先週からモミィが駅前のヤマハ音楽教室に通い始めた。毎週火曜日、午後4時半から約1時間。 幼児教室2年間のコースである。
それに先立ち、教室の斡旋を受けて、エレクトーンを購入した。以前にも書いたけれど、お値段は20万円。途中で辞めるな~んて言わないでよ、モミィ。
先月に体験レッスンというのがあり、僕と妻の2人が付き添った。何人かの幼児が来ていて、横にそれぞれママがついている。始まる時、講師の女性の方が僕たちを見て、
「あ、おひとり、モミィちゃんの横に座ってあげてください」
そう言うと、妻が僕に「お願い、行ってよ~」という目をした。仕方なく、僕がエレクトーンの前に、モミィと並んで座った。妻は、後ろの見学用の椅子に座って、僕たちを見ていた。
…ということで、
いつのまにか、僕がモミィのエレクトーン教室係になってしまった。
そして先週の火曜日の午後4時半。大雨が降りしきる中、合羽を着せたモミィを自転車に乗せ、教室のある駅前のビルへ走り、第1回目のレッスンに臨んだ。
「は~い、みなさ~ん、はじめましてぇ」
と、中年の女性講師の先生が笑顔でごあいさつ。
教室を見渡すと、モミィを含めて7人の幼児がレッスンを受ける。横に座っているのは僕以外はみんなママである。中には2~3歳の小さな子を抱きかかえて座っているママもいる。
レッスンが始まった。…といっても、すぐにエレクトーンのふたをあけて鍵盤を叩くってことはしない。
「ぷらいまりー1」 というテキストの最初の曲 「だいすき!」 という歌を全員で合唱する。 その前にCDがかかり、続いて先生のエレクトーンの伴奏で、合唱に入るのだが、その際は 「お母さん方もごいっしょにお願いしま~す」ということで、子どもたちにまじって、大人たちも合唱に加わるのだ。お母さん方 … ってなぁ。まぁ、いいけど。
ちょっと恥ずかしいけど、そうも言っていられない雰囲気である。
♪ なんてすてきなんだろう いっしょにきいてるだけで こころにきぼうが~♪
という歌だけど、不幸なことに、僕はこの歌を知らない。
体験レッスンの時にもらった簡易テキストとCDに、この歌が入っていた。だからモミィは事前に家で聴いていて、この歌を知っていたけれど、僕はダメ。細川たかしや沢田研二なんかの歌謡曲なら、目をつぶっていても歌えるのに。こういう歌は、カラオケでも歌ったことないしなぁ (当たり前やがな)。
曲を聴きながら音符つきの歌詞をにらみ、それに合わせて何とか合唱に加わる。横でモミィが、大きな声を張り上げて、「ららら だいすき~ ららら…」 と、外れた音程で一生懸命に歌っている。やっと歌が終わって、ふう~っと大きなため息が出た。脈拍が乱れそうである。
「はい、では次に 『しゅっぱつ ぷらいまりー』 のページをあけてください」
はぁ…? それって、どこ…? どこ…? 何ページ…?
僕はキョロキョロ周囲を見て、他のママたちがそのページをあけているので、「え~っと、どこでしたっけ?」 と、近くのママに尋ねる始末。それを見て、先生が 「大丈夫ですかぁ…」 と心配して声をかけてくれる。
ようやくページが見つかったときには、先生はもう次のことを言っている。
「…ということでね、み~んな、このロケットのシールをここへ貼ってみようね」
「ん…? ロケットのシール…? どこ…? ロケットのシールってどこ…?」
先生がまた「大丈夫ですかぁ…」 と心配そうに声をかけてくれる。
「あ、すみません。 そのシールは、どこにあるんですか?」と僕はアセる。
「この本の、一番後ろのページにあります。それを、貼ってくださいね」
他のママたちは子どもに指示をして、すでにシールは貼り終わっている。
あぁ、僕だけがついて行けず、みんなの足を引っ張っているのである。
「できましたかぁ。 じゃぁね。 み~んな、前に出てきてくださ~い」
子どもたちだけがぞろぞろと前に出る。そして、自分たちの名前を言って自己紹介をしていく。このあと、まさか、保護者の自己紹介なんて、やらないだろうな…と、心配したが、それはなかった。 やれやれ。
それからようやくエレクトーンのふたを開け、スイッチをONにする。ドレミのドの位置を覚える練習だ。
「はい、ド・ド・ド~」
「もういちど、はい、ド・ド・ド~」
先生の声に合わせて、子どもたちはドの位置をポンポンポンと叩く。
そして次は音楽が流れ、そのある部分が来ると、「はい、ここで、ド・ド・ド~と押します」 と説明を受け、音楽を聴きながら、その部分が来るとモミィに、「はい、ド・ド・ド~」 と言って、ドの鍵盤を叩かせる。
そのほか両手の指の動かし方など、いろいろなことをした1時間であった。ず~っと嬉しそうな顔をしていたモミィより、僕の方がはるかに疲れた。
付き添い、というから、横で座って見ているだけでいいのだと思っていたが、そんな気楽なものではなく、僕自身がレッスンを受けているかの如くである。うっかり聞き逃すと、たちまちわからなくなり、モミィに指示をしてやれない。
レッスンが終わった時、先生がニコニコしながらやって来て、
「これからもずっとパパが来られるのですか…?」
と、僕に尋ねた。パパ … ???
