田舎住まい

吸血鬼テーマーの怪奇伝記小説を書いています。

ナデシコジャパン負けちゃった。  麻屋与志夫

2013-06-30 08:46:52 | ブログ
6月30日 日曜日

●ナデシコジャパン負けちゃった。

残念。

沢、鮫、両選手のいないナデシコ。

精彩を欠いていた。

4時就寝。

●6時起床。

ブラッキに朝飯を食べさせる。

外に出たがる。

玄関までいくのが億劫だった。

教室の引き戸をあけてやる。

ふとみると、珍しい(オ)ハグロトンボが薔薇の葉にとまっていた。

合わされた、いちまいの黒い羽にみえる。

朝風にゆらいでいた。

スズメのさえずり頻り。

●これから1日が始まる。
 

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超短編38 タンポポのワタゲが見せてくれたもの

2013-06-29 11:23:52 | 超短編小説
38 タンポポのワタゲが見せてくれたもの

タンポポのワタゲだった。
少年ははじめそれがなんであるのかわからなかった。
いつもの通勤電車のなか。
その床だった。
通勤電車といっても、山手線などのラッシュを想像することはない。
ローカル線だから乗客もまばらだ。
床の上をミズスマシが泳いでいる。
気ままな動きがそう思わせたのかもしれない。
スウット、床をすべるように移動している。
かなりの数だ。
かなりの質量がある。
少年はじっと意識を集中した。
こっちへこい。
ぼくの足元によってこい。
ぼくに超能力があるのだったら……ワタゲが集まってくるはずだ。

「ツトムちゃん偉いわ。中卒で英検準一級なんてすごい」
車中でしりあった玲子がよくほめてくれた。
ふたりとも交通遺児という共通の話題からはじまった恋だった。
玲子はそれらしいそぶりをみせてくれなかった。
が、ツトムにとっては初恋だった。
「上京して開成を受験するはずだったから」
「そうなの。わたしなんかとちがうのね。わたしは遺児にならなくても、家が貧しいから進学はあきらめていたの」
「ごめん、じぶんのことばかりホラ吹いているようで」
「ううん。そんなことない。勉強がんばってつづけてね」

恋人らしい会話に発展するのにはまだ間があった。
ガールフレンド以上、恋人未満という関係だった。
いますこし、いますこしながく会えていたら。
まちがいなく、玲子の声が愛をささやいた。
「ツトムちゃんと、つきあってみようかな」
といってくれたはずだ。
ツトムは、そのつもりだった。
玲子はぼくの恋人だ。
と、ひとり決めていた。
毎日の通勤がたのしかった。

「これあげる。道端に咲いていたんだ」
花束ではなかった。
春の道端でタンポポを摘んできた。
それを隣にすわった玲子にわたした。

いまはタンポポはワタゲになって虚空に旅立っている。

そして、なんとしたことだ。この大量のワタゲは。
ツトムは現実にもどった。
ツトムは視線をかんじた。
あたたかな春の日のような視線だった。
はじめて通勤の日に玲子と出会ったあの春の日差しのような。
温かな視線を感じた。誰かに見られている。
ツトムは車内を見回した。

また、ワタゲが動き出した。
ツトムの前で人型になった。
むろん、立体的な3Dではない。
床の上で人型を形成した。
うそだ。
これはシュミラクラ現象だ。
3つ点があれば人の顔を想像できる。
あれだ。
でも、ツトムにはその形が玲子に見えた。
ぼくには超能力がある。
彼女の、玲子の顔を体を、ワタゲでつくりあげることができる。

「愛しいている。玲子。せめて一度でもデートしたかった。観覧車にのりたかった。そこで、愛していると告白するつもりだった。結婚して、ぼくとともに年をとろう。歳を重ねて、子どもをそだてていこう」
話したいことがいっぱいあったのに。
乗用車が踏切で電車につっこんだ。
衝突事故。
ぼくがあの電車にいつものように乗っていたら――。
ふたりで抱き合って死んでいけたのに――。

今日は玲子の初七日。
白い薔薇。
アイスバーク。
花言葉は初恋の花。
事故現場に供えようと買ってきた。
花弁を七つだけむしった。
ワタゲの上に一片おいた。「愛している。玲子」
また一片。「愛している」
さらにひとひら。「愛している」
さらにヒトヒラ。「愛している」

