■ イタリアVillnöser Tal で、私の無伴奏チェロ組曲 1番が演奏される ■
~私の座右の書は、 「カザルスとの対話」~
2011. 11. 5 中村洋子
★私が、書き進めてきました 「 無伴奏チェロ組曲 全 6曲
6 Suiten für Violoncello solo 」 が完成し、現在、
4、 5、 6番の校訂を、Berlin の Boettcher 先生のご意見を、
取り入れながら、進めております。
★先生からは、10月2日に、イタリア北部の町
Villnöser Tal で、開かれた演奏会のパンフレットを、
頂きました。
★Wolfgang Boettcher 先生の Cello と、
お姉様 Ursula Trede Boettcher 先生の Organ による、
「 Musik aus 5 Jahrhunderten und 4 Ländern
5世紀 と 4つの国にわたる音楽 」 という題名の演奏会です。
パンフレットはドイツ語とイタリア語で、書かれています。
★5世紀にわたる作曲家は、
まず、17世紀:
・ Johann Sebastian Bach バッハ ( 1685~1750 )
・ Antonio Vivaldi アントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)
・Johann Kaspar Kerll カスパール・ケール ( 1627~1693 ) = Pachelbel パッヘルベル (1653~1706)の師
・G. Philpp Telemann ゲオルク・フィリップ・テーレマン ( 1681~1767 )
★18世紀:
・Claude Daquin クロード・ダカン ( 1694~1772 )
19世紀:
・Cesar Franck セザール・フランク ( 1822~1890 )
★20世紀:
・Louis Vierne ルイ・ヴィエルヌ ( 1870~1937 )
・Max Reger マックス・レーガー ( 1873~1916 )
★21世紀:
・Yoko Nakamura 中村洋子。
独、伊、仏、日の 4ヶ国です。
★このコンサートで、 Boettcher ベッチャー先生は、
J. S. Bach バッハ の Suite für Violoncello solo Nr.1
無伴奏チェロ組曲 1番 ト長調 G-Dur を、演奏されました。
私の作品は、無伴奏チェロ組曲 1番でした。
★どうして、先生はバッハの1番を、選択されたのか?
お尋ねしていませんが、
私の1番が、「 e 」 を主音とする、 「 旋法 ( Mode )」 で書かれており、
その第 1曲目は、 e-Moll ホ短調の主和音 ( Tonic ) を、
彷彿とさせる和音から、始まるため、
Bach バッハ の組曲 1番 G-Moll と、並べますと、
バランスがよい、と考えられたのではないでしょうか。
★ e-Moll と G-Moll は、
平行調 ( 同じ調号をもつ長調と短調の関係 ) です 。
Bach バッハ 1番の曲頭 G-Mur の主和音 ( g - d - h ) に対し、
私の 1番の曲頭は ( e - a - g - h ) で始まり、 「a」 を除きますと、
( e - g - h ) と、なっているのです。
★私の座右の書は、 「 Conversations avec Pablo Casals
カザルスとの対話 」 J. M. Corredor コレドール 著 ( 白水社 ) です。
この本は、コレドールによるカザルスのインタビュー集です。
★カザルスに関してのみならず、西洋音楽を理解するうえで、
重要と思われる点に、赤線と符箋をつけながら、読みましたら、
いたるところ、赤線と符箋だらけになってしまったほど、
深い内容に、満ちています。
★インタビュー当時 ( 1950年代 ) でも、カザルスは、
≪ 現在のクラシック音楽 は、堕落している ≫ と、怒っています。
当時でも、既に、現在の21世紀にみられるような、 “ 商業主義 ” や、
“ サーカスのような演奏 ”、その一翼を担う “ 悪しき音楽コンクール ”の、
芽生えが、あったのですね。
★かつて、ヨーヨーマ Yo-Yo Ma (1955~) が、
TVの 「 徹子の部屋 」 に、出演し、話した内容をよく、覚えています。
Yo-Yo Ma は、少年のころから、チェリストとして脚光を浴びていましたが、
カザルスに会った際、「自分はチェリストより、野球選手になりたかった 」 と、
語ったところ、カザルスは 「 君は、野球選手になったほうがいいだろう 」 と、
言ったそうです。
カザルスの炯眼。
★ 「 Conversations avec Pablo Casals 」 の 70ページにある、
エドワード・スパイヤーという人の証言によりますと、
1909年に、カザルスが London ロンドンで、Cello Suite Nr.3
無伴奏チェロ組曲 3番を、演奏したとき、
≪ プレリュードの冒頭 ハ長調の下行する音階を、弾きだすや、
聴衆は、恍惚と感動に包まれた ≫ そうです。
★それは、カザルスが、音階の真の意味を、
完全に、見事に把握して、演奏したからに他ならないからです。
http://blog.goo.ne.jp/nybach-yoko/d/20111011参照
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