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業界最高年齢社長Halのゲーム日記 その379 小説での切なさ編

2011-08-02 09:46:00 | 本と音楽
小松左京氏逝去。

星さんに続いて半村良さん、今日泊亜蘭大先達、福島正実編集長、そして今度は小松さん。 懐かしいSF作家達が次々に向こう岸に渡って行く。 昔懐かしい人々で残っているのは筒井康隆さん位か。

このところ半村良の旧作を幾つか続けて読み直していた。 楽園伝説・人間狩り・裏太平記・平家伝説・不可触領域、それになにより石の血脈などだ。

半村良(はんむら・りょう)のペンネームの由来は、イーデス・ハンソンに憧れてという説を長年信じてきたが、これはどうやら小松左京のジョークだったらしい。

半村作品を読んでのわき起こる感情ははいつも「切なさ」だ。 平凡なサラリーマンがふとしたきっかけで幸運を掴み、のし上がって行く。 しかしそれは一時の夢、最後には・・・というのがパターンだが、そのラストへ向かって行くあたりから切なさが募ってくる。

都市の仮面・闇の中シリーズ・平家伝説・夢の底から来た男・戦士の岬などがその代表的な例だが、ハッピーエンドの筈の戦士の岬でさえ、ラストでのセリフがじんと胸に来る。 これは単なるテクニックなのか、それとも作者自身の胸裏の反映か。 時々そんなことを考えてしまうのだ。

残念ながら80年代半ばの北海道移住以後の半村作品は、それ以前のほとばしるような熱気が薄れ、単にうまいだけという印象が強い。 作家にもやはり旬というものがあるらしい。

半村のうまさは尋常ではなく、一読唖然とするといううまさである。 職人撃フ極みというか、このあたりはクーンツとよく似ている。 

クーンツのある作品では、冒頭の10ページ程読んだだけで、「ああ、これはアレだな」と分かってしまう。 最後迄読んでも実際その通りのアレなのだが、アレだと分かったその時点で放り投げるが普通。 しかしクーンツの凄さは、アレと分かっていてもぐいぐいと引っ張って行って最後迄読み通させるという、剛力というか巧みというか、凄いとしかいいようがない。 半村はクーンツほど剛力という印象はないが、うまさでは匹敵或いは上回るものがある。


死後既に十年になろうとしているが、68歳は死ぬには若すぎる。 ふと気がつくと今の私の年齢の方が上になっていた。 嗚呼・・・



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