ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

2022年5月18日。ウクライナ侵攻から84日目

2022-05-18 | ベラルーシ旅行・長期滞在・留学注意情報
 2022年5月18日。

 ロシアとベラルーシのアスリートが、カザフスタンの選手として、国際大会に出場しようと、カザフスタンの各スポーツ関係機関に打診しています。
 カザフスタン側は、結論をまだ出していませんが、現時点では難色を示しているようで、先行き不透明です。

 ロシアとベラルーシはバスケットボールW杯に出場できなくなりました。


 ロシアの国会議員がロシア国旗の変更を提案しました。大祖国戦争(第二次世界大戦)に勝利したときのソ連の旗です。


 ジョージ・オーウェルの小説「1984」がべラルーシ国内で発禁処分となり、この作品に限らず、オーウェルの全作品を国内の全ての店舗で発売することが禁止になった・・・となぜかロシアのメディアが報道しました。
 ベラルーシ国内では「え? そうなの?」という反応です。
 ちなみに今ネットで調べましたが、オーウェルの作品はベラルーシに住んでいる私は電子書籍で購入できる状態です。今のところ。


 キーウでロシアによる侵攻後初めて戦争犯罪に問われた21歳のロシア兵に対する裁判が行われ、被告は自分の罪を認めました。

 アゾフスタリ製鉄所から1000人近くのウクライナ兵が投降しましたが、「生還せよ」というウクライナ大統領の苦渋の命令がきっかけでした。

 ロシア当局によると、ウクライナ兵捕虜は、まず負傷している者は治療を受けさせる。そうでない者、治療が完了した者は、戦争犯罪をしていないか調査する。戦争犯罪を犯していない者は捕虜交換によりウクライナに戻れる可能性がある・・・としています。
 この一連の手続きのことは分かるのですが、戦争犯罪とは何なのでしょう?
 製鉄所に立てこもり、ロシア軍に攻撃していたことが戦争犯罪ではないです。
 ロシアの国営テレビの報道では、「ウクライナのナチストは、(ウクライナ)女性をレイプし、その後殺害。遺体に火をつけている。」としており、つまり極悪非道の畜生どもなので、ロシアが成敗しているところです・・・と報道しているのですよ。
 これを信じて「ロシア大統領は正しい。私は支持する。」と声を上げるロシア人が大勢いても不思議はありません。ベラルーシ人にもロシアのテレビを信じる人がいます。
 このように固く信じている人に、
「いや、ウクライナ女性をレイプしているのはロシア兵ですよ。被害者も証言しているし。」
と反論しても、
「ロシア兵はそんなひどいことしていません。それはフェイクニュース。」
と言われるので、
「じゃあ、ウクライナ人がウクライナ人を殺しているということ?」
と尋ねると、
「そうです。善良なウクライナ人を救うためにナチス思想に染まった悪いウクライナ人を成敗する役をロシアはしている。ロシア大統領は正義の味方。すばらしい大統領。」
と褒めます。
 これがロシア側の論理なのです。
 ロシア下院は今後、「ナチスの犯罪者」と認定された兵士とロシア兵士との捕虜交換を禁止する法案を審議します。またロシア最高裁も26日、同隊の「テロ組織」認定について審議する予定です。
 捕虜交換が順調に進むかどうか分かりません。

 国際刑事裁判所は17日、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う戦争犯罪の疑いを捜査するため、史上最大の現場捜査チームをウクライナに派遣したと発表しました。
 そして今日、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチはウクライナの2地域で、ロシア軍の民間人に対する「明白な戦争犯罪」を示すさらなる証拠を収集したと発表しました。
 その報告書によると、ロシアによる侵攻が始まった2月下旬から3月にかけ、キーウとチェルニーヒウ地域で「ロシア軍」による即決処刑の事例は22件、不法な殺害は9件、拷問は7件。そのほか、不法な監禁なども報告されています。


