音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■ ウットリと漂うようなギターの和音 ■

2007-12-24 16:58:06 | ★旧・曲が初演されるまで
2006/7/21(金)

『傳通院納涼コンサート』・懐かしい童謡の夕べ(22日)のリハーサルをいたしました。


童謡17曲と詩の朗読からなる「かげぼうし」と、9曲の童謡からなる「走馬灯」です。


ソプラノは五十嵐郁子さん、10弦ギター伴奏は斎藤明子さんです。


今回は、既にあるピアノ版をギター版に直す仕事をいたしました。


ピアノの10本の指をフルに使う伴奏から、右手のみのギターに編曲することは、

どの音をカットするか、という作業から入りました。


音の数からいいますと、なにか響きが減るようなイメージがあり、

ピアノ版の録音を聴いていた斎藤さんも、その点を心配されていたようです。


しかし、実際にギター版を音にしてみますと、ギターの豊かな響きに圧倒されました。


特に、開放弦を伴った和音は、楽器が共鳴し、音響が飛び散らないで、空間にそのまま

ウットリとして漂っているような感じすらいたしました。


この美しさに、私たち3人は、あらためてびっくりいたしました。


歌曲のギター伴奏に、根強い人気がある理由がよく分りました。


現代は、シンセサイザーなどの「電器楽器」による無機的で均一な音による、音楽といえない音楽を、

テレビや飲食店、街中で、これでもか、これでもかと絶えず、無神経にガンガン垂れ流しています。



聞きたくなくても否応なしに、耳に押し付けてきます。



神経が逆なでされます。



ギターの開放弦を伴ったとてもよく響く和音、あるいは、やや響きにくいポジションの音の微妙な差を

味わうことは、無意識のうちに贅沢な快感を味わっていることかもしれません。


▼▲▽△▼▲▽△無断での転載、引用は固くお断りいたします▽△▼▲▽△▼▲

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