田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

コウジの手/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-01-31 10:42:14 | Weblog
6

「コウジ。またきたわ。二度あることは……っていうけど、三度目ね」

「つかれたでしょう。きょうは土曜日だから学校は理沙子さんおやすみよね」

看護師の弓削さんが倒すとbedになるソファをコウジの隣にしつらえてくれた。

うれしかった。

時針が文字盤を2周するあいだにいろいろなことがあった。

玲菜との出会い。その護衛。

そのためのV少年、犬森サブロウとの戦い。

でもアイツほんとは。

どれくらいながくこの地球の空気を。

吸っているのかしら。

そしてキヨミとの再会。

うれしかった。

あいかわらず元気なノッポちゃん。

そして、そしてなんと、なんと……キョミも覚醒者となった。

それから……理沙子はコウジにはなしかけていた。

高山小学校にいったわ。

あいかわらず、イジメがおおいの。

わたしたちのころとおなじよ。

そしてV成体。

大人の吸血鬼にひさしぶりであった。

やっぱ真正吸血鬼はド迫力があるわ。

暁の光に救われたけど。

戦っていたらどうなったかしら。

わたしとコウジこうしてつながっているものね。

コウジの手。

あたたかいよ。

吸血鬼の手はつめたいのだろうな。

コウジの手。

脈うってるよ。

吸血鬼は脈うってるのかしらね。

心臓があるんだからもちろん生きているんだから。

当たり前よね、脈うっているわ。

でも血は青い。

コウジはやく回復して。

顔色すこしずつよくなってるよ。

うれしいよ。

コウジ。はやくよくなって。

元気になったらキャッチボールしようよ。




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助けて/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-01-30 18:16:40 | Weblog
5

高山小学校は宇都宮の中心部から。

西へ10キロほどのところある。

夜の闇を校門にある2基の街灯が。

わずかに照らしていた。

校庭は。

陰惨な事件が。

あったとはおもわれないほど。

静まりかえっていた。

砂場は立ち入り禁止の黄色いテープで囲われている。

「どう? キヨミなにかかんじる」

「理沙子はどうだ」

と翔太がきく。

「すごく苦しんでいた。

のどに砂が詰まっていた。

遊びなんかじゃないわね。

いじめよ」

「死ぬほどくるしんだみいね」

キヨミがつづける。

砂の一粒ひとつぶに死の恐怖がこびりついていた。

その残された恐怖感をふたりは映像化している。

まるでその場にいたようだ。

「ふたりとも……生徒の苦しみをかんじるのか」

「びんびんかんじるわ。そして見える」

かすかに大麻の臭いがする。

「小学生が大麻は吸わないだろうな」

「するとVがからんでいるの」

このところ大麻汚染は全国的にひろがっている。

おとなだけでなく青少年にまで拡大している。

「Vの体臭かもしれない」

大麻の汚染がひろがっている。

Vがじぶんの存在を。

あいまいなものにするためだ。

と翔太たちは判断している。

少年は砂場にうめられた。

友だちがおもしろがって砂をかぶせてくる。

「たすけて。やめて。死んじゃう。よたすけて」

校庭にはまだみんながのこっていた。

だれもたすけにきてくれない。

その事実に。

さらに少年は恐怖した。

死ぬ。

殺される。

殺される。

理沙子の体がふるえた。

だが吸血鬼のすがたは脳裏にうかばなかった。

「巧妙にあやつられているのかもしれないな」

ふいに砂塵がまきあがった。

砂の渦のなかで、拍手がわいた。

囲まれていた。姿はぶれているがまちがいなく吸血鬼だ。

「猟犬みたいに鼻がきくんだ。みごとな推理とほめておく」

大麻の臭いが強烈だ。

あたまがくらくらする。

「おまえらの、死嗅をかくすためだろう。

じぶんたちの存在を気づかれないように。

大麻を流行らせている」 

彼らの顔を照らしだしたのは、朝の陽光だった。

一瞬吸血鬼のおぞましい姿がうかびあがった。

そして、陽光をきらって消えてしまった。

「キョミ。みた!!! アイツラがVの成体。

おとなの吸血鬼。

わたしたちの真の敵」



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砂風呂遊び/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-01-29 08:46:39 | Weblog
キヨミはそれどころではなかった。