 チェチェン共和国のカディロフ首長はロシア軍のウクライナでの軍事作戦に関し「初めに間違いがあった」と述べ、想定通りには進まなかったことを認めました。現在は「100%、(ロシア)大統領の指示通りに進んでいる。」そうです。


 ロシア国営メディアのトーク番組などで、退役将校などすでに複数が、特別軍事行動(戦争)を堂々と批判し始めました。驚きですね。「これでロシア人の洗脳も解けるか?」と思う日本人もいるかもしれませんが、まだまだでしょう。
 洗脳されてたんだと分かったときのロシア人の反応が心配です。「いや、それでも私はウクライナのネオナチや欧米諸国が悪いと思う!」と頑なになる人もいれば、ショックを感じる人もいるでしょう。ロシア人の精神構造が大きく転換する日が来るかもしれません。でも、ソ連崩壊のときにこういうの、すでに経験したのではないの?と私は思います。


 経済専門紙「ベラルーシと市場」の編集長がKGBに拘束されましたが、取り調べの後、解放されました。 

 以前から審議されていましたが、ベラルーシで、テロを計画しただけで死刑を求刑できる法律が10日後施行されることが決定しました。
 

 日本郵船がロシアでの自動車陸送事業からの撤退を検討しています。
 ロシアに生産拠点を持つ欧州と日本の自動車メーカーが生産を縮小したことで鉄道やトレーラーを使った陸送需要が減り、事業継続が困難と判断したからです。

 グーグルのロシア子会社は18日、ロシアの裁判所に破産を申請しました。

 ロシアに続き、ベラルーシのユーザーもGooglePlayの有料アプリのダウンロードと更新を禁止されました。
 ウクライナで人が戦争のために死んでいるのに、ゲームどころではありません。


 肥料の価格も値上がりしています。ロシアとベラルーシが肥料の産地なのですが、それが輸出できなくなり、世界的な肥料不足が予想されます。ただ、ベラルーシは友好国には、優先して肥料を輸出するようになるでしょう。それらの国では肥料不足は起こりません。今年の農作物が不作になるリスクも軽減される見通しです。


 ベラルーシは、国民の中で富の不平等が最も少ない国ランキングで4位に入りました。


 今日、フィンランドとスウェーデンは、NATOへの加盟申請書を正式に提出しました。 
 しかし、トルコが難色を示しています。今日は、トルコ大統領が「テロリストを引き渡さない限りは承認しない。テロリストを引き渡すよう求めたが拒否された。引き渡しには応じないのにNATOに加盟したいのか?」と厳しく批判しています。
 また、来週にも外交団を送ることを申し出たフィンランドとスウェーデンに対して「徒労に終わるだろう」と述べ、説得には応じない強い姿勢を示しています。
 それに両国がトルコに制裁を科しているんですね・・・。
 異例の最速スピードでNATO加盟が認められるだろうという予想でしたが、雲行きが怪しくなってきました。
 スウェーデンとフィンランドのNATO加盟について、ロシア大統領は何の問題もないと述べ、態度を軟化させた。とされていますが、実際には、トルコが阻止してくれるはずだと、思っての余裕があるのではないでしょうか。

 ロシアの副首相(軍事担当)は、ロシア軍はウクライナでの戦闘に次世代レーザー兵器を投入していると明らかにしました。開発した最新兵器を実際に利用できるので、そのための特別軍事行動だった側面もありますね。


 ロシアがWTOとWHOから脱退することを検討し始めました。ロシアの孤立化がますます進みそうですが、実際にはロシアのほうが、抜けたがっているようにも思えます。
 ロシア側の主張は、これらの組織はロシアを軽んじており、不当に扱っている。WHOは実質、ビル・ゲイツ氏が支配している組織であり、ロシアは反対だ。ゲイツ氏は世界の人口削減を目論んでいる。そのためにコロナワクチンを利用している。ロシアが脱退したら、追随する国が他にもたくせん出てくるだろう。(まあ、コロナ対策については、特に初期、WHOの対応をさんざん批判した日本人も大勢いましたね。)