦いになるかもしれん」
 大爆発。                
 変電所の崩壊のため明りの消えた街をヘッドライトをつけ、爆破に成功した面々が車で到着。
 無人のハイウエーイを驀進する車。
 大麻族の勇士。
 空間に悪霊の障気がみちている。
 杉の花粉がみちている。
 巨大な渦を巻いている。
 古来聖者をも誘惑したと伝承されるメフエストの化身の美女。魅惑の微笑を浮かべて大麻族の若者を誘う。
 誘惑に負けて空間に引きこまれる戦士。
里矢子「見ないで。まやかしよ」
道人「戦場が原の神戦譚(しんせんたん)をしっているか」
 戦いの場に挑む若者達を鼓舞するかのように道人が語っている。
 話しの内容にしたがって、情景描写。
道人「日光の二荒の神と上野の赤城の神が中禅寺湖の争奪戦を展開した。遠い太古のことだ。二荒の神は大蛇と化し、赤城の神は大ムカデと変じて闘ったと言う。戦いなかばにして、二荒の神は、弓の名手たる自分の一族である猿麻呂(さる ま ろ)の助けをえて、赤城の神を撃破した。ハルマゲドン。神と神の命運を賭けた戦いだった。猿麻呂というのが神のなかの武闘派、わが大麻族の先祖なのだ。大蛇と化してというがわしは、レムリヤから乗ってきた有人ロケットのようなのりものだったと思う。雄大なスヘースオペラじゃないか」
里矢子「おじいちゃんは、その最終戦争がこれから再現されると……」
道人「そうじゃ。そう思っておる」

47 日光。
 黒髪山(二荒山、男体山)。
 中禅寺湖。
 尾瀬の湿原地帯。
 戦場が原。
悪霊「われわれはいかなる形でも採れる。なぜなら、ひとつひとつはあまりに微細すぎて人の目には見えないからだ。ある時は、ヒットラー。ある時は……」
 対峙する悪霊と大麻(退魔)族。     
 乱闘。
 苦闘。
 杉虫の元凶と大麻族との世界の命運を欠けた死闘。
 悪霊は威喝するかのように人類史上の独裁者の姿をつぎつぎと示現させる。
 月光をあび無数のウイルスが集積し巨大なダニの形になる。
 ダニはつぎつぎと繋がり百足となる。
 虚空に舞う百足。
 死闘に倒れた大麻族。
 勝ち誇ったように、天空に舞う百足。
 道人、決意の目差。
道人「これまでだ。里矢子。掌光波だ」
 里矢子、両掌をつきだす。       
 里矢子の後ろに道人。          
 大麻族の生き残り戦士。悲壮な覚悟をして道人に連なる
 里矢子を鏃とした雄大な矢となる。
里矢子「破邪」
 黄金の光を発して百足に飛ぶ。
 百足の頭部から尾にかけて、切り裂くように光の矢が走る。
 のたうつ百足。
 雷鳴轟く。
 地殻が変動。
 神沼堂の地下街の崩壊。
 大谷石の廃墟が陥没。

48 神沼市。
 天国に一番近い至福の街。
 スポーツに興じる人々。
市民A「神沼の水は、日本一うまいんだってよ……こんなうまいものがあったんだ」
市民B「花粉症よ、さようなら」
 悪夢から覚めた感じ。
市民C「ほんと。今年は花粉症がたいしたことなかった」
 街は明るく。
 春。
 市民の顔には杉虫に侵されていたときの、とげとげしい表情はない。
 黒川河畔の公園では若者達が恋を語っている。

49 『アサヤ塾』
 看板を下ろしている剣。
剣「里矢さん。市民は知らない。この一年(ひととせ)の幸せがあなたたちが命とひきかえたことを。来年になればまた……」
    

注 劇画の原作として書かれた旧作を載せてみました。ご笑読ください。Hなセリフもありもうしわけありません。


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リリ、ネズミなんか寝室にくわえこまないで。 麻屋与志夫

2016-02-13 06:36:21 | ブログ
2月13日 Sat.

●ふいに家のなかいっぱいに、いや、向こう三軒両隣までとどいたのではないかと、心配な――ミイマの悲鳴。
布を裂くような甲高い叫び。
悲鳴――。
オモワズ心肺停止に追い込まれそうな悲鳴に、階下に駆け下りる。

●ミイマの部屋の障子を夢中で開けると――リリが子ネズミでサッカ―をしていた。
ミイマは二十畳ほどある洋間の片隅で、ただでさえ小柄な体をさらに細めてガクガクふるえている。

●ミイマは鼠やゴキブリが大嫌いだ。
キライどころの騒ぎではない。
みただけでパニック症候群におちいる。
このまま心臓が止まるかと思った。
と震えている。もちろん顔面蒼白。

●ひさしぶりの、悲鳴によるご指名の救助信号で駆けつけたわたしは「あの、悲鳴、ご近所にDVとまちがえられるな」といったもんだ。
「なに呑気なこといってるの、早く捕まえて」

●恐いもの知らずのわたしだからいいようなものの、リリがジャレテいる子ネズミを素手で捕まえる。
リリはせっかく捕まえた獲物をよこどりされて、不満顔。
ネズミのいたあたりに鼻づらをおしつけて臭いを嗅いでいる。

●「もうリリ、いやだよ」それでもリリを抱きあげてほほずりをしている。
前では、そんなことは出来なかった。
リリへの深い愛情がある。
いままでだったら、猫の、リリのそばにいくこともしなかっただろう。
ほんの一瞬前まで、ネズミをくわえていたのだ。
愛は強し。
ミイマの不安神経症もこれでいくぶん緩和されていくことだろう。


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水ぬるむ? 麻屋与志夫

2016-02-05 17:40:00 | ブログ
2月5日 Fri.