いままで生きてきた現実が。

ただそれだけではない。

世の中。

ひとも。

街もそのままではない。

キヨミが見ていた。

キヨミが信じていたもののほかに。

ほかの物が混じっている。

ほかの者がいる。

この世は混沌のなかに存在している。

そんなわけのわからないことをおもった。

「でも、理沙子は理沙子だよね」

「わたしたちチームよ。

覚醒者救済連盟にようこそ。

キヨミ。また一緒できてうれしいよ」

4


病棟の地下。

監視室。

「翔太。高山小学校だ」

理沙子たちがコウジの病室にいるのを確認していた。

巨大鳥居の基底部に新設したシェルターに。

逃げこんだのをモニターで確認していた。

そこへ飯田室長からの指令が出た。

室長は「いじめ110番の前に立っていた。

翔太がかけつけると――。

「高山小学校の校庭で生徒が生き埋めになった事件が昨日発生…‥」

とモニターに文字がながれている。

砂場で首だけ出した少年が映っていた。

「なんだよ。いまごろになって」

「だれかが、事を公にするのをきらったのだろう」

ひかえめなコメントを飯田がつぶやいた。

教育関連の事件には神経がつかれる。

マスコミにさわがれたくないのは。

この覚救連もおなじだからだ。

「現場にVの残留思念が残っていれば、こちらの仕事だ」

「夜が明ける前にスキャンしてきます」

少年の口には砂が詰まっていた。

だれが撮った動画なのか。

わからない。

救急車の隊員だろう。

少年の苦しそうな顔。

いますこし、救急車のかけつけるのが遅かったら。

殺人事件だった。




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ブレ/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-01-28 05:56:59 | Weblog
3
 
奇妙な感覚がキヨミをおそった。

ここにいる理沙子は。

ほんとうにキヨミのしっている。

理沙子なのか。

神沼の東中学で仲良しだった理沙子なのか。

ここにいる高見広治は。

ほんとうに神沼商高のエースピッチャーだった。

理沙子の彼。

ベッカム似の。

イケメンの彼なのか。

ここに青白く皺のよった顔で。

bedによこたわっているのは。

点滴のチープでつながれているのは。

この彼が。

理沙子の恋人なのか。

理沙子がかわいそう。

キヨミは「げんきだしなよ」

と励まそうと手をのばした。

理沙子の肩に手をのばした。

ところが理沙子の肩に手がのらなかった。

あるべきところに、理沙子がいなかった。

視覚認識のズレが起きた。

床が傾斜した。ズズっと体が滑った。

ふいに脚がもつれた。

傾斜しているのはキヨミのからだだった。

「理沙子! 床が、床がれてる!! 地震だ!!!」

「揺らいでいるのは。キヨミ。あなたよ」

「どうなってるの」

「おめでとう。覚醒したのよ。

すわって、すぐにおちつくから」

「どうかしちゃったみたい。

頭がぐらぐらするよ」

「心配しないで。二度と起きないから。

キヨミもいろんなものが見えるようになったのよ。

これでチームだね」




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ダーリン、また来たわ/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-01-27 17:53:53 | Weblog
第四章 吸血鬼シェルター