ぼくに超能力を神様、いまだけでもいいから授けて下さい。
そして七つの薔薇の花弁を並べ終えた時。
奇跡がおきた。
強い風が吹きこんできた。
薔薇の花弁とタンポポのワタゲがまざりあって立ち上がった。
玲子だ。
声まで聞こえてきた。

「わたしには毎朝の通勤がデートだった。好きよ。ツトム。愛しているなんてことばをいわなくても、愛していた。ことばなんか、お互いにいわなくても、わかっていたから……アイシテいる。ア イ シ テ いる」

ツトムは見た。
涙でかすんだ目で見た。
風にのってワタゲと花弁がまざりあって車窓から初夏の空にとんでいった。


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日本酒、焼酎で乾杯!! 熱烈大賛成!!! 麻屋与志夫

2013-06-28 09:10:59 | ブログ
6月28日 金曜日

●過日、新宿のメトロ食堂街『墨絵』で。

GGの誕生パーティを子供たちがやってくれた。

●さて、乾杯、ということになった時。

GGだけは焼酎のお湯割り。

みんなにあわせれば、よかったと家に帰ってから反省した。

焼酎で乾杯するのは、いかにも不常識だ。

●ところが、けさテレビを見ていて、はたと膝を打った。

酒どころの西宮で日本酒で乾杯条例を採用したらしい。

日本酒の需要の激減に悩み。

巻き返しをはかっての窮余の一策らしい。

●GGがなによりもうれしかったのは。

既成の概念にとらわれていない条例だ。

その一言に尽きる。

いい試みだ。

●既成の道徳や習慣がいかにわたしたちの生活を。

つまらないものにしているか。

既成の道徳、習慣にとらわれては。

なにも思うようにできない。

●喉を腫らして病院に行った。

ようやく田舎の病院でもIT化が推進されてきた。

慣れない人たちが、困惑していた。

しかしこういう手続きに関してはやがてすぐに習熟する。

●でも高齢者の。

とくに老婆の愚痴はむかしのままだ。

よくもこう因循というか、昔のままなのだなぁ、滅入ってしまう。

嫁の悪口くらいしか話題がないのがかわいそうだ。

●老婆たちは、至らない嫁の悪口。

嫁へのグチでみんなもりあがっている。

悲しいではないか。

●家にもどり熱燗で『北秋田』を一合ほど飲んだ。

上記のようなことを話題にしてカミサンと飲む酒はうまい。

●話題はやがて――。

昨夜みた『戦場の馬』から始まり映画の話。

JAZZ。

リルケの薔薇。

……わが家だけでそう呼んでいる、まだ咲いている真紅の薔薇。

わたしがいま書いている小説の話へと移って行った。

●そうそう、書き忘れていた。

『墨絵』のお料理おいしかった。

なによりも心のこもったお給仕ありがとう。

またおじゃましますね。



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警察小説を書いている人、仲間に入れてください。麻屋与志夫 

