突然死んだ中年サラリーマンが生前やりのこしたことをするため期間限定で生き返る、ただし全く逆の絶世の美女として。浅田次郎のこの秋第2弾だが期待していただけに肩透かしをくらった。なんか普通にいい話なのだ。逆に言えば驚かされる展開はない。唯一意外だったのは超ダイコンな主演女優の演技が、心は男で体は女というぎこちなさにはピッタリだったところ。そこまで計算してキャスティングしてたなら凄いわ。良かった台詞がひとつだけ「アイツ、いつも空気みたいな存在だったから、いなくなったら苦しくて・・・」ここだけ(涙)。
赤井さんのくどい演技、ベタな脚本、ショボいゴルフシーン。そんな欠点なんか簡単に吹っ飛ばすパワーをもった作品だった。CGで再現された震災シーンも確かにすごかったが、もっと大きな人間の力に圧倒された。生きようとする力、生かされた人間の役割、守らなくてはいけないもの。いろんなキーワードを自分にあてはめて考えていたら、涙はでなかったが、無意識に歯をくいしばっていた。独身だった当時とは違う感覚で震災について大いに考えさせられた。この映画、テレビのちっさいサイズじゃなく、劇場でみてほしい。