音楽の大福帳

Yoko Nakamura, 作曲家・中村洋子から、音楽を愛する皆さまへ

■イタリア Villnoser Tal で、私の無伴奏チェロ組曲 1番が演奏される■

2011-11-05 23:56:49 | ■私の作品について■

■ イタリアVillnöser Tal で、私の無伴奏チェロ組曲 1番が演奏される ■
       ~私の座右の書は、 「カザルスとの対話」~

                                         2011. 11. 5    中村洋子

 


★私が、書き進めてきました 「 無伴奏チェロ組曲 全 6曲

 6 Suiten für Violoncello solo 」 が完成し、現在、

4、 5、 6番の校訂を、Berlin の Boettcher 先生のご意見を、

取り入れながら、進めております。


★先生からは、10月2日に、イタリア北部の町 

Villnöser Tal で、開かれた演奏会のパンフレットを、

頂きました。


Wolfgang Boettcher 先生の Cello と、

お姉様 Ursula Trede Boettcher 先生の Organ による、

「 Musik aus 5 Jahrhunderten und 4 Ländern 

 5世紀 と 4つの国にわたる音楽 」 という題名の演奏会です。

パンフレットはドイツ語とイタリア語で、書かれています。

 

 

★5世紀にわたる作曲家は、

まず、17世紀:

・ Johann Sebastian Bach  バッハ  ( 1685~1750 )

・ Antonio Vivaldi アントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)

・Johann Kaspar Kerll カスパール・ケール  ( 1627~1693 ) = Pachelbel パッヘルベル (1653~1706)の師

・G. Philpp Telemann ゲオルク・フィリップ・テーレマン ( 1681~1767 )


★18世紀:

・Claude Daquin クロード・ダカン  ( 1694~1772  )

19世紀:

・Cesar Franck セザール・フランク  ( 1822~1890 )


★20世紀:

・Louis Vierne ルイ・ヴィエルヌ  ( 1870~1937 )

・Max Reger マックス・レーガー  ( 1873~1916 )


★21世紀:

・Yoko Nakamura 中村洋子。

独、伊、仏、日の 4ヶ国です。

 

 


★このコンサートで、 Boettcher  ベッチャー先生は、

J. S. Bach  バッハ の Suite für Violoncello solo Nr.1

無伴奏チェロ組曲 1番 ト長調 G-Dur を、演奏されました。

私の作品は、無伴奏チェロ組曲 1番でした。


★どうして、先生はバッハの1番を、選択されたのか?

お尋ねしていませんが、

私の1番が、「 e 」 を主音とする、 「 旋法 ( Mode )」 で書かれており、

その第 1曲目は、 e-Moll  ホ短調の主和音 ( Tonic ) を、

彷彿とさせる和音から、始まるため、

 Bach  バッハ  の組曲 1番 G-Moll と、並べますと、

バランスがよい、と考えられたのではないでしょうか。


e-Moll  と G-Moll は、

平行調 ( 同じ調号をもつ長調と短調の関係 ) です 。

 Bach  バッハ  1番の曲頭 G-Mur の主和音 ( g - d - h  ) に対し、

私の 1番の曲頭は ( e - a - g - h ) で始まり、 「a」 を除きますと、

 (  e - g - h  ) と、なっているのです。

 


私の座右の書は、 「 Conversations avec Pablo Casals

カザルスとの対話 」 J. M. Corredor  コレドール 著 ( 白水社 ) です。

この本は、コレドールによるカザルスのインタビュー集です。


★カザルスに関してのみならず、西洋音楽を理解するうえで、

重要と思われる点に、赤線と符箋をつけながら、読みましたら、

いたるところ、赤線と符箋だらけになってしまったほど、

深い内容に、満ちています。


★インタビュー当時 ( 1950年代 ) でも、カザルスは、

≪ 現在のクラシック音楽 は、堕落している ≫ と、怒っています。

当時でも、既に、現在の21世紀にみられるような、 “ 商業主義 ” や、

“ サーカスのような演奏 ”、その一翼を担う “ 悪しき音楽コンクール ”の、

芽生えが、あったのですね。


★かつて、ヨーヨーマ Yo-Yo Ma  (1955~) が、

TVの 「 徹子の部屋 」 に、出演し、話した内容をよく、覚えています。

Yo-Yo Ma は、少年のころから、チェリストとして脚光を浴びていましたが、

カザルスに会った際、「自分はチェリストより、野球選手になりたかった 」 と、

語ったところ、カザルスは 「 君は、野球選手になったほうがいいだろう 」 と、

言ったそうです。

カザルスの炯眼。


★ 「 Conversations avec Pablo Casals 」 の 70ページにある、

エドワード・スパイヤーという人の証言によりますと、

1909年に、カザルスが London ロンドンで、Cello Suite Nr.3

無伴奏チェロ組曲 3番を、演奏したとき、

≪ プレリュードの冒頭 ハ長調の下行する音階を、弾きだすや、

聴衆は、恍惚と感動に包まれた ≫ そうです。


それは、カザルスが、音階の真の意味を、

完全に、見事に把握して、演奏したからに他ならないからです。

http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/d/20111011参照

 

 


                ※copyright © Yoko Nakamura
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