2013-06-27 18:00:29 | ブログ
6月27日 木曜日

●ホリゴタツにGGがすわる。

どこからともなく、ブラッキが現れる。

ともかくボロ家だが16部屋もある。

いままでどこに彼女がひそんでいたのかわからない。

●膝の上にのる。

一声「ニャ」とあいさつする。

かわいい。

でも、ここでギュッと抱きしめると猫にはきらわれてしまう。

無関心を装って、ハルちゃんと小説を書きつづける。

●このところ、官能小説を11編ほど納稿した。

人気がでるといいなぁ。

興味のあるかたは、ぜひ百目鬼出版の年会員になってください。

●官能小説だけしか書けない。

としいわれるのはプロの恥だ。

そういわれるのが一番悲しい。

でも書いていて官能小説が一番楽しい。

あんがい、GGに一番向いている分野なのかもしれない。

●いま、警察小説にchallengeしている。

誉田哲也が目標だからたいへんなことだ。

「ストロベリーナイト」「インビジブルレイン」。

●すばらしい、小説の書き手があらわれたものだ。

練達の小説家だ。

読んでいてたのしい。

すこぶるたのしい。

●香取俊介の「望郷異聞」。

来週こそアマゾンで購入して中巻と下巻を読もう。

上巻は読破した。

傑作です。

GGのおすすめです。

●明日はカミサンは上京。

GGはコタツの部屋にこもる。

一日小説を書くつもりだ。



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走っている車の心がわかる。  麻屋与志夫

2013-06-27 16:02:39 | ブログ
6月27日 木曜日

●病院の薬を飲んだのはしばらくぶりだ。

おかげで、喉のざらざら感もうすれて。

体も軽くなった。よかった。

●晴れた。

外に出た。

空気がめずらしく爽やかだった。

とても梅雨時とはおもえなかった。

風を頬に受けて歩く。気持がよかった。

●横断歩道を渡る。

車がかなり手前から徐行してくれた。

嬉しかったので、手を上げた、感謝を挙手の礼であらわしたつもりだった。

「横浜ナンバーのくるまだから親切なのよ」

カミサンがわたしの愚挙をたしなめるようにいった。

●地元の車だとスピードを緩めない。

なかには横断歩道を渡っているひとがいるのに、加速して迫ってくる。

ともかくあのクレーン車の事故で全国的に知られている町だ。

町を歩くのが怖い。

●これは当局の責任ではない。

とくに警察はよくやってくれている。

交通安全教室を開いたり、そのたいろいろな安全キャンペーンに努めている。

●責任の所在は、街の人の交通道徳意識の低さだろう。

これ以上はまがりなりにもブログは公の場なので書けない。

●みんなで、住みよい街にしていきたい。

●こちらはGGだ。老齢者の超能力。

長年の経験でそれが身についた。ほんとですよ。

走っている車の、いや運転している人の、こころがわかるだけに、辛い。

●すれ違う人の、こころがこちらに流れ込んでくる。

色々悲しいことがおおすぎる。




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喉が腫れた。病院に行こう。 麻屋与志夫

2013-06-26 08:15:51 | ブログ
6月26日 水曜日
一病息災

●ついてまわる。

扁桃腺が腫れてからだがだるい。

そういうことが月に一度は起きた。

そこで、25歳の時、おもいきって摘出手術をうけた。

以後、扁桃腺はないのだから、腫れて、40度近い熱がでるようなことはなくなった。

●でも、ついてまわるものだなぁ。

喉の内壁? が腫れるようになった。

痛みはない。

ただ喉がざらついて、なによりも体がだるい。

眠い。

睡眠時間の短いのが自慢だ。

それが、喉が腫れたら、もういけません。

昼間から、うとうとしてしまう。

こうなると、だだのGGだ。

なさけなくなる。

●きょうは、ひさしぶりで病院にいこう。

はやく直しておかないと。

原稿の催促がきたときに対応できないとたいへんなことになる。

●それにしても、疲れると喉がはれるので、健康でいられるのだと思う。

少し無理してますよ。

というシグナルとして、喉がはれるのだ。

これからも、末永くこの喉が腫れ、体がだるい倦怠感とはつき合っていくことに成る。


●一病息災とはよくいったものだ。


●平凡な話題でごめんなさい。


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BL小説をGGは書いています。  麻屋与志夫

2013-06-25 17:47:14 | ブログ
6月25日 火曜日

●このところ、睡眠時間は4時間ほどだ。

喉が腫れてしまっていらいらする。

●周囲の同世代のひとは、悠々自適。

現役で働いているひとはほとんどいない。

こちらはモノ書きだから、座業。

カロリーはあまり消費しない。

空気だって静かに腹式呼吸。

ソノ場にいるのかいないのか。

分からないほど静かだ。

みなさんに迷惑はかけていないつもりだ。

●結局、昨夜は、ほとんど寝なかった。

●掘り炬燵で仕事をするGGの膝にはブラッキがのっている。

身動きもしない。

猫だから皺はできない。

腰が曲がるわけでもない。

でもなんとなく歳を感じさせる。

食欲もおちている。

パツと走ることもしない。

●このところ以前にかいた「吸血鬼/浜辺の少女」の改稿でいそがしい。

一行も性描写のない青春小説だ。