1

「あっ、今宮神社の鳥居が見える」

「理沙子、だいじょうぶ? ここは、宇都宮よ。

今宮神社があるのはわたしたちの故郷神沼じゃない」

「吸血鬼とたたかっていると風景までぶれてくるの。

風景や人物が重なったり。見えないものが見えてくるの」

ふたりは脚力ではどうやら。

バイクにばかりのっている。

サターンのメンバーに勝っていた。

どたどたとした足音はまだパルコの角をまがってこない。

追っては、屋台村のあたりだろう。

「はやく。キヨミ。

さっき、わたしたシルバーリングをここにおしあてて」

凹凸デザインの大ぶりなリングがキヨミの指にはまっている。

「ヤッラ! きたわよ。

いまパルコの横からあらわれた!!」

「ここってどこよ?……?? わかない」

「あっ。見つかった。こっちにはしってくる。はやく! はやく!! いそいで!!!」

「どこよ」

「わかった。キヨミが高すぎるのよ。もっと低いとこ。わたしの背丈くらいのとこ

凹凸がある」

「みなまでいうな。わかつてそうろう」

キヨミの時代がかったかけごえに。

理沙子がどっとこけた。

カチっと音がした。鳥居の基底部がするするとスライドした。

理沙子もキヨミのあとにつづいた。

その背後でスライドドアが。

自動的にしまる。

「つかまって」

理沙子がキヨミにかけごえをかける。

鉄のポールにつかまって下降する。

「吸血鬼シェルターよ。

ふつうはここに隠れて夜明けを待つの」

「鳥居があたらしくなったとおもっていたら、こんな仕掛けがてきいたの」

「覚醒者にしかしられていないけどね」

「ここのシェルターは本部までの通路があるの。助かったわ」

地下道を5分もあるくと塙トンネルの地下街に出た。

2

「はい、コウジまたきちゃった。

キヨミがお見舞いにきてくれたよ」

病室にはいったキヨミが絶句した。

「こんなことになっていたの。

さっきはごめんね。

あたらしい彼氏なの。

なんて翔太さんのことでひやかして」

「あちらはわたしのボス。

こちらがごぞんじわたしのダーリン。

コウジ」

理沙子は悲しくなった。

涙がほほをつたっていた。






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タッパがちがう/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-01-27 11:06:10 | Weblog
4

「おれは……」

もごもごと宝木が唇をうごかす。

「おれは、キョミがすきなんだ。

だからいつも、レデイスの「黒髪」にけんかふっかけていた。

けんかがおれにはキヨミとのデートだった」

「いきなり、告くらないでよ。

わたしとあんだではだめ。

つりあわない」

「どうしてだ」

「迷彩服きた竹串のわたしと。

皮ジャンのダンゴじゃ。

さまにならないよ」

たしかに、タッパがちがいすぎる。

身長差。

20cmはある。

「サターンのヘッドをオチョクルきか!!!」

宝木の配下の黒のトレンチコートのオニイサンこたちがキレル。

いっせいに、おそいかかってきた。

「吸血鬼になれば、ひとの血と精気だけ吸っていきられる。

脂肪分をとらないから。

ヤセテ、背丈だっておとこは25の朝飯前までのびるっていうからな」

まだぼそぼそつづけている。

「バカか、宝木。そういうこと人前でいうことか」

キヨミが同情した。

シュンとした声になる。

「だから、すすんで噛まれた」

「逃げよう。こんなサビシイこというおとこと戦えないよ」


ようやくキヨミも逃げることに同意した。

そうときまれば長いストライドで。

脱兎ならぬ。

キリンのごとく。

夜の底を。

はしりだした。








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耳の目/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-01-26 07:21:39 | Weblog
「どうしてよ。