しかし、すぐにはそれを否定しない僕であった。
「ええ、そうです。僕が毎週来ます」 と答え、「でもね~、ちょっと、ついていけませんね~」 と苦笑いした。
「まぁ、そんなことおっしゃらないで」 と先生はさらに目を細め、「何でも構いませんので、ご遠慮なく聞いてくださいね」 と言ってくれた。
教室を出るとき、僕は先生を呼びとめ、耳元でささやいた。
「あのね。僕はパパではありません」
先生は、「はぁ…?」 という顔で僕を見た。
「僕は、パパのパパなんですぅ」
「え~? あらぁ、まぁ、お若いのに…」
「シーっ。 内緒、ですよ」
と僕は人差し指を自分の口に立てた。
先生は大笑いし、僕もゲラゲラと笑った。
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明日はまた火曜日。 2度目のレッスンの日だ。この1週間は、僕もテキストに目を通したり、エレクトーンの説明書を読んだり、レッスン中に戸惑わないように、今度はそれなりの予習をして臨むつもりだ。
もちろんモミィにも、毎日CDを聴かせ、エレクトーンのドの位置の練習をしたりと、次回に備えて、いろいろと慣れさせることを重点的に復習・予習をさせている。
夕飯を終え、モミィが妻とお風呂に入るまでの間、最低30分間は、毎日、エレクトーンに関する練習に時間を費やすことにした。
また新しい日課がひとつ増えた。
のんさんは、えらいなぁ~と頭が下がります。
同年代の独身の友人となんかは、「もし、結婚出来て子供を授かっても、この年で育てていく自身がないなぁ~」と語りあうんですが(相手がおらんのに、ほんまに何年取り越し苦労しとるねん!)。。。、
のんさんの話を伺っているとほんとに、大変そうですが、やはり楽しそうやし子から学ぶ事も多いんやろなぁ~。。と思いました。
遅ればせながら嫁に行きたくなりました??なんのこっちゃ??
そのとき練習つぐ練習で子供も親もへとへとになりますよ。
(娘が10年間通いましたが結局中学入学を期にやめてしまいました。)
だけど指先を使うことをさせたことは、よかったと思っています。
ついていくのに必死で、ほんま、どっと疲れますわ。
それにしても、子育てというのはこんな大変なものやったんかとびっくりします。
息子たちのときは妻任せで何もしなかったのですが、いまその苦労がわかりました。
モミィの身の回りのいっさいの世話やスイミングへの付き添いは妻がやり、
僕は幼稚園への送り迎えやお弁当作り、ヤマハ教室への付き添いが担当です。
休みの日にはモミィのパパが車で外へ連れて行く…と、いうことで、
数人がかりでモミィの世話を焼いています。
一人で子育てに奮戦しているママが、育児ノイローゼになったりするのもわかります。
yukariさんがおっしゃるように、子から学ぶ事も多くありますしね。
もともと、あまり子ども好きじゃなかった僕ですけど、まあ、まじめに取り組んでます。
yukariさんもお友だちも、婚活、頑張ってください(いらぬ世話じゃ…と怒られそう~)
モミィの幼児教室はこれから2年間ですが、
講師さんは、2年で辞められたらもったいないですよ~
と言ってました。 そのとおりでしょうね。
で、モミィも10年くらいは通わそうと思っています。
まだ習いたてですけど、3月に発表会なんかがあるのですか…?
う~ん。 それは間違いなくへとへとになりそうですね。
こちらの身体がもつかなぁ…。
モミィは指先が不器用なので、これで改善したらいいなと思ってます。
また、いろいろなアドバイス、たのんまっせ。