ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チェルノブイリ原発事故から34年

2020-04-26 | 放射能関連情報
 4月26日でチェルノブイリ原発事故発生から34年を迎えます。
 コロナウイルス感染の拡大により、追悼式典など中止や縮小されているようです。
 チェルノブイリ原発近くの森林火災はまだ収束していないようです。
 
仕方がないのですが、今年はコロナウイルスのほうに人の意識も行ってしまい、チェルノブイリ原発事故についてはあまり話題にもならないです。
 ベラルーシに新しく建設されている原発は今年1月に稼働開始予定でしたが、まだ延期されています。
 原発の建設はまだ続いていますが(1号炉に続き、2号炉、3号炉・・・と原子炉が何年にもわたって造られるため。)その建設作業員の中で、コロナウイルス感染者が出ており、建設の進み具合も遅れているようです。

 コロナウイルスとの戦いは難しいですが、それは目に見えないものだからでしょう。
 放射能被曝との戦いも同様に目に見えないものなので、難しいです。
(症状が出たら分かるとか、いろいろ意見はあると思います。)

 ところで、ベラルーシでコロナウイルスの最初の感染者が確認されて以来、ベラルーシのあちこち、バス停などでも、一般市民向け感染予防マニュアルのポスターが貼られるようになりました。
 それを見ていて、私が感じたのは、ベラルーシ人が考える感染予防方法は、放射能被曝を避けるための方法と共通している部分が多いという点です。
 放射性物質が体にくっつかないように、あるいは体内に入らないようにするにはどうしたらいいのかのノウハウがベラルーシには、チェルノブイリ原発事故の経験からあるのですが、それをコロナウイルス感染予防に応用していると感じました。

 せっかくですので、ベラルーシの一般市民向けコロナウイルス感染予防マニュアルをご紹介します。

<外出する前、外出中>

(1) 上着を着ましょう。
(2) 髪の毛はできるだけまとめる。指輪、ブレスレット、ピアスは身につけない。
(3) マスクは家を出る前につける。
(4) 公共交通機関は利用しない。
(5) 犬の散歩はOK。しかし犬の毛を触ってはいけない。
(6) 何かに触れるときはティッシュ越しに触れるようにする。
(7) ティッシュはよく丸めて捨てる。
(8) 咳やくしゃみは肘の内側で飛沫を抑える。 
(9) 現金払いを避ける。紙幣や硬貨を触ったら、手を消毒する。
(10) ハンドサニタイザーを携行する。
(11) 清潔ではない手で顔を触らない。
(12) 人と人の距離を1.5メートルから2メートルあける。

<帰宅後>
(1) 帰宅直後、物に触らない。
(2) 玄関で靴を脱ぐ。
(3) すぐに(外気に触れていた)全ての服を脱いで、袋に入れて口を縛り、その後洗濯機へ。洗濯するときの水の温度は60度。
(4) カバンや鍵は玄関脇に箱を用意して、そこに入れる、
(5) 外気に触れていた部分、手、顔、首などを洗う。
(6) メガネを石鹸で洗う。携帯電話の表面を消毒する。
(7) 塩素系消毒液で、足元に置いたカバンやレジ袋の表面をふく。ゴム手袋着用のこと。
(8) 使用済み手袋は捨てる。その後手を洗う。
(9) 散歩に連れていたペットの足を消毒する。
(10) これで完全な消毒ができるわけではないことを覚えておいてください。

<集団感染を防ぐために。家庭と職場で>

(1) 家族でベッドを共用しない。
(2) タオルや食器を共用しない。
(3) 服の洗濯はこまめに。
(4) 常に換気をする。
(5) トイレは別々に使う。使用するごとに毎回塩素系消毒液で消毒する。
(6) スイッチ、肘掛け椅子の肘掛け部分を消毒する。
(7) 人と人の距離をあけて、別々の部屋にいるようにする。
(8) 熱が38度以上に上がり、呼吸に問題が起きたら、病院に電話する。
(9) 自宅で隔離される期間は2週間。その間に一度でも外へ出ると、期間がリセットされて、その日からまた2週間隔離措置となります。

・・・・・
 原発事故が起きたら、換気はしないほうがいいです。窓を閉めて屋内退避です。(場所にもよります。)
 しかし、体に付着しているかもしれない放射性物質をできるだけ、体内、そして家の中に持ち込まないようにするには、コロナウイルス感染予防対策に共通するものがあります。

 このように、ベラルーシで感染が拡大する前から、このようなマニュアルをポスターにして、あちこちに掲示していましたし、今も掲示してあります。
 ベラルーシは、国境封鎖も都市封鎖も休校も(ほとんど)しないので、何もコロナウイルス対策をしていない国なのかと思われがちですが、前もって国民向けに「個人個人でこのような対策をしておいてくださいね。」と伝えてありました。
 実際にどれぐらい多くのベラルーシ人が完璧にこのマニュアルを実行しているのかと言われれば、もちろん100%ではありません。
 でも国としては、「国民のみなさん、はい、言っときましたよ。」ということです。
 日本も「さまざまな自粛要請」を出していますが、これは「はい、言っときましたよ。」というポーズを見せているのであって、実際に国民全員が守れるのかどうか追跡できるものでもないし、ある意味、「あとは自己責任で。任せましたよ。」と言っているようなものです。

 このような国民向けマニュアルを周知させようと、とっくにその努力しているベラルーシです。
 あとは一人一人の自覚が問われますよね。
 そして最近のベラルーシでの感染者数の増加を見ると、やはり完璧にマニュアルを守れない人も絶対いるし、もっと厳しい規則を作っておいたほうがよかったのでは?の反省点があぶり出されたと言っていいでしょう。

 ところで、日本人のみなさんは、上記のベラルーシ人向けマニュアルについて、
「こんなの、私全部実行している。」「もう知ってるよ。」
と思われたでしょうか。
「これは知らなかった。日本でもやってみよう。」
という人もいるかもしれません。(でも少数派では?)
 私がこのマニュアル(職場である児童図書館の正面玄関入ってすぐの掲示板に貼ってあります。)を眺めていて、
「ここが日本とベラルーシと一番違う。」
と驚いたことが一つあります。
 それは、うがいを奨励していないこと。
 手洗いの奨励は世界中で言われていますが、ベラルーシの国民向けマニュアルでは、「帰宅したら、手を洗ってうがいをしましょう。」の一文がないです・・・。

 生活習慣の違い? 我が家では全員、手洗いとうがいをコロナウイルス流行の前から常識としてしてますけどね・・・。
 外気に触れていた首の部分は洗いましょう、とありますが、うがいをしましょうとは書いていません。
 
 人口比で考えると、明らかに日本よりベラルーシのほうが感染が進んでいます。
 これはうがいをしている人の数の割合が関係している・・・かもしれません。私には分かりません。

 
 
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