どうしてわたしたちの逃げる方角がわかっちまうのよ」

キヨミがいらだっている。

まだ彼女は生まれながらの吸血鬼の怖さがわかっていない。

かれらは、障害物知覚がすぐれているのだろう。

風のながれがよめる。

ひとが歩く。

大気をおしわけてすすむ。

そのびみょうな風の振動をききわけることもできるのだ。

ともかく、闇に生きてきたクリーチャ(生物)なのだ。

耳で見ることができる。

耳で闇を自由にうごきまわれる。

ところでかれらはわたしたちを。

creature comforts(飲食物)くらいにしかかんがえていない。

もっともさいきんでは血をほとんどすわない。

精気を奪って生きている。

だからあまりめだたない。

怖いことにはかわりないのに。

「なにだまりこんでいる見る者よ」

「どうしてわたしたちをおそうの」

「それはむ見られることがイヤだからだ。

ぼくらは闇に生きる。

ぼくらのすがたは見てはいけないのだ」

「ぼくってガラかよ」

キヨミがひるまず理沙子とサブロウの会話にわってはいる。

「わたしたちもう部屋に帰っておねんねしたいの。

退いてくれる」

ククククククククッッッッックク。

サブロウがたのしそうにわらった。


「夜はまだこれからだ。

たのしもうぜ「黒髪」のヘッド。

キヨミちゃんよ」

「わたしたち、まだか弱い高校生なの。

ネエ、家にかえしてよ」

宝木が追いついてきた。

肥満男とその仲間の参加で闇は。

さらなる闘争の場となろうとしている。

「チョウやばいよ。逃げようキヨミ」

「なにこそこそはなしるの」

サブロウがたのしんでいる。



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大麻の実/夕日の中の理沙子(2) 麻屋与志夫

2009-01-25 10:29:14 | Weblog
「宝木のヤツ。

いつからあんなことになってたの」

「一週間くらい前に噛まれたのね。

いままで影があったのだから」

理沙子とキヨミはじりじりと後退して壁を背にしていた。

大谷石の高い塀だ。

庭の側から太い松の枝がつきでている。

「跳べる? わたしはとどくけど」

神沼東中学ですでに175cmあった。

いまは80くらいありそう。

見上げながら「いけるとおもう」

キヨミは理沙子の返事をきいたときには。

枝にむかってジャンプした。

理沙子も。

ざらっく松の枝をつかんでいた。

理沙子がなにか地面に撒き散らした。

「こんどは麻の種。

気泡シートはないから。

たりなかったらキヨミにわたしたKITのを撒いてね」

結果をみてはいられない。

庭に撒き散らした麻の種を。

吸血鬼が丹念にひろうのを。

期待しながら広い庭をよこぎって。

裏門へいそいだ。

「麻の実を撒くとどうなるの」

「お米だっていいの。

あいつら数えるのが好きなのよ。

網の目を一晩かけてかぞえたヤツもいる」

「バア。あんなものぼくにはきかないよ」

サブロウが裏門からぬけでたふたりを。

まっていた。





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恐怖の鉤爪/夕日に中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-01-24 22:50:48 | Weblog
「つけられてる」

仲間とわかれた。

キヨミとつれだてあるいていた。

理沙子はまだ長い夜がおわっていないのをしった。

「なによこれって。

つけられているの……?

ほんとにわたしたちが。

つけられているの??」

キヨミには理解できない。

にわかに信じられない。

「そうみたい。ほら」

深夜でもやっている居酒屋の前でたちどまった。

そしてふいにあるきだした。

路地にはいった。

路地の先に。

少年が立っている。

「今夜じゅうに決着つけたくてね」

「シツコイワヨ。サブロウさん」

「おや。うれしい。覚えてくれたんだ。ぼくのなまえ」

ぼくってガラかよ。

でも、たしかに外見は平凡な少年にしかみえない。

「なんだ。おしりあいなの。理沙子顔がひろいじゃん」

「そう。さっき戦ったばかりの犬森ジロウさん」

「そして。おれはサターンをたばねている、宝木」

「ゲッ。またあんたかよ」

キヨミが路地の後方をふりかえった。

理沙子とキヨミははさまれていた。

「これかえしとくよ」

宝木がニヤニヤ笑っている。

気泡シートをなげてよこした。

気泡はきれいにつぶしてある。

「みてごらん。影がもううつらない」

路地には宝木の背後から街灯がさしこんでいた。

だが長く伸びているはずの影はない。

爪がそのかわり。

異様なほど長く伸びている。

肥満男の大きな影はない。

宝木は仮性吸血鬼になりきっていた。

「あの鉤爪がアイツの武器」 



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影がない/夕日の中の理沙子(2)  麻屋与志夫

2009-01-24 10:49:49 | Weblog
「キヨミ……」

かたわらにいるキヨミにだけきこえるように。

声をひくめた。

いや理沙子は恐れている。

「みて……アイツラには影がない」

さきほどまで影がぶれていた肥満男。

サターンの頭も。

影か消えてしまった。

「つうことは。こいつらアレ」

「理沙子。撤去だ」

タイミングよく舗道から、翔太の声がふってきた。

2

「そういわれても、すぐには信じられないよ」

駅の東。

宇都宮餃子会館にそろってはいった。

一段高くなった隅の席で理沙子がひそひそと。

一別以来の話をしながら。

キヨミの敵について解説している。

「理沙子は秀才だからさ。

操の生徒と宇女商のアタイではつりあわないと。

引いたんだよ」

「そんなのおかしいよ。

いままでだって、これからだってわたしたちチームだよ」

「うれしいよ。それでさぁ」

まだキヨミは旧交をあたためたかったらしい。


理沙子は吸血鬼のはなしにはいろうとした。

翔太が車から段ボールの箱をはこんできた。

「なんですかこれ。ボス」

「ボスじゃない。パートナーなの」

翔太がはこんできたのはVampire Hunter Kit だった。

さきほど理沙子が危ういところで投げたプチプチシートもある。

「ゲーム感覚だね」

「みなさんがあの連中と戦うとこ、みせてもらった。

半覚醒しているとみた。

またおそわれたときに必要となるから。

それにこれは覚醒者しかもたないシルバーリング。

使いかたは理沙子にきくといい。

ここの勘定はすませてあるから。

たべほうだいでいいよ」

「ねね。理沙子のあたらしい彼?」

3

餃子の匂いをたてて店をでた。

深夜だ。

ひさしぶりであったキヨミと理沙子は油断していた。

この時間こそ。

吸血鬼のいちばんあばれやすいことを――。






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