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ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

森林地帯の除染(追加情報あります)

2013-01-18 | 放射能関連情報
 これから不定期ですが除染について更新していきたいと思っています。

 まず森林地域についての除染なのですが、昨年12月宇都宮大学でのシンポジウムで林業がテーマになったので、少しお話しました。
 チェルノブイリの場合、森林の除染にリグニンが使われたことがあります。リグニンとは木材の中に含まれている繊維の一つです。製紙作業に出る(紙から除去される)成分なので安価です。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%B0%E3%83%8B%E3%83%B3


 これはウイキペディアの日本語のページですが、ロシア語のほうを開くと、もっと内容が詳しくてちゃんと「チェルノブイリ事故後の除染に使われた。」とあります。
 リグニンのことはベルラド研究所の所長さんから教えてもらいました。
 それによるとリグニンを飛行機から空中散布して除染をしたそうです。その結果その森で採れたきのこの放射能が減少していて、実験は成功とされたのですが、その後は実用されませんでした。
 どうしてかというとリグニンそのものより、飛行機の燃料のほうがコストが高く、ベラルーシの汚染された森の面積を考えると「予算がない」ということでこのリグニンによる除染は行われなかったのです。(がっかり)
 こうして森林地帯の除染はあきらめられたのですが、特に汚染がひどい地域は、立ち入り禁止になったり、国立公園として管理されるようになっています。(このような場所では森林火事が発生しないように常時警戒されています。)

 日本の場合は私有林や個人所有の山などもあるわけですから、自分たちが住んでいる地域のすぐそばにある山だけでも何とかリグニンで除染できないものか、と思います。
 関東地方在住の方が、自宅の周囲を測定したら、土の部分(花壇)の線量が高かったので、コンクリートを敷いたのですが、山のほうから風が吹くと線量が上がるので、コンクリートを敷いた意味があまりない・・・といった話を聞きました。
 このように住宅地の近くにある山などは優先してリグニンで除染できないものでしょうか。
 日本にもリグニンを研究している学者や機関があると思うのですが、ぜひリグニンの除染効果に注目してほしいです。

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 ここからは追加情報です。リグニンについてベルラド研究所の所長さんからもう一度教えてもらいました。
 リグニンは汚染された森から、そこに生えているキノコやベリーなどが汚染されないようにガードするものであって、森林そのものの除染をしているわけではないそうです。
 だから「リグニンで森林の除染ができる。」と言うのは語弊がある、と言われました。

 この記事のタイトルは森林の除染ですが、誤解ないようにお願いします。

 上記の空中散布実験をしたのはベラルーシのゴメリにあるベラルーシ科学アカデミー森林研究所です。
 HPはこちら。
http://www.forinst.basnet.by/node/1

 しかしこのHP内を検索しても、(私の検索の仕方が下手なのか、実験をしたのがHP開設前だからなのか)リグニンのことが出てきません。
 もう少し詳しく実験のことを知りたかったのですが・・・(今後の宿題ですね。)

 しかしリグニンをいろいろな形に応用して、汚染から植物(野菜や果物)を守るものとして実用化できないものでしょうか?
 私の理系ではない頭では何も思いつかないのですが、誰か日本の研究者でリグニンに注目してほしいです。 
 

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