どこの出版社でも断られた。

なにかその理由がわかってきたきがする。

BL小説をはじめてよんだ。

その鮮烈な男同士の性愛表現に感じ入った。

●ようし、こういうことだったのか。

GGも遅ればせながら、ヤッテやる。

べつに実生活で、そういうことになるわけではない。

小説の世界だ。

浜辺の少女をアンドロギュノスにした。

これだと、相手の少年と男としてセックスしてもふしぎではない。

●ソレニシテモ、おどろきだ。

BL小説の読者が女の子だというのだ。

●書きあがったら、どこかの出版社に持ち込みしたら。

とカミサンにけしかけられている。

●でも、80のGGがBL小説を持ち込んだら、どう思われるだろうか。

●イタズラ心をくすぐられる。

いや、おもしろいだろうな。

ひじょうに、おもしろい。

だろう。



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GGの本気をみせてやる!! 麻屋与志夫

2013-06-24 20:51:31 | ブログ
6月24日 月曜日

●GGの本気をみせてやる。

●スーパーまでカミサンと買い物にいくだけだ。

あとは、部屋にこもって勉強している。

勉強することはありすぎる。

いかにじぶんが、無知であるか。

やればやるほどわかってくる。

●買い物には、大きなリックを背負っていく。

三浦さんほどではないが、まだ15キロくらいは背負って一万ポは歩ける。

勉強は、ほとんど小説を書くことと、その資料をよみあさるとだ。

●この歳だから、いままでもずいぶん努力してきた。

でもこれからだとおもう。

●GGの本気をみせてやる。

●これから「ガリレオ」をみる。

●おそらくその後、徹夜に成るだろう。

●GGは本気だ。

本気で頑張って見せる。

そのために、寿命を縮めても仕方ない。

そう、覚悟している。


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もういくつ寝ると終戦記念日   麻屋与志夫

2013-06-24 16:41:08 | ブログ
6月24日 月曜日

●爆音がする。

めずらしくヘリではない。

プロペラ機のものだ。

裏庭のデッキにでた。

梅雨時の空は、ときおり陽はさすものの、暗雲がひろがっている。

機影は見えない。

空から飛行物体の音がするとかならず外にでる。

空をみあげる。

これはGGが戦時中の空襲を経験しているからだろう。

トラウマだ。

●戸張町。泉町。御成橋町。B29の空襲をうけた。

あのときの恐怖はいまでものこっている。

わたしたちの世代ではまだ戦争の恐怖は現存しているのだ。

●裏庭のデッキで背伸びをする。

塀越しに元建具屋だった福田さんの家がみえる。

戦時中のままの佇まいを見せている。

なつかしい。

●福田さんのところには、

東京の立川市曙町でお父さんが電気屋さんをしていた新井隆君が疎開してきていた。

仲良しだった。


●高校を卒業する間際にわざわざ立川から遊びに来てくれた。

「いっしょに立教大学に進学しないか。中学と高校はわかれわかれになってしまったけれど、大学でまた一緒になろう」

●うれしかった。

●いまでも、元気なのだろうか。

●GGなので、あまりのなつかしさ実名をだしてしまった。

●もうすぐ終戦記念日がくるのだな。

何年目なのだろう。


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超短編37 司馬遼太郎はお好きですか?   麻屋与志夫

2013-06-23 17:17:13 | 超短編小説
37 司馬遼太郎はお好きですか?

その青年が質問しょうと手をあげたとき、老作家は逃げだそうと思った。
ふいに、ぐっと上げられた手。
自己顕示欲のかたまりみたいな挙措だった。
三冊目の出版記念キャンペーンをかねたトークショーの会場だった。
この歳になって、やっと三冊。

青年が発問しょうとしている。
だが、彼がなにをきこうとしているのか、
なにをいおうとしているのか、
きかなくても、わかっていた。

デジャブ。
こんな場面はなんどもくりかえしてきた。
そして、青年は推定通りのことをきいてきた。

「司馬遼太郎はおもしろくて、読むたびに感銘を受けます。大好きな作家です」
そう応えればいいのだろう。
だが、老作家はいつものように応える自分の声をきいて、うんざりした。

「司馬遼太郎は国民的人気作家です。でも、わたしは読んでいません。いや、「梟の城」は読みました。おもしろかったです」

会場が白けた。

「わたし個人としては山田風太郎のほうがすきです」

もうよせ。
口をきくな。
だが、遅かった。
さらに、辺りは氷のカーテンに閉ざされたように冷えこんだ。

司馬遼太郎の作品は姉の文子がよく読んでいた。
ほとんど全作品がわが家の書架に揃っている。
姉は「遼太郎のような小説を書かなきゃだめよ。おまえのなんか、小説ではないわ」
とよくいっていた。
そういわれつづけたので、遼太郎をあまり読まなくなってしまったのだろう。

小説を書くとはどういうことなのだろうか?

この歳になっても、わからない。

青年はこちらを睨んでいる。

そういえば、司馬遼太郎の好きだった姉の今日は命日なのだ。

姉が死んでから、何年経ったのだろうか。

姉のいうことをきいていれば、もつとましな作家になれたろうか。



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