●昼ごろポカポカ陽気にさそわれて散歩にでた。

マフラーをしなくても寒くはなかった。

コーデロイのシャッも脱いだ。

いい陽気になったものだ。


●黒川では堰きの上の流れのゆるやかな水面を鴨が4羽泳いでいた。

ゆったりと並んで泳いでいるのが、いかにも春らしかった。

青鷺も大きな羽をひろげて飛んでいた。


●水は茶色に濁っていた。

上流で工事でもしているのだろうか。

そう思わせるような色をしていた。

工事といえば、昨年の台風のあとはそのままだ。


●荒れ果てた河川敷を眺めながら「ふれあい堤」を歩く。

上空をカラスがなきながら追いかけてきた。

散歩するひとが珍しいのだろうか。


●文化交流センターの脇の枯れ芝の広場。

そのうち、青くなってくるだろう。

芽吹いていない裸の木々。

早く、本格的な春になるといいな。

●家に戻ると、ブラッキ―とリリが追いかけっこをしていた。

春の気配をかんじているのだろうか。


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リリはバーチャルの世界で狩りをしています。 麻屋与志夫

2016-02-02 08:41:40 | ブログ
2月2日 Tu.

●リリが消える。
「リリ、どこなの。どこにいるの」
わが家は築百年にはなる。
こんど、大きな地震が来たら倒れてしまうのではないかと子どもたちが心配している。
古民家だ。ボロ家だが広い。リリが消えてしまって、その姿を探すのは一苦労だ。

●「リリ、見つけた」
ミイマの陽気な声がブラッキ―の餌場とトイレになっている、わたしの書斎の下の部屋でする。
雑然とした空間だ。スチールの机が二つある。その上にはこれまた雑然と塾の古い教材が重ねてある。
園芸用品、デンドウノコ、等などが所狭しと置いてある。
物置がわりに使っている部屋だ。

●リリはこのところ、ここが気に入っている。
あまりにキレイで何もない部屋よりも品物が、アチコチにあった方が、落ち着くのだろう。
それに物影からなにかトビダシテきそうな期待があるようだ。
狩りをしている気分なのだろう。
なにもないのに、お尻をククット左右に振っているのを見ていると、古びて空気の抜けぬ軟式テニスのボールにジャレついた。
上の娘が中学でテニスをやっていた。
その思い出のラケットやボールが捨てずにとってある。

●この部屋は、思い出のジャングルだ。
娘にテニスを教えてくれた義弟は昨年亡くなった。
何人も入れ替わった塾の先生がたの使い古した教材も大切に保存してある。
教え子の名簿。
塾でだしていた「麻」という小冊子。

●タイムスリップを起こして、過去の感傷にふけらないように、わたしはあまり近寄らない部屋で、リリは仮想の獲物を探しているのだろう。



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福士加代子の爆走、爆笑、爆言がすばらしかった。 麻屋与志夫

2016-02-01 16:08:45 | ブログ
2月1日 Mon.

●やはり喉を腫らしてしまった。
いや慢性だから痛むとか熱が出るというほどのことはない。
体がだるく、喉がイガラッポイというだけなのだが、なんとも気分がすぐれない。

●それでも朝から頑張って『ムンクの「浜辺の少女」は吸血鬼だよ』のいよいよ第二部改稿にかかっている。
これがなかなかむずかしい。
自作を直すということは、じぶんの肉をそぐようなもので、甚だやりにくい。
ときにはこころの痛みさえともなう。
それでも、80枚ほど渋々と仕事をした。
寝床に横になって、バインダーに留めた40×40のA4で20枚直すと原稿用紙に換算すると80枚ということになる。
ゼブラの4色ボールペンをつかっている。
先ず赤を使って、赤ペン先生の気分。
つぎは緑、吸血鬼のながす血のいろ。
青、節分の青鬼。
黒、となりに潜り込んで来ている愛猫、ブラッキ―の毛並みをみながら……ともかく4回は校正、つけたしを続けるから、合計――160枚。かなりハードだ。

●こんなことを、70年以上つづけている。
もちろん、若い時はいまほど枚数はこなせなかったから、だいいち自作に手を入れるなどということはあまりしなかったから楽だった。

●大阪マラソンを見た。
福士加代子(ワコール)の爆笑する勝利宣言すばらしかった。
手放しで喜んでいた。
あんな瞬間がおとずれれば、うれしいのだが、文学の世界ではムリだろうな。
ほんと、羨ましい瞬間だった。
スポーツは勝利の瞬間の歓喜がすばらしい。
サッカ―の浅野選手のジャガ―ポーズの無邪気な笑い顔、素晴らしかった。

●あんな笑顔をしたいものだ。
でも、西施の笑顔をまねた醜女ではないが――。
GGの笑顔は泣きじゃくる醜い笑いになるのだろうな。
笑顔は青春にこそふさわしい。

●せめて、電子書籍の世界で自作を発表することを楽しみに老生はがんばろう。

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