田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

愛のかたち/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-05-15 20:05:27 | Weblog
愛のかたち

11

ひとを愛するってどういうことなのかしら?

この問いに関してかんがえるには十分な時間があった。
この5年、純がわたしたちのもとを去った5年のあいだにわたしは成長した。
もう大人だ。
愛しあうということがどういうことか、わかっているつもりだ。
それはエロスとしての愛だ。
メンタルな愛。とは……?
わたしは純を愛している。
それは確かだ。でも愛とは?
12世紀?の「アベラールとエロイーズ」の愛の形が好きだ。

「貧しい者よりは富んだ者に喜んで嫁ぎ、結婚において相手の人格よりはその所有物を望む女は、みずからを売る者と申さなくてはなりません。こんな女は、相手の人間をではなくて事物自身を求めるのであり……」

わたしってすごく古い女だとおもう。
お金持ちのおぼっちゃまとの恋愛願望がないのだ。
シンデレラ願望がないのだとおもう。おかしなやつ。

わたしは純粋に泉純、そのひとがすきだ。
純とはなしていたさきほどまでの、わたしの心の高鳴り。
これだけでもう、まっていただけのことはあった。
しまいに話つかれてふたりはおたがいに顔をみつめあって、沈黙した。
なんと豊かな沈黙だったろう。

「おやすみ、純。明日は学校は休み。
吸血鬼がでてきた地下鉄の通路。
都市伝説ともいうべきミステリースポットを案内するわ」




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翔子の愛の告白/さすらいの塾講師 麻屋与志夫

2010-05-15 05:31:44 | Weblog
翔子の愛の告白

9

「わたしお兄ちゃんのこと好きかも」
小学生のわたしはませたことをいった。
でも、好きだといって、
断られたらという恐怖が、
あいまいなことばを口にさせた。
いまだったら、
好きですと正直に告白することができる。
でも、
ひさしぶりであったお兄ちゃんに、
わたしの気持ちを伝えることはしなかった。
だって……わたしのメールで、
東北のほうにいたのにすばやく反応して、
帰ってきてくれた。
もすうそれだけでうれしくて、
だきしめられてもう胸がどきどきしてしまった。
わたしの胸の鼓動はお兄ちゃんに伝わったはずだ。
うれしいけど、なにか恥ずかしい。

「遠慮いらないわよ。二階の角部屋つかって」
ということで、わが家に同居することになった。
お兄ちゃんと毎日顔をあわせられるなんて、
想像もしていなかった。
ビッグサプライズ。
うれしい。


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